2013年12月31日火曜日

『永遠の0』

★★★★☆

現代に生きる孫が戦死した祖父の足跡を追うというのが『男たちの大和』を思い起こさせました。テーマ曲も、長渕剛 v.s. サザンオールスターズ。製作陣には、対抗意識はあったのでしょうか??

本作は、孫が祖父の実像に迫る謎解きミステリーのような作りになっていて、だんだん核心に迫っていく感じもよかったと思います。

『ALWAYS 三丁目の夕日』の山崎貴監督なので、人間ドラマだけどCGはとても凝っていて、それも見応えがありました。

この映画のメッセージはシンプルで「命を大切にしなさい」ということですね。それを、戦時中の特攻という異常な死に方の不条理や恐怖や痛みをリアルに感じてもらうことで観客に伝えようとしているのだと思います。

そういう意味では、現代の若者が戦争体験者に当時のことを聞いて回るという極めてストレートな演出。CGを駆使して描かれたリアルな戦闘シーンも、狙いに合致していたと思います。

戦争がないのはいいことですが、今の「平和」が、先の戦争の強烈な反省から成り立っているのは明らかで、だとすれば何とかして戦争を今に伝えることは必要なはず。神風精神論とは対極にあるCGのようなデジタル技術が、それに一役買っているのが、なかなか興味深いところです。

公式サイトは、こちら。
http://www.eienno-zero.jp/index.html


2013年に見た映画は全部で47本。うち、iTunesStoreでのレンタルは2本、試写会で見たものが2本でした。
星5つつけたのは、つい最近に見た『ゼロ・グラビティ』のみ。でも星4つつけた作品は結構たくさんあったはず。
『ラ・ワン』『きっと、うまくいく』『マッキー』と、インド映画が3本も含まれていたのは、面白いところかも。本当はもう1本『スタンリーのお弁当箱』という作品が気になっていたのですが観に行けませんでした。でもiTuneseStoreにあることはチェック済みなので、いつかレンタルすると思います。

2013年12月23日月曜日

『キャプテン・フィリップス』

★★★★☆

アフリカのソマリア沖で海賊に襲われたアメリカの貨物船の、実話を元にした作品。

ほぼ最初から最後まで緊張が緩むことがなく、この手の映画としては素晴らしいと思います。たまたま『アルゴ』とか『ゼロ・グラビティ』とか、割と近いジャンルの最上級の作品の印象が残っているので、差をつけるために星4つにしましたが…。

危機を扱った映画では、まず危機を"作り出す"必要があるわけですが、そこが安直なもの(例えば、明らかに主人公の行動が軽率とか)がよく見受けられます。
でもこの作品では、武器を携帯しない民間の海運業者として、海賊対策は怠りなく、自分たちとしてやれる準備は全てやっており、それでも海賊の襲撃を防げなかったところに、リアルな恐ろしさを感じます。

また、実際海賊に襲われた後も、登場人物がスーパーマン的な大活躍で敵を倒すわけではありません。できることは特別なことではないし、失敗もしますが、冷静に、粘り強く、助かる道を探ります。
この、普通の人は普通の人のレベルを超えないで目一杯頑張っている姿が、共感と感動につながっていると思います。

トム・ハンクスの演技は素晴らしいです。普通のレベルを超えない頑張り、普通のレベルを超えないカッコよさが見事。救出された後の、一気に力が抜けてしまう演技は、ちょっとオーバーな気もしますが「よく頑張ったね」と讃えたくなりました。

ソマリア人の海賊の描き方については、どのくらいリアリティがあるか、若干疑っています。若干アメリカ人の思い込みが入っているような気がしなくもないです。
映画としても、彼らが海賊行為を行うに至った背景とか、海賊組織の内情とかを描くのであればもっとキッチリ描けばいいし、そこは全く描かずにワケの分からない悪者として描くならそれでもいいと思うのですが、どっちつかずな気がしました。

結局最後は、アメリカ海軍が登場します。こういう状況での海軍の頼もしいことと言ったらありません。ONE PIECE好きには申し訳ないけど、やっぱり海賊より海軍でしょ、と思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://www.captainphillips.jp

2013年12月22日日曜日

『フード・インク』

★★★☆☆

iTunesStoreでレンタルして観ました。

食料生産の問題を採り上げたドキュメンタリー。

今や、農産物や畜産物も工場で大量生産されて、その安全性も疑わしい状況。でも、そのような食品の方がオーガニック食品よりずっと安く、経済的理由でそちらを買わざるをえない人がいるという、アメリカの食料事情に迫った作品。

興味深いと思いましたが、自分としては薄々感じていたことなので、大きなショックを受けたわけでもなく、突然目からうろこが落ちたわけでもなく、ああやっぱり…という感じでした。

自分の、食の安全に対する意識は結構大雑把。そりゃあ絶対安全だと思えるものだけを選択できればそれに越したことはないけど、もしそれを本当にやろうとしたら大変な緊張感を持って食品や食材を見極めていかなければならず、そこに多大なエネルギーをつぎ込む気はありません。

こういった議論でよく敵視される合成保存料、遺伝子組み換え商品などでも、実際には全く安全なものもあるはずなのに、あたかもこれらが毒であるかのように見るのはある種の宗教のようでむしろ怖いと思います。
それに本当に食料不足になった場合、Aランクの安全性を持った食品を食べれば本来の寿命まで生きられる、Bランクの安全性を持った食品を食べれば寿命が10年縮まる、何も食べなければ後1年で死ぬとしたら、Bランクの食品を大量に安定的に生産できることは決して悪いことではないでしょう。

ともかく『フード・インク』で取り上げられているような実態を知ることができたのはよかったと思います

公式サイトは、こちら。
http://www.cinemacafe.net/official/foodinc/


『皇帝と公爵』

★★★☆☆

試写会に当たったので、観てきました。

星3つにしましたが、正直眠くて眠くて、1/3ぐらいは意識朦朧としていたので、正当な評価ではないかも。

この作品は、ナポレオン率いるフランス軍のポルトガル侵攻を、イギリス・ポルトガル連合軍のウェリントン将軍が食い止める、ブサコの戦いを描いたもの。といっても、世界史が苦手な私には予備知識ゼロでした。まあ、ヨーロッパ版大河ドラマだと思えば話が早いと思います。

映画では、もちろん戦闘や戦術にも触れていますが、主に名も無き兵士や戦争に巻き込まれた民間人にフォーカスが当たっています。フランス・ポルトガル合作映画ですが、私のイメージするフランス映画的なネットリ感、ドロドロ感がある人間の描き方でした。

群像劇で登場人物が多く、それぞれのエピソードが断片的につなぎ合わされているような構成です。覚醒度が低かった私には、フランス勢、イギリス勢、ポルトガル勢の区別もつかなくなり、同一人物を特定できなくなってしまいました。その結果、作品全体の大きなうねりが捉えられなくなり、ショートムービーのオムニバスを観るような感覚でした。

試写会の会場が、一般的な市民ホールみたいなところで、照明を全部落としても真っ暗になりませんでした。映像自体はさほど見づらくなかったけど、客席の様子が見えてしまうので、途中でトイレに立つ人とかが気になってしまいました。
なぜか最初に中尾彬さんが登場して、司会の映画コメンテーターの方とトークショーがありました。あれ、必要だったかなあ(^^;)。そのため終了時間が22:00ぐらいになり、途中で退席する人がチラホラ、エンドロールが流れ始めた途端どっとみんな立ち上がる始末。
居眠りしていた自分が言うことではないけど、映画を鑑賞する環境としては、いいとは言えなかったかな。

公式サイトは、こちら。
http://www.alcine-terran.com/koutei/

2013年12月16日月曜日

『ゼロ・グラビティ』

★★★★★

かなり早い段階から、観ようと決めていた作品。
字幕の3Dをレイトショーで観ようと近隣の映画館を調べてみると、一番近いシネマイクスピアリは、3D上映のレイトショーはなし。ワーナー・マイカル・シネマズ市川妙典は、レイトショーはあるけど吹替版のみ。109シネマズ木場は、レイトショーはあるけど、レイトショー割引の対象外。その代わりIMAX 3Dが観られます。
結局のところ、どうしても3D字幕版にしたいなら、シネマイクスピアリか109シネマズ木場で割引なしで観るしかありませんでした。…で、どうしても3D字幕版にしたかったので、IMAX 3Dの木場を選択。

実はこの映画、上映時間が91分と短め。それを3Dで割引なしで観たので、普段レイトショーばかり観ている私にとっては単位時間あたりの金額は相当な割高です。
でも、充分元は取れました。大満足。私の中での今年最高の映画は、たぶんこれで決まり。

宇宙での事故を扱った映画といえば実話を元にした『アポロ13』があるので、言ってしまえば『ゼロ・グラビティ』はそのフィクション版のような感じ。
ただ、登場人物がずっと宇宙船の中にいる『アポロ13』と比べて、宇宙船外での漂流の方がはるかに恐怖感も孤独感も絶望感も強いですね。

そう感じたのは、やっぱりこの作品の映像が徹底的に作りこまれているからでしょう。重力がない=体が浮く、だと思っていたのは間違い。空気抵抗と重力のない宇宙空間で起こる運動力学の基本「動いているものは力を加えない限り動き続ける」が、いかに恐ろしいかがよくわかります。主人公がクルクル回り始めると、本当にひたすら回り続けます。それを、カットを割らずに、俯瞰視点から一人称視点に変化させたりとカメラが動きます。正直、酔いそうでした。

通信相手の声を除けば、登場人物が2名だけというのもなかなか大胆ですが、それだけに感情移入しやすく、自分が宇宙漂流者になった気分になれました。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity/

2013年12月9日月曜日

『かぐや姫の物語』

★★★☆☆

何がよかったのかよくわからないのですが、何だかよかったなあ。

最初、かぐや姫を2時間のストーリーにするのってすごく大変そうだと思ったのですが、特に無理矢理な感じもなく時間が過ぎていきました。その中に盛り込まれているエビソードは、私が知っているかぐや姫の話から大きく外れることなく、丁寧に誠実に描かれている印象。
あれは、古典の竹取物語に忠実なストーリーなのでしょうか。

絵は、鉛筆の線画に水彩絵の具で着色した質感ですが、もちろん鉄拳のパラパラアニメとは次元が違います(^^;)。たぶんデジタル技術を駆使して手描きのぬくもりを醸し出しているのでしょうから、実はとても凝った、高度な技術が使われていると思います。

ただ、手描きの風合いとはいっても、キャラクターの顔の描き方とかがやや定まっていないように思えたのは、個人的には気になってしまいました。わざとやっているのだとは思うのですが、服装や髪型に特徴がなければ同一人物だとわからないかと思うほどだったので…。

定まらないといえば、かぐや姫のの言動がかなり大きく変動するのが印象的でした。ものすごくおしとやかだったり、やんちゃだったり、落ち込んだり、激したり…。これについては彼女の内側に抱えているものからくるという必然性を感じました。とはいえ、子供のころから知っているかぐや姫のイメージとは全然違って面食らいました。

最新のビジュアル表現技術を使った現代の古典文学。大人向けのお伽話。そんな感じのエンターテインメントでした。

 公式サイトは、こちら。
http://kaguyahime-monogatari.jp

2013年11月17日日曜日

『スティーブ・ジョブズ I』『スティーブ・ジョブズ II』(書籍)

書籍が発売されてすぐに購入し、Kindleが電子書籍の販売を日本で始めたときには電子書籍版も買ったのですが、読み始めて少しのところでストップしたままずっと放置してありました。

最近になって、特にきっかけがあったわけでもないのですが、一気に最後まで読み進めることができました。

私が初めてMacintoshを使ったのは、おそらく1989年、大学3年の授業でExcelを使った時だと思います。機種はSEかな。その後、1990年の終わりに自分でSE/30を購入しました。

このころの私のスタンスは、みんながMacはいいというからきっといいんだろうなあ、という程度で、その裏側にどんな物語があったのかまったく知りませんでした。JobsはもうAppleを追い出されたあとだったので、詳しい人から"かつてAppleにいてMacを作った人物"として色々と話しを聞かされました。でも、プログラマーでもエンジニアでもないけどカリスマでプレゼンがすごくてといった断片的な説明では、なかなかその人物像も偉業もイメージできませんでした。

それでもMac関連の雑誌や書籍、その他Jobsにまつわる情報に少しずつ触れ、大学のある研究室にはApple IIが置いてあるという環境で、いつしか、Appleの草創期から会社を追われるぐらいまでのJobsについてはそれなりに詳しくなっていきました。このころのエピソードについては、本書で再確認でき、さらに詳細な情報を知ることができました

Apple設立以前のJobsについては、本書で初めて知ったことが多数ありました。インドを放浪していたことは本を読む前から知っていたのですが、それ以外のエピソードも含めて相当アブナイ若者だったんですね。ぜったい友達にはなれなそう(^^;)。

AppleがNeXTを買収するというニュースはネットで見てビックリしたことをはっきり覚えています。JobsのApple復帰以降は、新製品も発表と同時にチェックしていましたし、Jobsの基調講演はほぼ全てネットの動画で視聴(日本での基調講演は2回、直接観に行きました)しました。そもそもIT系のサイトには常にAppleの情報が溢れており、いつも気にして読んでいたので、本当にリアルタイムでフォローしてきたつもりです。ただ、その時時のJabsにまつわる裏話はあまりネットには登場しないので、本書を読んで初めて知ったことが多々ありました。

よく、Appleを追われる前のJobsは本当にワガママでハチャメチャだったのに対して、Apple復帰後のJobsはより現実的に判断をするようになったと言われていたと思うのですが、本書を見る限り、Apple復帰後も相当メチャクチャですね(^^;)。絶対一緒に仕事したくない…。また、初期のMacintosh開発メンバー、アンディ・ハーツフェルドやビル・アトキンソンなどとずっと親交が続いていたのは意外でした。Jobsの後継者ティム・クックは、てっきりNeXT時代からの腹心なのかと思っていたら、Apple復帰後にリクルートした人物だったのですね。これも意外。

