2011年12月24日土曜日

『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』


★★★★☆

この手の、実在の人物を主人公にした作品の多くは、その人物を美化しすぎる傾向にあるので、見る側としてもそれなりに疑ってかからないといけません。『真実』などとサブタイトルについているけど、きっと真実じゃないんだろうと思っています。

それを前提として見て、役所広司演じる山本五十六は大変魅力的に描かれています。穏やかな平和主義者で、人情味があって、考えがブレず、いつも最善を尽くし、冷静沈着で、おごらず…。
そんな人物でも、個人的な想いと司令長官という公の立場としての行動や発言に微妙に差があるところは、とてもよくわかります。組織の中で活動するって、たいへんなんですよね。

戦争開始直前の日本の世論の動きは印象的。もしその当時、自分がそこにいたら、日独伊三国同盟反対、戦争回避という考えを持てたか、考えさせられます。

これが、2011年最後の映画となりました。今年観た映画は45本。2010年は27本で、そのときの自分としてはこれが限界だと思っていたのですが、大幅に増えました。ただなあ、やっぱりこれだけ映画館に足を運ぶと、負担もそれなり。2012年はどうしたものか…。




『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

★★★★☆

面白かったです。
これぞアクション映画という 感じなので、難しいことを考えずに楽しめばいい作品だと思います。モスクワ、ドバイ、ムンバイと、世界各地の風景の中にトム・クルーズがいるという絵も面白いし、展開がスピーディで飽きさせません。

スパイの仕事としては、けっこうミスが多いので有能とは言いがたい気もしますが、そんな細かいことを気にしてはいけません。

音楽は、それぞれの 舞台に合わせて、その国っぽい音楽になっていましたが、 何となくアメリカ人の思い込みが入っているように思えました。

公式サイトは、こちら。
http://www.mi-gp.jp








『源氏物語 -千年の謎-』

★★★☆☆

源氏物語の中の世界と、源氏物語を書いている紫式部の世界が並行して描かれる構成は、ストーリーを2倍楽しめるのでよかった気がします。
『千年の謎』というサブタイトルは、式部がなぜ源氏物語のストーリーをあのように描いたのか?という謎に迫るという意味が込められていたのだと思いますが、言うほどのものではなかったかと思います。

途中、生き霊対陰陽師のホラー映画みたいになってどうなることかと思いましたが、まあほどほどに抑えられていたようです。

生田斗真の光源氏は、予告編などではちょっと違和感を覚えたのですが、本編ではそれほど気になりませんでした。

ちなみに私、『源氏物語』をちゃんと読んだことはありません(^^;)。

公式サイト(?)は、こちら。
http://www.kadokawa.co.jp/sp/201111-01/





2011年12月11日日曜日

『リアル・スティール』

★★★☆☆

まあなんというか、細かいことは考えずに楽しむ映画といったところでしょうか。

話の進む方向も単純明快で、結果の予想もつくのですが、その中で熱くなったり切なくなったり爽快になったりする作りです。こういう作品を楽しめる感覚って、『水戸黄門』を見て毎回楽しいと思う感覚と通じるものがあるような気がして、自分としては素直に受け入れたくないような…(^^;)。
観客が格闘技に求めるものがエスカレートして、人間の格闘技よりもっと刺激的で暴力的なものを求めたために、ロボット格闘技が生まれ人間の格闘技がすたれたという、文明批判的な一節も出てくるのですが、映画全体としては特にそういうメッセージを伝えようとは思っていないみたいでした。

ロボットは当然CGだと思いますが、本当によくできていて、近い将来こんなふうに人間とロボットが並んでいる光景が当たり前になるんだろうなあ、と思わせます。
ハリウッドのロボットデザインは、日本とはかなりおもむきが違いますね。『トランスフォーマー』などもそうですが、複雑すぎて、後からは色ぐらいしか思い出せません。同じハリウッドでも『スター・ウォーズ』のR2-D2やC-3POは記憶に残りやすい気がします。個人的にはあのくらいが程よいさじ加減だと思いますが、今となっては古くさいということになるのかな。

ところで、ロボット格闘技と聞いて、かつて『プラレス3四郎』というマンガがあったのを思い出しました(^^;)。
公式サイトは、こちら。
http://disney-studio.jp/movies/realsteel/









2011年12月4日日曜日

『アントキノイノチ』

★★★☆☆

暗い過去を持つ男女を岡田将生君と榮倉奈々ちゃんが演じています。過去の出来事の重さや、ハッピーエンドとは言えない終わり方の割に、作品全体の印象は、爽やか青春ラブストーリーでした。

たぶん、主役二人の俳優が爽やかすぎるのかなあ。
岡田君は『重力ピエロ』のときに、純粋すぎる凶暴性みたいな役がはまっていたせいか、今作でも爽やかなルックスの裏に陰や毒がある感じがしなくもありませんでした。
榮倉奈々ちゃんは、テレビドラマなどに出演しているのを見たことはあるのですが、自分の中でどう捉えていいのか未だに定まらない女優さん。顔は、愛嬌があると思うし、演技も悪くはないんだけど、自分にとっては、今のところ何か心動かされる感じがないんですよね。

遺品整理という「死」と近い仕事が登場するしタイトルも「〜イノチ」なので、生死について深く考えさせられる作品かと思っていたのですが、近い時期に観た『エンディングノート』の印象が非常に強かったせいか、相対的に浅く感じました。





2011年11月27日日曜日

『エンディングノート』

★★★★★

会社を定年退職した男性が、がんの告知を受けてから亡くなるまでの様子を実の娘が撮影し続けたドキュメンタリー。この男性、自分が死ぬまでの段取りをノートにまとめ、実行していきます。

特に映像も音声もキレイではないし、劇的な出来事があるわけでもなく淡々と話が進んでいくのですが、ホンモノはすごいですね。ツクリモノにはないパワーがあります。

死を真正面からテーマにした作品なので、普通に描くとものすごく湿っぽく陰鬱になってしまいます。でもそこは、男性やその家族の陽気さや、近い将来の死をあっさりと受け入れるポジティブさ、自分の死に対してサラリーマン時代と同様に段取りにこだわる男性のちょっとヘンテコな発想などが、ずいぶん雰囲気を和らげていますし、そういう風に演出されています。
最後は泣けます。でも、生前のシミュレーション通りとはいかなかったかもしれませんが、ある意味とても幸せな死に方ができたのではないでしょうか。

それにしても、自分の父親を撮り続けてこの映画を作ったこの作品の監督さんは、いつから父親の死を題材にしようと思っていたんだろう。
映画の中では、がん告知以前の映像も出てくるので、どうやら彼女は以前から自分の家族の映像を取り続けていたようです。ということは、最初は死をテーマにするつもりではなかったのかも。がん告知があり、死までの段取りを作り始めたあたりで死をテーマにすることを思いついたのかな。でも、思いついても本当に作品にするには勇気がいりそう。ちゃんと作品を完成させ、世に送り出した監督に拍手。

公式サイトは、こちら。
http://www.ending-note.com/



『コンテイジョン』

★★★☆☆

未知のウィルス感染モノ。もはや、ひとつのジャンルを形成していますね。

当然のことながら、感染拡大を食い止めることが目的なのですが、スーパードクターが登場するわけでもなく、画期的な治療法が登場するわけでもありません。もし本当に新型ウィルスが広まったとしたら、きっとこうなるだろうという出来事をドキュメンタリーのように描いています。
新型インフルエンザのとき、実際に似たようなことがあったわけですが、それをもうちょっと極端にした感じ。ワクチン接種の順番が問題となるところは、あの時と同じ。食料や水、電池の買い占めの描写は震災を彷彿とさせます。つまり、とてもリアルということです。
一応エンターテインメントですが、シミュレーション映画といってもいいかもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/contagion/index.html








