★★★★☆
アメリカCIAがオサマ・ビンラディンを殺害するまでの経緯を克明に描いた、ドキュメンタリーのような作品。
ビンラディン殺害のニュースが流れたとき、テレビでは歓喜に沸くアメリカ国民の映像が流れたことをよく覚えています。
相手がたとえ凶悪なテロリストとはいえ、その生命を奪うことを"喜び"で表現してしまう彼らに、私は強烈な違和感を覚えました。
この映画を観ることで、あの出来事をアメリカ人がどう捉えているのかがわかるのではないかという思いがありました。
ストーリーは、時系列に沿って淡々と進む感じで、それがとてもリアルに感じました。その中には、尋問や電話の傍受や隠れ家の襲撃など、様々な種類の活動が描かれており、3時間近い上映時間中飽きることはありませんでした。
単に派手さを追求する映画なら隠れ家襲撃の場面をもっと前面に押し出すのでしょうが、この作品ではそれも多くの活動の一部に過ぎません。
映画の中では、もちろんビンラディン殺害作戦の成功を喜ぶシーンはありましたが、全体としては淡々と、やや虚しさが残るトーンで終わっていました。私としては、少しほっとしました。
この作品、当然といえば当然なのですが、完全にアメリカ側からの一方的な目線で描かれています。追い詰められる側のビンラディンがどう思いどう行動したのかはまったくわかりません。
今のアメリカとイスラム社会との関係は、アメリカが絶対的に善でイスラムが絶対的に悪という構図ではないと思うので、いつかイスラム側の言い分を知る機会が来て欲しいと思います。
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