事実は小説より奇なりといいますが、よくまあこれだけ波瀾万丈でハチャメチャでドラマティックな人生があるものだと思います。先日公開された映画もよかったけど、NHK大河ドラマぐらいのボリュームで見てみたいかも。一人の人間の生きざまとしては、56年の生涯は短いけど、これだけ濃密な人生を送ったのであれば充分かもしれないと思います。ただ、Appleファンとしては、彼が作り出す製品をもう見られないのはつくづく残念です。









2013年11月14日木曜日

防災グッズ

以前、Twitterで友人からリクエストされたので、我が家の防災グッズについて書いてみようと思います。

防災グッズをそろえようと思ったきっかけはやはり東日本大震災。それ以前からホームセンター等には防災グッズコーナーがありましたが、震災後その品揃えは大幅に拡充。

非常用持ち出し袋のようなセットになったものもありますが、私の場合は個別にちょっとずつ買い足して、普通のタウンユース用のリュックに入れてあります。

防災グッズ集めは現在進行形ですが、こだわり出したらキリがないので、今は「まあこんなものかなあ」というぐらいの状況です。

想定している状況は以下のような感じ。…何の根拠もありませんが、何か条件を決めないと先に進みづらいので。

  • 発生する災害は地震
  • それに伴う津波は発生したとしても自宅にはあまり影響しない
  • 液状化は発生したとしても自宅にはあまり影響しない
  • 自宅に影響するような火事は発生しない
  • 自宅は、建物自体の倒壊は免れる
  • 電気、ガス、水道、電話はストップする可能性がある
  • 私自身は大きな怪我はなし
  • 場合によっては避難所(近所の小学校)に避難
  • 自宅で被災し、すぐに避難する場合でも、少なくとも30分程度は準備の時間がとれる
  • 自力でしのぐのは2〜3日。それ以降は支援が受けられる

では、まず食料。
ミネラルウォーター、カンパン、ごはん、ドライマンゴー。いずれも非常食として長期保存できるものではなく、定期的に入れ替えていく前提。今回、撮影のために出してみたら、いずれも賞味期限が切れていました。新しいのを買って入れ替えなくちゃ(^^;)。
でもこれで2〜3日は持ちませんよね。そもそも、各家庭に1週間程度の食料の備蓄が必要という話もあるし…。



次に、衛生用品系。
トイレットペーパー(コンパクトに梱包するため、芯は潰します)、ウェットタオル、絆創膏、使い捨てコンタクトレンズ、手前の五円玉型と印籠型のものは圧縮タオルです。何かの展示会でただで配っていたものだと思います。



サバイバル系。
ウォータータンク(本当は水道が止まる前に予めこのタンクに貯めておかないといけないのですが…)、ろうそく(IKEAで安く売ってたので)、サバイバルブランケット、ライター、作業用手袋。



大モノ。
簡易トイレ(というか、排泄物を凝固させる袋)、折りたたみヘルメット。これらはかさばるので、リュックの中には入っていません。簡易トイレは自宅のトイレで水が流れないときに使う想定だし、ヘルメットは頭にかぶるから、リュックに入らなくてもいいはず。



最後に、電気製品。
トランジスタラジオ、エネループとモバイルバッテリーを充電できるソーラー充電器。
充電器だけは、防災専用ではなく、普段から使っています。



…こんな感じなのですが、どうなんでしょう?適切なのかどうか、自分でもよくわかりません。

ちなみに、充電器以外は防災専用グッズという位置づけで、日常生活では使いません。
逆に日常生活で使っているもので、避難する際持ち出したいものは結構あるはず。衣類とか携帯電話とか現金とか通帳とか…。こちらについてはあまりきちんと考えていなくて、置いてある場所もバラバラ(日常生活で使いやすいところに置いてある)で、いざというときの持ち出し品リストが用意してあるわけでもありません。それでも避難準備に30分程度あれば、必要な物はそろえられるかと、なんとなく思っているだけです。

2013年11月12日火曜日

『清須会議』

★★★★☆

予想に反して、これまでの三谷作品などと比べると、かなり笑いを抑えた歴史ドラマでした。でも、面白かったと思います。

歴史的事実としての清須会議を私は全く知らなかったのですが、戦国の世にあって話し合いによって今後の国の運営体制を決めるというのはそれだけで充分面白いテーマだと思います。ギャグ満載にしなかったのは、そのテーマの面白さをなるべくそのまま見せたいという意図なのでしょう。

実際、柴田勝家側と羽柴秀吉側が会議を前にして行う、刀を使わない攻防は、見応えのあるものでした。最終的に秀吉が勝つことは誰でも知っているので、やや秀吉の賢さ、抜け目なさがフィーチャーされている感じはしましたが、勝家の愚直さも魅力的に描かれています。

とはいえ三谷映画なので、キャストのビジュアルにしろ芝居にしろ、可笑しみはあって、全体としてはNHK大河ドラマとは全く違うコミカルな時代劇になっていました。

各キャストのビジュアルはかなり前に発表されていましたが、一番インパクトがあったのは剛力彩芽さん。三谷映画は主役級の俳優がチョイ役で出演することも多いので、剛力さんもあのビジュアルで長時間は出ないんだろうと思っていたら、登場シーンも意外と多いし、実は結構重要な役どころでビックリ。

観終わった後、そう言えば三谷映画に必ず出ている戸田恵子さんがいなかったのでは?と思って後で確認したら、秀吉のお母さん役が戸田さんだったんですね。

あと、エンドロールで山寺宏一さんがいろいろな声で出演されていたらしいのですが、これは全くわかりませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://www.kiyosukaigi.com/index.html

『武士の献立』

★★★☆☆

試写会に当たったので、公開前に観ました。

『武士の家計簿』となんとなくシリーズ物のような感じで、監督は違うけど脚本は同じ人で、作品全体の雰囲気も似ています。『武士の家計簿』は、当時の家計簿が見つかって、これについて書かれた書籍があっての映画化ということで、気になって観に行ったのですが、『武士の献立』の方は、お金を払って映画館に観にいくつもりはありませんでした。

ストーリーは、加賀藩のお城の料理人の跡取り息子が、武士なのに料理を仕事とすることに納得できずにうだうだしているところに、料理上手の嫁が来て…という内容。だいたい想像通りに話が進みます。

まあ話は単純ですが、主に料理を通して当時の生活が丁寧に描かれているので、そういう点ではよかったと思います。

高良健吾くんは、現代的でとんがった、そしてちょっと屈折した若者とかがはまる役者さんというイメージなので、違和感というほどではないけど、不思議なキャスティングだと思いました。

上戸彩さんも、あまり江戸時代を感じさせる顔じゃない気がします。言葉遣いは作品全体を通して割と現代的だと思いますが、彼女が「〜です」というと、今のは「〜ございます」と言った方が時代劇っぽいんじゃないのかなあ、などと心の中でツッコミたくなるところがいくつかありました。たぶん彼女のせいではなく、台本通りなんでしょうけど(^^;)。
彼女の姿勢や所作は、とてもキレイに見えました。旦那様が帰宅した時、脇から抜いた刀を受け取るのですが、その時刀に素手では触れず、着物の袖の中に手を引っ込めて袖を手袋代わりにするような持ち方をしていましたが、あれは当時のマナーなんでしょうかね。

公式サイトは、こちら。
http://www.bushikon.jp

2013年11月4日月曜日

『スティーブ・ジョブズ』

★★★★☆

1989年ごろにMacintoshを知り、1990年には自分でSE/30を購入、以来ずっとApple製品を使い続けている私にとって、Steve Jobsは特別な存在です。
私がMacを使い始めたころはJobsはAppleにはいませんでしたが、Macを作った人物として折りにふれJobsの名前は登場しましたし、こちらも関心を持ってその人物像や生い立ちを知ろうとしました。
JobsがAppleに復帰してからは、Appleの新製品情報と共に、Jobsの基調講演はほとんど全部チェックし、iPod、iPhone、iPadを購入してきたので、AppleとJobsの奇跡の復活劇を完全にリアルタイムで、自分の体験としてつぶさに見てきた感覚です。

そんな私がこの作品を観た時、通常の映画のように単なるドラマとして評価することができません。
Jobsという人を知るため映像資料を見ているような気分で、既に自分が知っていることと比べて差異はないか?新たな情報はないか?という見方をしてしまうのです。その結果、この作品はかなりよくできているように感じました。まず、キャストの見た目が本人によく似ています。そして、様々なエピソードも私が知っている知識と近いものでした。ということは逆に、私が知らなかったエピソードもそれなりに信憑性があるのではないかと思えてきます。
このように感じられたことが、星4つの根拠です。
ちなみに、WozniakがMacintosh開発チームに参加していたことは私は知りませんでした。あれは事実なんでしょうかね??

2時間ちょっとという時間では、Jobsの人生の全てを表現することはできません。当然一部分にフォーカスを当てることになるのですが、どこが採り上げられるのかが私にとっての大きな興味の一つでした。予告編では初代iMacのスケッチやiPod発表のシーンもあったので、Apple復帰後も描かれるのかと思っていましたが、基本的には復帰したところで物語は終わりでした。まあApple復帰後の活躍はみなさんご存知でしょう?というスタンスなのでしょう。
おそらく、比重としてはApple IとIIの開発部分が一番詳細に描かれていたのではないでしょうか。Lisaプロジェクトが描かれていたのはちょっと意外。Macintosh開発もそれなりにしっかり描かれていますが、流れとしてはもうAppleを去るところに向かっている感じでした。
大学以前は割愛、Wozniakとの出会いも割愛、インド放浪はちょっとだけ、Apple IIのころのMicrosoftとの関係も割愛、XEROX PARC訪問は残念ながら割愛されていました。娘Lisaのエピソードが入っているのは、ドラマ向きだからでしょうね。Appleを去った後のNeXTがほんの少し、PIXARについては皆無でした。

さて、AppleやAppleの製品に詳しくない人がこの映画を観て楽しいのか…。正直、よくわかりません。Apple I & IIが当時として画期的であったことを、iPhoneが当たり前の現代人にが理解するには、コンピューターの歴史を相当勉強する必要があります。予備知識のない人がすぐに分かるのは、Jobsが誰に嫌われ、誰を嫌ったかということぐらいですが、それだけでドラマとして楽しめるかどうか…。

公式サイトは、こちら。
http://jobs.gaga.ne.jp

2013年11月3日日曜日

『グランド・イリュージョン』

★★★☆☆

もともとトリックとか謎解きとかは好きなので、マジックと犯罪捜査の謎解きが合体したような作品ということで観てみました。

例えば正統派の推理小説の場合、必ず謎解きに必要な鍵を示すことや、ページをさかのぼって何度でも考え直せることなどが条件となりますが、そういう意味ではこの作品はかなり粗い印象です。それでも、エンターテインメント作品としては、充分面白いと思います。

タネ明かしも一応ちゃんとしていたと思います。まあ、催眠術で人の心身を操る能力とかは、なんでもアリになっちゃうのでどうかと思いましたが。犯罪捜査の映画なので、当然のごとくタネ明かしがあるのは、普通のイリュージョンではあり得ないことなので、ちょっと得した気分。

ただ、あのマジシャンたちの動機はよくわからなかったなあ。それと、昔からのマジシャンの秘密結社(?)みたいなフリーメイソンみたいなエピソードが出てきて、話がどっちに展開するのかヒヤヒヤしたのですが、結局よくわからないまま終わってしまいました。

CG技術が発達して、画面の中にどんな超常現象でも容易に作り出せる映画作品の中でのマジックショーは、絶対に一部分はCG使っているんだろうとひねくれた見方をしてしまいますね。

邦題は『グランド・イリュージョン』ですが、原題は『Now You See Me』のようです。

公式サイトは、こちら。
http://www.grandillusion.jp

2013年10月30日水曜日

『マッキー』

★★★★☆

相変わらずハチャメチャなインド映画ですが、一昔前とは違う方向性のハチャメチャさになってきたかもしれません。

殺された男がハエに生まれ変わって、犯人に奪われそうになった恋人を守り、かつ犯人に復讐する話です(^^;)。
こういう作品は、ハエのような小さな虫がどうやったら人間に太刀打ちできるのか?というのが見どころの一つだと思うのですが、なかなかよかったと思います。もちろん突っ込みどころはありまくりですが、それでも「その方法だったら、ハエサイズでもできるかも」という気がしました。

男がハエになった後は、一切言葉は喋らないので、感情表現や人間とのコミュニケーションは演出上難しい点だと思います。これも結構よくできていたと思います。ハエがときどきキュウと鳴くところや、字を書いてしまうのはちょっとやり過ぎな気がしますが、インド映画だから許す(^^;)。

ハエはもちろんCG。ちょっと安っぽいところはありますが、相当頑張っていると思います。ストーリー自体が非現実的なので、多少マンガチックでも許せちゃうし、やっぱりハエがちゃんと演技をしているので、そこから来る納得感もあるような気がします。

復讐劇なので、誰もが予想できるように、相手を殺してハッピーエンドなのですが、こういう明るく楽しい殺人ストーリーって、日本だとなかなか見ない気がします。たぶん世間的に抵抗感があるからだと思いますが、インドではあまり抵抗がないのかな。

最近私が観ているインド映画『ロボット』『ラ・ワン』などはいずれもイマドキのインドが舞台だと思いますが、『マッキー』も都会的でリッチでハイテクなシーンが随所に出てきます。インド映画で、AppleのMacが登場するのは初めて見たかも。

