2015年10月31日土曜日

『ギャラクシー街道』

★★★☆☆

実際に観に行く前に、映画のレビューサイトを見たらかなり酷評されていて心配だったのですが、実際に観てみた印象としては、私はそこまで悪くないと思いました。

批判の中に「コントっぽい」というのがあったのですが、もともと三谷作品はコメディであり、舞台っぽい見せ方をする傾向があるので、コントとの境界線を引くのは難しいと思います。
宇宙モノの作品で、宇宙人や宇宙船などのビジュアルがいかにもチープなのも狙いだと思います。

ハンバーガーショップ内で複数のエピソードが並行して進み、それぞれが色々な形で交わるオムニバス的作りは『有頂天ホテル』と似ていると思います。
『有頂天ホテル』は、見ている側が気づかないような関係であったり、意外な切り口であったりが唐突に示されて、そこに驚きと笑いと、最後にすべてのピースがぴったりとはまる心地よさがありました。でも、宇宙人を持ち出してしまうとどんな意外性もアリになってしまうので、ちょっと安易でデタラメで、制約がない分ピースが埋まった感じが乏しくなっているのかもしれません。
個人的には『有頂天ホテル』はとても好きな作品なので、それと比べてしまうと確かに差は感じます。

主人公の香取くんが、割とイライラしている役で、あまり笑える感じのイライラな演技ではなかった気がします。


公式サイトは、こちら。
http://galaxy-kaido.com

2015年10月27日火曜日

『図書館戦争 THE LAST MISSION』

★★★☆☆

実際は、星3.5ぐらいかなあ。

少なくともその世界観の中ではかなりよかったと思います。事件の事の起こりから結末までの流れも面白かったし、戦闘シーンも迫力があったし。榮倉奈々さん演じる笠原が単純すぎるところは気になりますが(^^;)。あとは松坂桃李くんの敵役は、ちょっと狂気を強調しすぎな気がしました。

あとはもう、図書の検閲とそれを阻止する図書隊が武力でぶつかり合う社会という世界観が受け入れられるかどうかだと思います。私の場合、そこにどうしてもリアリティを感じないので、少し点が低くなってしまいます。
百歩譲ってそういう対立構造があったとして、いつ良化隊と図書隊のドンパチが始まるかわからない図書館を楽しく利用する一般市民の心理がよくわかりません。

タイトルには"LAST"とついているのでシリーズ最後の作品なのかと思いきや、特にそういうストーリー展開ではありませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://www.toshokan-sensou-movie.com/index.html

2015年10月26日月曜日

『マイ・インターン』

★★★★☆

自分としてはあまり観ない路線の作品ですが、予告編を見てちょっと気になり、評判も割とよさそうだったので観てみました。

アン・ハサウェイもよかったと思いますが、彼女だけだと普通のキャリア・ウーマンの話になってしまいますから、やっぱりこの作品を特徴づけているのはシニア・インターンであるロバート・デ・ニーロの存在。実際、作中の彼はとても魅力的に描かれていました。

で、実際作品の印象はよかったのですが、冷静に考えてみるととてもフワフワした雰囲気重視の作品だった気がします。
ロバート・デ・ニーロ演じるシニア・インターンのベンが、アン・ハサウェイ演じるジュールズを仕事の上でもプライベートでも支えていくわけですが、なぜベンにそれができたのかがほとんど説明されていません。
リクツづけなんかどうでもいいと言われればそれまでですが、まあ多少なりとも、ベンのアナログな仕事の進め方がメール中心のジュールズの仕事のやり方の欠点を補完したとか、ジュールズの抱えているトラブルと同じ体験をかつてベンもしていたとか、そういうこの人だからうまくいった根拠みたいなものをさりげなく示すのがこの手の映画の常套手段だと思います。
それがほとんどなく、ベンはひたすら穏やかに微笑んでジュールズを見守っているだけです。それでも見ている側がなんとなく納得してしまうのは、ロバート・デ・ニーロの穏やかな微笑みが本当に救いになりそうな笑顔だからだと思います。

アン・ハサウェイは、あのタレ目が結構好きなのですが、少し前に『インターステラー』を見たとき「この女優さん、誰だっけ?」と完全に忘れていました。
あらためて調べてみると、それ以前の彼女の出演作では『アリス・イン・ワンダーランド』と『ダークナイト ライジング』を観ているので、そのどちらかのときに「この人、いいなあ」と思ったのだと思います。

ジュールズの会社は、ファッション系のネット通販会社。日本のテレビドラマでもいわゆる"業界モノ"は数多く作られていて、本当にその業界の人が見るとヘンテコな描写も多いようですが、ハリウッド映画はどうなのでしょう?なんとなーく、この作品の業界描写も雰囲気重視なんじゃないかと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/

『探検隊の栄光』

★★★☆☆

未確認生物とかを探しに行く探検隊モノのテレビ番組を昔はよくやっていました。
前人未到の洞窟に足を踏み入れたはずに探検隊を、洞窟の中から撮影していて「カメラマンが先に入ってるだろ!」とネタにして楽しむような番組でした。

そういった番組の撮影隊をテーマにしたコメディなので絶対面白いに違いないと、わざわざ新宿まで行って、1800円払って観てきたのですが…うーん、悪くはないと思いました。

ツッコミどころ満載の探検隊モノ番組撮影の様子を面白おかしく描いていたのは予想どおり。その場の成り行きで撮影している様子と、そうやって撮影した映像に派手な字幕とナレーションをつけて番組にするとどうなるかを対比して見せるのも面白かったのですが、なぜか笑えるほどの面白さではなかった気がします。

