2010年12月31日金曜日

『最後の忠臣蔵』

★★★★☆

 2010年の最後に『最後の忠臣蔵』を観てきました。

 私は、赤穂浪士の話は、何となくしか知りません。それでこの映画を見ても充分理解できないのではないかと心配でしたが、私が知っている知識だけで充分楽しめました。

 “忠臣蔵”だけあって武士の忠義の話ですが、その徹底ぶりが尋常ではありません。役所広司演じる孫左衛門は、苦悩や誘惑に直面しても、常に忠義を貫きます。それも、彼の主君はすでにこの世にいないのに。彼の穏やかな口調、抑えた演技から、その忠義があらがいがたいものという以上に、彼にとって当たり前のものだということを感じさせます。
 どこまでもそんな調子かと思ったら、クライマックスに、彼の苦労が報われたと感じさせるシーンがあって、予想以上に感動してしまいました。我ながらニッポンジンだなあ(^^;)。

 役所広司、佐藤浩市の演技は、毎度おなじみ、安心感があります。役所広司は『十三人の刺客』でも武士の役でしたが、どちらかと言えば『最後の忠臣蔵』の方が、彼らしい役のような気がします。
 桜庭ななみは、かなり頑張っていたと思います。彼女、CMぐらいしか見たことがなくて、特に関心もなかったのですが、意外と魅力的でした。安田成美の芝居は久しぶりに見ましたが、もうベテランの風格(^^;)。

 シネコンでは、どの劇場で上映するか、どんなスケジュールで上映するかを、客の入りを見ながら判断しているような気がします。この作品は、あまりお客さんが入っていないのか、小さい劇場で上映回数も少なめ。今日も、私を含めて5人ぐらいしか観客がいなかった様子でしたが、いやいや、なかなか味わい深い作品だと思いました。

 というわけで、2010年に映画館で観た映画をあらためて数えてみたところ全27本。これでも、月に2回以上観ている計算になります。自分のペースでは、これが限界でしょうね。
 来年はどうなることやら。







2010年12月23日木曜日

『TRON LEGACY』

★★★☆☆

 久しぶりに見た、ガッツリハリウッドSF作品。視覚的には、乗り物、建物、コスチューム、何もかもが、これぞSFな感じのデザイン。自分が学生のころ、未来の乗り物をデザインしなさいと言われたら、こんなモノをイメージしただろうという造形で、古典的な未来(なんか逆説的 ^^;)。でもそれは、わかりやすいカッコ良さということでもあると思います。

 ただ、ストーリーは、大筋はわかったのですが、トロンの世界観で使われる用語が色々とあって、唐突にその言葉が出てくると「あれ、何のことだっけ?」と、戸惑うことがしばしばありました。

 3D作品ですが、それほど効果的ではなかったかも。

 ところで、オリジナルの『TRON』のことはリアルタイムで知っていました。ディズニーが作った本格的なCGを使った作品だというので見たいと思ったものの、結局見ませんでした。当時、ディズニーといえば手書きのフルアニメーションで、気持ち悪いくらいヌメヌメと動く印象だったので、CGという無機質な表現と結びつかず、「なぜディズニーがこんなことを?」と疑問に思ったものです。







2010年12月12日日曜日

『武士の家計簿』

★★★☆☆

 原作も同様なのですが、タイトルに“家計簿”とついている割に、ストーリー全体から見ると家計簿が重要な感じはしません。むしろ『そろばん侍』とかの方が、内容にマッチしていると思います。

 ストーリーは、貧乏だけど、一生懸命働いて、倹約して、子どもの教育に熱心な、ある下級武士一家のホームドラマ。
 割と淡々としていて、ちょっとおかしくて、ほのぼのした作品。

 主演の堺雅人は、最近いろいろな作品に引っ張りだこで「またか」という印象はあるのですが、この作品の役は彼にぴったりハマっていると思います。





2010年12月4日土曜日

『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

★★★☆☆

 私は、オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』が本当に大好きだったので、特に最初のテレビシリーズから『さらば宇宙戦艦ヤマト -愛の戦士たち-』に関しては、各話のあらすじはもちろん、部分的にはセリフや芝居の間、BGMのタイミングまで覚えていたりします。そういう人間が“実写版”と称する作品を観るとどうなるかというと…、どう評価していいのか全く判断できませんでした。

 まず、とにかくオリジナルとの共通点と相違点にたくさん気づいてしまいます。
 ヤマトのサイズの設定が違うこと、ヤマトクルーの所属や性別の設定が違うこと、何人かオリジナルの声優さんが登場していること、ガミラスの正体がオリジナルと違うこと、波動砲の発射プロセスがオリジナルとほとんど同じこと、…枚挙にいとまがありません。
 作品鑑賞というより間違い探しのようで、だから評価不能なのです。

 断片的に、気がついたことをいくつか。

 全体として、あまり戦いに明け暮れている感じがしませんでした。たぶん、ガミラスの正体も、地球攻撃の目的も、基地がどこにあるかもわかっていないという設定なので、突然何の前触れもなく敵が現れて、圧倒的な強さで攻撃されて、ヤマト側は結局波動砲で決着をつけるかワープで逃げるしかパターンがなかったからだと思います。まあ、オリジナルのように、何十発くらっても沈まないのもリアリティがないのですが…。

 イスカンダルまでの航海が、あまり長く感じませんでした。作品の中では、結局行って帰ってくるまでにどれだけの時間がかかったのか明らかにされませんでしたから、本当に短期間だったと言われればそれまでなのですが。地球出発前と地球近辺に戻ってきてからのエピソードもあるのでやむを得ないとは思うものの、意外とあっさりした旅でした。オリジナルの映画版もこんなもんだったかなあ…?

 地球との交信可能距離を越える前に、全乗組員に個人的な通信を許可するエピソードは、私の記憶が合っていれば、オリジナルTV版全26話の中で2話しかない、ガミラスとの接触が全くない回だったはずです(ちなみに、もう1話は、イスカンダル滞在中)。子供のころ、この回もそれなりに面白く見たのですが、戦艦の物語で戦闘の要素がないというのは不思議な感じがしました。今思うと、人間ドラマとして重要な回だったのだと思います。実写版にこのエピソードを盛りこんであるのは「やるじゃん」という感じ。ただ、あそこまでするなら、沖田と古代が地球に別れを告げるシーンもあってよかったかも。

 相原役のマイコさんは、意外とよかったですね。オリジナルの相原は通信士で男性。彼が重要な役割をするエピソードがいくつかあるものの、基本的には地味な脇役。実写版で設定を女性に変えても、存在感は地味なままなんだろうと思っていました。実写版の相原は、役割としてはオリジナルの太田と森雪を合わせたような感じ。戦闘が始まるときは、まず最初に彼女が敵を発見するので、ストーリー展開にあまり影響はしないものの、意外とセリフも多いし存在感もありました。

 エンドロールを見ていたら「原作 西崎義展」とありました。今回の映画が公開される少し前に西崎氏は亡くなっているのですが、オフィシャルWebサイトでも(テレビで見る限り)舞台挨拶でも、特にこれについてのコメントはないようですね。そして、松本零士氏にいたっては、一文字も見当たりませんでした。やはりヤマトの原作者について触れるのは、タブーということなのでしょうか。












 

2010年11月23日火曜日

『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』

★★★★☆

まだ公開されていませんが、映画の方を先に知りました。で、その原作が小説ではなく、教養本だということを知って、ガゼン興味を持ちました。

読後の印象を率直に言えば、元になった資料が家計簿だということを、読者としてものすごく強く意識したという感じではなかったかな。武士の経済活動をテーマにした一般的な教養本というイメージ。

実際、「金沢藩士猪山家文書」には日記や手紙も含まれており、これによって彼らの行動や思考が明らかになっている部分も多いようです。さらに、巻末の参考文献には様々な著書や論文が多数掲載されており、この本が書かれるにあたって、武士の家計簿は、重要ではあるかもしれませんが、資料の一部に過ぎなかったことがうかがい知れます。本のタイトルとしては非常にキャッチーでいいと思いますが。

内容的には、様々な経済的課題が発生するごとに対策を講じて解決していったというよりは、家財を売り倹約して莫大な借金を返済したことが全てという印象でした。明治になってからは、猪山家はどちらかというと成功者で、困窮した生活とは無縁の状態なので、見方によっては、ちょっと期待はずれでした。

それでも、倹約生活の中でも、武士が何にお金をかけて、どこを削っていたのかがかなり詳細にわかるので、意外な事実を色々と知ることができました。もしかしたら、もう少し家計簿にこだわって、いつどんなものをいくらで購入したのかを追いかけるような内容でもよかったかもしれません。

これが、森田芳光監督によって、どんな映画になるのか、ちょっと楽しみです。


2010年11月6日土曜日

『SP THE MOTION PICTURE 野望篇』

★★★☆☆

 テレビシリーズは、何となく見始めて「あれ、結構面白い」と思っていました。

 「野望篇」はテレビシリーズの復習のような印象を受けたのですが、きっとテレビシリーズから3年も経って内容は忘れている私のような観客への配慮でもあるのでしょう。でもそれは、言い換えれば内容的には中途半端というか、独立した作品としてはちゃんと成立していない気もします。