インド映画といえばダンスシーン。『マッキー』にもダンスシーンはあるのですが、あまり本格的なものではありませんでした。CGのハエのダンスがあったのはご愛嬌。
この映画の上映時間は125分でインド映画としては短いので、あるいは『ロボット』同様、日本上映バージョンでは時間短縮のためダンスシーンをカットしているのかもしれません。

インド映画の女優さんは本当に美女ばかりですが、『マッキー』に登場するビンドゥ役のサマンサ・ルス・プラブはちょっとあどけなさも見え隠れするキュートな顔立ち。かわいいと思います。
そういえば、インド映画のスーパースター、ラジニカーントもちょっとだけ登場していました。

公式サイトは、こちら。
http://masala-movie.com/makkhi/

2013年10月26日土曜日

『人類資金』

★★★☆☆

よかった、と思います。
でも、何だかよくわからないところもありました。

部分部分では、迫力のあるアクションだったり緊迫感のある芝居だったり、よく出来ていると思うのですが、作品全体としてどういうふうにストーリーが展開しているのかとか、それぞれの登場人物がどういう行動原理で動いているのかとか、そういうベースの部分で充分に理解できなかった印象です。

そもそもこの作品は、経済ドラマであり世界情勢ドラマなので、社会科に強くない私にはわかりにくい内容でした。例えば、どうしてあの流れで国連本部での演説につながるのか?とか。
そして、映画を観ながら「あれ、今のってどうしてだろう?」などと考えてしまうものだから、話の流れに集中しきれず、ますますストーリーに着いていけなくなるという悪循環もありました。

国連本部での森山未來くんの演説は非常に印象的で、結局メッセージのための映画だったような印象です。
でもそうなると、最初のうちのM資金云々はどうなったんだっけ?気がついたらテーマがシフトしてた感じだけど、全部収束してるんだっけ?みたいなハテナが残った状態で終わってしまいました。

テレビでやるときにでも、もう1回観れば理解が深まるのかな。それとも小説読めってことかな。

最初は佐藤浩市さん演じる真舟が主役だけど、終わってみれば森山未來くん演じるセキが中心にいました。森山くんはアクションシーンもかっこよく、外国語のセリフも(私にはよくわかりませんが ^^;)かなり流暢に聴こえました。国連での英語の演説も、それはネイティブと同等というわけにはいきませんが、日本人俳優の英語としてはかなり上手だったのではないでしょうか。彼、もともと英語得意なのかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://www.jinrui-shikin.jp

2013年10月21日月曜日

『謝罪の王様』

★★★☆☆

宮藤官九郎脚本作品。彼が監督まで務めた『中学生円山』も観ているし、『あまちゃん』が終わった直後ということもあり、どうしても比較してしまいます。

『中学生円山』は、ああいう方向性がありうることは頭では理解できますが、私としては全然好みではありませんでした。たぶんコアなクドカンワールドファン向け。

『あまちゃん』はNHKだということもあり、割と万人向け。でも間違いなくクドカンワールドが全体的に発揮されていて、すごく面白かったと思います。

で『謝罪の王様』は、その中間ぐらいかなあ。ただなぜか、万人向けの『あまちゃん』よりも薄味に感じたのはなぜだろう。

映画を観る前の大きな誤解は、この話は、阿部サダヲ演じる謝罪屋が依頼者に代わって土下座しまくってトラブルを解決すると思っていたこと。実は阿部サダヲ自身が謝罪しないケースも結構ありました。その場合は、テクニックを伝授して依頼者自身が謝るわけです。
それから、作品の中では、彼のうんちくとして数々の謝罪テクニックが語られているのですが、そのテクニックによって謝罪が成功したという感じがあまりしませんでした。たぶんこの辺が薄味に感じた原因かも。

作中では、5〜6個の依頼エピソードが順番に紹介される構成になっているのですが、実はいくつかのケースは同時進行で起こっています。それが、観ているうちに「ああ、この出来事は、さっきのあの出来事と同じ時だったんだ」とわかっていくという凝った作り。
謝罪屋の話を描くのに、どうしてこういう作りにする必然性があるのかは今ひとつわかりませんでしたが、この構成自体は面白いと思いました。

公式サイトは、こちら。
http://www.king-of-gomennasai.com

2013年10月1日火曜日

『そして父になる』

★★★☆☆

なんというか、静か〜な映画でした。
子供の取り違えという一大事が話のきっかけにはなっていますが、それに対する登場人物の言動は、ものすごく普通で、誰もぶっ飛んだ行動は取らないし、大どんでん返し的な事件も起こりません。
行間や余韻の多い、結論めいたものも明示しない作りは、日本映画によくあるスタイルの一つかもしれません。そのスタイルの作品としては、とてもよかったと思います。

役者さんたちの演技は、素晴らしいです。
リリー・フランキーさんの、ちょっとルーズなキャラはご本人のイメージにあっていたし、福山雅治くんの、微妙に嫌なヤツなエリート会社員の、微妙っぷりも見事でした。
尾野真千子さんと真木よう子さんは、ちょっと前のテレビドラマ『最高の離婚』でも共演しているので、その時の二人がちらつかないでもなかったけど…。
子役の子たち、特に慶多くんはとてもおとなしく、セリフも少なめ。6歳ならもっとしゃべるし感情も豊かだと思うので、この映画の中では珍しく、ちょっとリアリティがない気がしました。
ただ、この映画は大人たちが静かに苦悩する映画なので、子供がおとなしい分、それが強調されていたと思います。

私は子供がいないのですが、もし子供がいる人がこの作品を見たら、もっと突き刺さってくるのかもしれませんね。

公式サイトは、こちら。
http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp

2013年9月24日火曜日

『エリジウム』

★★★★☆

『第9地区』の監督作品だということを知って、観ようと思いました。

明るくきらびやかじゃない方の未来を描いたSF作品として、なかなかよかったと思います。

地球側のすさんだ世界の感じとかは『第9地区』と通じるものがあって、確かに同じ監督の作品だと実感できました。まあディテールのアイデアとかは、過去の明るくきらびやかじゃない系SF作品にも似たものがあったりして、大きくそれを越えているという感じではありません。でも、このトーンは結構好き。

たまたま近い時期に観た『スタートレック イントゥ・ダークネス』と対比するとなかなか面白いのですが、一方は正規軍が反乱を抑えこむ表側の物語、もう一方は、抑圧された下々の人間が支配層に反旗を翻す裏側の物語。自分は、意外とどちらも好きらしい。

マット・デイモンやジョディ・フォスターなどの有名な俳優を起用できたのは、『第9地区』での監督の評価が高まったせいもあるのだと思いますが、この作品には、有名俳優はいなくてもよかったかも。名も知らぬ下々の人間をセレブが演じる必要はないように思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.elysium-movie.jp

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

★★★★☆

前作の印象がよかったので、今回も観るつもりでした。

結論としては、昔ながらの王道SF映画。もちろん、映像表現も進化しており、イマドキの俳優さんを起用しているのでしょうが、(たぶん)わざと奇をてらったことをやろうとはしていないので、安心して観ていられます。

相変わらず、カークとスポックは、考え方の違いから随所でぶつかります。スポックの冷静とカークの情熱は、どちらも極端ですが、作品全体としては、スポックがカークの考え方を受け入れていく傾向が強い気が。個人的にはもうちょっとスポックの冷静さ、論理性の価値も評価してほしいものです。

ジョン・ハリソンは、本当におそろしい敵で、その演技もよかったと思います。あのくらいいかにも悪役というキャラクターを持ってくるのであれば、ストーリーもこの最強最悪の敵にどうやって勝つか?というところにフォーカスしてもよかったかも。

途中、カークがエンタープライズ号のエンジンを直すシーンでは3.11を思い浮かべてしまいました(字幕では「放射線」ならぬ「照射線」となっていましたが…)。そして、敵の宇宙船が地上に落ちてビルをなぎ倒すシーンでは、9.11を思い浮かべました。
まあ私の考えすぎかもしれませんが、結構挑戦的ですね。

そう言えば、『マン・オブ・スティール』『キャプテンハーロック』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』と、続けて3D上映がある作品を観たのですが、結局3Dを選んだのは『キャプテンハーロック』のみ。
普段、ほとんどレイトショーしか観ない私にとって、レイトショー割引の効かない3Dは2倍の値段となってしまうので、3本も続けて観るのはさすがに経済的に考えてしまいます。

公式サイトは、こちら。
http://www.startrek-movie.jp/index.php

2013年9月17日火曜日

『キャプテンハーロック』

★★★☆☆

私は、世代的には子供の頃にハーロックに接していておかしくないのですが、『宇宙海賊キャプテンハーロック』は、マンガも読んでないしTVアニメも見ていません。映画『わが青春のアルカディア』は観ているのですが、残念ながら、ほとんど何も覚えていません。割と記憶に残っているのは『銀河鉄道999』の映画に登場するハーロックぐらいなので、イマイチどういう世界観なのか、誰と戦っている海賊なのか、よくわかっていません。でも断片的にビジュアルや声の記憶は残っている状態でした。

今回の映画を見て、少し『わが青春のアルカディア』を思い出したのですが、要するに身勝手で人々を苦しめる支配者に反抗して海賊行為を行うので、犯罪者として追われ、恐れられ、でも憧れられ期待されるというのがハーロックの立場ですね。そういう意味では、まさにハーロックでした。

ただ、やっぱりどうしても気になってしまうのがCGです。つくづく、人間をCGでリアルに表現するのは難しいことなんだと感じました。モーションキャプチャを使ってリアルに動いているとはいってもどこかぎこちなく、表情がついているとはいっても、能面のような印象はぬぐえず、ちょっとハイテクなサンダーバードのような感じ。皮膚や洋服のテクスチャも入ってはいるんですが、やっぱり全体としてプラスティックっぽい質感に感じてしまいました。ハーロックのマントなんて、ビニール製に思えました。
今の技術ではこれが限界なのか、もっとお金をかければさらにリアルにできるのかはよくわかりませんが…。

キャラクターデザインが、外人っぽいのはしょうがないんでしょうね。ハーロックってドイツ人の血を引いているはずだし。ただ、顔の造形が整っているけど個性がないと思いました。ただし、ヤッタランだけは、太っちょキャラで三枚目のせいか、ちゃんと個性を感じるし、動きや表情も割と自然で受け入れやすく感じました。

アルカディア号は、あの艦首のドクロマークは残っているものの、アニメ版とはかなり異なるデザインで、好みで言えばアニメ版の方が好きですが、今回のアルカディア号も、画面の中ではなんとなく馴染んでいたようにも思います。

そして声。ハーロックというと、どうしてもアニメ版の井上真樹夫さんの声しか思い浮かばないので、小栗旬くんの声がハーロックのキャラと乖離しているように感じてしまいました。後の登場人物はアニメ版のイメージを持っていないせいか、それほど気になりませんでした。

一応星3つにしましたが、限りなく2つに近い3つかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://harlock-movie.com

2013年9月14日土曜日

『マン・オブ・スティール』

★★★☆☆

昔のスーパーマン、私はちゃんと見たことがないのですが、なんとなく明るく楽しいヒーロー物といったイメージを持っていました。そのイメージと比べると、ずいぶんシリアスな作品ですね。

クラーク・ケントは、真の力を見せることに常にためらいと遠慮があって、子供の頃の回想シーンは、ひたすら苦悩と葛藤してます。作品の前半は、クラークの悶々とした心の状態がひたすら描かれます。
後半は、ド派手な戦闘シーンですが、敵と比べてものすごく強いという感じではないので、割と苦戦するし、その戦いによって街がめちゃくちゃに破壊されるので、必ずしも後味がいいとは言えません。

パシフィック・リムでも思ったのですが、ハリウッドは、ヒーローが敵と戦う過程で街を破壊するということに抵抗はないのでしょうか?日本だと、ウルトラマンが怪獣との戦いで街を壊してしまう描写を大人たちが嫌がったために、最近の作品ではそういう演出が少なくなっている印象があります。

バッドマンのダークナイトシリーズを手がけたクリストファー・ノーランが製作を担当しているだけに、作品の重さはダークナイトシリーズと共通するものがあります。
音楽もすごく似ている気がすると思ったら、同じ人が担当していました。さすがにあのジョン・ウイリアムズの曲は使われていないんですね。確かに、今回の作品の世界観にはちょっと合わない感じがします。

スーパーマンのコスチュームも、作品世界の暗さに合わせたのか、かなりトーンを落としたデザインになっていますが、どうしてもあの赤いマントとかが脳天気な印象で、若干浮いていた気がしました。

映像は、本当にスピード感があって、スーパーマンのとんでもないパワーもよく表現されていました。まあ、今の映像技術を持ってすれば、驚くほどではないかもしれませんが。

ところで、スーパーマンの境遇って、ドラゴンボールの孫悟空とよく似てますね。サイヤ人として生まれ、赤ん坊のころに地球に送り込まれ、地球人として成長したころに母星を失った同じサイヤ人が地球にやってきて戦う…。
まあありがちな設定なので、どっちかが真似したというようなものではないでしょうが、戦闘シーンで、ふっとばされた主人公がその勢いで山を破壊してしまう描写とか、そっくりでした。どこかで、仲間を殺された怒りから、スーパークリプトン人になるんじゃないかと思うほど(^^;)。残念ながら、最初から最後までスーパーマンはスーパーマンでした。

続編があるようですが、今回の敵が"実は生きていた"パターンで再登場するのか、新たな敵が登場するのか、気になるところです。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html?home

2013年8月26日月曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 「そして艦は行く」』

★★★★☆

ちょうどこの時期、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』や『マン・オブ・スティール』など、ハリウッド作品でも、昔から人気のSF作品の最新作が続々と公開されるのですが、結局一番最初にヤマトを観たくなってしまいました。

ヤマトは無事に地球に帰還しました。

第七章は、23話〜26話の4話分。オリジナルでは23、24話がガミラス本星の戦い、25話がイスカンダル滞在中、26話が帰路という配分でしたが、2199ではガミラス本星の戦いが1話だけになって、帰路に2話使います。

今回も、オリジナルの基本的な流れは残しつつ、かなり大胆にアレンジが加わっています。でも、要所要所にあの名セリフがそのまま残してあったり、オリジナルでは別のところで出てきたセリフやシーンを彷彿とさせる場面があったりで、感慨深いものがありました。

ヤマトが帰路、デスラーに襲撃されるのはオリジナルと同じですが、様々な演出が『さらば〜』っぽかったり、デスラー艦がちょと『〜III』っぽかったり、イスカンダルを飛び立った後のヤマトがちょっと『〜完結編』っぽかったり、シリーズ全体のオマージュ的な部分もあったかな。

前章あたりから、波動エネルギーを武器に転用した波動砲の是非というテーマが出てきました。あれを持ち出した時点で『宇宙戦艦ヤマト2201』とかは無理だと思いますが、その割に次に繋がるようなものがチラホラ。
最近の製作者はズルいから、続編を作ろうと思えば作れるようにしておくんだろうけど。ただ、あそこから次の話を作るとしたら『さらば〜』や『〜2』とはかなり違うものになると思います。意外と『〜新たなる旅立ち』には繋がりやすいかな。

そう言えば、ヤマトが地球に帰還したのは、2199年12月8日だそうです。オリジナルでは、14話で2200年を迎えるのですが、2199の旅は年を越さないんですね。この設定変更には何か意味があるのかな?真珠湾攻撃の日ですが…、単なる偶然?

