2018年8月13日月曜日

『カメラを止めるな!』


★★★★★

今話題の作品ですが、ありがたいことに近くのシネコンで上映を始めたので、早速観てきました。

ネタバレは避けたいので、かなりぼやかして書きますが、これからご覧になるつもりの方は、先に読まない方がいいかも。

映画を観る前に、内容について知っていた情報は「ゾンビ映画かと思いきや、途中から…」というようなものでした。
実際、最初はゾンビ映画。しかもかなりのB級。この時点ではどう話が展開するのかまったく読めませんでした。そして、途中からこの映画が何をやりたいのかがわかり始めました。映画作品をたくさん観ていると、実は本作と同じような構造、構成の作品に時々出会うことがあります。そういう意味では、星5つはちょっと甘い気がしますが、その構造パターンの中でもかなり手が混んでいて面白いのは間違いありません。

こういう先品を作るのはさぞ難しいだろうと思います。その難しさは、よくできたミステリー作品と似ている気がします。例えば殺人事件が起こって、探偵が登場します。探偵は色々と調べて犯人につながる手がかりを見つけていきます。それは時に、現場の状況や遺留品であり、関係者の言動ですが、探偵が見聞きしたことは全て、視聴者も知ることができます。でも、この時点では視聴者には犯人はわかりません。

そして謎解きが始まります。探偵は、自分が手に入れた手がかりの意味を解説し、犯人を指摘します。このとき、視聴者が「ああ、なるほど。そういうことだったのか」と納得できると、そのミステリーは面白いと評価されます。

謎解きの前の視聴者は、探偵と同じ手がかりを知っているはずなのに犯人はさっぱりわからず、謎解きを聞くと全ての疑問が解決するという、この落差が大きければ大きいほどミステリーは面白くなります。

そして、探偵が謎解きの解説で「あのときのあれは…」と説明するとき、視聴者が「あのときのあれ」をきちんと思い出せることが重要です。謎解きが始まるまでは現場の様子や人の言動の何に意味があるのかもわからずに見ているにもかかわらず、謎解きが始まったときにはきちんと思い出せるように映像を作るのはかなり難しいはずです。重要なものを強調しすぎると謎解きの前に視聴者が答えにたどり着いてしまいますし、強調しなさすぎるとあとで思い出せなくなります。絶妙なバランスを作り出すために、脚本も俳優の芝居やセリフも撮影の絵作りも、かなり練り上げる必要があるのではないかと想像します。

本作はミステリーではありませんが(ある意味謎解きの妙ではあるのですが)、本当によく練られた、面白い作品だと思います。


公式サイトは、こちら。
http://kametome.net/index.html

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