 ところでこの作品は、SPの仕事を派手なアクションとともに楽しむ、という主旨のものだと思っていますが、そのために必須だとは思えない設定がいくつかあります。

 岡田准一演じる井上には予知能力があります。そのおかげで要人が襲われるのを未然に防ぐことができるのですが、こういうSF的設定があると、リアリティが薄れる気がします。
 また、堤真一演じる尾形が大いなる野望を抱いていることは確かにストーリーを謎めいたものにしたり、邪悪で強い敵を作り出すのに都合がいいとは思いますが、そこまでいくとSPよりも自衛隊の出番じゃないの?とツッコミたくなります。

 それほど非日常的な設定がなくても、SPという仕事には様々なドラマが作れそうな気がしますし、アクションを見せることもできるように思えます。
 最終的に「革命篇」を見て、どんなふうに自分が納得できるか、結論はもう少し保留。

 あまり細かいことを気にせずに、アクションを楽しむことに徹すれば、なかなかいいと思います。









2010年10月31日日曜日

恩田→つつじが丘

私は、東急田園都市線、青葉台駅の南側のつつじが丘で育ちました。
私が生まれてから数えても43年経っていますが、私の知る限り、その数年前から住宅地として開発され、入居が始まったようです。ということは、もうそろそろ50年。歴史を振り返ってもおかしくない時期になってきたように思います。

私の手元にこんな資料があります。私の両親がつつじが丘に家を購入するときの、物件の案内です。資料は昭和37年度となっています。うちがつつじが丘に引っ越してきたのは、確か昭和38年(1963年)だと聞いた気がします。


田園都市線沿線は、東急が宅地開発したのですが、田園都市線の敷設と周辺の住宅地開発を同時進行でやっていたようです。両親がつつじが丘に引っ越してきた時点では田園都市線は溝の口まで。この資料を見ると、長津田まで延長予定となっています。
子供のころ、周りの大人たちからよく「田園都市線の周辺ではよくタヌキが出た」と聞かされました。つまり、ゼロから山を切り崩して造成して、鉄道を引いて家を立てて、今の田園都市線周辺の町が作られたということですね。


この資料には「つつじが丘」という地名が出てきません。地図を見る限り、私の家は「恩田」として説明されています。ただ、うちの住所が「恩田」だったとは聞いたことがないので、入居する時点では「つつじが丘」と決定していたのでしょう。
ちなみにここは、今は「青葉区つつじが丘」ですが、私が子供のころは「緑区つつじが丘」、そしてさらにその前には「港北区つつじが丘」だったようです。この資料には、「横浜市港北区恩田町字榎久保6800番外」と紹介されています。今となっては「字」だったことや「番外」だったことが信じられません。


当時の一戸建ての金額はこんな感じ。赤く塗られているのがたぶん我が家。土地は81坪で約130万円。建物が約77万円。全部あわせて220万円弱。安!


間取りはこんな感じ。もちろん平屋。実際は、この図の上下反転した間取りでした。これは、2LDKということになるのかな。


どうです?歴史的価値を感じる、なかなか面白い資料でしょう?

2010年10月23日土曜日

空が高すぎる

ようやく秋を感じられる季節になりました。
秋(冬も?)の澄んだ青空を、”空が高い”と表現することがあります。まあ、実際に高さを感じているかというとちょっとあやしい気がしますが、空の色やすがすがしい空気なども含めた心地良さを、誰かがあるとき”空が高い”と表現したのが、一般的な言い回しとして定着したのかもしれません。

小田和正の作品に「空が高すぎる」という歌があります。この作品は、もともとオフコースのために書かれたらしいですが、結局は小田和正のソロ作品として発表されることになったそうです。1985年、数か月間彼がアメリカに滞在し、現地のミュージシャンやエンジニアと組んで作ったアルバムに入っています。
日本語詞なので、現地の人達と一緒に音作りをするためには、歌詞の意味を彼らに説明して理解してもらう必要があるのですが、「空の高さが変わるわけないじゃないか」とどうしてもわかってもらえなかったそうです。なるほど、アメリカにはそういう感覚や言い回しはないようです。
「天高く馬肥ゆる秋」という中国の故事がありますから、アジア人は空の高さを感じるのかもしれません。

そういえば「空が高すぎる」には、英語詞バージョンがあります。「After forever」というタイトルで、Randy Goodrumという人の作詞ですが、日本語詞とは全く異なる内容になっています。
日本の古典で、方丈記や、平家物語とかもそうでしょうか、”無常”という世界観があります。私は「After forever」の歌詞を読んだとき、「ああ、これは”無常”観を歌った歌だな」と思ったので、勝手に日本的な感じがしています。アメリカ人には空の高さはわからなくても、無常観はわかるのでしょうか。







2010年10月18日月曜日

『大奥』

★★★☆☆

 ストーリーも、役者の芝居も別に悪くはないのですが、男女逆転という設定がなぜ必要だったのかわかりませんでした。冷静に考えてみると、もし男女の役割が完全に逆転したら、結局世の中の愛憎のドラマは同じようになるのが当然ですよね。
 この作品が男女逆転でなかったら…と、想像してみると、これといって矛盾なく成立すると思います。
 となると、単にヒネった設定にしたかったから、あるいはボーイズラブっぽいシチュエーションにしたかっただけなのでは?と勘ぐりたくなってしまいます。

 二宮くんは、顔も雰囲気もちょっとなよっとしたお調子者のイメージがあって、そこが逆転大奥に向いているのかと思ったら、剣の達人ですごく男らしい芯の強さを持ったキャラクターでした。私としては、かなり違和感。

 柴咲コウの吉宗は、世直しをなさんとする名君らしさがよく出ていたと思います。でも残念ながらこのお話は『大奥』なので、政治家吉宗の活躍は見られません。そこがなんともチグハグな印象でした。

 キャストで一番役にハマっていたのは、やっぱり佐々木蔵之介かなあ。









2010年10月11日月曜日

強制起訴

 小沢さんの強制起訴。検察が不起訴相当と判断したものを、一般市民による検察審査会が繰り返し起訴議決すると、強制起訴になるそうな。
 当初、検察が不起訴としたのは、確たる証拠が見つからなかったからだという話だった気がします。では検察審査会の判断は、充分な証拠があるということなのか、それとも「あいつは信用できないから、起訴してでも追求してやる」という感情なのでしょうか。

 法廷の原則は「疑わしきものは罰せず」。"証拠がないと勝てないから起訴しない"というと、とても弱腰に聞こえますが、"証拠がないとということはその人は無罪かもしれない"ということですよね。罪を犯した人に罰を与える必要があるのと同時に、罪を犯していない人に罰を与えてはならないわけで、この二つは全く同じ重みを持っていないといけないと思います。罪を犯したと言えるかどうかの判断は、極めて慎重に行わなければいけません。その唯一の判断材料が"証拠"なのだとしたら、証拠が見つからない場合は罪は問えない、というのはごく自然な結論だと思えます。

 一般市民の感情としては、起訴=リングに上げるということなのでしょう。不起訴は戦いを放棄すること。確かに、印象として、相手をリングにまで引きずり上げた方が追い詰めた感じはするし、その人に対しての疑いがいかに強いかを表現することにはなると思いますが、そういった感情論を極力排除して客観的な証拠の積み上げで議論するところに、近代的な法廷システムの価値があるように思います。

 そういえば、裁判員制度も法廷への市民参加ですが、この制度も結果として量刑を重くする方に働く気がします。例えば殺人罪だとすると、一般市民にとって人を殺すということは、殺した人数や残虐性にか関わらず、大変なことです。犯人が、どう反省しようが更生しようが、被害者は戻ってこないわけで、取り返しようのない大罪に感じます。どんなに刑期が長い懲役刑でも足りなく感じるものだと思います。
 それに対して、現在の法律では、例え殺人罪であっても、極力犯人の更生に期待するという発想で罪の重さが決められていると思います。少なくとも私は、殺人を犯してちゃんと更生できた人がどれだけいるのか知りませんから、それが妥当かどうか判断できません。つまり、妥当ではないとも言えません。

 検察審査会、裁判員制度に共通するのは、法律のプロの方が寛大で、一般市民の方が残酷な傾向にあるということ。それはたぶん、一般市民は、いかに罪を問うか、いかに罰を与えるか、という一方的な発想になりがちですが、プロはそれに加えて、いかに罪を問わないか、いかに許すか、という逆方向の視点も持っているからだと思います。
 社会のあるべき姿を俯瞰的に見るなら、私はプロのようなバランスの取れた視点の方がいいように思えます。