今回は、制作の遅れから、25話が未完成で短縮した状態での上映だそうですが、一応話の流れとして不自然な感じはなかったし、ものすごく短いわけではありませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2199.net


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

2013年8月25日日曜日

会社設立登記 その9 資本金の振り込み


定款の認証が終わったら、次に資本金を振り込みます。この順序に特に重要な意味はありませんが、定款も資本金も登記申請をするために必要な準備で、定款の方が手間がかかるので先にやった方がいいという程度のことです。

■資本金額
現在の会社法では、資本金0円でも株式会社が作れます。では実際、いくらにすればいいのか?結論としては、私にもよくわかりません。会社を作ってしばらくした後で、資本金は多すぎたのか、少なかったのか、調度よかったのか判断できると思います。

そうは言っても、判断材料はあります。

資本金は、会社の当面の運用資金になります。会社が黒字になれば資本は増えていきますが、会社設立からそのような状況になるまでには普通タイムラグがあります。それまでは資本金を切り崩して物品を購入し、人件費や光熱費などを支払うことになります。もちろん、銀行などから融資を受けることで、資本金とは別の形で運用資金を得ることはできますが、それはそれで借金なので、返却の義務を負います。
そう考えると、資本金額の目安は、会社が黒字化するまでの運用資金が捻出できる程度の額が必要という判断になります。

私の仕事の場合、本格的な設備を自社で所有しようとするとかなり高額になるのですが、それを都度レンタルなどで済ませることにすれば、後は自宅でパソコンと電話とネットがあればほとんど問題ないはずなので、比較的運用資金は安く済むはずです。

また、あまり資本金額が高いと「あの会社は余裕があるから、うちが仕事を出さなくてもいいだろう」と思われて、仕事をくれないことがある、という話も聞いたことがありますが、実際のところはどうなのでしょう。


■現金以外の資本
現金での出資以外に、モノで出資する、現物出資という方法もあります。例えば、個人で所有しているパソコンや不動産などを会社に出資するということです。

この場合、何を出資するのか、それがいくらの価値に相当するのかというリストを作成して法務局に提出することになります。この評価額の判断は取締役、つまり私の責任となります。現物出資のメリットもあるとは思うのですが、未経験の会社設立という作業の中で"責任"と言われると辛いものがあるので、私の場合は現物出資は行いませんでした。

ちなみに、現物出資を行う場合は、定款にもその旨記載する必要があるので、実際には現物出資をするか否か、定款作成前に決定しておく必要があります。



■資本金用の口座
登記申請の際、資本金についての証明となる資料は、振り込みの記録がある通帳のコピーです。ここが私にとっては納得いかない点なのですが、通帳の残高が資本金額以上あればいいのではなく、必ず振り込みを行ってその記録を示す必要があるそうです。

この時点で法人名義の口座が作れれば話はシンプルになるなのですが、登記される前に法人口座が作れるはずはないので、個人名義の口座を使うことになります。

口座は既存の口座でも構いませんが、手引書には、資本金入金用に新規口座を作った方がよいと、書かれていました。その理由はおそらく、通帳のコピーを法務局に提出する際、無関係な明細情報を見せなくて済むこと、既存の口座を使うと、会社の資本金をうっかり日常生活用に使ってしまうおそれがあるためではないかと思います。
私の場合、新規口座を作りました。

銀行口座を開設する際、必ず最初にいくらかの額を入金する必要があります。この時、資本金の総額を用意しておき、最初に入金しても良さそうな気はするのですが(多額の現金を持ち歩くのがイヤという話は抜きにして)、私が調べた範囲では必ず"振り込み"と書かれていたので、最初の入金と"振り込み"は別だと判断して、ひとまず口座開設時には1000円だけ入れることにしました。


■資本金の振り込み

そして、資本金額を解説した口座に振り込みます。この時、その振り込みが出資者によって行われたものであることが通帳に記載されないといけません。つまり、振り込み人の名義が出資者の氏名であることが条件となります。
どういう方法で振り込めばこの条件が満たされるのか私にはよくわかりませんが、別の銀行の自分の口座からネットバンキングで資本金用の口座に振り込んだら、条件を満たすことができました。

振り込む時点ですでに口座には1000円入っているので、振り込むのは資本金額-1000円でよさそうな気もするのですが、振り込み金額=資本金額でなければいけないと思い、きっちり資本金額を振り込みました。結果として、資本金用の口座の残高は資本金額+1000円となりました。これについては、いまだに何が正解だったのかわかりません。
この1000円は資本金ではないので、会社の運用資金として使ってしまうとおかしな話になってきます。でも、会社設立のために必要となった費用なので、私個人が立て替えただけで、本来は会社が負担すべき費用だと思えます。
これをどう考えればいいのか、後々かなり混乱することになりました。

資本金の振り込みは、総額を1回で振り込む必要はありません。出資者が複数いる場合は、それぞれの出資額を振り込んで、その合計が資本金額と一致していればいいので、一人の場合でも複数回の振り込みの合計額が合っていればいいそうです。



■払込証明書

法務局には資本金の証明として払込証明書を提出する必要があります。これは、払込証明書というフォーマットに、資本金用口座の通帳のコピーを添付して、決められた形式で綴じたものです。
通帳のコピーは、表紙、表紙を一枚めくったページ(支店名などが書かれたページ)、振り込み記録が書かれたページが必要となります。



2013年8月17日土曜日

『パシフィック・リム』

★★★☆☆

最初に予告編を観たときは「こんな日本の特撮映画のパクリ、絶対観ないだろうな」と思っていたのですが、公開が近づきメディアに取り上げられ始めると、ギレルモ・デル・トロ監督のビックリするほどの日本のアニメ、特撮オタクぶりがわかってきて「日本の特撮のオマージュ、観ておかないといけないかな」と気持ちが変わってきました。

実際に観てみると、不思議な高揚感がありました。
作品世界を構成する様々な設定には、日本のあの作品と似ている、と思わせるところが各所にありますが、同時にいかにもハリウッド的だと思う部分もあり、でも結局、怪獣映画のなんだかワクワクする感覚の遺伝子はそのままで、そのバランスが非常によかったと思います。
これがもし、日本のアニメや特撮のリメイクだったら、色々とイチャモンつけたくなったかもしれませんが、独自のストーリーの中で完全に昇華されていたのもよかったのかも。

巨大怪獣とロボットの戦闘シーンは、日本の作品をはるかに凌ぐ迫力でした。というか、日本だとあんなに町を破壊できないですよね、PTAとかからクレームが来ちゃうから(^^;)。ハリウッドだって表現に規制はあるはずなのに、何でしょうかねえ、この違いは。

ただ、怪獣(KAIJU)と巨大ロボット、イェーガーのデザインは、ハリウッドっぽいとは思うのですが、個人的にはもうちょっと日本っぽくしてくれた方が嬉しかったかな。
正直、私の美的感覚から言えば、KAIJUもイェーガーもイマイチかっこいいとは思えませんでした。
また、戦闘シーンは、夜だったり海底だったり、暗いことが多いのですが、複数のイェーガーの区別がつかなくなることもしばしば。KAIJUにも種類の違いがあるのですが、どれも同じように見えて、どれがどれだかわかりませんでした。
日本だとこういう場合、それぞれのKAIJUやイェーガーにシンプルな特徴を与えて、パッと記憶できるよう配慮したり、複数が同じシーンに登場したときに区別しやすいようにそれぞれのベースカラーをはっきりと変えてデザインしたりしますよね(ガンダムは白、ガンキャノンは赤、という具合に)。

ストーリーは完結していますが、評判がよければ続編とかあるんだろうなあ。

公式サイトは、こちら。

2013年8月3日土曜日

『SHORT PEACE』

★★★☆☆

この夏は、ピクサーの『モンスターズ・ユニバーシティ』、スタジオジブリの『風立ちぬ』を観ました。いずれも今のアニメーション作品の最高峰ですが、この『SHORT PEACE』もまた、別の方向性の最高峰です。

4つのオムニバス作品のうち3つまでが時代劇ですが、いずれもおそろしく緻密に描かれています。
まあ個人的な好みで言えば、大友克洋監督の『火要慎』とカトキハジメ監督の『武器よさらば』かなあ。

ただ、全体でも70分足らずなので、それぞれの作品は20分もないせいか、ストーリーとしてはいずれも割とシンプルで「だからどうした」という感じでした。アニメーション技術のデモンストレーションとまでは言いませんが、ドラマとしての感動や面白さという点では、ちょっと弱かったと思います。

あのクオリティで長編を作るのは大変だと思いますが、次は大友克洋監督の長編に期待。

どの作品だったか、あの『アキラ』の芸能山城組を彷彿とさせる音楽が印象的でした。

公式サイトは、こちら。
http://shortpeace-movie.com

『終戦のエンペラー』

★★★☆☆

GHQによる、昭和天皇の戦争責任の有無についての調査をテーマにした作品。プロデューサーは日本人だし日本人俳優もたくさん登場するけど、一応ハリウッド作品ということになるのかな。

この作品は、どうしても今という時代の日米関係、あるいは日中、日韓関係、天皇制などと結びつけて観てしまうわけで、独立したドラマとして捉えることは難しいです。色々と考えさせられる作品。

GHQは連合国軍の組織ですが、世界のリーダー面をして各地の紛争に首を突っ込みたがるアメリカのイメージそのまま。あのころからアメリカって変わってないんですね。もちろん、太平洋戦争の場合アメリカは日本から宣戦布告されて実際に戦争状態だったので、当事者として深く首を突っ込むのは当然ですが。
ただ、戦争に勝利した国の敗戦国に対する態度としてはとても冷静でまっとうだったとは思います。日本を戦争へと導いた原因を探り、証拠となるデータを探し、裁くべきは裁き、制度を改めるべきは改めるということで、とても大人な対応だったという印象です。

作中にあるように、天皇という極めて不思議な存在とそれに対する国民感情も、結局どれだけ理解できたかはわかりませんが、最大限理解しようと努め、結果的にはうまくコントロールしたようです。
不思議なのは、この日本人の機微をうまく扱ったアメリカが今、イスラム社会とはなかなかいい関係を作れないこと。GHQでは、天皇というよくわからないものはよくわからないまま、白黒つけることを諦めるという、アメリカらしくない結論だったわけですが、対イスラムの場合も、そういう態度の方が反感を買わないような気もしてしまいます。

不思議といえば、全面戦争状態から度重なる空襲や原爆投下を経てGHQ統治に至った日本が、その後アメリカと極めて親密な関係となること。これもまた、日本という国の不思議なところ。
そして、アメリカとはあっさり仲良くなれたのに、中国や韓国とは今も微妙な空気が漂っていること。やはり、ずっと隣同士だと、積年の恨みつらみのレベルが違うのかな。

天皇制の不思議さについては、私自身、GHQと同じように訳がわからないと思います。正倉院の宝物が盗難にもあわず残っていることなど、皇室が連綿と続いてきたことの意義は認めるとして、あのような存在が我々の生活に必要なのかなあ。
自分に影響がないなら、あってもなくてもいいんだけど、私が気になるのは彼らの自由のない生き方が忍びないということ。今の日本に「あなた、皇族になりたいですか?」と聞かれて「はい、喜んで」と答える人はどのくらいいるんだろう?少なくとも私はイヤ。あの家族に生まれた人たちは、そのなりたくない存在以外の生き方を選べないって、それを国が制度としているというのが、どうもしっくりこないのです。
世界には、実質「象徴」の王様が他にもいるんでしょうが、その国の国民、そして本人はどんな気持ちなんでしょうか。

さて、昭和天皇が登場する映画といえば『太陽』というロシア映画がありました。イッセー尾形さんが昭和天皇役で、本物そっくりでした。今回は片岡孝太郎さん。登場シーンはちょっとだけでしたが、こちらも雰囲気はよく似ていました。

この作品、ハリウッドが作った終戦時の日本を舞台にした作品として、日本では大規模に上映されていますが、アメリカでは話題になっているのでしょうか?英語のタイトルは『EMPEROR』なので、そのものズバリですが、うーん、多くのアメリカ人は関心持たなそうですね(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.emperor-movie.jp

2013年7月22日月曜日

『風立ちぬ』

★★★☆☆

最近の宮崎駿作品は『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』と、現実からかなり離れたところの、合理性を追求しないタイプのファンタジー作品が続きました。この手の作品がいけないということはないし、アニメーションの絵としての面白さをより自由に追求できるという魅力もあるのでしょうが、個人的にはあまり好きではありませんでした。