命に関わるような切迫した状況でも撮影を優先したりする様子が、作品内では撮影クルーの情熱として描かれているのですが、見ている側からすると単なる無謀にしか見えなかったりするあたりで、共感できないところがあったからかもしれません。

探検隊番組に目をつけたところはすごくいいと思うし、それだけに期待が大きすぎたのかなあ…。

公式サイトは、こちら。
http://tanken-movie.com

2015年10月19日月曜日

『心が叫びたがってるんだ。』

★★★★☆

とてもよかったと思います。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、いわゆる『あの花』のスタッフが作った新作だそうですが、残念ながら"『あの花』を僕はまだ知らない"のですが、とりあえず評価が高いことだけは知っていたので、ちょっと観てみようかと思いました。

映画館で予告編を何度か見て、ちょっと妄想世界のような描き方があったので、そういう表現ばかりだと私は苦手なのですが、全体から見ると時間的にも表現的にも控えめだったと思います。

ストーリーは、子供のころのトラウマで声が出せなくなった女の子が、クラスでオリジナルのミュージカルをやることになり、歌を歌ことで自分の気持ちを表現しようとする。その姿に影響されて、クラスが一致団結する。恋あり、友情あり。という、かなりガッツリな青春学園モノで、あらすじだけ説明すると金八先生みたいですね(^^;)。

ミュージカルをやることになった経緯から本番までの彼らの活動の様子も、人間関係の変化もとても丁寧に描かれていて、大事件が起きまくるわけでもないのにダレる感じもなく、ミュージカルの楽曲は作っている最中はヘンテコな曲だと思いましたが、最後の本番では意外とちゃんと聴けました。エンディングの乃木坂46の歌までいい歌に聴こえてしまいました(^^;)。

これだけちゃんとした作品なのに、女の子のキャラクターデザインなどがどうしても二次元好きな一部の人をターゲットにしている印象があり、逆に言うとそれ以外の人を排除してしまうのは、かなりもったいない気がします。

公式サイトは、こちら。
http://www.kokosake.jp

2015年10月12日月曜日

『バクマン。』

★★★☆☆

『DEATH NOTE』が面白かったので(珍しく原作マンガを買った)、同じ原作者のこの作品も興味があったのですが、結局原作は未読のまま、映画を観てみました。

ひとことで言うと、青春スポ根ドラマのマンガ版という感じでした。単純明快。
何に情熱を燃やせばわからずいた高校生がマンガと出会ってのめり込んでいく様子。
原作と作画というペアで活動するので、そこに生まれる信頼や友情とちょっとした確執。
強力な敵が現れ、勝敗を競い合う構図。
同級生との淡い恋。

マンガ執筆の話ですが、どちらかというと主人公2人の奮闘ぶりを前面に押し出していて、業界裏話的なエピソードや描写はあまり重視していない気がしました。そんな中でも、週刊少年ジャンプ編集部の連載決定プロセスとかはちょっと興味深かったです。

当然映画の中で、登場人物が作ったいろいろなマンガ作品やアイデアが出てきます。映画の中では「すげー面白れー」と言っていたものが私には特に面白く感じませんでした(^^;)。そういったマンガの中身を細かく説明することはないのですが、実際のところどのくらい完成されたものを用意してあったのか気になります。

映像は結構面白かったです。どうしても地味になりがちな執筆中の描写とエンドロールが特に。

サカナクションの音楽は、疾走感があってカッコよくて、でも汗や泥の臭いは感じないので、この文化系スポ根ドラマにはよく合っていたと思います。

公式サイトは、こちら。
http://bakuman-movie.com

2015年10月10日土曜日

『アントマン』

★★★★☆

ずいぶん前から予告編をやっていて、最初は興味がなかったのですが、ジワジワと観てみたくなりました。

もともとは決して正義感の強い人間ではない主人公が、しかたなくアントマン役を引き受けるという筋書きとか、随所に織り込まれる笑いの要素などが、ちょっとB級映画っぽいのですが、それも含めて楽しめました。
この作品は続編が作られるそうですが(いかにもそういう終わり方でした)、観てもいいかなと思わせるものでした。

ところで、昆虫サイズのヒーローというと、私はどうしても『ミクロイドS』を思い浮かべますね。共通点は昆虫モチーフの小さいサイズのヒーローということだけだと思いますが、40年以上前に同じようなアイデアを出していたとは、あらためて手塚治虫はすごいなあ。
『ミクロイドS』の主題歌には「心を忘れた科学には…」云々という、科学の暴走に対する警鐘とも言える一節があります。当時のアニメ主題歌としてはやけに社会的なメッセージだなあと思って調べてみたら、阿久悠作詞でした。あらためて阿久悠はすごいなあ。

公式サイトは、こちら。
http://marvel.disney.co.jp/movie/antman.html

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』

★★★☆☆

原作とは全く違うストーリーだそうですが、そもそも原作をよく知らないので、単体の映画作品として観た印象です。

後篇は、いろいろな謎が明らかになって、ストーリーに決着がつくものと思っていました。
確かに謎の答は登場しましたが、意外とさらっと流した感じで、深く踏み込んでいないのがちょっと拍子抜けしました。で、その内容も割とありがちな印象でした。
ストーリーの決着という点でも微妙。壁の外の世界に憧れているエレンは、結局壁の外に出ることはなかったし、あの終わり方だと、人類の壁の中での暮らしは特に大きく変わることはなさそう。
はっきり言ってしまえば、いかにも続編がありそうな終わり方でした。

映像はよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.shingeki-seyo.com/index.html