2011年11月20日日曜日

聖光学院23期同窓会(2011年11月19日)

2011年11月19日、聖光学院23期の同窓会が、同校で行われました。facebookと重複しますが、画像をブログにもアップしておきます。

まずは山手駅。私が中学に通い始めたころは、駅長さんの方針だったか、広告を一切掲示しないという特徴を持った駅でした。今は普通に広告が貼ってあります。そりゃあ、広告収入も重要でしょうから…。




参加者の写真は誰かが撮るだろうから、自分は、駅から学校までの通学路や校舎の様子を撮ろうと思っていたのですが、思わぬ雨と風で思い切りやる気が失せ、とにかく学校に一直線。屋根のあるところに逃げ込みました。なので、写真はなし。
通学路は、色々と変化はありましたが、雰囲気はあのころのままでした。

聖光の校舎どころか、敷地に入るのはたぶん20年ぶりぐらい。不思議な感覚でした。

以下、少し校舎の中をうろうろして撮った写真です。

まずは生物室。もちろん生物の授業でも使いましたが、生物部だった私にとっては部室。名前は生物実験室となっていました。場所は当時と変わらず、校舎の最上階の一番北側。ちなみに、生物室の向かい側は美術室だったはずですが、今はパソコンが並んだ部屋になっていました。




聖光の教室の机は、椅子とくっついた不思議なデザイン。こんな作りのものを他では見たことがありません。特注なのかなあ。
私の記憶が正しければ、私の在校中、一体型の机は古くて重いタイプと、新しくて軽いタイプがありました。そして今日見たものは、そのどちらとも違うタイプ。ということは、私が卒業した後に新調したということになります。
正直、机と椅子がくっついていて嬉しいことは特にないので、新調するなら机と椅子が分離したものにすればよかったのに。学校として、何かこだわりがあるんだろうか??




小沢先生に引率されて、学内ツアーを実施。聖光の校舎は、講堂や体育館辺りの構造が複雑で、どんなふうだったのか思い出せませんでした。ここは、そんな複雑エリアの一画にある階段教室。階段教室は、当時とほとんど変わっていないと思います。この隣には以前LL教室があったのですが、ちょっとのぞいた感じだと、特別なシステムが入っている様子はなく、普通の大教室になってしまったようでした。




現在、聖光学院は、数年がかりの大規模な改修工事を実施中です。もちろん授業などを実施しながらの工事なので、校舎の一部を取り壊しては新しい建物を建て、また一部を壊して建て、と繰り返していくそうです。今回学内ツアーで回った場所が取り壊されるのも時間の問題です。その前にもう一度見ることができたのでよかったと思います。



二次会は、伊勢佐木町のタイ料理屋さん。まあこんな雰囲気でした。





カラオケを歌っているのは、この店の店員さん。どうやら、丸ちゃんが歌わせたらしい。




ということで、参加したみなさん、お疲れさまでした。またいつか会いましょう。



おまけ。同期会のために私がデザインしたロゴマーク。聖光関係者以外には、まったく面白くないと思いますが、卒業生に対しては、かなり強いインパクトがあるはず。我ながらいい出来だと思います。


2011年11月16日水曜日

『ミッション:8ミニッツ』

★★★★☆

星4つは、ちょっと甘いかなあ。でも、こういう作品はけっこう好きです。

サイコ・ダイビングというのかな、人の意識に入り込むというSF的アイデアは以前からあるのですが、最近では『インセプション』がありました。
同じ場面を、時間軸を巻き戻して何度も見せるという手法は、『バンテージ・ポイント』という映画で見たことがあります。
『ミッション:8ミニッツ』のアイデアは、両者を合わせた感じです。

ストーリー全体としては、犯人探しと、主人公自身の身の上にいったい何が起こっているのか?という謎解きがあるのですが、まあ両方とも想定の範囲内ではありました。
そして、割とカッチリとしたSF設定に乗っ取って話が進むのかと思ったら、最後はちょっとファンタジックになっちゃったりします。
この辺りが、星4つは甘いような気がする理由です。

上映時間は2時間足らずで、制作費も割と安そうな作品ですが、このクラスの映画こそアイデアで頑張ってほしいというエールをも込めて、やっぱり星4つで。

公式サイトは、こちら。
http://disney-studio.jp/movies/mission8/









2011年11月14日月曜日

『一命』

★★★☆☆

この作品、2時間ちょいなんですが、あらすじをかいつまんで説明すると、おそらく5分で終わります。悪く言うとイベントが少ない、よく言うと、それだけゆったりと話が進むというか、丁寧にしつこく描いているというか、そんな映画でした。

市川海老蔵の演技は、よくも悪くも印象的でした。やっぱり目力はすごいですね。ただ、どこか歌舞伎の見得のようで、ナチュラルな芝居の中ではやや不自然に感じました。語り口もまた然り。わざとらしい発声と言い回しに思えました。まあ、その不自然さが、何を考えているのかわからない役柄とあっていたようにも思えます。

大名屋敷のインテリアがまた、あまりナチュラルではないデザインでした。なんというか、ハリウッド映画に出てくる日本家屋みたいな雰囲気。ああいうデザインのものが実際にあったのかなあ。

まあそんなわけで、作り手側は決して手を抜いているわけではないと思うのですが、私の好みにはあまり合わない作品でした。







2011年11月12日土曜日

『マネーボール』

★★★☆☆

 最初から最後まで入り込んで見られたし、役者の芝居も素晴らしかったので、星4つでもいいかもしれませんが、いくつか気になる点があったので星3つにしてみました。

 私は、既存の常識にとらわれず新しい考え方を導入して成功していく、イノベーション的なストーリーには感動しやすい傾向があります。
 でもこの作品では、その新しい考え方についての説明がかなり端折られていて、球団のGM(ジェネラル・マネージャー)がその考え方を導入することを決めてからの、周りとの確執を中心に描いています。
 私にとっては、もう少しその理屈を教えてもらわないと共感しづらいと思いました。

 この作品の主役は、もちろんブラッド・ピット演じるGMのビリーで、彼が球団改革を推進した当事者なのですが、実際に新しい考え方「マネーボール理論」に基づいた分析を行っていたのはピーターという人物です。
 もしこの人を主役としてストーリーを構成していたらだいぶ違うイメージの作品になっていたと思います。私としては、その方が好みの作品になったような気がします。

 実在の人物の、現在進行中の取り組みが映画化されるというと、facebookについて描いた「ソーシャル・ネットワーク」があります。映画の最後に、その人物の現在の状況を字幕やナレーションで説明するという処理方法も共通。でも、こういうタイミングで映画化するのが本当にいいことなのか疑問を感じます。数年後に映画を見たら、もしかしたら全然見当違いの話になってしまうかもしれないのに…。

 まあともかく、よくまとまったいい作品だと思います。

2011年11月5日土曜日

『ステキな金縛り』

★★★★☆

 大きな話の流れは予想の範囲内でした。『THE有頂天ホテル』のように、入り乱れたエピソードが、最後にジグソーパズルのピースがピタリとはまるように収束する、という展開が好きな私としては、ちょっと物足りなさも感じました。
 でも、その中で一つ一つのシーンや台詞は面白く楽しいものでした。
 この手のコメディ映画は三谷作品ぐらいしかないので、やはり真骨頂だと思います。

 深津絵里。とっくにわかっているけど、あらためて本当に何でもできる人だなあ。
 西田敏行。大河ドラマとかで、本格的な時代劇をやってきただけに、ビシッと演じるところはビシッとしていて、だからこそ、ヌケた演技が最高に面白く感じられます。絶妙な間とかアドリブとかが舞台作品のようで、もう一度映画を観に行ったら違う台詞を言うんじゃないかという雰囲気です。

 上記の二人については、映画を見る前から期待できることはわかっていたのですが、予想外だったのは中井貴一。予告編などでは、カタブツの検事役であることしかわからなかったのですが、そのイメージが崩れる部分があって、そのギャップがとても笑えます。

 三谷作品には、たぶん色々な小ネタがちりばめられているのでしょうが、一つ私が発見したものが。深津絵里演じるエミが、容疑者が金縛りにあっていた旅館に行くときに乗ったバスのナンバープレート。めちゃめちゃベタな語呂合わせになっていました。

 ところで、この作品の英題は『A GHOST OF A CHANCE』らしいですね。邦題とは全然違いますね。そもそも「金縛り」って、英語でどう言うんだろう??

