★★★☆☆
最近の宮崎駿作品は『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』と、現実からかなり離れたところの、合理性を追求しないタイプのファンタジー作品が続きました。この手の作品がいけないということはないし、アニメーションの絵としての面白さをより自由に追求できるという魅力もあるのでしょうが、個人的にはあまり好きではありませんでした。
そういう意味では、『風立ちぬ』は現実世界が描かれている作品で、とても受け入れやすい作品でした。そんな中にも、要所要所で主人公二郎の夢の中のようなシーンがあって、そこだけはちょっとファンタジック。宮崎駿にとって、ああいうシーンは外せないんでしょうね。
ストーリーとしては、主人公二郎の仕事である飛行機開発と、彼のプライベートである病気を患った菜穂子とのラブストーリーが半々といったところですが、全体の印象としてはラブストーリーの比重が大きかったかなあ。
そう感じたのは、飛行機を設計する上での技術的課題やその解決策といった部分にはほとんど踏み込んでいなかったから。それに比べると、二郎と菜穂子の、お互いを思う気持ちからくる言動はかなり細かく描写されていました。
この作品を観る前は、宮崎駿が戦争をどう描いたのか興味がありましたが、この点については肩透かしを食った感じ。ゼロ戦が戦場で活躍するシーンもなければ、名古屋や東京の空襲のシーンもなし。登場人物のセリフとして戦争観や政治信条が語られることもほとんどありませんでした。これもまた、要はラブストーリーだと感じた原因でしょう。
さて、ジブリ作品では毎度気になる声優陣。
主人公二郎を演じる庵野秀明さんですが、演技については、やっぱり不慣れな感じはありつつ、悪くないとは思いました。ただ、あの声を聞くとどうしても庵野さんのビジュアルが浮かんできて、最後まで二郎のルックスと庵野さんの声が私の中で一つになってくれませんでした。
菜穂子役の瀧本美織さんは、とてもよかったと思います。病を抱えてはいるものの基本的には快活で明るく前向きな菜穂子が、この作品全体の印象をさわやかなものにしていると思うのですが、瀧本さんの声も一役買っていると思います。
その他、西村雅彦、竹下景子、國村隼は、声を聞いて誰が演じているかわかりましたが、後のキャラクターは誰の声だか全くわかりませんでした。
そういえば、この作品では飛行機のエンジン音や地震の時の環境音などを人間の声を使って表現しているとか。映画を観ながら「あれ、変な音だなあ」と思い、ネットかどこかで人の声を使うと書いてあったのをうっすら思い出しました。
面白い試みだとは思うのですが、ジブリのようにお金をかけられる現場で、しかもファンタジー路線ではないこの作品で、わざわざ人の声にするほど効果的だったかどうかは微妙な気がします。
荒井由実の『ひこうき雲』は、作品世界にいい感じにはまっていたと思います。映画のタイトルも『ひこうき雲』でよかったんじゃないかと思ってしまいました。
公式サイトは、こちら。
http://kazetachinu.jp
2013年7月16日火曜日
会社設立登記 その13 法人口座の開設
■とりあえず法人口座
会社設立登記のため、資本金を個人の銀行口座に振り込みました。私の場合、この個人口座は新規開設したもので個人的なお金が混ざる可能性はありませんから、この口座をそのまま会社の取引用に使えば、法人取引に関わるお金の出入りが厳密に管理できます。
それでも大して困らないのでしょうが、せっかく法人格を取ったのですから、銀行口座も法人名義の方が何かとカッコがつくというもの。そんな気楽なつもりで法人口座を作ることにしたのですが、これが本当に大変でした。
■どの銀行にするか
銀行といえば、大手の都市銀行や地方銀行や、その他色々ありますが、大した根拠もなく、何となく馴染みのある都市銀行を選択。残高確認や振り込みのやりやすさを考えると、家の近くに支店がある方がいいだろうと思いました(これも、今ではネットでできるので、実は重要ではないかもしれません)。
また、一番頻繁にやりとりする相手は、確実に毎年12回給与を振り込む自分自身である可能性が高いので、自分の個人口座がある銀行を選んだ方が振込手数料が節約できるかなあ、などと考え、銀行を決めました。
■法人口座を作るのは大変
法人名義口座が詐欺などの犯罪に悪用されるケースが増えているらしく、警察側から金融機関への指導などがあり、法人口座開設手続きが厳格化しているようです。
銀行としては、口座開設を申請してきた法人が適正な事業を行っているという実態を確認すべく、様々な書類を提出させたり、面談を行ったりしますが、そのディテールは各行によって異なっています。
■三井住友銀行の場合
私の場合、最初は三井住友銀行に口座を作ろうとしました。履歴事項全部証明書や印鑑証明書などを用意して銀行に行ったのですが、事前にネットなどで調べておかなかったので、銀行で初めて、会社設立6か月以内の場合、税務署への届出書類が必要なことを知りました。つまり、口座開設より先に税務署への届出が必要だったのですが、私はまだ税務署への届出を完了していませんでした。
あらためて税務署への届出書の控えを受け取ってから、そのコピーを準備して再度銀行へ。今度はすんなり受け取ってもらえました。