 ところが、裁判官、検事、弁護士が事件を起こすこともしばしば。せっかく私が、プロの視点を評価しようとしているのに、残念なことです。

2010年10月2日土曜日

『十三人の刺客』

★★★★☆

 内容的には、江戸時代を舞台にしたバイオレンス映画。人間の手足も首もチョンチョンと飛び、映像的にも血みどろで泥まみれ。極めて野蛮。ただそこに、サムライの忠義だったり命を投げ出す美意識だったりが加わると、とても深いドラマに思えてくるから不思議。
 一応、残忍な殿様が幕府の要職については世の中が乱れるので、それを防ぐためにその殿様を暗殺するという理由づけがあるのですが、どう見ても社会派ドラマではないし、結局は派手なチャンバラを見せるための、ストーリー上のお膳立てだと思います。

 最近の時代劇は、現代人にもわかりやすいセリフ回しが多い気がしますが、この作品は、これぞ侍言葉という感じのセリフが多く感じました。女性の化粧も現代的ではなく、はっきり言ってあまり美しくないのですが、現代人に媚びない「時代劇」にしたかったのでしょう。私はいいと思いました。

 役所広司は、どちらかというと物腰が柔らかで、刺客のリーダーとしてはどうかと思っていたのですが、その物腰の柔らかさがかえって武士らしい秘めたる決意を感じさせて、これはこれであり。
 松方弘樹は殺陣が素晴らしくかっこよかったのですが、それ以外の場面での物腰、ちょっとべらんめえの入った口調、見事な武士っぷりでした。
 伊勢谷友介の野人っぷりもなかなか。彼と岸部一徳が、このバイオレンス作品の中でちょっとだけコミカルな要素を加えていて、いい塩梅でした。
 稲垣吾郎演じる殿様の残忍さは、映画公開前から話題になっていましたが、本当に思いっきりやってます。他人の痛みがわからず自己中心的な彼の哀れさが、最近の若者像と重なるような気がしましたが、作る側には、そういうメッセージを込めようという意図があったのでしょうか。

 刺客が13人もいるので、何人か目立つ人はいるのですが、どうしてもその他大勢になってしまう人もいました。それはちょっと残念。連ドラならともかく、映画一作品で13人はちょっと多いのかも。

 ともかくも、時代劇好きでもバイオレンス作品好きでもない私が、ああ、これがチャンバラ映画の面白さなんだな…、とわかったような気がした作品。









2010年9月30日木曜日

高島彩

 フジテレビアナウンサーの高島彩さんが、明日でめざましテレビを卒業して、年内でフジテレビも退社するそうです。

 私がめざましテレビを見始めたのは、当時のメインMCの小島奈津子さんが好きだったから。なので、小島さんがやめるときはすごく残念でした。彼女もかなり長く出演していたので、小島さんがいないめざましテレビは想像ができませんでした。
 高島さんは当時、まったくめざましテレビに関わりがなく、どんな人なのか私はよく知りませんでしたが、何かの番組で、酒飲みだとかギャンブル好きだとか言っていたような記憶もあり、「なんでこの人なんだろう?」「もうめざましテレビを見るのはやめようかな」と思ったものです。
 小島さん出演の最終回には、大塚さんが号泣していたのが印象的。高島さんになった最初のころは、大塚さんと高島さんの呼吸もイマイチで、大塚さんは本当のところ高島さんを受け入れていないように見えました。そして私は、そんな大塚さんにとても共感していました。

 それから7年半。今や高島さんのいないめざましテレビを想像できなくなりました。特別大好きということはありませんが、安定感はあるし、硬軟どちらもOKだし、リードもフォローもいけるし、とにかく番組の柱として安心して見ていられる存在。最初に私が抱いていたマイナスの印象を完全にひっくり返すのだから、やっぱり力があるのでしょう。

 あるとき、めざましテレビの中で高島さんと男性アナウンサーが組んでニュースを伝えていたときのこと。両者のやりとりのタイミングが合わなかったらしく、高島さんが拝み手のゼスチャーで”ゴメンね”サインを送っていたことがあります。あれは本来画面に映らないはずだったのが、たまたまカメラのスイッチングがおかしかったために視聴者に見えてしまったものだと思います。男性アナウンサーの方を見るわけでもなく、原稿に目線を落としたまま、手だけで”ゴメンね”サイン。
 高島さんは、視聴者からの人気も高いようですが、共演者やスタッフからの信頼が厚いそうです。あの”ゴメンね”サインを見たときに、周りの人達の信頼の訳がわかった気がしました。

 高島さんがめざましテレビをやめるのは残念ですが、いつまでも一人の人に頼っていていいはずもありません。彼女が抜けても、きっとまた新たな柱が登場するのでしょう。
 さて明日のめざましテレビ。私の一番の注目ポイントは、大塚さんが号泣するかどうかです(^^;)。

 高島さん、お疲れ様でした。

2010年9月23日木曜日

『THE LAST MESSAGE 海猿』

★★★★☆

 海猿は映画だけでも3作目、テレビドラマもあったので、確実にパターン化しているわけですが、変にひねろうとせず、ベタなほどわかりやすい作りが意外とよかったと思います。

 映画の2作目とは特に状況が似ていますが、たまたま仙崎と一緒に現場に取り残された新米の潜水士とのエピソードが、ちょっとだけ新しい味付けだったと思います。よくある話といえばそれまでですが、、すっかり成長した仙崎と、仙崎に刺激されて成長し始める新米潜水士という関係で、前作からの時間経過にリアリティを感じさせたようにも思います。

 「THE LAST MESSAGE」というタイトルで、”シリーズ完結編”と宣伝していたと思いますが、特に終わりだと感じさせるような内容ではありませんでした。続編、あるのかな。同じようなパターンで続編が見たいかと言われると微妙ですが…。









『東京島』

★★☆☆☆

 木村多江という女優さんの、名脇役ぶりには以前から関心がありました。彼女が主役ということでこの作品も見てみたいと思いました。

 映画全体の印象を一言でいうと、”無人島を舞台にしたロードムービー”でしょうか。いろいろなできごとが次々と起こり、登場人物の気持ちも行ったり来たりを繰り返しますが、それでストーリーがどこかに収束するわけでもなく、なんとなーく終わります。カタルシスがない、と言えばいいのでしょうか。私は、ロードムービー系は苦手です(^^;)。

 作品のテーマは”女は強い”ということに尽きると思いますが、その意味では木村多江のような、ちょっと地味めの人をキャスティングしたのはよかったと思います。こういう人でもサバイバルになるとこんなに強くなるのか、というギャップが表現できるので。

 窪塚洋介は、良くも悪くも窪塚洋介でした(^^;)。無人島なのに協調性がなくて、屈折していて、いつものようにイッちゃってるキャラ。落下事故以降はじめて彼の演技を見ましたが、まったく変わっていませんでした。

 その他大勢の若者たちはフリーターで、仕事が嫌で逃亡してきたという設定。イマドキの若者らしく描こうとするとああいうふうにしかならないのかもしれませんが、とにかく計画性もなく忍耐力もなく移り気で、その瞬間が楽しけりゃいいじゃん的な奴らばかり。もはやイマドキの若者ではない私としては、見ていて結構イライラしますね。


2010年9月18日土曜日

『悪人』

★★★☆☆

 予告編は何度も見ましたが、モントリオールで深津絵里が最優秀助演賞をとっていなかったら見なかったかもしれない作品。でも、『フラガール』の李監督だから気にはなったかも。

 作品のトーンは『フラガール』のような明るさ、脳天気さが全然なくて、終始暗くてじめっとした感じ。作っている側の意図はわかりませんが、舞台となっている地方都市のさびれた感じと相まって、画面全体に虚しさが漂っています。ストーリー的にも、登場人物が誰ひとりとして幸せにならない展開なので、演出としては徹底しています。

 賞をとったのは深津絵里ですが、もともとすごく上手な女優さんなので、『悪人』での演技が彼女のキャリアの中で特別よかったようには思いません。いつもと同じようによかった、という印象でした。私が彼女に一目置くようになったのは1996年の『(ハル)』からですが、この作品でも、日々をけなげに過ごしているけど何か虚しいという女性を見事に演じていました。
 どちらかというと、妻夫木聡の方が『悪人』のために役を作りこんで、他の作品での彼とは違う姿を見せていたように思えます。

 にもかかわらず星3つなのはなぜだろう?たぶん、この手の路線の映画としては完成度が高いけど、私自身はこの路線がそれほど好きではないからかな。

 また、タイトルは『悪人』ですが、妻夫木聡演じる主人公は、それほど悪い人に思えませんでした。もちろん殺人を犯してしまうのですから良い人ではありませんが、積極的に悪の道を突き進む人ではなく、人生に対して消極的でネガティブで、弱くて虚しい人だと思いました。『弱人』、『虚人』とかね。







2010年9月11日土曜日

『カラフル』

★★★☆☆

 決して悪い作品ではないと思うのですが、何か物足りないというか的のど真ん中じゃないというか、そんな感じがしました。

 気になったのは、まずキャラクター描写。リアル路線でいきたいのか、マンガっぽくいきたいのかよくわからないところがあって、見る側として気持ちが定まりませんでした、風景は一貫してリアル、キャラクターのしぐさなども結構細かいところまで描写されているんだけど、顔や表情の描き方がある瞬間、いかにもマンガ的フォーマットに見えてしまいました。