2011年10月23日日曜日

『ツレがうつになりまして。』

★★★★☆

なかなかよかったと思います。

取り上げているテーマは「うつ」で、なかなか辛い状況が描かれているのですが、一貫してほのぼのした雰囲気。くすりと笑え、泣け、あったかい気持ちになれます。ストーリー展開は、だいたい予想通りでしたが、それでも充分満足できました。

宮﨑あおいと堺雅人はさすが。
宮﨑あおいは、ああいうマイペースで頑張らない役をキュートに演じるのが本当に上手。役柄と本人が完全に一体化して見えました。
堺雅人は、几帳面過ぎてうつになってしまうというキャラにピッタリで、本人的にはどんより落ち込んでいるのに、はたから見ると妙なおかしさをかもし出していて絶妙だと思いました。
この二人は、大河ドラマ『篤姫』で、徳川将軍と正室を演じましたが、それ以上にお似合いの夫婦役だったと思います。

宮﨑あおいは、実生活の方では夫と別居などと報じられていますが、作品中で彼女自身が言っている台詞がまるっきり矛盾していて、あらためて役者って大変だなあと感じました。

あとはやっぱり、イグアナのイグの存在が、ストーリー展開には大して影響はないものの、いい間を作っていてよかったと思います。

うつという病気については、この映画を見ただけで理解できるわけもないでしょうが、特別なことではないと感じることはできました。

2011年10月15日土曜日

『DOG×POLICE 純白の絆』

★★★☆☆

警察の特殊部隊、動物、パートナーとの信頼、組織間の対立、過去の汚名を挽回、ゲーム感覚の無差別犯罪…。いずれも、一度は別の作品で取り上げられたようなテーマの断片を、もう一度再構成した作品という印象でした。
なので、つまらないとは言わないものの、新鮮味はあまりなかったかも。ある程度、話の展開も予想できたし。

市原隼人君は、以前は爽やかな好青年のイメージでしたが、今や暑苦しい(^^;)、そしてちょっと反社会的なイメージも感じます。今回の役には合っているとは思いますが、個人的には割と苦手なタイプ。
戸田恵梨香さんは、クールビューティな役がはまっていたとは思いますが、警備部の制服と装備をつけた状態でも体の線の細さがわかってしまうので、若干リアリティに欠ける気がしました。ま、とりあえずキレイだからいいか(^^;)。

この作品に登場する刑事たち、別の作品でも警察関係者の役をやっていた人が何人もいて、すんなり受け入れられるんだけど、妙な違和感もあったりして、不思議な感じでした。

この作品で唯一意外だったのは、犯人の扱い。もちろん最後に犯人にたどり着くのですが、よくあるケースとしては、捕まる直前に犯人が社会への不満をぶちまけたり、それに対して主人公が言い返したり…的なやりとりがあるのですが、この作品では、この辺りが非常にあっけなく終わります。それより主人公の危機をパートナーの犬が救うというエピソードを重点的に描いていました。前半部分でチラチラと犯人の姿が登場したときは、その異常性をかなり強調した描写だったのに、肩すかしで終わった感じがしました。

主人公のバディである犬のシロ。耳が大きくとがっていて鼻先も細長いので、ちょっとキツネっぽい顔つきです。予告編などの事前の映像を見ていたときは、あまりかわいくない印象でしたが、本編を見ている間は、特に気になりませんでした。

作品の中に、スティーブン・ジャッブスなる人物が出てきます。黒のタートルネックにジーンズ姿で、明らかにスティーブ・ジョブズをイメージしていることがわかります。ジョブズが亡くなってすぐのタイミングだったので、ヘンな感じでした。

2011年10月9日日曜日

『はやぶさ/HAYABUSA』

★★★☆☆

はやぶさ映画として私が観たものとしては2作目。前のものはドキュメンタリーだったので、ドラマとしてはこれが初めて。

もともと私は、はやぶさのエピソードはそれ自体が大好きで感動的なので、映画作品としてどう料理されていてもすばらしく思えてしまいます。一生懸命努力して冷静に考えると、まあ★3つといったところでしょうか。

ドラマとして仕立て上げるには、はやぶさプロジェクトに携わる人たちの素顔を描く必要があります。主役の竹内結子をはじめ、役者さんたちはとてもよかったと思いますが、ややとってつけた感があったかもしれません。

はやぶさで感動するためには、それぞれのトラブルがいかに危険な状態で、それをどんな方法で乗り越えたかを理解する必要があります。そのためには技術的な説明が不可欠です。それがとてもわかりやすく、この作品で初めて「ああ、そういうことだったのか」と理解できたこともありました。
でもそれは同時に、役者の台詞が不自然なほど説明的になってしまうということにもつながるので、難しいところですね。

はやぶさプロジェクトの裏側を描いたことで、研究開発予算の少なさなど、日本の宇宙開発環境の苦しい状況がよくわかります。こういうことを一般の人に感じてもらうことも重要な気がします。

さあ、あとは渡辺謙主演と藤原竜也主演のはやぶさ映画が待っています。

2011年10月8日土曜日

『KAZUMASA ODA TOUR 2011』

★★★★☆


コンサートの会場は、その集客数や形状などによって、ライブハウス、ホールクラス、アリーナクラス、スタジアムクラスなどと分類されるようです。
今回、同じツアーで、いろいろなタイプの会場に行ってみました。


■さぬき市野外音楽広場テアトロン(2011.07.23)

小田和正が、何回か前のツアーから使い始めて、おそらくとても気に入っている会場だと思われます。実際に行ってみて、気に入っている理由がわかったような気がしました。

ローマのコロッセオのように、すり鉢上の斜面に観客席が並び、すり鉢の底にあたる部分がステージになっている野外会場です。観客席から見ると、ステージの向こう側は瀬戸内海。コンサートの進行中も、はるか向こうを船が行き交う様子が見えます。

まだ日の高い17:00からコンサートが始まるので、おそろしく暑いのですが、徐々に日が傾き、時々心地いい風がほほをなでていきます。芝生の自由席があったり、ビールや冷たいドリンクを飲む人がいたり、観客もどこか開放的というかリラックスした雰囲気。

最近の小田さんのコンサートでは、彼が観客席に飛び込んで観客にマイクを向けることがしばしばあるのですが、この会場では特にそれが多いようです。この日はたぶん3時間半ぐらいのコンサートだったと思うのですが、累計30分、もしかしたらそれ以上小田さんは客席にいたのではないでしょうか。私との距離1mぐらいのところを何度か通過していきました。マイク向けられなくてよかった。