それから2週間ほどで口座開設の可否を電話連絡してもらうということになっていたのですが、2週間過ぎても連絡がもらえずこちらから問い合わせてみました。
すると、そこで初めて追加の書類提出を求められました。
彼らは、会社の住所と私個人の住所が同じであることが気になったようです(つまり、こういう会社は口座を悪用しそうだと…?!)。そこで、確かにこの住所で事業が行われているという証拠が欲しいということで、持ち家の場合は住宅登記簿(が、何で証拠になるのかなあ??)、借家の場合は会社名義で当該住所が書かれた公共料金の領収書などがないか?と言うのです。
うちは賃貸なので後者に当たるのですが、公共料金は全て個人名義なので銀行が要求するような書類はありません。
結局、三井住友銀行で法人名義口座を作ることはできませんでした。
■東京三菱UFJ銀行の場合
そこで今度は、東京三菱UFJ銀行で口座開設申請をしてみました。こちらは、税務署への届出書類などを必要としない代わりに、事業実態を示す書類として、パンフレットや見積書などを求めています(今回は事前にWebで予習しました)。
でも、こちらもすっかり疑心暗鬼になっていたので、三井住友のときに用意した書類も全て持参し、パンフレットはないのでその代わりにWebサイトのほぼすべてのページを印刷し、これまでの取引の時の請求書なども持っていきました。
結局、持っていった書類は全てコピーを取られました。さらに東京三菱UFJの場合は、簡単な面談がありました。履歴事項全部証明書に書かれた事業の目的についての確認、これまでに発生した取引について聞かれました。
そして申請書類をその場で記入して、とりあえず申請はできたのですが、結果はまた2週間後です。やはり追加で質問や書類提出を求める場合があるそうです。また法人名義の公共料金の領収書と言われたら困るので、追加提出するとしたらどんなものになるのか質問してみましたが「上司が判断することなので」とかわされてしまいました。
きっかり2週間後、銀行から電話がかかってきて、口座開設OKとなりました。あの2週間という時間は、本当は口座開設可否の検討にかかる時間なのではなく、犯罪防止のためにわざと2週間待たせているのかもしれませんね。犯罪目的ですぐに口座が必要になった場合、2週間待つ必要があると言われれば諦めるかもしれませんから。
ともかく、次の日再び銀行に出向いて口座開設手続きを行い、ようやく法人名義の口座が作れました。
■ネットバンキング
会社の経理上、法人口座のお金の出入りを把握することは必須です。それが、自宅にいながら簡単に行えるネットバンキングは、私のような社員一人の会社にとっては極めてありがたいサービスです。
ところが、多くの銀行では個人向けのネットバンキングサービスは無料なのに、法人向けの場合は有料です。これは社員一人の会社にとっては嬉しくありません。余計なコストはかけたくないので、ネットバンキングは断念することにしました。
結局、こんなに苦労して作った法人名義口座の価値は、世間に対する信頼感のみで、企業を運営するうえで便利なわけでも具体的な利があるわけでもないようです。
■それにしても
法人名義口座開設がこんなに厳しくなったのは、犯罪などへの悪用を防ぐためということですが、このやり方って最適な方法なんでしょうか??というのは、犯罪発生の舞台となっているのは法人口座でも、その根源は悪意を持った法人がいるということですよね。だとしたら、法人登記の時点で厳しくする方が根本的な対策のような気が。
いや、私個人としては登記手続きが大変になるのも困るのですが、例えば法人名義で公共料金を支払うことが必要なのであれば、それを登記の必須条件にしてしまうとか、もう少し全体の辻褄が合うような方法がありそうなものですが。
おかしいと思うのは、要求される書類が、適正な法人なら必ず提出可能なものではないこと。例えば決算時の税務署への申告が適正な法人の唯一の証しとなるのであれば、決算を迎えるまでは全ての新規法人は法人名義の口座は作れないというルールにすればいいのに。その方がずっと納得できるなあ。
会社設立登記のため、資本金を個人の銀行口座に振り込みました。私の場合、この個人口座は新規開設したもので個人的なお金が混ざる可能性はありませんから、この口座をそのまま会社の取引用に使えば、法人取引に関わるお金の出入りが厳密に管理できます。
それでも大して困らないのでしょうが、せっかく法人格を取ったのですから、銀行口座も法人名義の方が何かとカッコがつくというもの。そんな気楽なつもりで法人口座を作ることにしたのですが、これが本当に大変でした。
■どの銀行にするか
銀行といえば、大手の都市銀行や地方銀行や、その他色々ありますが、大した根拠もなく、何となく馴染みのある都市銀行を選択。残高確認や振り込みのやりやすさを考えると、家の近くに支店がある方がいいだろうと思いました(これも、今ではネットでできるので、実は重要ではないかもしれません)。
また、一番頻繁にやりとりする相手は、確実に毎年12回給与を振り込む自分自身である可能性が高いので、自分の個人口座がある銀行を選んだ方が振込手数料が節約できるかなあ、などと考え、銀行を決めました。
■法人口座を作るのは大変