そういう意味では、『風立ちぬ』は現実世界が描かれている作品で、とても受け入れやすい作品でした。そんな中にも、要所要所で主人公二郎の夢の中のようなシーンがあって、そこだけはちょっとファンタジック。宮崎駿にとって、ああいうシーンは外せないんでしょうね。

ストーリーとしては、主人公二郎の仕事である飛行機開発と、彼のプライベートである病気を患った菜穂子とのラブストーリーが半々といったところですが、全体の印象としてはラブストーリーの比重が大きかったかなあ。
そう感じたのは、飛行機を設計する上での技術的課題やその解決策といった部分にはほとんど踏み込んでいなかったから。それに比べると、二郎と菜穂子の、お互いを思う気持ちからくる言動はかなり細かく描写されていました。

この作品を観る前は、宮崎駿が戦争をどう描いたのか興味がありましたが、この点については肩透かしを食った感じ。ゼロ戦が戦場で活躍するシーンもなければ、名古屋や東京の空襲のシーンもなし。登場人物のセリフとして戦争観や政治信条が語られることもほとんどありませんでした。これもまた、要はラブストーリーだと感じた原因でしょう。

さて、ジブリ作品では毎度気になる声優陣。
主人公二郎を演じる庵野秀明さんですが、演技については、やっぱり不慣れな感じはありつつ、悪くないとは思いました。ただ、あの声を聞くとどうしても庵野さんのビジュアルが浮かんできて、最後まで二郎のルックスと庵野さんの声が私の中で一つになってくれませんでした。
菜穂子役の瀧本美織さんは、とてもよかったと思います。病を抱えてはいるものの基本的には快活で明るく前向きな菜穂子が、この作品全体の印象をさわやかなものにしていると思うのですが、瀧本さんの声も一役買っていると思います。
その他、西村雅彦、竹下景子、國村隼は、声を聞いて誰が演じているかわかりましたが、後のキャラクターは誰の声だか全くわかりませんでした。

そういえば、この作品では飛行機のエンジン音や地震の時の環境音などを人間の声を使って表現しているとか。映画を観ながら「あれ、変な音だなあ」と思い、ネットかどこかで人の声を使うと書いてあったのをうっすら思い出しました。
面白い試みだとは思うのですが、ジブリのようにお金をかけられる現場で、しかもファンタジー路線ではないこの作品で、わざわざ人の声にするほど効果的だったかどうかは微妙な気がします。

荒井由実の『ひこうき雲』は、作品世界にいい感じにはまっていたと思います。映画のタイトルも『ひこうき雲』でよかったんじゃないかと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://kazetachinu.jp

2013年7月16日火曜日

会社設立登記 その13 法人口座の開設

■とりあえず法人口座
会社設立登記のため、資本金を個人の銀行口座に振り込みました。私の場合、この個人口座は新規開設したもので個人的なお金が混ざる可能性はありませんから、この口座をそのまま会社の取引用に使えば、法人取引に関わるお金の出入りが厳密に管理できます。
それでも大して困らないのでしょうが、せっかく法人格を取ったのですから、銀行口座も法人名義の方が何かとカッコがつくというもの。そんな気楽なつもりで法人口座を作ることにしたのですが、これが本当に大変でした。

■どの銀行にするか
銀行といえば、大手の都市銀行や地方銀行や、その他色々ありますが、大した根拠もなく、何となく馴染みのある都市銀行を選択。残高確認や振り込みのやりやすさを考えると、家の近くに支店がある方がいいだろうと思いました(これも、今ではネットでできるので、実は重要ではないかもしれません)。
また、一番頻繁にやりとりする相手は、確実に毎年12回給与を振り込む自分自身である可能性が高いので、自分の個人口座がある銀行を選んだ方が振込手数料が節約できるかなあ、などと考え、銀行を決めました。

■法人口座を作るのは大変
法人名義口座が詐欺などの犯罪に悪用されるケースが増えているらしく、警察側から金融機関への指導などがあり、法人口座開設手続きが厳格化しているようです。
銀行としては、口座開設を申請してきた法人が適正な事業を行っているという実態を確認すべく、様々な書類を提出させたり、面談を行ったりしますが、そのディテールは各行によって異なっています。

■三井住友銀行の場合
私の場合、最初は三井住友銀行に口座を作ろうとしました。履歴事項全部証明書や印鑑証明書などを用意して銀行に行ったのですが、事前にネットなどで調べておかなかったので、銀行で初めて、会社設立6か月以内の場合、税務署への届出書類が必要なことを知りました。つまり、口座開設より先に税務署への届出が必要だったのですが、私はまだ税務署への届出を完了していませんでした。
あらためて税務署への届出書の控えを受け取ってから、そのコピーを準備して再度銀行へ。今度はすんなり受け取ってもらえました。

それから2週間ほどで口座開設の可否を電話連絡してもらうということになっていたのですが、2週間過ぎても連絡がもらえずこちらから問い合わせてみました。
すると、そこで初めて追加の書類提出を求められました。
彼らは、会社の住所と私個人の住所が同じであることが気になったようです(つまり、こういう会社は口座を悪用しそうだと…?!)。そこで、確かにこの住所で事業が行われているという証拠が欲しいということで、持ち家の場合は住宅登記簿(が、何で証拠になるのかなあ??)、借家の場合は会社名義で当該住所が書かれた公共料金の領収書などがないか?と言うのです。
うちは賃貸なので後者に当たるのですが、公共料金は全て個人名義なので銀行が要求するような書類はありません。

結局、三井住友銀行で法人名義口座を作ることはできませんでした。

■東京三菱UFJ銀行の場合
そこで今度は、東京三菱UFJ銀行で口座開設申請をしてみました。こちらは、税務署への届出書類などを必要としない代わりに、事業実態を示す書類として、パンフレットや見積書などを求めています(今回は事前にWebで予習しました)。
でも、こちらもすっかり疑心暗鬼になっていたので、三井住友のときに用意した書類も全て持参し、パンフレットはないのでその代わりにWebサイトのほぼすべてのページを印刷し、これまでの取引の時の請求書なども持っていきました。

結局、持っていった書類は全てコピーを取られました。さらに東京三菱UFJの場合は、簡単な面談がありました。履歴事項全部証明書に書かれた事業の目的についての確認、これまでに発生した取引について聞かれました。
そして申請書類をその場で記入して、とりあえず申請はできたのですが、結果はまた2週間後です。やはり追加で質問や書類提出を求める場合があるそうです。また法人名義の公共料金の領収書と言われたら困るので、追加提出するとしたらどんなものになるのか質問してみましたが「上司が判断することなので」とかわされてしまいました。

きっかり2週間後、銀行から電話がかかってきて、口座開設OKとなりました。あの2週間という時間は、本当は口座開設可否の検討にかかる時間なのではなく、犯罪防止のためにわざと2週間待たせているのかもしれませんね。犯罪目的ですぐに口座が必要になった場合、2週間待つ必要があると言われれば諦めるかもしれませんから。
ともかく、次の日再び銀行に出向いて口座開設手続きを行い、ようやく法人名義の口座が作れました。


■ネットバンキング
会社の経理上、法人口座のお金の出入りを把握することは必須です。それが、自宅にいながら簡単に行えるネットバンキングは、私のような社員一人の会社にとっては極めてありがたいサービスです。
ところが、多くの銀行では個人向けのネットバンキングサービスは無料なのに、法人向けの場合は有料です。これは社員一人の会社にとっては嬉しくありません。余計なコストはかけたくないので、ネットバンキングは断念することにしました。
結局、こんなに苦労して作った法人名義口座の価値は、世間に対する信頼感のみで、企業を運営するうえで便利なわけでも具体的な利があるわけでもないようです。


■それにしても
法人名義口座開設がこんなに厳しくなったのは、犯罪などへの悪用を防ぐためということですが、このやり方って最適な方法なんでしょうか??というのは、犯罪発生の舞台となっているのは法人口座でも、その根源は悪意を持った法人がいるということですよね。だとしたら、法人登記の時点で厳しくする方が根本的な対策のような気が。
いや、私個人としては登記手続きが大変になるのも困るのですが、例えば法人名義で公共料金を支払うことが必要なのであれば、それを登記の必須条件にしてしまうとか、もう少し全体の辻褄が合うような方法がありそうなものですが。

おかしいと思うのは、要求される書類が、適正な法人なら必ず提出可能なものではないこと。例えば決算時の税務署への申告が適正な法人の唯一の証しとなるのであれば、決算を迎えるまでは全ての新規法人は法人名義の口座は作れないというルールにすればいいのに。その方がずっと納得できるなあ。

2013年7月13日土曜日

会社設立登記 その4 定款の作成

■定款とは
会社の設立は、法務局という役所に申請するのですが、それ以前に行う一大イベントが定款の作成です。

定款というのは、「会社の憲法」などと言われるそうですが、要は会社の概要を内外に対して宣言したものです。憲法なので、詳細な情報というよりは基本的かつ普遍性の高い情報を記載することになります。

定款の作者は発起人、つまり会社設立の"言い出しっぺ"です。発起人は、会社設立当初は必ず株主にならなければいけないそうですが、取締役や社長という立場で経営に携わる必要はありません。ちなみに私の場合はひとり会社なので、発起人も株主も代表取締役も全部私です。

定款の書き方ですが、日本公証人連合法務省のWebサイト、あるいは起業の手引書などを見ればサンプルが入手できるので、作業自体は意外と難しくないと思います。

■定款に記載する内容
定款に記載する内容ですが、大きく以下の種類があります。

絶対的記載事項
必ず記載しないといけないもの。以下の5つ。

  • 商号(会社名)
  • 目的(どんな事業を行う可能性があるか)
  • 本店所在地
  • 出資額
  • 発起人の氏名及び住所

相対的記載事項
記載しなくてもいいが記載しないとその効力が生じないもの。例えば自社の株式を勝手に譲渡してはいけないという「株式譲渡制限」など。

任意的記載事項
記載が自由なもの。例えば事業年度や定時株主総会の開催時期など。

私の場合、起業の手引書のサンプルに手を加える形で定款を作成しました。結果的に、表紙を含めてA4で5ページ、30条からなる定款となりました。内容的には、商号や目的や所在地の他、株式に関すること、株主総会に関すること、取締役に関すること、事業年度や株主への配当に関することなどが含まれています。

ここまで読んでお気づきかもしれませんが、定款は会社の概要を示すものとはいっても、「お客様を大切にします」的な企業理念や「年商1億円を目指します」といった営業目標もなければ、社員数や部門名や取扱商品などの情報もありません。会社が行うビジネスの内容に関する条項は「目的」しかありません。
つまり、登記を受け付ける役所側から見た関心事は、その会社の株と株主と取締役に関する約束ごとなのでしょう。

■事前に決めておくこと
定款を作る作業は、サンプルを入試してしまえば後はちょっと編集するだけですが、それでも事前に自分の意志を持って決めておかなければいけないことがあります。

機関設計:
私の場合、自分一人だけの株式会社を作ったわけですが、取締役が複数いる場合、監査役がいて取締役会を設置する場合など、経営層の組織構造の違いは、登記手続きに大きく影響します。定款の記載内容もことなり、提供されているサンプルも、組織構造の違いで分けてあることが多いようです。
さらに言えば、そもそも株式会社にするか合同会社などその他の会社組織にするか、会社は作らず個人事業主として仕事をするかといった基本的なことは充分検討する必要がありますね。

商号:
商号すなわち会社名の付け方にはいくつかルールがありますが、それほど難しいものではないと思います。類似商号についても、今では同一住所で同一商号でなければOKというルールになっているので、よほど特殊な場合を除いて問題とはならないと思います。
ちなみに、法務局に行くと管轄地域の商号がチェックできます。私の行った法務局では検索用のパソコンが置いてあり、自分でチェックするスタイルでした。

目的:
会社の事業目的については、提供されている定款サンプルはあまり参考にならないので、自分で考えなければいけない部分かもしれません。定款における目的は「明確性」「具体性」「営利性」「適法性」を全て満たしている必要があります。記述上特に悩むのは「明確性」と「具体性」です。

私の場合、事例集を参考にしました。実際に登記済の会社の登記簿を参照することができれば、問題のない目的の記述方法を知ることはできます(ただし有料ですが)。ためしにいくつかの企業のWebサイトを見てみましたが、Webサイトに書かれている事業目的が定款の目的と同じ記述である保証はないので、あまり参考にはならない印象でした。

また、目的の草案(というより、定款全体の草案)ができた段階で法務局に持っていき、問題がないかチェックしてもらいました。電子定款にする場合は、公証人役場でも認証前にチェックしてくれるので、この二段階のチェックによって自分が書いた目的が問題ない記述だと確信できました。

目的はいくつ書いてもいいようです。確実に行うビジネス以外に、将来行う可能性があるものも書いておいた方がいいそうです。
事業の内容によっては、役所への届出、あるいは役所からの許可、認可がないと行えないものがあるので、この点も確認しておく必要があります。

その他:
その他、本店所在地、資本金額、事業年度などを決めます。

また、株式の譲渡制限を設けるかどうかを決めます。株主は会社の経営に大きな影響力を持つので、株式の譲渡が自由にできると見ず知らずの誰かに会社を乗っ取られるリスクが出てきます。そこで、株式の譲渡には株主総会の承認が必要といった制限を設けておいた方が安心なのです。…こう言われると、譲渡制限しますよね、当然。


■電子定款の場合
定款の中身は、紙の定款であろうと電子定款であろうともちろん同じなのですが、唯一差があるのは、発起人の署名押印の部分です。
紙の定款の場合、
以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。」
と書くところを、
電子定款の場合は、
以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、電磁的記録であるこの定款を作成し、発起人が次に電子署名する。」
と書き換えておく必要があり、本物の印鑑を押す代わりに電子署名を付与することになります。