コンサートの最後には、花火があがりました。これも、この会場ならではの演出。

会場の立地は、はっきりいって最悪。たぶんそれが理由で、いい会場なのに利用率がとても低いそうです。車でしか行けない場所なので、当日は高松駅から有料のシャトルバスが出ます。片道1時間弱。1台のバスに50人乗るとして、例えば1万人を運ぶには、のべ200台のバスが必要となる計算です。香川県中のバスを集めてピストン輸送しているんじゃないかというほどの状況でした。たぶんバス運行のやり方もよくなかったようで、行きは会場近くでシャトルバス自体が渋滞してしまうし、帰りは出払ったバスが戻ってくるのを延々待たされました。

で、この会場は、どこからは写真撮影禁止なのかよくわからなかったので、離れたところからちょっとだけ撮影させてもらいました。もし撮影禁止だったらごめんなさい。
また、コンサート中、小田さん本人が突然「次の1曲の間だけ撮影していいことにします」と言い出したので、その画像もアップしておきます。
















横浜アリーナ(2011.08.25)


ここは、いろいろなイベントで何度か来ているので、特に感じるものはありません。今回行った会場の中では、一番観やすくて聴きやすかったかな。


今回のツアーで、神奈川県ではアリーナの他にもいくつかの会場を回っています。その中で、とても評判がいいらしい横須賀芸術劇場には行ってみたかったのですが無理でした。ここは2000人規模だからホールクラスになるのかな。個人的には、このくらいの規模の会場が好きです。


東京ドーム(2011.09.28)


東京ドームは、YMOと坂本龍一のコンサートに行ったことがあったはず。ちなみに、ここで野球を観たことはありません(^^;)。


座席の位置にもよるのでしょうが、音が反響して聴きづらかったです。ヘンな方向から完璧なこだまが聞こえました。
よく、音にこだわりのあるアーティストは、ドームはもちろん、武道館ですら使わないといいますが、納得です。YMOと教授の時もそう思ったのかなあ。昔のことで、記憶がありません。
小田さんも、最近まではほとんどドーム会場は使っていなかったはず。でも、年齢を重ねて、体力的に多くの会場を回るのが難しくなり、それに反して小田和正のコンサートを観たいというニーズは多いため、ドーム会場を使うという判断になったようです。


今回のツアー、私はもう観に行く予定はありませんが、10月26日まで続きます。何となく、その後で被災地での公演が追加されそうな気がしますが。
64歳。次は(いつ)あるんでしょうか?

『猿の惑星:創世記』


★★★★☆

最初の『猿の惑星』は、何となく知識だけはあるけど、ちゃんと観たことはないはず。ティム・バートンのは観ました。

で、本作。
事前の予告編映像などから予想していた話の展開と95%ぐらいは一致していました。…というと、物足りなく感じそうですが、意外とそんなこともなく楽しめました。たぶん、プロセスが丁寧に描かれているためでしょうか。

映画では、地球が猿の惑星になった2つの原因(猿の知能が発達することと人類が衰退すること)が示されています。前者の理由は予告編から予想していましたが、後者については、想像と違いました。これが5%。でもこれで、納得感が強くなりました。

猿は全て、人間の俳優が演じた動きにCGをかぶせたものだそうです。すごくよくできているとは思いましたが、顔つきがホンモノの猿とはちょっと違うと思いました。特に知性が高い猿だから特別と言われればそれまでですが、個人的にはちょっと残念。

(人間の)主人公の恋人役の女優さんがキレイでした。インド出身で『スラムドッグ&ミリオネア』に出ていたそうな。覚えてないなあ(^^;)。

2011年9月27日火曜日

『モテキ』

★★★☆☆

 原作のマンガもテレビドラマも見ていません。

 んー、まあある程度は予想していたのですが、特にこれといって深い意味が込められた作品ではないですね。普通のドタバタ恋愛もの。

 "モテキ"というキーワードがどんな風に作品を新鮮に感じさせてくれるかがポイントだと思うのですが、あまり関係なかったかも。
 事前に見聞きした情報では、突然"モテキ"をむかえた主人公が4人の女性にモテまくって翻弄されるという話だと理解していたのですが、実際は、一貫して森山未來演じる主人公と長澤まさみ演じる女の子の関係が描かれていました。他の女性との関係は、主人公が優柔不断だからであって、"モテキ"だからではないように、私の目には映りました。

 主人公の性格は、確かにこういう人がいるのかもしれないし、最近増えているのかもしれないけど、ちょっと演出が極端だと思いました。極端と言えば、突然ミュージカル仕立てになってキャストが歌って踊りだしたり、カラオケビデオのように挿入かの歌詞が表示されたりと、ヘンテコな演出もけっこうあって、あえてやっているということはよくわかりました。

 そんな中、長澤まさみがとても魅力的でした。主人公の性格には共感できないけど、主人公がこの娘にほれるのは共感できるかも。
 あとは、リリー・フランキーも存在感があったなあ。

2011年9月21日水曜日

『アンフェア the answer』

★★★☆☆ 

テレビシリーズは見ておらず、映画の1作目はテレビで見ました。なので、予備知識はそれほどない状態でした。

 けっこうコワイ作品でした。映画の1作目は、どちらかというとダイハード的なアクションものでしたが、本作は猟奇殺人モノ。残虐な犯人像の描き方が、典型的なんだけどけっこうエグいです。

 篠原涼子演じる雪平は、前作の勝手な印象では、肉体派で勇敢かつ冷静でスキのないキャラなのかと思っていたのですが、本作では割と無鉄砲で犯人に怯える弱い人間。自らの無茶な行動で自分を危険にさらしている感じもするので、微妙にかっこよくない気もしました。

 誰がアンフェアなのか?という謎は明らかになるのですが、あまり驚きはありませんでした。というのは、あまりにも怪しい人が多すぎるので、どんな可能性もありうると考えてしまったからだと思います。

 でもまあ、なかなか楽しめた作品だと思います。

2011年9月17日土曜日

『探偵はBARにいる』

★★★★☆

北海道札幌はすすきのを舞台にした、大泉洋扮する探偵の物語。思ったよりもハードボイルドで、とはいっても大泉洋なのでかなり3枚目でおちゃらけていて、なかなかよかったと思います。

これってたぶん、松田優作の『探偵物語』のカッコ悪いけどカッコいい的な雰囲気に近いんだろうなあ。
と思ったら、息子の松田龍平が出演しているのは偶然?彼が主役の探偵役をやった方がもっと話題になったのかも。いやいや、でも大泉洋の探偵役が非常によかったからなあ。

当初、この作品は見るつもりがなかったのですが、映画のランキングで上位に食い込んでいて、しかも大泉洋の地元北海道では絶大な人気という話を聞いて、急に見てみたくなりまいた。
まるっきり期待していなかったのに思いのほか面白かったので、この落差も踏まえて★4つです。期待していなかったのも大泉洋、期待を超えたのも大泉洋ということで、この★は彼に贈ります。


『ライフ いのちをつなぐ物語』

★★★★☆ 

BBC制作のネイチャードキュメンタリーといえば、私が最初に映画館で見たのは『ディープ・ブルー』ですが、それ以来ちょくちょく新作が公開されていて、"ジブリ映画""ピクサー作品"などと同様、一つのジャンルとして確立したように思います。

 個人的には、この手のドキュメンタリーは大好きで、作品として代わり映えのしないものであっても飽きずに見ることができてしまいます。だからどうしても点数が甘くなります。 

この作品自体は、世界中の何種類かの動植物を取り上げて、その姿や生態を素晴らしい撮影技術で克明に映し出した映像をつなげただけで、相互の強い関連性や全体を貫くストーリー性はあまり感じませんでした。

