2019年3月23日土曜日

『グリーンブック』

★★★★☆

2019年 第91回アカデミー賞作品賞受賞作品。

黒人と白人、上流階級と使用人という構図が、『最強のふたり』を彷彿とさせるので、観に行こうかどうしようか考えましたが、まあアカデミー賞も取ったことだし、ということで観に行きました。

ストーリー展開も、大きなところでは『最強のふたり』と似たような感じで、最初はいがみ合っていた二人が徐々に友情を育んでいくというもので、想像どおりでした。
ただ『最強のふたり』は、たまたま白人の富豪と黒人の使用人だっただけで、黒人差別は直接的なテーマではなかったと記憶しています。そして、全体的なトーンとしては明るめ。
対して、『グリーンブック』は黒人差別がモロに作品のテーマなので、いい塩梅に笑いをちりばめてはいるものの、作品全体として暗く重いものを感じました。

アメリカで、いまだにこのような黒人差別を扱った作品が作られ、高い評価を得ているのは、表面的な制度上は差別が撤廃されているものの現実には今も差別意識が根強く残っているということなのでしょう。50〜60年前を舞台にしたこのような作品を観て、実は今を憂いているのだと思います。
日本でも人の心の中の差別的な意識は多々あると思いますが、少なくともアメリカ社会をダイレクトに経験していない私にとっては、黒人差別問題を当事者感覚を持って受け止めることは難しいように思います。

主人公の白人は黒人嫌いですが、自分を運転手として黒人にときには逆らい罵ったりもするのですが、必要以上にキレて暴力を振るったり周りのものを破壊するような行動を取らないのは見ていてホッとしました。
行儀が悪く下品で粗暴なキャラなので、最近の日本の作品であれば簡単にキレて暴れまわる演出となりそうな気がします。私はああいう描写に必ずしもリアリティを感じないし、安易な演出に思えて好みではありません。


公式サイトは、こちら。
https://gaga.ne.jp/greenbook/

2019年3月2日土曜日

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第七章 新星篇』

★★★★☆

来週以降テレビで観られるとわかっていますが、一応映画館に観に行きました。
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』と『宇宙戦艦ヤマト2』のリメイクということで、結末もどうなるのか気になりましたし、そこにたどり着くまでの過程もいろいろと気になる点がありました。

なるべくネタバレしないようにしたいところですが、ゼロというのもちょっと難しい気がします。ご了承ください。

全体として、展開が慌ただしかった気がします。旧作の『さらば〜』や『〜ヤマト2』ではもう少しじっくり見せていたシーンに相当するところがサッと過ぎ去っていく印象でした。
おそらく、旧作のラストは25話までで終了し、そのあとに旧作にはまったくないエピソードを1話追加した構成になっていることも展開の速さに関係している気がしますが、だとすると、全26話の中盤のあの回とかは削ってもいいのでは?と思わなくもない気がします。

旧作にどっぷりハマった私としては、印象的なシーン、セリフ、絵、設定などがリメイクでどうなるのかと気になっていたことが多々あったのですが、まったく違うものになっていた部分が多かったと思います。だからこのリメイクは駄作だということではありませんが、すぐには自分の中で消化しきれないかもしれません。もう一度見返さないと充分理解できていない部分もあるような気がします。

『〜ヤマト2199』のときも、コスモリバースシステムの中核は人間の精神という設定がありましたが、本作でも人間の精神をSF的に取り扱うような設定が出てきて、個人的にはちょっと苦手なところ。何となくヱヴァンゲリヲンっぽいと思うのですが、ヱヴァは最初からそういう世界観の作品なのでまだ許容しやすいと思います。でも、少なくとも旧作のヤマトにそういう要素はないので、割と違和感を覚えます。
また、26話で出てくる国民投票や真田の演説に強い意味を持たせる演出はガンダムっぽさを感じました。
ヤマト→ガンダム→ヱヴァンゲリヲンという日本のSFアニメの歴史を踏まえてあらためてヤマトをリメイクするとき、ガンダム的要素、ヱヴァ的要素をも取り込んだということかもしれません。

で、実はあれでガトランティスが滅亡したのか、私にはよくわかりませんでした。
ふと、『〜ヤマト2199』のときは結局後から完全オリジナルの映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が制作されたので、もしかしてそういう可能性を残しておいたのだろうか?と思ったりして。
また、旧作『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』以降に相当する続編がありうるのかも気になるところです。


公式サイトは、こちら。
http://yamato2202.net