 そして、声の演技が、全般的にどうしても棒読み調に聞こえました。最近のアニメは、声優ではなく俳優が声を当てることが多くて、それがいい方に転ぶ場合もありますが、この作品は、私にとってはちょっと…。
 実は、細田守監督の『時をかける少女』『サマーウォーズ』などのアニメ作品でも、声の演技が棒読み調に聞こえてしょうがないので、最近のアニメ作品の傾向なのかも。

 まあそんなわけで、正直、実写の方がよかったかもしれないと、思ったりします。

 ストーリー的には、小林真の体を借りて蘇った主人公の思考や行動が、割と稚拙で自己中心的でなんだかなあ、という感じでしたが、最後の"謎解き"で一応納得できました。







2010年9月7日火曜日

GOOD DESIGN EXPO 2010

去る2010年8月29日(日)、東京ビッグサイトで開催されていた『GOOD DESIGN EXPO 2010』に行ってきました。

会場は屋内ですが、こんなふうに飛行船が回遊していました。

日曜日だったせいもあるのでしょうが、大変盛況。デザインに興味ある人、多いんですねえ。

パナソニック電工のON/OFFスイッチ付きコンセント。テーブルタップではスイッチ付きもよく見ますが、コンセントは初めて見ました。「入/切」の表示もメカ的に切り替えていてエコ。こういうのは、作ったもん勝ちみたいなところがありますが、さすがパナソニック、抜け目がありません。

味噌汁の素。最初これを見たとき、ウィダーインゼリーのように、朝忙しい時にそのまま飲む味噌汁なのかと思いました。カップに入れてお湯を注ぐのが正解。だとすると、こういう容器にするメリットってなんなのでしょう?

ホンダの、カセットコンロのガスを燃料とする発電機。ホンダは同じくカセットコンロのガスを使って動かす耕運機を作っていますが、同じ部門で開発したそうです。災害用なのかと聞いたら、レジャー用だそうです。操作手順が全く想像できませんでしたが、本体に番号付きで手順が書かれていました。

確かサムスンだったか、韓国製AV機器のリモコン。韓国語表記のリモコンがとても新鮮だったので、思わず撮ってしまいました。

三次元加工機。デモ用に人形がクルクル動いていましたが、よく見ると実際には削られておらず、すでに完成した人形の表面+1cmぐらいのところに先端部がくるように調整されていました。操作画面は、20年前のパソコンといった風情でした。

2方向に引き出せる引き出し。これがありがたい状況というのがなかなか思い浮かびませんでしたが、とりあえずこういうトリッキーなのは好き。

USB、LAN、電話線、アンテナ線の中継もできるテーブルタップ。何となく、見たこともない風貌が気になったので撮影しましたが、本当にこれらのケーブルをひとまとめにすることが便利なのかわかりませんでした。

インスリン注射器です。こういう分野も、デザインで課題解決できることがたくさんあると思います。…が、何よりもこのおじいちゃんが笑顔で腹に注射器を突き立てている姿のインパクトがすごい(^^;)。

これは筆なのですが、指人形のように指先にはめるという斬新な提案。習字の練習用なのか、ただ面白いでしょ、ということなのか、ちょっとわかりませんでした。実際に試用してみましたが、意味もなく面白いです。

オートバイに乗る人が使うバッグにつける注意灯。原理はよくわかりませんが、ペラペラのフィルムみたいなものが点滅していました。オートバイとかバッグとか、やけにピンポイントの使用状況を想定していますけど、もっと色々な場で使えそう。

ここからは、自転車をいくつか撮ってみました。というのは、今使っている自転車が壊れたので、次、どんなのにしようか考えているところだったのです。基本、タウンユースで、だけどそこそこ遠くまでも行けて、折りたたみにはこだわらないけどコンパクトな感じ、というのが私の希望。

その1。

その2。

その3。

その4。

で、実はこの中のひとつを買うことに決めました。本当な試乗してみたいのですが、出来そうにありません。
私が選んだ自転車はGマーク取るかなあ?

2010年9月3日金曜日

事実は小説より…

小説はときどき読みますが、自分で書いてみようと思ったことはありません。にもかかわらず、ごくまれに「こんなストーリーは面白いんじゃないか」と思いついちゃったりすることがあります。

例えば一番最近(といっても数年前)思いついたストーリーのあらすじはこんな感じ。

 ある時、新幹線がトンネルを通過中にトンネルの崩落事故が起こる。トンネルの両方の出口はふさがり、列車は、一部脱線、一部損壊して、乗員乗客を乗せたままトンネル内に閉じ込められてしまう。乗員乗客は一部死亡。一部負傷。元気な人が200人(ぐらい)。救助が来るまで2か月(ぐらい)。何とかして、生存し続けなければいけない。
 その列車に乗り合わせていたある人が、どんどんアイデアを出していく。自己の記録を克明に残すこと。携帯電話は、全員分をみんなの共有物として、代表者が1日1回外部との定期連絡に使うこと。ただし、ときどきは各自から家族への通話を認めること(トンネル内で携帯って使えるのかなあ)。新幹線の各車両を、霊安室、病室、食堂、レクリエーションルーム、寝室など、目的ごとに分けること。新幹線に残っている水と食料を公平に配給すること。などなど。
 そのうちに、その人をリーダーに、食量班、医療班、レクリエーション班、通信班などが組織され、さまざまな問題に対処するようになる。やがては、現状の資産を無駄なく運用するだけではなく、道具や電気や食料を作り出すまでになる。
 2か月後、救助隊がトンネル内に到着してみると、完全に組織化された”社会”がそこに出来上がっており、生存者はみんな生き生きと生活していた。そして、そこにいたるまでの詳細な記録資料が残されていた。

もうお気づきだと思いますが、私が小説にするまでもなく、チリの鉱山でそっくりな状況の事故が起こってしまいました。世の中、不思議なものです。

私が、こんなアイデアに至ったのは、”秩序”というものの意義をちゃんと考えないといけないんじゃないか、と最近よく思うから。
世の中のしくみは、最初からそこにあるものではなくて、自分たちで作っていくものです。逆に言えば、みんながグダグダな生き方をすれば、社会システムもグダグダになってしまいます。最近の世の中にちょっとそんな危機感を覚えます。
そして、秩序は個々人を多少制限しますが、実は社会全体を合理的に運営するいい方法なはずです。最近はそういう不自由さを嫌う人が増えている気がしますが、自分勝手、身勝手レベルの人も少なくないように思います。

で、「既存の社会システムを一旦全部捨てて、ゼロから秩序を構築するとどうなるのか?」ということと、「秩序によってモノゴトがうまく行くのはどんな場面か?」ということを考えていくうちに、上記のような設定がひらめいたのです。仮タイトルは『地底都市』。

あ、くれぐれも言っておきますが、私がこの小説を完成させることはたぶんないと思います。誰か代わりに書いてくれるなら、私を原案ということでクレジットしていただいて、印税をひとつよろしく。

2010年8月28日土曜日

クミン

 ここしばらく、日常のちょっとしたことはtwitterで済ませてきましたが(今後もそうなる可能性大)、今日は珍しくブロクにしてみます。

 コレステロール対策のためお肉控えめの食生活をしていると、ガツンとパンチのある食事が恋しくなる時があります。
 肉や油を摂らずにパンチを感じるには?
 私の場合は、量を増やす、味を濃くする、噛みごたえのあるものにする、とろみをつけるなどで、パンチのある、というか食った食ったという満足感が若干上がる気がします。
 味は、濃くした方がパンチを感じますが、塩分の摂り過ぎも良くないので、そうなるとだしを濃い目にするとかスパイスをきかせるといった方法で、味に強さを加えることになります。

 今日はトマトのスープを作りました。具は玉ねぎ、ニンジン、ジャガイモ。作り方はほとんどカレーと一緒。ただ、カレーのルーの代わりにパスタ用のトマトソースを入れるだけ。もちろん肉はなし。トマトソースにオリーブオイルが入っているので、若干油あり。で、パンチを足すために、ちょっと多めのコショウと、ガラムマサラ、コリアンダー、クミンを入れてみました。

 実は、昨年モロッコに行ったとき、レストランの各テーブルによく塩とクミンが置かれていました。タジン料理などに自分で塩とクミンをかけることがあるようです。私はテーブルのクミンは一度も使わなかったのですが、日本に戻ってきてから、何となく気になってクミンを買ってみたのです。でも、使ってみたのは今回が初めて。

 できあがったトマトスープを一口食べてびっくり。
 あ、モロッコ料理の味だ!
 なるほど、モロッコ料理らしさの決め手はクミンらしい。当然といえば当然ですが、テーブルにクミンが置いてあるぐらいなので、出てくる料理にも日常的にクミンが使われていたはず。あの独特の香りと味がクミンだったと今ようやくわかりました。

 こんど、タジン料理を作るときは絶対クミンを使おうっと。


2010年8月9日月曜日

『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら』

★★★★☆

なるほど、面白い!というのが率直な感想です。

一応、小説という形態をとっていますが、やっぱりマネジメントの入門書、解説本の一種なのかもしれません。『マネジメント』からの引用も多いし、その内容をかなり直接的に高校野球に置き換えているので。
ドラマとしてのふくらみはもちろんあるのですが、『マネジメント』と組み合わせるというアイデアがなければ、特筆するものでもなかったかも。