 一応、"いのちをつなぐ"というのがテーマなのでしょうが、全ての生物はいのちをつなぐからなあ(^^;)、ちょっと漠然とし過ぎ。
冒頭と最後に日本語の文字だけのシーンが入っていたけど、あれはオリジナル版でも英語の文字が入っているのか、日本での上映にあたって付け足したものか?なんというか「いのちを大切にしよう」的な、やけに文科省的な押し付けがましい言葉で、「それ、直接言っちゃってどうする?!」とツッコミたくなりました。ナレーションも、ちょっとそういう傾向があったなあ。

 松本幸四郎と松たか子のナレーションも、全然悪くないのですが、このキャスティングである必然性は特にないような気がしました。

 …と、これだけネガティブな意見を書いておきながら★4つ。それはやっぱり、地球上の動植物の映像の圧倒的な迫力に、ネイチャードキュメンタリー好きの私が充分満足したからです。

2011年8月14日日曜日

『トランスフォーマー ダークサイド・ムーン』

★★★☆☆

 いかにもハリウッドな、ド派手SFアクション映画。あんまり難しいことを考える必要もないし、主人公は絶対死なないし、ただただ単純に楽しめばいいエンターテインメントですね。

 2時間半を越える作品なのですが、前半は主人公サムの職探しやアポロ計画の隠された目的など、後半のための伏線的なストーリーが続いて、これが結構長い。もっと短くしてもいいように思いました。

 3Dで見たのですが、街の広い範囲を俯瞰で映している場面では、ミニチュアのように見えました。立体的には見えるのですが、スケール感がヘンでした。うーむ、他の3D映画でもこんな感覚だったかなあ。

 今回登場するオートボットで、ヒゲ(らしきもの)が生えているのがいるのですが、ああいうデザイン処理は作品全体の印象を子供向け(子供だまし)っぽくしますね。ウルトラマンキングのヒゲを思い出してしまいました(^^;)。

2011年8月7日日曜日

『カーズ2』

★★★★☆

あいかわらず、ピクサー作品に外れなし。その中でも、かなり好きな方だと思います。

今回は、 007のようなスパイアクションものの要素が入っているので、ゴールはミッションの成功であることが明快で、そこに向かってどんどん話が展開していく感じが心地よいです。

このスパイ映画モードがレースとは別に進行するので、レースもしくはカーチェイスで、いつも車が突っ走っている印象。とにかくスピーディです。

映像もきれい。個人的には冒頭の波が荒い海のリアリティが印象に残りました。

監督のジョン・ラセターが宮崎駿と親交があるのは有名ですが、建物の屋根から屋根へ跳んでいくシーンや時計塔の内部の歯車だらけの機械室のシーンは、宮崎駿監督作品の『ルパン三世 カリオストロの城』へのオマージュのようにも見えました。

黒幕の正体は、私が想像したとおりだったのでちょっと残念な気もしましたが、全体としては充分満足できました。

ただ一つ、ピクサー作品おなじみ、併映の短編作品が、いつもよりちょっと物足りない気がしました。これまでの短編は、長編作品とは全く関連のないオリジナルの作品が多く、しかもセリフがないものも多かったと記憶しています。にもかかわらず、短い時間の中でその世界観も伝わり、起承転結がつけられていました。今回は、トイ・ストーリーの設定を借りてきて、セリフもちゃんとあったけど、独立した作品としてはイマイチかも。

2011年7月18日月曜日

『コクリコ坂から』

★★★☆☆

ていねいに作られているし、『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』あたりの難解なファンタジー路線よりはずっと好きだけど、飛び抜けた何かがあるというわけでもないのかな。

舞台が横浜の山手だということで注目していました。映画で描かれている時代から約20年後、私は山手にある学校に通っていたので、昔の山手はこんな感じだったのかなあと、興味深く見ました。根岸線ができる前は横浜にも路面電車が走っていたというのは、知識では知っていても、絵として見せられると俄然イメージが広がります。

昭和の生活を描いているところは『ALWAYS三丁目の夕日』と似てますね。けっこう好きかも。
大学生を中心とした学生運動ですら身近ではない世代なので、高校生が学生集会を開くというのは、自分の中には全く持っていない感覚でした。うちの学校、当時は生徒会すらなかったからなあ。

長澤まさみの声はすぐそれとわかりましたが、岡田准一は意識しないとわかりませんでした。他にも有名な俳優さんがいっぱい参加しているはずですが、どのキャラクターを誰が演じているのかわかったのは意外と少なかったなあ。それはつまり、声の演技が自然に絵にハマっていたということだと思いますが、俳優さんの個性はあまり感じられなかったということでもあるのかもしれません。

2011年7月2日土曜日

『127時間』

★★★☆☆

崖から落ちて、手を岩に挟まれて動けなくなってしまった男を描いた作品。

少し前に、ワンシチュエーションものの『リミット』を見たので、身体を拘束されて動けない人を描くという点では共通する部分が多いと思いました。
そして、生き延びるための究極の選択という点では、『岳 ガク』を思い出しました。

話の内容は結構シリアスなのですが、映像はデジタル動画編集ソフトのエフェクト使いまくり!という感じで、かなりイマドキな効果が使われていました。意外とポップな作品なのかと思ったら、最後の描写はあまりにキツ過ぎ、直視できないほど。なので星3つ。

2011年6月27日月曜日

『アンダルシア 女神の報復』

★★★★☆

なかなかよくできていたんじゃないでしょうか。

謎解きの要素もあり、アクション、サスペンスの要素もあり。さらに、スペインの美しい風景や街並みが劇場のスクリーンに大写しになるだけでも絵になるわけで、邦画の大作として、盛り込める要素をいっぱい詰め込んであります。

織田裕二、黒木メイサ、伊藤英明の外国語を交えた演技も堂々たるものだと思ったし(語学力については、よくわかりませんが)、ちょっとしか出てこない福山雅治も結構印象に残ります。前作に引き続き登場した戸田恵梨香は…まあ画面に花を添えただけだったかな(^^;)。

このシリーズは、映画2作もテレビドラマもそれなりに楽しめましたが、たぶん黒田の行動って完全に外交官の仕事の範囲を逸脱していると思うんですよね。外交官である必要があったのかなあ。

そういえば、映画封切り前は、「外交官黒田の最後のミッション」と宣伝していた気がしますが、実際に見てみたら続編可能な終わり方でした。今作に対する反応を見て今後のことは考えるパターンかな。

『奇跡』

★★★★☆

私の苦手な(^^;)ロードムービー系。でも、割とほのぼのした映画で、見終わったあとの気分はなかなかよかったと思います。

両親が別居して、福岡と鹿児島で別々に暮らすようになった小学生の兄弟が、九州新幹線の一番列車がすれ違う瞬間を見ると奇跡が起こるというウワサを信じて、熊本まで出かけるというお話。

まえだまえだの二人がいい芝居をしています。お兄ちゃんは割と沈みがち。弟はいつもポジティブ。
新幹線を見に行くという冒険の前と後で、彼らの生活は何がどう変わったわけではないけど、沈みがちだったお兄ちゃんはちょっとだけ前向きになった感じがしました。このちょっとだけ何かが変わったという演技がよかったと思います。

もっと鉄道にフォーカスが当たっている映画かと思っていたのですが、そうでもなかったかな。

個人的には、何度か訪れたことがある鹿児島の街をスクリーンで見ることができて楽しめました。

『SUPER 8』

★★★☆☆

 んー、他の映画のいろいろな設定をくっつけた感じですかね(^^;)。

 列車事故。
 なかなか姿を表さないモンスター。
 ビデオカメラ(この作品では8mmだけど)に偶然映っていた真実。
 子供たちの群像劇。
 子供たちと異星人の交流。
 軍がひた隠しにする研究。