『モンスターズ・ユニバーシティ』

★★★★☆

観たのは3Dの字幕版。

自分の中では、『トイ・ストーリー』以来ずっと続いていたピクサー作品の不敗神話が、昨年の『メリダとおそろしの森』で途切れた感があるのですが、今回はまたいつものクオリティに戻った気がします。一安心。

ストーリーは、最終的に『モンスターズ・インク』に繋がらないといけないので、そういう意味では想像の範囲に収まっているけど、その中で結構色々と変遷があって面白いです。大学入学当時、マイクは努力家で、サリーはちょっと嫌なヤツだったなんて、『モンスターズ・インク』からは想像できなかったからなあ。
もっと意外だったのは、彼らの最終学歴。『モンスターズ・ユニバーシティ』というぐらいなので、優秀な成績で卒業してバチェラーを取得するのかと思ったら…。

『モンスターズ・インク』と同じ世界観で時間的にもつながっている話だけに、景色や建物やキャラクターが結構共通しているみたいで「あ、なんか見たことある」と思うことがよくありました。
『モンスターズ・インク』をおさらいしてから『モンスターズ・ユニバーシティ』を観たら、もっと色々気づけたかも。

初期のピクサー作品は、エンドロールの後NG集が入っていました。今回は、NG集ではないけど、エンドロールの後にちょっとした「オチ」の映像がありました。

同時上映の短編は『The Blue Umbrella』という作品。ストーリーはあまりひねりがないと思いますが、映像の雰囲気がこれまでのピクサー作品とはちょっと違いました。
ピクサー作品というと全編3DCGだからリアルなんだけど、写真と区別がつかないというようなものではありませんでした。でもこの短編作品は、写真と見間違えるようなCGでした。実写映画でCGだと気付かれないようなCGを使うことはいくらでもあるので、技術的には可能なんでしょうが、ピクサー作品としてはちょっと新鮮でした。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/monsters-university/home.html

2013年7月8日月曜日

『真夏の方程式』

★★★☆☆

ガリレオの映画第2弾。

ガリレオは、テレビ版はエンターテインメント色を強めにして、映画版は人間ドラマの色合いを濃くする方針のようです。映画版がテレビ版と同じような演出で作られていたら、たぶん今回の第2弾は観なかったと思います。

テレビ版は、割とオカルトチックなノリがあって、事件発生に際して大抵超常現象が起こります。これを湯川先生が物理学的に起こりうることだと実証していくのがパターン。
湯川先生は文字通り変人で、現象を物理学的に解き明かすことには興味を示すけど、犯人の動機や事件の裏側にある人間同士の愛憎には全く関心がありません。
そして、事件の謎を解き明かす瞬間、彼はお約束のようにその辺の壁でも地面でも、ところ構わず数式を書きまくるというシーンが登場します。

テレビ版のこういった演出があまり好きではない私としては、映画版がグッと重厚感のあるドラマとして仕上げられていることは大歓迎です。
前作の『容疑者Xの献身』も、オカルトめいた超常現象は登場しないし、物理学者しか知らないような変わった装置も出てきませんし、あの数式を書きまくるシーンもありません。真実を知ってしまったことに苦悩し動揺する湯川先生は、面白おかしいマンガのキャラクターのような変人ではなく、人間性を持ち心の弱さを持った一人の男でした。

同じキャラクター、同じ設定でありながら、これだけトーンを変えた作品作りをするのは大変そう。福山雅治の演技も、ガリレオらしい変人ぶりは最低限残しつつ、人間味を加えるバランスが見事。

今回の『真夏の方程式』も、スタイルとしては『容疑者Xの献身』同様、人間ドラマ型の方で作られています。
最終的にすべての真実が明らかになったとき、謎が解けたというすっきり感とは別に、それぞれの登場人物が抱えているやりきれない事情が切なくなります。謎解きや犯人探しと、人間ドラマのバランスもいい感じです。
ただなあ、自分としては前作の方がさらによかったんだよなあ。

ところで、湯川の環境保護団体への言葉、
「人間は自然に手を加えて利用してきた。その恩恵はあなた方も受けている。あとは選択の問題だ」
すごく湯川らしいセリフですが、エンターテインメント作品らしからぬ重みを感じます。

公式サイトは、こちら。
http://www.galileo-movie.jp/index.html

2013年7月1日月曜日

『コン・ティキ』

★★★☆☆

たぶん小学校3年生のときだったと思うのですが、風邪を引いて学校を休んだとき、『片耳の大しか』(椋鳩十著)という本を親が買ってくれました。これが子供向けの偕成社文庫というシリーズで、その後自分のお小遣いで何冊か買いました。椋鳩十や戸川幸夫の動物ものが好きでしたが、一番気に入っていたのは古田足日の『海賊島探検株式会社』。そして『コンチキ号漂流記』もかなりお気に入りで、何度も読み返した記憶があります。"探検"とか"漂流"とか、子供心にワクワクしたんでしょうね。
そんな作品の映画化作品となれば、例えつまらなくても観に行かないわけにはいきません。

そして実は、その本は今も手元にあります。「1976年3月 1刷」ということは、初版ということですよね。

コンチキ号漂流記

コンチキ号漂流記


さて、映画の『コン・ティキ』ですが、実話に基づいている以上、勝手にエピソードを追加するわけにはいかないんでしょうが、正直言って漂流ものとしては想像できる範囲だったかなあ。訪れる危機といえば、嵐とサメと仲間割れ。コン・ティキ号はイカダで、海流に乗って進むだけだから操縦するシーンもほぼなし。比較的最近、やはり漂流ものの『ライフ・オブ・パイ』を見ているのも、ちょっと条件が悪かったかも。

それでも、約35年前に何度も読んだ物語を目の前にビジュアルで見せられると、やっぱりワクワクしますね。
この感覚は『宇宙戦艦ヤマト2199』を見たときと本質的には同じ。子供のころの自分にとって、人類学的検証として行われた史実としてのイカダでの航海も、エンターテインメントの空想物語である宇宙戦艦の航海も、ワクワク感に区別はないんでしょう。

映画の『コン・ティキ』には、本に出てきたエピソードで私が記憶しているものがいくつか出てきませんでした。
そのうちの一つ。バルサの丸太を縄でしばっただけのコン・ティキ号はそのうちバラバラになると思われていたものの、バルサがいい具合に水を吸ってふやけて衝撃を吸収し、縄が緩むことがなかったというもの。映画では、バルサが水を吸っていることを心配する描写や、縄だと持たないかもしれないのでワイヤーで補強しようという案をヘイエルダールが拒否するシーンがありました。
もう一つ。本では、しばしばシイラという魚を釣って食べる場面が登場していた記憶がありますが、映画では航海中の食事に関するシーンはほとんどありませんでした。ただ、イカダの下の海を泳ぐ魚の中にシイラがいたのはわかりました。

公式サイトはこちら。
http://www.kontiki.jp

2013年6月29日土曜日

『10人の泥棒たち』

★★★★☆

日本では今のところあまり話題になっていませんが、韓国では歴代興行成績を塗り替えた作品だそうです。

韓国人と中国人の混成チームの窃盗団がマカオで宝石を盗み出す話ですが、チーム内に様々な愛憎劇があり、盗み出した宝石の争奪戦あり、ワイヤーアクションあり、銃撃戦ありという派手な作品。

マカオで宝石を盗み出して終わりかと思ったら、その後舞台を釜山に移してまだ追跡劇が続くのは予想外の展開でしたが、とてもよく練られた脚本で各キャラクターもよくできているし色々と伏線が貼られたストーリーも面白いし、ちょっとした笑いやアクションの迫力もよかったと思います。さすが韓国で評判になった作品。

ただ、すごく展開が早いのと、キャラクターが多いので混乱するのと、ちょっとした伏線らしきシーンの意味がよくわからない部分があったりして、観終わった今でも完全にスッキリとはいかないのが残念なところ。

さらに、登場人物の韓国語のセリフが、相手によって言い回しを変えて詐欺のように人を騙すテクニックを使っているシーンがあるそうです。でも、日本語字幕ではそのような細かいニュアンスが表現できないという理由から、日本語吹き替え版が作成されたそうです。
普段は、海外の作品でも字幕版しか観ないので、当然この作品も字幕版を観たのですが、もしかしたら吹き替え版の方が深く理解できるのかもしれません。

出演者は当然、韓国や香港の俳優陣なのでほとんど知らない人ばかりですが、『猟奇的な彼女』のチョン・ジヒョンが窃盗団の一人として出ています。いやあ、すっかり彼女も大人になりました。明るいお色気担当みたいなポジションでした(^^;)。

後は中国チームの金庫破りジュリー役の女優さんは割と好みの雰囲気。アンジェリカ・リーという人だそうです。日本でいうと…、私は最初に吉本多香美を思い浮かべましたが、内田有紀とかと顔つきが似てるのかな。吉本さんも内田さんも、特別好きという感じではないけど、アンジェリカ・リーさんはちょっと気に入りました。

公式サイトはこちら。
http://10dorobo.jp






2013年6月19日水曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 第六章 「到達!大マゼラン」』

★★★★☆

第19話〜22話に相当するエピソード。
19話〜20話では、オリジナル版と同じく対ドメルの七色星団の決戦があります。細かい部分は色々と違っているけど、まあ総じて懐かしい感じかな。七色星団のエピソードはリメイクでも外せませんよね。

オリジナル版の七色星団エピソードは21話〜22話なので、2199は2話分先行しています。余った2話分はどうするんだろうと思ったら、21話〜22話は、ガミラス本星につく前のオリジナルにはないエピソードでした。

これで、オリジナル版の話の進み方と一致したので、おそらく次回ガミラス本星での戦いがあって、イスカンダルに着いて、帰路となるでしょうが、あの追加されたエピソードは、ガミラス本星での戦いに大きく影響するはず。最後まで、オリジナル版との違いを楽しませてくれます。

そう言えば、オリジナル版では第20話のバラン星での戦いの後、古代進が艦長代理を命じられるのですが、2199ではそんな話はないですね。そもそも真田さんが副長だから、艦長代理はいらないということかな。
沖田艦長も、決して体調はよくないものの、今のところそんなにベッドで寝ている感じじゃないし。この感じだと、ガミラス本星での戦いも沖田艦長が直接指揮するんだろうなあ。

公式サイトはこちら。
http://yamato2199.net


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

『リアル ~完全なる首長竜の日~』

★★★☆☆

佐藤健くんにも綾瀬はるかさんにもそんなに興味がないので最初は観にいくつもりはなかったのですが、人の意識の中に潜るというSFっぽい設定が何となく気になって観にいってしまいました。

人の意識の中を舞台にすると、超自然的な現象も全部アリになってしまうので、いくらでも都合のいい話ができてしまうでしょう。この作品もそういう部分がありますが、割と抑制が効いていると思いました。

人の意識の中に入っていく過程のだんだんノイズがなくなっていく描写とか、逆に人の意識の中から戻るときの景色がブラックアウトする描写とかの、映像表現はちょっと好き。そう言えば、私はずいぶん前に手術を受けた経験があるのですが、全身麻酔のマスクをつけて一呼吸した瞬間に視界がブラックアウトした記憶があるのですが、ちょっとあの漢字を思い出しました。

首長竜は、予告編映像でも登場していましたが、本編での登場シーンは思っていたより長くてビックリ。

公式サイトはこちら。
http://www.real-kubinagaryu.jp/index.html


2013年6月8日土曜日

『俺俺』

★★☆☆☆

『亀は意外と速く泳ぐ』が面白かったので、同じ三木聡監督作品だと知って観に行きました。

同じ監督の作品だけあって、『俺俺』は『亀は意外と速く泳ぐ』とかなり似た雰囲気でした。
場面転換の合間のちょっとした風景の撮り方とか、コミカルなシーンでの役者の芝居の間とか「『亀は意外と速く泳ぐ』ってこんな感じだったなあ」と思う部分があちこちにありました。
亀梨くんの1人33役もすごいと思いました。

にも関わらず、見終わった印象がイマイチだったのはなぜだろうなあ。ストーリーかなあ。
リクツをこねる作品ではないことはわかっているのですが、ちょっとしたはずみで俺俺詐欺をしたことをきっかけに「俺」が増殖していくというのが、文字で読むとまた印象が違うのかもしれませんが、映像で見ると全くつながってない感じがしました。
一方で、増殖した「俺」が今度は消去されていくときは、お互いに殺し合うというやたらと生々しい話になっていて、どういう心構えで観ればいいのかよくわからないうちに終わってしまった感じでした。

内田有紀さんがよかったなあ。特に色っぽいシーンがあるわけではないし、露出が多いわけでもない、メイクやファッションも決して派手ではないけど、大人の女性の色気を感じさせる演技でした。

公式サイトはこちら。
http://ore-ore.jp/index.html


『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』

★★★★☆

前作は2011年の9月。もうどんなストーリーだったかも覚えていませんが、面白かった印象は残っています。だから続編が作られることを知ったときから観に行こうと思っていました。

結果は、なかなかの満足度。
完全に世界観は出来上がっていて前作とまったく同じノリなので、悪く言えばワンパターンなのかもしれませんが、サスペンス、ミステリー、ハードボイルドとコメディの要素がいい塩梅に散りばめられていて、とてもよくできたエンターテインメント作品になっていると思います。

この作品の大泉洋は、本当にいいですねえ。

公式サイトはこちら。
http://www.tantei-bar.com


2013年6月3日月曜日

会社設立登記 その3 オンライン申請の準備

Windows環境:
普通はWindowsマシン。私の場合はMac上のVMware FusionでWindows XP sp3が動く環境でできた。おそらくBootCampならOK、Fusion以外の仮想環境はどうだろう?Windowsのバージョンについては、XPと7ならだいたい大丈夫そうだが、最新の情報を調べてもらった方がいい。64bit環境についても不明