『マネジメント』の抽象的、概念的な内容を、高校野球という具体的な事例に置き換えて示してくれるところが、この本の価値のような気がするのですが、それならもう一段、具体的に描写してくれればいいのに、と思うことがいくつかありました。それはちょっと残念。

それから、この小説は約1年間の物語なのですが、もうちょっと長くてもいいと思いました。本としてはそれなりの厚みがあったのですが、割といい紙を使っているので、意外とページ数が少なくて、量的にやや物足りなく感じました。これで1680円は、正直高いかも…。

とはいえ、ビジネスノウハウを小説の形態で書く、というアイデアはすばらしい。こういう手法、これから流行るかもしれませんね。


『インセプション』

★★★☆☆

 いやあ、SF的な設定がかなり複雑で、大まかにしか理解できませんでした。たぶん何回か見直さないと、何がどうなっているんだか、細かいところまでは理解出来ないと思います。

 渡辺謙は、いい味出していると思うのですが、一貫してディカプリオvs渡辺謙という対立関係なのかと思っていたらそうでもなくて、映画全体を通してみると、それほど活躍していたという印象でもないですね。

 最初の方の仲間を集める場面で、これはきっとモロッコじゃないかと思う場所が出てきました。自分が行った場所そのものではないのですが、街の雰囲気がなんとも言えずモロッコ。あとで色々調べてみると、どうやら本当にモロッコでロケをしたようです。

 映画の内容とは関係ないけど、会社帰りに途中下車してレイトショーで見たら、終電が終わってしまい、3.5駅分ぐらい歩いて帰りました(^^;)。普段、その映画館はレイトショーでも必ず終電に間に合う時間に終わるのですが、もしかしたら夏休み時間でスケジュールを組んであるのかも。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年7月25日日曜日

『トイ・ストーリー3』

★★★★☆

 『トイ・ストーリー』の日本公開は1996年。あのときは、川崎の映画館で見たはず。当時、フルCGアニメというと、機械的で正確ではあるものの、物理シミュレーションのようで“演技”にはほど遠いという印象を持っていたのですが、『トイ・ストーリー』のキャラクターの演技っぷりにぶっ飛んだものでした。

 あれから14年。劇場公開されたピクサー作品はおそらく全部見ていますが、やはり『トイ・ストーリー』の冠が付くと、あの原点を思い起こして感慨もひとしおです。
 いまやCGキャラクターが演じることは当たり前。3Dも当たり前になりました。
 ストーリーはとてもシンプルですが、おもちゃと大人になったご主人との別れをテーマにしているので、にぎやかで楽しい中にもどこか切なさが漂っています。

 同時上映の短編もあいかわらずよくできていますが、今回のはあまり3D効果が発揮できない作品だったのと、手描きアニメっぽい表現も目立ち、それがいかにもアメリカンだったのがちょっと気になったかな。

 見たのは字幕3D版。吹き替え版より大人向けという印象があるので、レイトショーでやっていそうなものですが、なぜか朝8:45からと18:00からの2回のみ。日曜日、会社に行くときより早起きして8:45の回に行ったら、観客は10人程度。字幕版はよっぽど人気がないのか、8:45という早めの時間が敬遠されているのか…。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年7月24日土曜日

『借りぐらしのアリエッティ』

★★★★☆

 予想よりもずっとよかったと思います。

 最近のジブリ作品は、一見かわいいキャラクターに包まれているけど、中身はとても観念的で、“理解”しようとしてもよくわからないものが多かった気がします。

 その点、『借りぐらしのアリエッティ』は、いたってシンプル。小人って何者なのか?とか、彼らの種族は存続できるのか?とか、語られないこともあるけれど、まあそこにSF的なリクツをつけるより、もし小人がいたら?というところからスタートして、小人の暮らしをわかりやすく視覚化しています。小人のスケールで見た日常の世界が堪能できるというだけでも、この作品はなかなか楽しいと思います。音も、人間目線のときと小人目線のときで変えてあって、なるほどと思いました。
 アリエッティは心優しく活発な女の子で、このキャラクター設定は一昔前の宮崎作品っぽくて、何だかとても安心してみていられる感じでした。

 声優は、最近のアニメ映画の常で、名の通った役者さんを起用しています。主役ふたりが志田未来と神木隆之介というのは、あまりにもいかにもじゃないかと思いましたが、意外とはまっていた気がします。

 エンドロールで、スタッフの名前が五十音順に並んでいることに気づきましたが、あれはもしかしたら以前もやっていたような気がしなくもないけど、どうでしたっけ…。


Blu-ray / DVD

2010年7月11日日曜日

『竜馬がゆく』

★★★★☆

初・司馬遼太郎。

小説の形態をとっていますが、しばしば文中に作者が登場し、取材旅行の様子や調査した資料を紹介しています。そこから相当な取材量であることが推測できるため、史実に忠実な作品のようであり、でも作家としての脚色は絶対含まれているはずで、その境界がよくわからないので、どこまでを本当の歴史と受け取っていいものか、読んでいてちょっと戸惑いを覚えます。

でも、おおむね他の学術系の本と矛盾はないし、私の読んだどの本よりも詳しく書かれているので、より龍馬や幕末のことがわかった気がします。

龍馬像として意外だったのは、極めて腕のたつ剣客として描かれていること。あまりに超人的でSFヒーロー的な印象すら受けました。
基本的には反暴力主義で人を斬り殺すことはしないのですが、それでもチャンバラシーンは意外に多く、峰打ちで相手に骨折を負わせたり腕を切り落とすことはあり、予想外にバイオレンス。そう言えば『龍馬伝』の福山龍馬は、ほとんど刀を抜くことがありませんから、剣客のイメージがほとんどありませんね。

また、薩摩の小松帯刀、幕臣の大久保一翁がかなりの存在感をもって描かれているのも意外でした。

幕末の薩摩藩士というと、西郷隆盛、大久保利通が圧倒的に有名で、小松帯刀は2008年のNHK大河ドラマ『篤姫』で再評価されたようなところがあるようでした。
西郷、大久保は下級武士なので、当時の階級制度のもとではどんなに頑張っても大した活動はできない立場でした。小松帯刀は、薩摩藩の家老で直接政治を行う立場。藩の財政も握っていました。小松が、配下の西郷、大久保の活動をバックアップしたからこそ、彼らは力を発揮することができたのです。『竜馬がゆく』では、西郷、大久保を演劇の脚本、主演、小松を興行主に例えてその関係を説明しています。

坂本龍馬の功績で有名な薩長同盟と大政奉還ですが、いずれも龍馬のオリジナルのアイデアではないようです。薩長同盟は龍馬と同じく土佐脱藩浪人の中岡慎太郎も同様のアイデアを持っていたと言いますし、大政奉還は幕臣の大久保一翁も考えていたそうです。龍馬は両者と交流があったので、彼らのアイデアを拝借したのか、それともたまたま同じことを思いついたのかわかりませんが、少なくとも『竜馬がゆく』では、それらの仕事を龍馬一人で成し遂げたわけではないことがわかる書き方になっていました。

龍馬を主人公にしたドラマなどでは、何でもかんでも彼だけの功績として描くものが多いような気がしますが、『竜馬がゆく』では、彼の周りの人達の功績もきっちり書かれているのでびっくり。まあ単に私がモノを知らなかっただけなのかもしれません。

学校で習う日本史は、邪馬台国辺りから数えても約2000年分。その全体を大雑把に把握しようとすれば、自ずと個々のできごとのディテールがおろそかになり、とりあえず年表でも暗記するしかなくなります。その結果、なんだかちっとも面白くないし、わかった気にもなりません。『竜馬がゆく』を読むのは大変でしたが、やっぱりこのくらいの密度の方が理解が深くなります。おそらく、読み終わってしばらくすれば内容のほとんどは忘れると思いますが、それでも一度でもわかった気がした、という体験は違うと思います。

















『WALKING WITH DINOSAURS』

★★★★☆

以前から行きたいと目をつけていたこれ。

http://www.wwdj.jp/


アニマトロニクス技術を駆使して、実物大のリアルな恐竜が動くライブです。どんなストーリーなのか、そもそもストーリーがあるのか知りませんでしたが、一人の考古学者が狂言回し的に、三畳紀から白亜紀までの恐竜の世界を紹介するという感じでした。

肝心の恐竜は、相当リアル。造形やテクスチャーだけでなく、ちゃんと骨があって筋肉が動いて皮膚がそれに伴って引っ張られている感じに見えました。ただ、残念なのは、大きい恐竜はいずれも自立歩行出来ないので、動く台座の上で足を動かして歩いているように見せていること。この動きはかなりよくできていると思いましたが、踏み込んだ足に重心が乗っている感じがしないのが残念なところ。
でも、『ジュラシック・パーク』のようなCGは所詮二次元だし、仮に3Dにしたところでスクリーンの中の虚像に過ぎませんが、この恐竜は確かに目の前にある"実在"。現在の技術で実現可能な、最もリアルな恐竜体験でしょう。