 でもまあ、悪くはないと思います。

 それにしても、誰一人として知らない(少なくとも記憶に残っていない)役者さんばかりだったなあ。

 ところで、『SUPER 8』というのは、アメリカで有名な8mmカメラ(フィルム?)の規格らしいのですが、私はてっきり、8人の子供たちが活躍するからだと思っていました(^^;)。

2011年6月4日土曜日

『プリンセス トヨトミ』

★★★☆☆

この作品は、相当前から映画館で予告編が流れていて、大阪が実は国家だったという設定や、誰も人がいない大阪の街の絵面が面白かったので、ぜひ観に行こうと決めていました。
ただ、予告編でこんなに重要な設定を見せてしまって、本編ではそれ以上のどんなものが見られるんだろうと疑問でもありました。

そういう前段階を経て本編を見ると「あれれ、そういうテーマの作品だったの??」という感じ。私が期待していたものとはかなり違いました。
予告編で明かされていた設定と、作品の主要なメッセージが今ひとつ合っていないような気もします。だから、部分的には面白いと思う要素があるのですが、作品全体として強く訴えかけてくるという印象ではなかったと思います。

中井貴一の、抑えた中にも信念を持った大阪国総理大臣の演技はよかったなあ。
あと、茶子役の沢木ルカという女優さん、なんかまだカラーが定まっていないような気がするけど、とっても印象に残りました。

2011年5月21日土曜日

『ブラック・スワン』

★★★☆☆

以前から言っているとおり、私はアカデミー賞で評価されるタイプの映画は、どちらかというと苦手なことが多いようです。
『ブラック・スワン』も、やっぱりそっち系な気がしました。でも、この映画の評判がいいのは、何となく理解できました。

レオナルド・ディカプリオ主演の『シャッターアイランド』という映画があったけど、精神が崩壊していく中で、何が事実なんだかわからない倒錯した世界を描くという点では、似ているのかなあ。それをバレエの世界で描いているので、ずいぶん雰囲気は違うかもしれないけど。

ハンディカメラを多様していて、歩いたり踊ったりしている人物を舐め回すようにカメラも動き回るので、見ていてちょっと疲れました。

ナタリー・ポートマンは、すごくよかったと思います。







2011年5月19日木曜日

268

以前から、健康診断でコレステロール値が高めで、運動をするよう厳しく指導されたので、自転車通勤を始めました。
実はもう一つ、ランチの後、会社の周辺を20分ほど歩くようにしています。

歩いてみると、色々と発見があります。

船橋は比較的古い街なのでしょうか、住宅街に入ると、とにかく細い路地が網の目のように広がっています。私も、その先に何があるかわからない道は大好物なので、公道だか私道だかわからないような細い道を見つけると、どんどん入って行きます。で、結局行き止まりだったり…。

住宅は、比較的最近建てられたと思われるものもありますが、昭和30年代ぐらいから時が止まっているような雰囲気の家も結構ありますし、ほとんどバラックのような家もあり、なかなか刺激的です。

そんな中、風呂屋が結構たくさんあることに気づきました。私自身は、特に風呂屋に思い入れやあこがれがあるわけではないのですが、なんだか象徴的な感じがしました。



2011年5月15日日曜日

『はやぶさ HAYABUSA BACK TO EARTH』

★★★★☆

小惑星探査機はやぶさの軌跡をたどったドキュメンタリー映画。もともと各地のプラネタリウムで上映されていた映像に、さらに映像を追加して劇場公開したものだそうです。上映時間も1時間足らずで、料金は500円でした。

フルCG作品で、はやぶさプロジェクトに携わった人たちは一切出てきません。技術解説や発生したトラブルの説明もかなり簡略化されていた気がします。それでも、はやぶさ飛行コースや、はやぶさが地球を使ってスイングバイを行い、進路と速度を変えたこと、それが制御技術上非常に難しいことなどが、わかりやすいビジュアルで開設されていました。

ナレーションも文学的というか情に訴える系で、サイエンス系のドキュメンタリーとしてはちょっと物足りないと思いましたが、広く一般の人に見てもらうならこんなものでしょう。

個人的には、科学技術系の偉業に感動できるタイプなので、物足りなさは感じつつも、結構楽しめました。

はやぶさをテーマにした映画は、竹内結子さんが出演するものとか渡辺謙さんが出演するものなど、いくつか制作されるようです。そっちは、もっと人間ドラマになるのでしょうし、もしかしたらフィクションの要素が強くなるかもしれませんが、たぶん全部見ちゃいそうな気がします。売り上げの一部が、次のはやぶさ2のプロジェクト資金になったりはしないんでしょうね。そのくらいしてもいいのに。



『岳 -ガク-』

★★★★☆

ひとことで言えば、山岳版の海猿ですね。

山岳救助をテーマに話を作るとしたら普通こうなるだろうというストーリーで、特にひねりがあるわけではありません。
でもまあ、命の現場なので、それなりのドラマにはなっていたと思います。

小栗旬演じる三歩のキャラクターですが、シーンによって、少年のように屈託がなく(若干おつむが足りないように…)見えたり、最高の山岳技術と信念を持ったプロフェッショナルに見えたり、ちょっと定まっていない印象でした。もともそそういう人物像なのでしょうが、何か引っかかりました。

それにしても、やっぱり壮大な山の景色は絵になります。山頂に一人立つ小栗旬を空撮の超望遠からグーッと引いていくカットは、それだけで山という存在の大きさや美しさや恐ろしさを伝える説得力があります。
ストーリーの合間に入る様々な山の表情に、★一つオマケです。





2011年5月8日日曜日

『八日目の蝉』

★★★★☆

実はもともと観るつもりはなかったけど、意外と評判がいいので観る気になった作品。

何というか、大人の映画ですね。
誘拐事件が解決して20年近く経った後の物語なので、テーマは謎解きではなく、誘拐事件が関係者の心の中に残した"闇"。一見普通の生活が戻ってきているようで、みんなが事件の記憶を抱え、みんなが幸せをつかめないでいる、何とも重たい作品。

役者も力のある人ばかりで、派手は感情表現もちょっとした表情や間も、とてもよかったと思います。
永作博美は、これまでの実績から全く不安なし。
井上真央も予想以上でした。いまどきの女優にとって、テレビも映画も特に区別はないのかもしれませんが、今回の彼女は、完全に映画女優に見えました。
余貴美子の変なキャラも印象に残りました。何でも出来ちゃう人ですね。
よかったのは小池栄子。彼女は『20世紀少年』のときの怪演が強烈に印象に残っているのですが、今回もちょっとキャラ作り過ぎなんじゃないかと思うほど。でもそれが、何となく納得できちゃう気がするのが不思議なところ。

映像的には、セリフなしでスローモーションで見せるカットが効果的に使われていました。

評判がいいのも納得できました。




『阪急電車 片道15分の奇跡』

★★★★☆

ほのぼの系のあったかい作品。けっこう好き。

舞台は阪急今津線。なぜこの路線を選んだのかわかりませんが、ローカル線でもなく、幹線とも言えず、あまりにも普通すぎて注目されにくいというところを狙ったのでしょうか。私は関東人なので、映画から見た印象だけですが、かなり絶妙な感じがしました。

電車の車両、駅の様子、駅員や車掌の車内アナウンスなどもしっかり描かれているので、電車が好きな人はそれだけでも楽しいかも。また、阪急線沿線の人たちなら、自分の生活圏内の映画なので、さぞかし楽しいことでしょう。

タイトルに"片道15分"とあったので、この時間にはこだわりがあるのかと思いましたが、別に実時間で作られているわけではありませんでした。途中に回想シーンなんかを挟みながら物語が進行するから、仕方がないですね。