インターネット接続環境:
オンライン申請なので当然

Wordなど:
様々な書類作成用のワープロソフト。手続きを解説した書籍や法務省などが用意しているテンプレートはだいたいWordのようなので、やっぱりWordがあった方が楽。試してはいないがOffice互換ソフトでも大丈夫だと思う。複雑な書式ではないので、単なるテキストエディターでもがんばればできちゃうかも

Adobe Acrobat:
当然Windows版。9以降ならStandard、ProのどちらでもOK。体験版でも問題なし。ただし体験版は30日間しか使えない

PDF署名プラグイン:
法務省のサイトからダウンロードしてインストールする。無料。Windows版のみ。Acrobatのプラグインで、これによって電子署名できるようになる。同様の機能を持つプラグインは他にもあるようだが、有料のものしか見つからなかった

申請用総合ソフト:
法務省のサイトからダウンロードしてインストールする。無料。Windows版のみ。法務省が扱うオンライン申請は何でもかんでもこのソフトを使うらしい。定款の認証にも登記にもこのソフトが必要

登記・供託オンライン申請システムの申請者情報登録:
要は法務省のオンライン申請システムのアカウントを取得しておく必要があるということ。サイト上で登録して、上記総合ソフト起動時にそのIDとパスワードを使ってログインする

住基カード:
電子署名用。電子署名には、本人であることの証明と改ざん防止の機能があり、これさえ満たせば住基カードではなくても問題ないらしい(例えばベリサインのサービスを使うとか?)。私の場合は、たまたま確定申告をe-Taxでやったので、住基カードをすでに作ってあった

ICカードリーダー:
住基カードの情報をパソコンに読み込ませるためのもの。住基カードが読めるものであれば何でもOK

住基カードを使うためのプログラム&設定:
確定申告のときにやった作業なのでよく覚えていない。確か最新版ではないあるバージョンのJAVA環境と、それ以外にいくつかソフトをインストールした気がする。ちなみに、Mac OSX最新版では住基カードを認識させる方法がないらしい。自分でもさんざん試したがうまくいかず諦めた

会社設立登記 その2 準備作業

会社設立以外の形態も含めて考える:

定款に書く内容を考える:
商号、目的、本店所在地、資本金額、発起人

必要なもの:
お金(資本金、登記申請に必要なお金)、個人の実印とその印鑑証明書、法人の代表印、資本金を振り込む銀行口座

オンライン申請に必要なもの:
別途

会社設立登記 その1 情報収集

会社設立登記のやり方について、事前に調べるときの情報ソース

■書籍
会社には色々な種類があり登記の方法にもバリエーションがあるので、すべての説明の中から自分のケースに該当する説明を見つけるのがそもそも大変です。書籍の中には特定のケースに絞って手続きの一部始終が説明されているものがあるので、こういうものに頼ってしまった方が楽だと思います。いい本を見つければ、たぶん説明通りにやれば問題なく登記できるのではないでしょうか。

私の場合は、すでに起業している友人から、以下の2冊を貸してもらいました。出版時期が少し前だったので最新版ではありませんでしたが、基本的にこれらの本に従って作業を進め、一部情報が古い部分は別の情報ソースで補いました。

作成する書類のテンプレートは法務局のWebサイトでも入手できますが、この手の書籍も出版社のWebサイトでテンプレートを配布していることが多いようです。書籍内の説明と連動しているので便利です。






■法務省のWebサイト
会社設立登記を扱うのは法務省だそうです。定款の認証は公証役場、登記は法務局という役所で行うわけですが、いずれも特にオンライン申請について調べていくと、法務省にたどり着きます。

登記・供託オンライン申請システム 登記ネット 供託ネット
http://www.touki-kyoutaku-net.moj.go.jp/index.html

厳密に言うと、法務省のオンライン申請システムのWebサイトです。
色々調べてみると、以前はこのサイト上から会社設立登記のオンライン申請ができたようなのですが、今は専用のソフトをダウンロードして行います(今も手続きによってはWebページ上でできるものもあるようです)。
ということで、今は、必要なソフトのダウンロードや申請方法に関する情報を入手するための場ということになります。

会社設立登記に関する総元締めのサイトですから、一応最新の情報があると思っていいでしょう。
ただし、法務省管轄の全てのオンライン申請情報が網羅的に取り扱われているので、自分の欲しい情報だけを見つけ出すのが大変です。説明のわかりやすさという点もイマイチ。私の場合、オンライン申請に専用のソフトが必要だと理解できたのはこのページを見始めて結構経ってからでしたし、登記はわかるけど供託はわからなかったし(今もわかりません)、定款の認証の説明がこのページの中にあることもずいぶん後になって知ったし(実は「電子公証手続」の「電磁的記録の認証の嘱託」なのですが、「定款」の"て"の字も載っていないので)、さながら謎解きゲームのようです(^^;)。
とはいえ、オンライン申請に関してはここを避けて通れないし、実際ここでしか得られなかった情報もありました。



■法務局のWebサイト
会社設立登記は法務局という役所で行います。

法務局ホームページ
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/


ここでは、登記のやり方に関しての情報が入手できる他、登記に必要な書類のフォーマット(Word、PDFの他、一太郎形式も完備 ^^;)、書類の記入例などがダウンロードできます。
このサイトにもオンライン申請の情報がありますが、結局法務省のサイトに誘導されるようです。
また、申請する法務局は会社の本店所在地を管轄する出張所で、選択の自由度はありません。自分がどこの出張所に申請すればいいのか、ここで調べられます。



■日本公証人連合会のWebサイト
登記に必要な書類の一つである定款は、公証役場の公証人という人に認証してもらう必要があります。公証役場の情報は、日本公証人連合会のWebサイトにあります。

日本公証人連合会
http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

定款を認証してもらう公証役場については、会社の本店所在地がある都道府県内であればどこでもいいそうです。ただし電子公証の場合は、法務大臣によって特に指定された指定公証人に限られるそうなので、必然的に指定公証人がいる公証役場を選択する必要があります。それらの情報は、このサイトで調べられます。

また、定款の記載事例や電子公証についての情報もここで入手できます。



■その他ネット上の情報
一般的には、登記手続きは行政書士や司法書士に代行してもらうものらしいので、こういった事務所のWebサイトなどで断片的な情報が見つかるケースがあります。

また、オンライン申請についてはこれらの専門家にとっても勉強が必要らしく、以下の専門家のための作業手順説明サイトは、かなり参考になりました。ただ、一部使用しているソフトや電子署名に使用するICカードなどは専門家が使うものと一般向けのものは異なるようで、一部読み替えが必要でした。

オンライン申請入門
http://rsmay.com/menu.html

ごくまれに、個人で体験談を載せているブログなどがありました。以下のサイトは、手順の理解という点でも、とにかく面倒なオンライン申請をやり遂げるモチベーションの点でもたいへん助かりました。ただし情報がやや古く、一部読み替えが必要でした。

中道左派で行こう
http://www.center-left.com/blog/archives/cat15/


■法務局
実際に登記を行う法務局には無料の相談窓口があり、私の場合は登記の前に2回ほど相談にのってもらいました。
1回目は必要な申請書類をもらうため。私が読んだ書籍では法務局にもらいに行きなさいと書かれていたのでそれに従ったのですが、実は全ての書類は法務局のWebサイトからダウンロードできるそうです。
2回目は、書類をひと通り仮作成した状態で、その内容をチェックしてもらうため。この時、定款の内容、特に「目的」部分が問題ないこと、参考にした書類に書かれていた書類だけでは足りないことが明らかになったので、相談した価値はあったと思います。

ただ、相談される側もいきなり「会社を作りたいのですが…」と言われても困るでしょうから、ある程度は予習をして、自分が何を知りたいか明確にしておいた方がよさそうです。

さらに、オンライン申請の添付書類について電話で質問して教えてもらいました。ただ、電話での相談は行なっていないとどこかで読んだような記憶があるので、あまり踏み込んだ話なら直接出向かないとダメなのかもしれません。


■公証役場
定款を認証してもらう公証人がいる役所ですが、事前に相談したりできるようです。

定款は"会社の憲法"と言われるそうで、その会社がどのような会社なのかが書かれたものです。どのような会社にすべきかはもちろんこちらが考えるべきことなので、公証人に相談できるのは、その定款が認証可能な条件(例えば必要事項が記載されているか、正しい形式で記述されているか、など)を満たしているか、という観点になると思います。

特に、電子公証の場合は事前連絡が必須のようです。というのは、紙の定款の場合は認証のために提出した後で記述に問題が見つかった場合、手書きで修正して修正印を押せば認証できるのですが、電子署名した電子定款は修正できないのです。その場合は、元のデータを修正し電子署名を付けて再度送信し直すことになるようです。
私の場合は、電子公証の前に電話連絡して、FAXで定款の原稿を送付、内容をチェックしてもらいました。

2013年6月1日土曜日

NHK技研公開2013

支払いが義務化されている受信料で運営されているNHKは今も昔も何かと議論の的ですが、特にドキュメンタリー系コンテンツの高いクオリティには、私はお金を払う価値があると思っています。
そしてもう一つ、放送、通信に関わる技術の高さはやはり素晴らしいものがあります。その核心であるNHK放送技術研究所は毎年1回一般公開されており、いつか行ってみたいとずっと思い続けてきました。

今年の展示で特に目立った2大テーマを挙げるとすれば、放送とネットの連携とスーパーハイビジョンでしょうか。数ある展示の中でもこのテーマに関する展示が多かったように思います。

NHK放送技術研究所の建物

NHK放送技術研究所入り口


■放送とネットの連携

今放送中の番組を見ながらタブレット端末やスマートフォンを操作することで、テレビ画面上、あるいはタブレット端末上に番組関連情報を表示できるといった展示が数多く見られました。

番組コンテンツ以外に、それに関連するネット用のデータも同時に配信する、あるいは放送波に番組のメタデータを載せて配信し、そのデータに応じたネットコンテンツを表示するなどの仕組みから「ハイブリッドキャスト」と呼んでいるようです。

放送とネットの連携に関する展示


歌番組に合わせて、スマートフォンやタブレットで演奏したり歌ったりするサービスがいくつか展示されていました。下の例は子供番組。

放送とネットの連携に関する展示


そして歌番組。これは『カウントダウンTV』。ちなみに、NHK技研ですが、日本テレビ、TBS、フジテレビ、WOWOWが1つずつ出展していました。

放送とネットの連携に関する展示


これはスマートフォンやタブレットでテレビ画面を撮影することで番組情報を取得する提案。ちゃんと説明を聞かなかったのですが、要はテレビ画面上にマーカーを表示させ、スマートフォンのカメラでそれを認識させるというものらしいです。
このマーカーはアニメーションがつけてあるのですが、それによって番組の進行状態が取得できるというのがミソのようです。

放送とネットの連携に関する展示



放送とネットを連携させるためには、放送コンテンツに加えてネットコンテンツを作らなければいけません。個人的には、そのネットコンテンツまで放送局が担当するより、APIを公開してネットコンテンツに慣れている人たちに考えてもらえばいいのに、と思っていたのですが、すでにそういう方向性が検討されているようです。

これはteleda+という仕組みの概念図。番組のコンテンツ自体や番組情報などがAPI化され、スマートフォンなどのアプリから利用するという構造が示されています。この展示もきちんと説明を聞くことができなかったので、どのくらい実現性があるものかわかりませんが。

番組関連ネットコンテンツの作成に関する展示


以下3枚の画像は、番組連携アプリ制作支援ツールの画面。アプリはHTML5やJavaScriptなどWeb制作で一般的な言語を使うそうですが、ネットと関連する部分のコードを生成する支援ツールを用意したということのようです。

アプリを作りながら、完成状態を試写することもできるという話でした。ということは番組コンテンツが完成してから放送するまでの間に、このツールを使ってネット用コンテンツを作るということですね。つまり録画番組専用。

放送局側の事情としては、例えば緊急地震速報の表示を隠してもらっては困るといった色々な要求があるので、全く自由にネット用コンテンツを作ってもらうことはできないそうです。このツールも一般向けというよりは放送局から依頼されたネット用コンテンツ制作会社向け。

番組関連ネットコンテンツの作成に関する展示

番組関連ネットコンテンツの作成に関する展示

番組関連ネットコンテンツの作成に関する展示


ということで、放送とネットの連携はきわめて旬なテーマで、テレビ業界もどうやってネットの力を借りて視聴者を取り戻そうか模索していることがよくわかります。ただ、今回の展示を見て気になったのは、録画視聴についてあまり考えられていないこと。

現状では、リアルタイム放送視聴時でないと連携ネットコンテンツは利用できないらしいので、その時間にテレビが見られない人にとっては意味がありません。
ネットコンテンツには、本当にリアルタイムでないと意味がないもの(視聴者の意見を番組内で採り上げるとか)もありますが、歌番組に合わせて一緒に歌うとか、番組内に登場した物品をネットで購入できるといったものであれば、リアルタイムか録画かは本来関係ないはず。

また、例えばドラマ放送中にそのドラマに出演する役者の過去の出演作品がオンデマンドで見られるサービスがあったとして、そんなことをしていたら今放送中のドラマに集中できなくなるという矛盾を抱えてしまいます。
結局、複数のコンテンツに同時進行でアクセスする分、本来の番組コンテンツの肝心のシーンを見落とすリスクが発生するわけで、これに対する解決策であり保険となるのは録画ということになると思います。

いずれにしろ、もう今となっては録画抜きのテレビは考えられないので、最初から録画を前提とした機能やサービスを考えて欲しいと思います。


■スーパーハイビジョン

スーパーハイビジョンについては、あまりお見せするものはありません。4K、8Kなどの高解像度の映像がたくさん展示されていましたが、その綺麗さはデジカメ画像では伝わらないので、ご自分の目でお確かめください。
また、放送局としてスーパーハイビジョンで取り組まなければいけない技術的課題として、カメラ、画像処理チップ、画像圧縮技術、画像伝送技術などがあり、これらの展示もたくさんあったのですが、私にはチンプンカンプンなのでバッサリ割愛させていただきます。

以下は1秒間に120フレームの画像を使用し、よりなめらかな動きが表現できるスーパーハイビジョンの技術です。通常のフレーム数の場合と比較する展示を行なっていました。
個人的には、このコネクターだらけのカメラのメカメカしさがちょっとツボでした(^^;)。

スーパーハイビジョン関連の展示

スーパーハイビジョン関連の展示


■バリアフリー関連

さすがは公共放送のNHK、バリアフリー関連の展示がいくつかありました。

以下は、番組内の音声を手話CGにしてくれるシステム。別々の展示ブースに、パソコン画面上にテレビ画面と手話CG画面が表示されているものと、タブレット端末に手話CGが表示されているものがありましたが、同じシステムだったのでしょうか??