ライブとしては、基本的には恐竜がのそのそ動いているだけなので、若干しまりがない印象。まあ、本物の恐竜もそんなに素早くは動かなかったんだろうから、ある意味リアルなのかも。ただ、肉食恐竜が草食恐竜を襲う時など、激しいぶつかり合いがないのは、恐竜の形をした精密機器なので仕方がないのでしょうが、迫力に欠ける一因だったと思います。
また、親子の愛情表現にほおずりをするなど、人間の文化を模したしぐさは、観客に伝わりやすいとは思うものの、どうも違和感を覚えました。

実物大の恐竜は相当大きいのですが、アリーナクラスの会場で観客席から見ると、なかなか大きさを実感することができません。そういう意味では、あのアニマトロニクス技術はそのままに、ディズニーランドのように、乗り物に乗って恐竜のすぐ近くまで行けるようなアトラクションの方が、ふさわしいようにも思いました。

いろいろ思うところはありましたが、それでも実物大の動く恐竜には、無条件にワクワクさせられます。
もしこれから行かれる方は、席が選べるならとにかくステージに近い場所がオススメ。フラッシュ撮影や長時間のビデオ撮影でなければ撮影OKなので、暗所、手ブレに強いカメラを持って行くといいと思います。

2010年7月10日土曜日

『FLOWERS フラワーズ』

★★☆☆☆

 蒼井優の娘が竹内結子と田中麗奈と仲間由紀恵。仲間由紀恵の娘が鈴木京香と広末涼子という超豪華キャスト。
 ひとことで言ってしまうと、この女優陣を見るための映画かなあ。2時間の資生堂のCMと言えなくもないですが、その割には頑張っていたと思います。…が、やっぱり総合的には星2つってところでしょうか。

 ストーリーは、それぞれの女性の、恋愛、結婚、出産、仕事等にまつわる不安や悩みや決意を描いたもの。
 正直、それぞれのエピソードに対して、深い心理が描かれているという感じでもなく、割とサラリと通過していく印象でした。まあ、あまりじっとりしすぎず、カラッとしているので、そこが見やすいといえば見やすいと思いました。

 映像は意外と凝っていて、一番古い蒼井時代はモノクロ、昭和40年前後の竹内・田中・仲間時代は、それらしく色あせた画像処理をしているようでした。
 そして音も、蒼井時代だけモノラルだった気がします(ちょっと自信なし)。音については、BGMがなくセリフも少ないシーンが結構多いせいか、水の流れや波の音、足音、着物の擦れる音などがはっきり聞こえて印象的でした。
 また、単純に時系列にエピソードを並べずに、頻繁に時代を行き来しつつ展開していく構成。悪く言えば、その位しないと話がシンプルすぎてもたないのかもしれません。

 そして、椿の花が何度も写っていたのは、やっぱりアレのCMってことですかねえ(^^;)



Blu-ray / DVD

2010年7月4日日曜日

『FURUSATO 宇宙からみた世界遺産』

★★☆☆☆

 んー、微妙。
 日本科学未来館でも上映しているようですが、まさに博物館とかで流す映像っぽい。劇場映画としてはどうかなあ…。

 まず、宇宙から見た世界遺産は3Dで見てもたいして立体感を感じません。地上からの映像を交えて紹介する世界遺産は3つですが、なぜその3つを選んだかがよくわかりません。そして、上映時間が短い(1時間足らず)ので、個々の世界遺産について詳しく学術的に解説するでもなく、ドラマが展開されるでもなく、中途半端。

 一応映像はきれいだと思うし、3Dが効果的なシーンもありました。


Amazonビデオ

『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』

★★★★☆

 テレビシリーズが11話あって、スペシャルドラマが3つあって、映画が2本あれば、そりゃあ仕方ないとは思いますが、どうしても以前のアイデアとダブるところはありますね。よく言えば「踊る」ワールドが貫かれている、悪く言えばマンネリというこかもしれません。
 たぶん7年ぶりの新作なので、かつての作品をよく知らない人もいるでしょうし、知っている人にとっても「踊る」ワールドに引き戻される効果があるので、わざとなのかもしれません。
 それに、キャストもかなり変わっているから、何もかも新しくしたら「踊る」らしさがなくなってしまう気もするので、これはこれでいいのかな。

 いかりや長介演じる和久さんが登場しないのは当然ですが、何やら大人の事情で水野美紀も登場しないことは事前に知っていました。それが作品世界ではどのように表現されるのか気になっていましたが、一応軽く触れられていました。
 筧利夫、真矢みきは登場しませんが、特に説明もなし。
 そして、事前に伝え聞いていたとおり、かつての犯人が一部再登場。とは言ってもきっとチョイ役でしょ、と思っていたら…。これはちょっとびっくりしました。
 内田有紀は、せっかくの再登場なのに、ほぼ脇役でした。ちょっと残念。そして、単なる脇役だと思っていた王(ワン)さんの予想外の活躍(^^)。

 ストーリー展開は、「踊る」シリーズはちょっと複雑なところもあって、1回見ただけじゃよく理解できないところがあるのですが、今回もそんな感じ。でも映画2作目よりはわかった気がしています。
 でも、湾岸署引越しの最中に8つの事件が起こると、宣伝されているのですが、どう数えると8つになるのかわかりません。

 そして、こりゃ絶対続編があると見ました。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年7月2日金曜日

『孤高のメス』

★★★☆☆

 一言でいうと、限りなくドキュメンタリーに近いエンターテインメントという感じでしょうか。

 話の展開が、ものすごく淡々としています。法整備が遅れている脳死肝移植を、非難を覚悟でやろうという話なので、もっとドラマティックに演出する方法がいくらでもある気がします。それが、それほど苦悩するわけでもなくあっさり実施を決定し、賛同する仲間もそれほど迷わず、非難する側も大した妨害をするわけでもなく、強行した後の顛末も意外とあっさり。

 でもまあ、丁寧な作りで、それなりに見ごたえはあったと思います。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年6月24日木曜日

twitterの難しさ

 会社の公式twitterアカウントで、ユーザビリティ関連のつぶやきにコメントをつけてみて反応をうかがったりしています。

 もちろん会社の公式なので穏やかに行きたいところですが、ユーザビリティという考え方が大嫌いな人も多いようで、頭から全否定なつぶやきもよく目にします。それが、ユーザビリティ自体の認識も間違っていたりするので、どうしてもひとこと言いたくなります。

 twitterのつぶやきは、全世界に公開されるわけですが、多くの人はついつい身内だけで密談している気分になっているようで、なにげにユーザビリティの悪口言っていた、プロからコメントがついちゃったということで、急にお行儀がよくなったりします。
 中には結局考え方が合わないこともありますが、大抵の場合は“人それぞれだよね”ということで、適当なところでやりとりが終わるという大人の対応。

 でも、昨日はついに相手を起こらせてしまいました。

 まあこういったぶつかり合いは、相手だけの責任ということはありえないので、きっと私も悪かったのでしょう。

 言葉の表現には、ずいぶん気をつけたつもりです。例えば「きっと○○でしょう。」と「どうせ○○でしょう。」の違いだけでも“敵意”を感じてしまうことがあるので、「きっと〜」と書いておこう。などと考えながら言葉を選ぶわけです。
 でも、どうしても理解してもらえなかったのは議論の前提条件。一般論を語ろうとしている私と、具体的な事例を語ろうとする相手。Aという考え方がいいんだからBはダメだと言う相手と、Bにもいいところがあるかもしれないから絶対ダメとは言えないという私。というふうに、議論の土俵が微妙にズレていて、そこを何とか修復したかったのですが、結局「何が言いたいのかわからない。時間の無駄」と言われてしまいました。
 
 何が大変だったって、140文字の制限は本当にキツかった。相手の考え方を全否定しているわけではないので「そういう考え方もありますね。でも…」と書きたいところが、文字数オーバーになってしまうと「そういう考え方もありますね。」を削らざるを得ません。こうして、物腰を和らげる言葉がどんどん削られてしまうのです。
 多様な価値観を論ずるために「Aには○○というメリットもあるけど、Bにも△△というメリットがあって…」と言いたいのに、文字数が足りなくなれば「Bにも△△というメリットがあって…」だけになり、あたかもAのメリットを認めていないかのような文章になってしまうのです。
 自分にもっと表現力があれば140文字でそういったニュアンスを込めることもできたのかもしれませんが、少なくとも今の私の実力では無理でした。

 今回のは、いわゆる“炎上”というほどの状況ではないし、それほど深刻には捉えていません。私としては、むしろいい体験だった気がします。

 twitterでの議論は単純明快ではありますが、決めつけと全否定ばかりが目立つものになりがちです。多義的であったり中庸であったり微妙で繊細な奥の深い議論はtwitterでは難しいようです。
 それにしても、twitterという仕組みに引っ張られて、人間もall or nothingでしかものごとを判断できなくなる、なんてことにならないといいけど…。