もともと知り合いではない人たちが、阪急電車の中でどのように関わりあうのかと思ったら、結構直接的に関わっていましたね。私は、もっと弱いつながりを予想していました。特に、最後、中谷美紀と戸田恵梨香が仲良くなるところは、個人的にはなくてもいい気がしました。あの感じだと、その後継続的に付き合っていきそうな雰囲気でしたが、電車の中でお互いの人生が一瞬だけ交差する、その刹那の物語で終始した方がいいと思うのですが…。

出演者は関西出身の人とそうでない人がいたようですが、割と関西弁は抑え気味?というより下手な感じがしましたが、これも関東人である私には正確な評価ができません。
戸田恵梨香さんが関西出身なのは何となく気づいていました。
関西の人は、カ行の母音をはっきりと発音する傾向があります。例えば「タクシー」なら、関東の人の場合は「takshi-」とほとんど"k"の子音のみしか聞こえませんが、関西の人は「takushi-」となり、"ku"の母音の"u"をはっきりと音に出します。
戸田恵梨香さんの発音は、関西弁のセリフではなくても、このカ行の母音の特徴がはっきり現れています。
後の出演者の出身地は知りませんでしたが、調べてみると予想以上に関西出身の人が多いようです。なんと、芦田愛菜ちゃんも兵庫県出身のようです。





『GANTZ PERFECT ANSWER』

★★★★☆

派手なアクション映画として、面白いと思います。
ただ、それだけといえばそれだけかなあ。かなり特殊な状況設定をして、その中で繰り広げられる戦いと心の動きを描いているわけですが、その状況設定について説明しなさ過ぎ(GANTZの採点風 ^^;)。"PERFECT ANSWER"という割に、観客に投げかけた謎の多くは謎のままの気がします。少なくとも、私にはわかりませんでした。
気のせいか、最近こういう傾向の作品がちょくちょくあるような…。ちょっと強引なくらい特殊な状況を作らないと、新鮮な作品にならなくなってきたのかなあ。

で、謎が解けた部分に関しては、意外と普通。例えば、敵側の松山ケンイチは誰なのか?最後の二宮くんの決断とは?この辺は予想の範囲でした。

そんなわけで、この作品は重箱の隅をつつくように見てはいけません。その時その時のアクションに注目して、「おお、派手にやっちょる、やっちょる」という味方をすると、かなり満足度が高いと思います。

ところで、GANTZって、ロボコンのガンツ先生からきているネーミングなんでしょうか?だって、生徒たちにミッション与えて、その結果を採点するのは同じですよね。

ガンツ先生:「ロボコン、0点」
ロボコン:「ウララ〜」

って感じでしたっけ。懐かしい(^^;)。



2011年5月3日火曜日

サンノゼ紀行(その7) 帰国

行きはサンフランシスコ空港から乗り合いタクシーでホテルまで送ってもらいました。
帰りも同じ方法でホテルから空港に行く方法もあるのですが、駅がホテルからとても近いことがわかったので、帰りは鉄道を使うことにしました。空港までは、ほぼ1時間ぐらいのようでした。


これがサンノゼ駅。ここから、カルトレインという列車でサンフランシスコへ向かいます。
アメリカの鉄道事情はよくわかりませんが、多くの人が自家用車を使っているようなので、おそらく鉄道の利用率は高くはないのではないでしょうか。駅の感じも、日本の感覚からするとちょっとローカル線っぽく感じました。
自販機でのチケットの購入方法はガイドブックに載っていたのでスムーズ、時刻表も手に入れましたが、何番線からどの列車が出発するのか、どこにも表示がありませんでした。しかたがないので、その辺の人に聞いてみたのですが、みんな自信なさげ。
結論としては、正しく狙った列車をキャッチすることができました。



カルトレインはこんな感じ。大きなバッグを持っている場合は、Luggage Carという車両に乗ると入口近くにバッグ置き場があります。中は2階建てですが、通路部分は吹き抜けになっています。途中で検察があったのですが、乗務員は1階と2階の検察を一気に片付けていました。
カルトレインは車掌の車内アナウンスがあるのですが、日本の車内アナウンスは独特の発声やしゃべり方ですが、アメリカのもなんかちょっとヘンなしゃべり方だった気がします。
ちなみに、座席は自由席…だと思います。購入したチケットには座席番号はなかったし。

カルトレインでMillbraeという駅まで行ったら、ここでBartという列車に乗り換え、1駅か2駅ほどで、空港の国際線ターミナルに直結しています。
このBartの券売機がめちゃめちゃわかりにくくて閉口しました。いまだによくわからないのですが、券売機の横に貼ってある料金表で金額を確認して、その金額を券売機の画面内で指定するのですが、券売機に入れた金額から必要分を差し引くという表示になっていたような気がします。そして、金額の入力は、1ドルボタンを2回押すと2ドル差し引かれるというようにボタンを押す回数で行います。それを私はクレジットカードで買おうとしたので、なんだかさっぱり。結局周りの人に助けてもらいました。"It is difficult!"と言ったら"I know."と返されました(^^;)。ユーザビリティ、もっとがんばってね、アメリカ。
さらに、空港駅で改札ゲートを通ろうとしたらゲートが開きませんでした。駅員に声をかけたら「どこから乗った?」みたいなことを聞かれたのですがMillbraeの駅名が出てこず、ゴニョゴニョ言ってたら、「もういいから通れ」みたいな感じになってしまいました。ちぇ。

そんなこんなで、サンフランシスコ空港に到着。行きの成田空港までの道のりを考えたら、寝てたら着いた、ぐらいの感覚です(^^)。

空港では、チェックインもスムーズ。荷物検査では、服の下が透けて見えちゃうと話題のボディスキャナーを初体験。まどんなふうに見えているのか自分ではわからないので、なんてことありませんでした。それより、ここにはボディスキャナーの他に通常のゲートもあって、空港スタッフが「お前はこっち、あんたはあっち」と乗客を振り分けているのですが、なぜ私がボディスキャナーの方だったのかが気になります。


サンフランシスコというのカリフォルニア州で暖かいイメージがありますが、実際はそうでもないそうです。なので、上着を用意してこなかった観光客が、慌てて空港で買った「San Fransisco」と書かれたパーカーを着ているのをよく見かけるのだそうです。確かに、空港には「San Fransisco」パーカーが沢山ありました。



キティちゃんはこんなところにもいました。しかも、何か妙な着ぐるみを着ているので、サンフランシスコのご当地キティちゃんなのかも。すごいぞ、キティちゃん。



そして、その他諸々、空港の風景です。

この後私は、日本人だらけのデルタ航空に乗り、約12時間のフライトの後、無事成田に到着しました。
最初は成田空港に着けるのかドキドキし、アメリカ滞在中は日本に帰れるのかドキドキさせられた思い出深いアメリカ出張は、こうして終了したのでした。

2011年5月2日月曜日

サンノゼ紀行(その6) シリコンバレー・ツアー

サンノゼというと、いわゆるシリコンバレーの一部で、周辺には超メジャー級のIT企業がゴロゴロとあります。出張中、1日だけオフということにして、ざっと回ってきました。

Adobe Systems Inc(345 Park Avenue, San Jose, CA)



Adobeはサンノゼのダウンタウンにあります。なので、ここだけは仕事のある日の帰り、ホテルに戻る途中で立ち寄りました。都会の中の高層ビルで、1階に受付カウンターとシンプルなロビーがある、日本の企業の、本社のイメージに一番近い雰囲気でした。当然ですが、入れるのはロビーまでです。


Apple Inc(1 Infinite Loop, Cupertino, CA)