バリアフリー関連の展示

バリアフリー関連の展示


平面的な画像を視覚障害者に伝えるための技術。モノの形状を点字ディスプレイで示し、指先で読み取ります。特定の場所を触れるとそれに応じた音声が発せられます。
また、視覚的には点滅表示で強調するように、点字ディスプレイのピンを細かく動かして強調部分を振動で伝えることができます。

バリアフリー関連の展示


こちらは、3次元空間上でモノの形に合わせて指先に抵抗感を与えることによって、立体の形状を認識させる触覚フィードバックシステム。指先に5点の振動素子が触れていて、立体の形状に合わせて振動するので、ガタガタと凹凸がある様子や面と面がぶつかるエッジ部分が認識しやすくなっています。
…と書きましたが、実際体験してみたところ、エッジはよくわかりましたが、細かい凹凸は正直微妙でした(^^;)。

バリアフリー関連の展示


これは、番組内の音声を高齢者が聞き取りやすいように調整できるシステム。あまり細かい内容は見られませんでしたが、環境音と音声を分離してそれぞれ別々にレベルを調整できるというもののようでした。

バリアフリー関連の展示


 ■その他

複数台のカメラを並べて、映画『マトリックス』のような映像を作り出すシステム。リアルタイムではないようですがすぐに映像が作れるので、スポーツ中継のリプレイなどでの利用を想定しているようです。
ずらりと並んだカメラの足元にはグチャグチャのケーブル(^^;)。

複数台のカメラを連動させたシステム



人物の背景にCGを合成するシステム。カメラの傾きや移動する方向に応じて、違和感のないようにCGを調整してくれます。

CG背景合成システム


ヘリ中継の映像などに、自動的にランドマーク表示を入れてくれるシステム。

ランドマーク表示システム



NHK放送博物館のブースがあり、古いテレビやテレビカメラなどが展示されていました。
これは、日本の工業デザインの歴史が書かれた本などにはよく登場する、SONYのポータブルテレビ。



ということでした。
展示ブースは手作り感もありましたが、展示内容は質、量ともに予想以上に充実していました。平日でもかなりのお客さんがいましたが説明員の他に誘導係のスタッフも多数いて、受け入れ体制もちゃんとしていました(それでも休日は混雑しそうですが)。

内容的には、正直この研究をNHKがやる必要があるんだろうか?と思うテーマもあったり、(研究所という立場なので当然ですが)実務上の運用面やビジネスモデルについては質問しても答えてもらえなかったりすることもありました。
それでも、これだけのものが見られて、私としてはとても満足できました。

なお、NHK技研公開2013のサイトでは展示資料一式がPDFでダウンロードできます。よく読むと、私の理解が間違っている部分もあるかもしれませんが、あしからず。

『オブリビオン』

★★★★☆

SFらしいSFという感じで好印象でした。

何かが突出していいとは感じませんでしたが、とてもバランスがいいようなきがしました。世界観、SF的な設定、ラブストーリー的な要素やどんでん返しが含まれた物語、スケール感があって美しい映像、音楽…。

個人的に一番印象に残ったのは、建造物やマシンのデザイン。もともと地球上に人類がいなくなった設定なのでアイテム数は多くありませんが、トム・クルーズ演じるジャックが乗るヘリコプターのような乗り物バブルシップ、ジャックの任務と生活の拠点となるスカイタワー、無人偵察機ドローンなど、いかにもSFなデザインですが、なかなかカッコイイと思います。

役者はトム・クルーズとモーガン・フリーマン以外は知らない人ばかりでした。

ちなみに、この作品で初めて聞いた(と思う)言葉"oblivion"は「忘却」「記憶の彼方」「昏睡状態」「人事不省」といった意味だそうです。観終わると「なるほど、そういう思わせぶりなタイトルだったんだ…」と納得できるかも。

公式サイトはこちら。
http://oblivion-movie.jp

2013年5月25日土曜日

『中学生円山』

★☆☆☆☆

いやあ、下らない映画でした(^^;)。いやまあ断片的には面白いシーンもあったけど、全体として見ると、特にクドカン好きではない私には、ほとんど共感できるところがなかったなあ。

前に宮藤官九郎作品『少年メリケンサック』を観たのと、『中学生円山』は公開スケジュールを延期したという話を聞いていたので、何となく期待して観に行ってしまいました。

中学生の妄想をテーマにした作品ということはすでにテレビなどで知っていたのですが、その内容が中学生にしては幼稚な気がしました。

円山君のちょっとエッチな自主トレとかは、「あらら、そんなことまで」と苦笑いするしかないけど、あれに共感できる女性はいるかなあ。円山君役の俳優さんは本当に中学生ぐらいの年齢だけど、よく演じたなあ(^^;)。そして、それに付き合わされる女生徒役の若い女優さんとか、絶対「何なのこれ?!」って思っただろうなあ。

草なぎ君は、穏やかなのに不気味でなかなかよかったです。
円山くんのお母さんと電気屋さんのくだりも面白かったです。
あと、おじいちゃん役は遠藤賢司さん。日本のロックの歴史をたどるラジオ番組で、すごく過激な歌詞の曲を1度だけ聞いたことがありますが、こんな人だったんですね。

いまさらだけど『少年メリケンサック』を観に行ったのは、篤姫を演じた宮﨑あおいがどんなコメディエンヌぶりを見せているのか興味があったからでした。やっぱり私には、クドカンワールドは合わない感じがします。

公式サイトはこちら。
http://maruyama-movie.jp

2013年5月20日月曜日

『きっと、うまくいく』

★★★☆☆

インドで歴代興行収入No.1になったというインド映画。
インド映画らしく、170分という長い上映時間に笑いと涙と歌とダンスがてんこ盛り。

基本的にコメディなんですが、若干ギャグが古いというか、ドタバタ系とちょい下品な路線。ここで笑わせようとしてるな、ということはわかるのですが、それほど面白くなかったなあ。あ、でも、私の隣に座っていたおじいちゃんは結構ウケていたみたい。

作品の舞台は、インドの工科大学で、たぶん学生は寮生活なんだと思いますが、現在のインドの若者事情が垣間見えて面白いです。
作品のシリアスな側面では、試験の点数重視の教育に対しての警鐘を鳴らしているのかと思いますが、どこの国でもこういう問題を抱えているんですね。

原題は『3 idiots』。"idiot"ってなにかと思ったら「大バカ」「白痴」。つまり『3バカトリオ』ということですね。でも主役のランチョーは、型破りで先輩や先生に対しても時に反抗的だけど、情に厚いし正義感が強いし、実は成績トップだし、相当なヒーローっぷりです。

役者さんは、ヒロイン役は別の作品でも見たことがありましたが、正直あまり好みではないタイプ。他の役者さんは知らない人ばかり。主役の俳優さんは最初西洋人かと思いましたが、ムンバイ出身だそうです。

公式サイトはこちら。
http://bollywood-4.com/index.html




2013年5月18日土曜日

『県庁おもてなし課』

★★★☆☆

割とほのぼのした作品でした。

タイトルから、おもてなし課の活動を克明に描いた作品なのかと想像していました。例えば、どういったいきさつで、誰かがものすごく頑張っておもてなし課を立ち上げたとか、おもてなし課のあるプロジェクト達成までの挫折と成功の一部始終とか。

でも実際は、おもてなし課に関わる人達の人間模様のドラマでした。
一応、一つの観光プロジェクトが軸にはなっているけど、そのプロジェクト遂行の様子はほとんどありません。それに、そのプロジェクトは県をあげての超ビッグプロジェクトで、「おもてなし」という言葉のイメージとはちょっと違いました。
「おもてなし」なので、観光客に配るパンフレットをどうしようとか、駅の待合室をどうしようとか観光案内所をどうしようとか、そういったスケールをイメージしていました。作品の中で、おもてなし課の面々が実際の観光客と接する場面はほとんどありませんでした。実際のおもてなし課の仕事もそんな感じなんでしょうか??

高知県の自然の映像はキレイでした。私は以前高知に行ったときレンタカーで四万十川沿いを走ったことがあるのですが、「もしかしてあの時の道?」と思うような道も登場。あらためて、高知県に行ってみたくなりました。

人物の描き方はちょっと不思議な感じでした。主役の二人、錦戸亮くんと堀北真希さんは、おもてなし課の仕事に熱心に取り組んでいるのですが、そのモチベーションがどこからくるのかあまり描かれていません。
でも、二人とももともとは安定志向で県庁職員になったり、就職できずにアルバイトで食いつないでいる、要はパッとしないキャラクターなので、何かをきっかけにやりがいを見出した的な作り方をするのがよくあるドラマの演出だと思います。
そういったいかにもドラマらしい演出を、あえて避けているのかな。

この作品の堀北真希さんは(私がイメージする)彼女らしい雰囲気でとてもよかったと思います。ものすごい大活躍をするわけではないけど、そこにいるだけでほんわかする感じ。

公式サイトはこちら。
http://www.omotenashi-movie.com/index.html

2013年5月3日金曜日

『図書館戦争』

★★★☆☆

『図書館戦争』は、アニメ作品で最初にその存在を知りましたが、そのアニメも観たことがなく、原作の小説も読んだことはありません。

娯楽作品として、なかなか楽しめたと思います。

ただ、メディア良化法や図書隊のある世界のリアリティがなかなか微妙なところかなあ。国家によるメディア規制の可能性があるのはわかるし、それに抵抗する勢力が出てくるのも違和感はないのですが、双方とも法律的に正当化されているというのが私にとっては一番違和感を覚えたところです。原作だと、もっとうまく理屈づけされているのかな。

あとは、榮倉奈々演じる笠原郁が、命の現場にあって言動が軽率すぎ。あれじゃ秩序も組織もあったもんじゃない。

でも、そんなことに引っかかっているとこの作品は楽しめないので、細かいツッコミはやめてアクションとラブストーリーに意識を集中した方がいいかも。

岡田准一といえば『SP』での肉弾戦アクションが印象に残っていますが、今回も期待を裏切らずかっこいいシーンがありました。

栗山千明の演技は初めて見ました。彼女、実は相当なオタクらしいけど、女優としてはいたって普通の美女ですね。

評判がよければ続編も…という話があるようですが、次はもうちょっと成長した笠原郁に期待します。

公式サイトはこちら。
http://www.toshokan-sensou-movie.com/index.html

2013年4月29日月曜日

『リンカーン』

★★★☆☆

予想していたことですが、その時代のアメリカの状況がわかっていないと、この作品の核心には触れられないのかもしれません。
実際、映画本編の直前に監督のスピルバーグによる簡単な状況解説映像がついていました。そう言えば『レッド・クリフ』にも解説映像がついていたなあ。海外歴史ものは、やっぱりこういう配慮があると助かります。
とは言いつつ、作品世界に漂う雰囲気だけでも味わい深いものでした。

そもそも私は、リンカーン大統領については、南北戦争の終結、奴隷解放、「人民の人民による人民のための政治」など、ごくわずかの知識しかありませんでした。南北戦争が日本の幕末の時期だということも、かなり最近になって知りました。

この作品を観て驚いたのは、日本ではようやく江戸時代が終わろうとするとき、アメリカではすでに議会での多数決によって法律が決められていたこと。だから、リンカーンがやったことは、奴隷制度撤廃のための憲法改正案を通すための2/3の票集め。でも、そのやり方は限りなく脅迫に近く、必ずしもクリーンではなかったみたい。

憲法改正反対派(奴隷制容認派)は、単純に奴隷が必要だと思っていたわけではなく、昨日まで奴隷だった人たちが急に一般市民になると世の中が混乱するので、これを懸念していた人たちもいたようで、この辺りの客観的なものの見方はさすが。

一方で、白人と黒人が人間として平等なのか、方の上で同等の権利を持つだけなのかが大きな議題となる感覚は、この映画を観るまで私自身では全く想像もしていなかったので驚きました。
結局この時は、白人と黒人は同じ人間ではないが法律上同等に扱われるということで憲法改正が実現します。白人と黒人が同じ人間だと言ってしまうと、世間が納得しなかったようです。アメリカでも女性の参政権も認められていなかった時代、キリスト教的宗教観なども相まって、本質的に白人と黒人は別モノ、男性と女性も別モノというのが一般的な見解だったようです。

作品の中のリンカーンは何だか不思議な人でした。情熱的で信念を持った理想主義者のようでもあり、飄々として全てを達観した仙人のようでもあり、周りの空気を読み時にはズルもする策略家のようでもあり…。でも、この作品ではやっぱりリンカーンの一挙手一投足は発言に注目してしまう。そういう意味では、史実と合っているかどうかはわかりませんが、紛れもなくリンカーンという人物を描いた映画だと思います。

公式サイトはこちら。
http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/