2010年6月22日火曜日

iOS4の悲劇

 本日朝7:00ちょっと前。起きて風呂入って朝食。Webを見ていて、昨日からiOS4へのアップデートができることを思い出しました。

 iTunesを開いてアップデートをかけると、データのバックアップや復旧も含めて1時間程かかるという警告表示。時刻は7:30ぐらい。私が家を出るのは9:00過ぎなので、充分間に合います。ということでアップデート開始。ところが…。

 8:30になっても、9:00になっても作業が終了してくれません。こういう作業中にMacとの接続を切るわけにはいきません。結局、iPhoneを家に置いたまま出かけました。
 幸い、このところ行き帰りの電車の中ではiPhoneはいじらず本を読んでいます。昼休みは、普段はiPhoneでメールやWebをチェックしますが、これだけ我慢すればいいでしょう。後は、親が突然倒れたとか、大切なデートの誘いとかの電話が受けられないことだけが心配ですが、まあそんな気配もないので、うっかり忘れたと思って諦めました。

 そして20:30ごろ帰宅。ちゃんとOSのアップデートはできていました。早速電源を入れてみると…。
 遅い。うーむ。耐えられないほどではありませんが、動きがもっさりしています。私のiPhoneは3Gで、iOS4にアップデート可能な一番古い機種。しかも一部の機能は使えません。どうせiPhone4を買うつもりだし、これだったらアップデートしなくてもよかったかなあ。

 フォルダ機能はやっぱりありがたいです。マルチタスクは3Gではできません。スクリーンの自動回転禁止機能は、なぜかマルチタスクの一部のような扱いなので、使えないような気がします。あとはユーザー辞書登録ぐらいかな。

2010年6月13日日曜日

 大河ドラマ『篤姫』を見て、今さらながら幕末史に興味を持ちました。それに伴って何冊か本も読みましたが、『篤姫』の影響なので薩摩藩寄りの視点のものばかり。そして、いずれも研究者が人物と時代を解説するような、ある意味学術書。

 そして『龍馬伝』を見て、やはり別の角度から見るのも意味がありそうな気がして、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』全8巻を買いました。こちらは小説。
 著者もかなり調査をしたらしく、小説なのにちょくちょく著者が顔を出して調査資料の解説をし始めたりします。そうした調査結果を積み上げて限りなく史実に近いのかと思ったら、架空の人物も登場しているようで、それなりに脚色されているみたい。

 それはともかく、全8巻もある小説をガッツり読むのは本当に久しぶり。Amazonで8冊まとめて買って家に届いたときは、はたしてこれを読破できるだろうか?と不安になりました。

 でも、自分でも意外なほどのハイペースで、すでに3巻目を読み終わりました。
 そりゃあもう、定期購読しているMacの雑誌も読まず、通勤中の電車の中でもiPhoneをいじることもなく、家でもMacを触る時間を減らし、土日もあまり外出せず、時間さえあれば『竜馬がゆく』を読んでいるので、当然といえば当然。

 もしかしたら、この私がiPhoneやMacより本を優先させているという事実に違和感を覚える人もいるかもしれませんが、本人は意外と平気。
 考えてみれば、コンピュータだ、インターネットだ、携帯電話だといった娯楽(?)が生まれたのはつい最近のこと。そのほとんどは私が社会人になってから体験し始めたもの。それ以前の自分に戻ればいいだけなので、そんなに大変なことではありません。

 世の中には、デジタル機器信奉者や、逆にアナログ信奉者のような人がいるようですが、たぶん自分はどちらでもないと思います。あえて言うなら、自分は面白いこと信奉者かな。自分にとって面白いことがコンピューターの中にあると思えばコンピューターをじゃんじゃん使うし、紙の印刷物の中にあるなら本も読みます。所詮、どっちもメディアの1種に過ぎないので、自分の中ではテレビのチャンネルを変える程度の感覚でしかありません。

 ただ、すでに成熟したアナログ技術よりは、現在進行形で発達中のデジタル技術の方で、新しいことが起こりやすいのは事実、新しいことは自分にとって面白いことである場合が多いので、結果的にデジタル技術に接する時間が増えていきます。

 今回、あらためてガッツリ本を読んで、ちゃんと楽しいことが再確認できました。
 おりしもiPadがヒットして、これから電子書籍が普及するであろうこのタイミング。なかなかいい体験です。

2010年6月12日土曜日

『告白』

★★★★★

 決してハッピーな作品ではないのですが、怖さや悲しさややりきれなさが、うまく表現されていると思いました。

 松たか子さんの演技はさすが。岡田将生くんや木村佳乃さんもさすが。重要な役割の3人の中学生も頑張っていたと思います。

 原作の小説はどういう構成で書かれているのか知りませんが、異なる登場人物の視点で同じ場面が何度か描かれる構成も個人的には好きです。
 いわゆる犯人探しのミステリーとは違いますが、話が進むにつれて「ああ、そういうことだったのか」と真実が見えてくるというか謎が解けた感じがあって、これも好み。

 映像は決して派手ではなく、どちらかというとモノトーンな印象ですが、スローモーションなどが効果的に使われていました。若干そういった映像手法を使いすぎな気はしましたが。音楽も同様。若干あざとさを感じつつ、効果的だったと思います。

 R-15指定ですが、ビジュアル的にはそんなにキツくは感じませんでした。むしろ心理的な部分の異常性の方が印象に残りました。松たか子の心理攻撃による復讐もぞっとするけど、中学生の無邪気な殺意が怖すぎ。

 作品としてはとてもよくできているのに、受け入れがたい、そんな作品。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年6月8日火曜日

iPhone4雑感

WWDCでiPhoneの新機種、iPhone4が発表されました。

http://www.apple.com/jp/iphone/

事前に流出したiPhoneはホンモノだったようですね。実物を見たら印象が変わるかもしれませんが、自分としては現行機種の方がデザイン的には好みかな。
白いモデルは全面、背面とも白くなったのは、いいような気がします。これまでのは、表が真っ黒、裏が真っ白で、違和感がありました。今回は、私は白モデルを考えています。カラーバリエーションがある製品でも、おそらくデザイナーはある色を想定してデザインを進めるものだと思います。iPhoneの場合はたぶん黒。要は、黒の方がしっくりくる気がします。
もし純粋に白か黒かと言われれば、私はたぶん黒を選ぶと思うのですが、これだけ街中でiPhoneを見かけるようになると、むしろ黒はやめておこうという気持ちが芽生えてきます。そんなわけで、私は白。これも実物を見て気が変わるかもしれませんが。

iMovieのiPhone版を作ったそうです。iPad用はあるのかな?iPadにはカメラがついていませんが、何となくそのうちiPad用も出そうな感じが。iPad用のiWorksも含めて、少しずつクリエイティブ系のアプリを増やしていますね。Macを完全に置き換えることは簡単にはできないでしょうが、Appleとしては、クリエイティブな使い方のある程度のところまではiPadでカバーしようとしているような気がします。

OSはiPhone OSからiOSと名称を変更。iPhoneだけではなくiPod touchやiPadにも使われているから、という理由だそうです。

one more thingはテレビ電話機能でした。んー、高機能をアピールするためにはあってもいいのかもしれませんが、自分は使わなそう。

2010年6月3日木曜日

トムヤムクン未遂

 先日、スーパーマーケットで、エビと目が合いました。
 その瞬間、何年も前に買ったトムヤムクンセットがまだ未開封のまま家にあることを思い出しました。トムヤムクンセット、つまりトムヤムクンを作るための香草や調味料がワンパッケージになったものです。たぶん賞味期限を数年過ぎているはずなので、食べられるかどうかも怪しいのですが、まあダメなら別の方法で調理すればいいと思い、エビを買って帰りました。

 帰宅して戸棚の奥のトムヤムクンセットを取り出しました。賞味期限は2006年。でも、乾燥した香草と調味料だけだから、何だかんだいっても食べられるような気もします。
開封。匂いを嗅いでみますが、特別異常な感じはしません。作り方表示に従ってお湯を沸かし、香草を数分煮てペースト状のスープを入れます。

 …あまりにスープが黒い。焦げ茶というよりは黒。

 匂いはさほどおかしくはない。

 スプーンで少しだけすくって味見。記憶しているトムヤムクンとはちょっと違うけど、充分近い。まだ調理の途中で、さらにナンプラーとかを足すから、これでいいのかも。

 …それにしても黒い。記憶しているトムヤムクンとはかなり違う。

 次の手順で海老と野菜を入れてしまうと、もう後戻りはできません。ここが決断のしどころです。
 自分の味覚を信じて、食べられるものとして調理を続けるか?
 自分の視覚を信じて、この黒さは異常と判断してスープを捨てるか?