Appleがクパティーノというところにあるのは知っていましたが、Infinite Loop(無限ループという意味ですよね?)という住所だったとは。リンゴマークの看板もあったのですが、住所が書かれた看板を撮ってみました(たぶん、わかる人にしかわからない)。
Apple本社にはカンパニーストアがあって、ここでしか手に入らないアップルのロゴ入りグッズなどが売っています。でもMacやiPodはありません。…と聞いていたのですが、iPadや周辺機器、ソフトウェアなども売っていて、普通のApple Storeの雰囲気でした。
せっかくなので、アップルロゴマーク入りのタンブラーとシャツを買ってみました。


Appleの原点のガレージ(2066 Crist Drive, Los Altos, CA)



Appleの歴史などが書かれた本を読むと、もともとはコンピュータ好きの若者たちが自分たちの成果を持ち寄って見せ合う、サークル活動のような中で、JobsとWozniakが出会い、意気投合したことからスタートしたと言われています。その時の会場はガレージだったとか。
で、そのガレージがここだったんだそうです。
といっても、今ここにJobsが住んでいるわけではなく、ごく普通の住宅です。


PARC(3333 Coyote Hill Road, Palo Alto, CA)



ゼロックス・パロアルト研究所(Xerox Palo Alto Research Center)といえば、アラン・ケイが、ダイナ・ブック構想を実現すべくAltoというコンピュータを開発したところ。Altoはアイコンやメニューをマウスを使って操作する、いわゆるGUIを備えたコンピュータで、研究用に相当数作られたのですが、結局市販されることはありませんでした。
ここに、Appleの開発者たちが見学に来て見せられたAltoに衝撃を受けて作ったのがMacintoshです。その後MicrosoftもWindowsを発表することになり、GUIがパソコンの標準となっていくことを考えると、PARCは極めて重要な出発点なのです。
ちなみに今はXEROXから独立した会社組織になっているようです。
そして、この建物には今、仮想化技術で勢いのあるVMwareも入っており、建物内でそのスペースをどんどん広げているとか。


Hewlett-Packard Co(3000 Hanover Street, Palo Alto, CA)



hpは、サンノゼではとても存在感がある企業のようです。アイスホッケー会場も"hp pavilion"と冠がついているし。本社も広大で、建物とかはよくわかりません。その辺一帯がhp。日本でもhpはメジャーですが、パソコンもプリンタもシェアのトップ争いをするほどではありませんが、アメリカではいずれもシェア1、2位を争うポジションにいるはず。その辺りも含めて、日本とはイメージが違うのかも。


Facebook Offices(1601 South California Avenue, Palo Alto, CA)



Facebookもここにありました。
ところで、Facebookのコーポレートカラーは濃いブルーだと思っていました。ところが、建てられた看板はエンジっぽい赤。見落とすところでした。Facebookのwebサイトはどうもわかりにくく、あまりユーザビリティやUIがわかっていないのではないかと思っていたのですが、CIもわかってなさそう。
ちなみに、今回訪れた場所はPalo Altoでしたが、たしか Facebookは、かつてSun Microsystemsがあった場所(Menlo Park)に拠点を移すと発表していたはず。次は青い看板にすることをお勧めします(^^;)。


hpの原点のガレージ(367 Addison Avenue, Palo Alto, CA)



hpの歴史についてはくわしくないのですが、やはり出発点はガレージだそうです。
この写真の、フェンスの向こうに見える三角屋根の小屋がそれ。そしてここがシリコンバレー発祥の地ということになっているそうで、案内板も立っていました。


Google(1900 - 1950 - 2000 Charleston Rd, Mountain View, CA)



Googleも、その辺一帯がGoogleとしか言いようがないスケールでした。しかも、通りの名前が"Google"のようです。

ついでですが、上の「大きな地図で見る」からGoogleマップへ移動し、Googleの敷地の周りの道をストリート・ビューで見てみると面白いです。やたらとたくさん人や自転車が写っているのですが、こっちに向かって手を降っています。どうやら、Googleの社員がいつストリート・ビューの撮影車両が通ることを知っていて、わざと出演しているようです。


Yahoo!(701 1st Ave, Sunnyvale, CA)



Yahoo!といえば、Web黎明期に検索ビジネスを立ち上げて一気に中心的な役割を担うことになった会社ですが、今アメリカでは、Googleが圧倒的に強く、苦戦を強いられていると聞きます(ちなみに、日本ではGoogleよりYahoo!Japanの方がシェアが大きかったはず)。身売りの話もしばしばあるのですが、実際に会社を見てみると、そんな状況の企業とはとても思えない大きさです。


Intel Corporation(2200 Mission College Blvd, Santa Clara, CA)



Intelといえば、もちろんCPUを始めとするチップメーカー。ここは、博物館やショップが併設されているのですが、残念ながら時間が遅かったため、もう閉まっていました。


Computer History Museum(1401 N Shoreline Blvd, Mountain View, CA)


順番は前後しますが、Computer History Museumという博物館に立ち寄りました。ここ、入場無料なのですが、展示はとても充実しています。ソロバンなどの電気を使わない計算ツールから始まって、真空管からどんどん集積回路が進化していく過程や、ワークステーション、パソコン、サーバなどの歴史を、製品の展示でたどることができます。私の場合、Macを中心としたごく一部の知識しかありませんが、CPUに詳しい人でもサーバに詳しい人でも、かなりワクワクすると思います。



ありました。XEROX Alto。モニタが縦長なのは、現実の紙を模したからです。当時のコンピュータディスプレイは黒地に緑の文字が一般的でしたが、Altoは白地に黒文字。これも紙っぽくするためです。向かって右側にマウスがありますが、左側には、小さなピアノの鍵盤のような入力デバイスが見えます。これは、ピアノで和音を弾くように色々なキーの組み合わせに応じて処理を実行する、ショートカットのような機能を持っていたと聞いたことがあります。



残念ながら、展示してあるAltoは電源が落とされていました(そもそも動くのかどうか??)が、画面の写真が展示してありました。ウィンドウやポップアップメニュー、アイコンらしきものも確認できます。現在のMacやWindowsの面影があるようなないような…。
XEROXはAltoの後、StarというGUIシステムのワークステーションを市販します。Starの日本語版がJ-Starで、実は私はJ-Starを仕事で2〜3年使ったことがあります。AltoのアイコンデザインはJ-Starのものとテイストが似ているような気がします。



これがApple I。このころのコンピュータはキットとして販売されていたそうです。現存するApple Iは大抵このような木のケースに入っているのですが、このケースもキットの一部なのか、それとも購入者が自分で用意したものなのか、よくわかりません。


これがApple II。コンピュータを、このようにプラスティックのケースに収めた完成品として販売するようになったのはApple IIが最初らしいです。Appleの最初のヒット商品。



Palm Pilot。PDA(Personal Digital Assistant)という言葉と概念はAppleがNewtonプロジェクトに際して打ち出したものですが、おそらく商品として成功したのはPalm Pilotの方でしょう。Newtonが理想を追い求めたのに対して、Palm Pilotはいい具合に現実的な落とし所にまとめた印象でした。
今はもうこのPDAは存在しませんが、そのOS、Palm OSだけは一時SONYに買われ、Accessに買われ、今はhpがWeb OSという名前で持っており、アメリカではこれを搭載したスマートフォンやタブレットを発表しています。つまりiPhone、iPadの対抗馬です。AppleとPalmの不思議な縁ですね。


IT企業が集まっているとはいっても、実際に回ってみると相当広い範囲に点在しており、それらをつなぐ公共交通機関は整備されていません。流しのタクシーもそんなに見かけないので、事実上車がないとこのようなツアーは不可能です。今回私は、サンノゼ在住の友人が車を出してくれたので、1日でこれだけの企業を巡ることができました。実は、偉そうに解説していますが、どこをどう回るかも全て友人が探し考えてくれたもの。その節は本当にお世話になりました。