 結局、捨てることにしました。あらためて海老と野菜を使って中華風スープにしました。
 この決断は正しかったのか間違っていたのかわかりませんが、ともかく今日もこうして健康に過ごせたということで、よしとしましょう。


2010年5月31日月曜日

沖縄の動画(その3)

2006年の沖縄旅行の動画をYouTubeにアップしました。

今度は沖縄本島の南端を目指します。この辺りは、第二次大戦でアメリカ軍が上陸して市街戦の舞台となったところ。ひめゆりの塔を初め、戦争の痕跡が各所に残っています。この時の沖縄旅行の目的の一つ。でも、その辺のビデオはなし。

戦争とは全く関係ない、おきなわワールドというテーマパークの中に玉泉洞という鍾乳洞がありました。



首里城も、行ってみたかった場所の一つ。若干、観光地化していたかも。



沖縄のモノレール、ゆいレール。



那覇市街に壺屋という焼き物で有名な地域があります。



沖縄市街の国際通りやアーケード街は、たいへんにぎわっていました。



私が行ったときは、たまたま那覇まつりの開催期間だったようで、こんなお祭りのパレードが見られました。



というわけで、おしまい。

沖縄の動画(その2)

2006年の沖縄旅行の動画をYouTubeにアップしました。

名護の市街地、市役所のすぐ近にビーチがあります。午前中の様子はこんな感じ。



沖縄本島最北端を目指して出発。マングローブ(ヒルギ)の群生地があるというので行ってみました。



沖縄本島最北端の辺戸岬(へどみさき)はこんな感じ。砂浜の印象が強い沖縄ですが、ここは荒々しい断崖絶壁。



辺戸岬のそばに金剛石林山というところがあったので、ワケもわからず行ってみました。カルスト地形なのかな。岩がゴロゴロした山道という感じ。



名護に戻って、砂浜で夕暮れを待ちました。海の夕焼け。おそろしく綺麗でした。



さて、そして再び何かして、ベースキャンプを那覇に移します。

沖縄の動画(その1)

2006年の沖縄旅行の動画をYouTubeにアップしました。

那覇でレンタカーを借りて北上。目指すは名護ですが、途中あちこちに立ち寄りました。
まずは中城城跡。「中城」と書いて「なかぐすく」。お城といっても石垣しか残っていませんが、それでも沖縄独特の匂いを感じます。



照間ビーチ付近。実は、正確な場所は覚えていません。



さらに北上して、ブセナリゾートというところに、海中展望塔なるものを見つけて行ってみました。海に向かって伸びた橋の先端に海に刺さった円筒形があって、その中のらせん階段を下っていくと、窓の外は海底、というもの。熱帯魚がたくさんいましたが、よーく見ると餌が置いてあります。ああ、餌付けされているのね。



そして名護泊
この時の沖縄旅行の目的の一つ。美ら海水族館。ここは海の生き物を見せる施設でもあるのですが、同時に愛くしむことや守ることに本気で取り組んでいる気がしました。







水族館の帰りに、今帰仁城跡に寄りました。「今帰仁」と書いて「なきじん」です。当然ですが、雰囲気は中城城とよく似ています。



そして再び名護に戻って宿泊…。

2010年5月30日日曜日

『春との旅』

★★★☆☆

 評判がとてもいいので、普段見に行く映画館ではやっていないのに、わざわざ上映している映画館を探して見に行きました。

 結果としては、自分としては、まあまあかなあ。たぶん、登場人物と自分とは環境が違いすぎるので、充分に感情移入できなかったのかも。

 春を演じた徳永えりという女優さんは、『フラガール』で蒼井優の親友役だった人。その後どうしているんだろうと思ったら、こんなところで再会。
 『フラガール』では、蒼井優とフラダンスの練習を始めるものの、父親にバレて、ボコボコに殴られて引越していってしまう役。『春との旅』の春も、なんだかうつむいてばかりで口数も多くない地味な女の子役。薄幸な役が得意なのか…。それにしても、春がガニマタで走るのが気になってしょうがないのですが、あれは演技??

 今回行った映画館は、錦糸町の楽天地錦糸町シネマ。シネコンばかり使っている私にとって、久しぶりに行く昔ながらの映画館です。
 チケットを買うときに上映時間を伝えたら「このチケットでどの時間でも入れますから」と言われてしまいました。そういえば、昔の映画館ってそうでしたね。で、指定席じゃないので、20分ぐらい前に劇場の脇の通路で並んで待ちました。
 待っているお客さんの平均年齢の高いこと高いこと。『春との旅』の客層なのか楽天地シネマの客層なのか。この人達が行列作って待たなくてもいいように、座席指定スタイルにした方がいいんじゃないかなあ。デジタルだの3Dだの、設備の導入は大変だろうけど、チケットの販売方法ぐらいなら変更できそうなものだけど。


Blu-ray / DVD

Amazonビデオ

iTunes Store

2010年5月21日金曜日

ヨーグルト

 トルコ料理では、ヨーグルトをソースのようにしてよく使います。ヨーグルトといっても甘くして使うのではなく、塩味なので、日本人には馴染みのない食べ方です。
 トルコ料理は世界三大料理の一つですし、きっとおいしいのだろうと思っていたのですが、トルコに旅行に行った際出てきたヨーグルトを使った料理がどうしても口に合わず、それ以来食べる機会がありませんでした。

 先日、テレビでトルコ料理を取り上げた料理番組をやっていて、そのヨーグルトソースを紹介していました。
 その番組では、ナスの肉詰めに添えるソースとして紹介していましたが、私がトルコで食べたのは、ほうれん草をヨーグルトソースで和えたものだったような…。まあとにかく、色々なものに使うようです。

 私は、かつて好きじゃないと思った料理を、たまにわざと食べてみる、ということをすることがあります。だって、味覚は変化するものだし、運よく好きになれたら、嫌いなまま一生を過ごすよりはその方が絶対幸せじゃないですか。

 ということで、今日、作ってキュウリとトマトにつけて食べてみたところ、なかなかいけます。塩味のヨーグルトだと思うと違和感がありますが、ドレッシングやマヨネーズの酸味の代わりにヨーグルトの酸味を使っていると思えば、理にかなっているワケです。

 ということで、レシピをご紹介。

 ・ヨーグルト(もちろん甘くないもの):適量(50〜60ccぐらい?)
 ・すりおろしニンニク:適量(チューブ入りなら1cmぐらい?)
 ・塩:少々
 ・コショウ:少々

 以上を、ただ混ぜるだけ。

ドン・キホーテ


5/14(金)、船橋にドン・キホーテがオープンしました。葛西には本店があって、引っ越したばかりのころは面白がって時々行ってました。
でも、店内は商品がゴチャゴチャとしていて通路が狭く、お客さんも多いので、なんだか疲れちゃう。扱っている商品も、ものすごく特別というわけでもないので、だんだん行かなくなりました。

船橋のドン・キホーテと同じ通りの、ほんのちょっと行ったところにはダイソーの大きな店舗があります。多少性格は違うものの、なんと言いますか、どちらも庶民の味方的なお店。船橋にはよく合うといえば合うのですが、もうちょっと…、んー、文化を感じるというか、そういうお店が近くにあると嬉しかったりします。

そんなわけで、まだドンキホーテには入っていません。ま、そのうち覗いてみればいいかな、ぐらいの気分。

2010年5月16日日曜日

トルコの動画(カッパドキア編)

2003年にトルコに行った時の動画をYouTubeにアップしました。カッパドキアはこんな感じ。

カッパドキアでは、石を削って作った洞窟ホテルに泊まりました。



カッパドキアはキリスト教迫害の歴史があり、キリシタンが地下都市を作って隠れ住んでいたそうです。



カッパドキアの奇岩は、火山の噴火と浸食によるものだそうです。人間は、その岩を掘って住居、さらには教会として利用しました。



カッパドキアでは観光客のためのバルーンツアーが盛んに行われています。気球からの風景は最高でした。



気球の進む方向は風まかせ。空気を熱するバーナーをつけたり消したりして上昇、下降のコントロールだけをします。パイロットが、わざと岩とスレスレのところを通って乗客を喜ばせたりするのですが、私の乗っていた気球はパイロットのミスだったのか不可抗力だったのか、木のてっぺんに衝突してしまいました。


トルコの動画(イスタンブール編4)

2003年にトルコに行った時の動画をYouTubeにアップしました。イスタンブールで、なりゆきでベリーダンスショーを見に行くことになりました。

たぶん外国人観光客向けのショーと食事がセットになった現地ツアー。当初、見に行く予定はなかったのですが、イスタンブールの街で日本人に声をかけられて、カッパドキアのバルーンツアーとこのベリーダンスショーのツアー会社を紹介してもらいました。たぶんあの日本人は客引き。



女性の踊りはセクシーですが、男性の踊りは腹踊りっぽくてコミカルです。



ダンサーたちが何人もいて、いくつもの演目があるのですが、たぶんこの人がここのチームのトップダンサーなのでしょう。素人目にもうまいのがわかります。



観客は指定席で、国名が書かれた札が各席に置いてあったと記憶しています。歌のうまいおじさんがステージで様々な国のメジャーな曲を歌うのですが、その際、客席からその国の人を何人かステージに上げて一緒に歌います。何となく嫌な予感はしていたのですが、日本の番がきて、私はその何人かに当たってしまいました。ちなみに日本の歌は「上を向いて歩こう」でした。