法人名義口座が詐欺などの犯罪に悪用されるケースが増えているらしく、警察側から金融機関への指導などがあり、法人口座開設手続きが厳格化しているようです。
銀行としては、口座開設を申請してきた法人が適正な事業を行っているという実態を確認すべく、様々な書類を提出させたり、面談を行ったりしますが、そのディテールは各行によって異なっています。
■三井住友銀行の場合
私の場合、最初は三井住友銀行に口座を作ろうとしました。履歴事項全部証明書や印鑑証明書などを用意して銀行に行ったのですが、事前にネットなどで調べておかなかったので、銀行で初めて、会社設立6か月以内の場合、税務署への届出書類が必要なことを知りました。つまり、口座開設より先に税務署への届出が必要だったのですが、私はまだ税務署への届出を完了していませんでした。
あらためて税務署への届出書の控えを受け取ってから、そのコピーを準備して再度銀行へ。今度はすんなり受け取ってもらえました。
それから2週間ほどで口座開設の可否を電話連絡してもらうということになっていたのですが、2週間過ぎても連絡がもらえずこちらから問い合わせてみました。
すると、そこで初めて追加の書類提出を求められました。
彼らは、会社の住所と私個人の住所が同じであることが気になったようです(つまり、こういう会社は口座を悪用しそうだと…?!)。そこで、確かにこの住所で事業が行われているという証拠が欲しいということで、持ち家の場合は住宅登記簿(が、何で証拠になるのかなあ??)、借家の場合は会社名義で当該住所が書かれた公共料金の領収書などがないか?と言うのです。
うちは賃貸なので後者に当たるのですが、公共料金は全て個人名義なので銀行が要求するような書類はありません。
結局、三井住友銀行で法人名義口座を作ることはできませんでした。
■東京三菱UFJ銀行の場合
そこで今度は、東京三菱UFJ銀行で口座開設申請をしてみました。こちらは、税務署への届出書類などを必要としない代わりに、事業実態を示す書類として、パンフレットや見積書などを求めています(今回は事前にWebで予習しました)。
でも、こちらもすっかり疑心暗鬼になっていたので、三井住友のときに用意した書類も全て持参し、パンフレットはないのでその代わりにWebサイトのほぼすべてのページを印刷し、これまでの取引の時の請求書なども持っていきました。
結局、持っていった書類は全てコピーを取られました。さらに東京三菱UFJの場合は、簡単な面談がありました。履歴事項全部証明書に書かれた事業の目的についての確認、これまでに発生した取引について聞かれました。
そして申請書類をその場で記入して、とりあえず申請はできたのですが、結果はまた2週間後です。やはり追加で質問や書類提出を求める場合があるそうです。また法人名義の公共料金の領収書と言われたら困るので、追加提出するとしたらどんなものになるのか質問してみましたが「上司が判断することなので」とかわされてしまいました。
きっかり2週間後、銀行から電話がかかってきて、口座開設OKとなりました。あの2週間という時間は、本当は口座開設可否の検討にかかる時間なのではなく、犯罪防止のためにわざと2週間待たせているのかもしれませんね。犯罪目的ですぐに口座が必要になった場合、2週間待つ必要があると言われれば諦めるかもしれませんから。
ともかく、次の日再び銀行に出向いて口座開設手続きを行い、ようやく法人名義の口座が作れました。
■ネットバンキング
会社の経理上、法人口座のお金の出入りを把握することは必須です。それが、自宅にいながら簡単に行えるネットバンキングは、私のような社員一人の会社にとっては極めてありがたいサービスです。
ところが、多くの銀行では個人向けのネットバンキングサービスは無料なのに、法人向けの場合は有料です。これは社員一人の会社にとっては嬉しくありません。余計なコストはかけたくないので、ネットバンキングは断念することにしました。
結局、こんなに苦労して作った法人名義口座の価値は、世間に対する信頼感のみで、企業を運営するうえで便利なわけでも具体的な利があるわけでもないようです。
■それにしても
法人名義口座開設がこんなに厳しくなったのは、犯罪などへの悪用を防ぐためということですが、このやり方って最適な方法なんでしょうか??というのは、犯罪発生の舞台となっているのは法人口座でも、その根源は悪意を持った法人がいるということですよね。だとしたら、法人登記の時点で厳しくする方が根本的な対策のような気が。
いや、私個人としては登記手続きが大変になるのも困るのですが、例えば法人名義で公共料金を支払うことが必要なのであれば、それを登記の必須条件にしてしまうとか、もう少し全体の辻褄が合うような方法がありそうなものですが。
おかしいと思うのは、要求される書類が、適正な法人なら必ず提出可能なものではないこと。例えば決算時の税務署への申告が適正な法人の唯一の証しとなるのであれば、決算を迎えるまでは全ての新規法人は法人名義の口座は作れないというルールにすればいいのに。その方がずっと納得できるなあ。
2013年7月13日土曜日
会社設立登記 その4 定款の作成
■定款とは
会社の設立は、法務局という役所に申請するのですが、それ以前に行う一大イベントが定款の作成です。
定款というのは、「会社の憲法」などと言われるそうですが、要は会社の概要を内外に対して宣言したものです。憲法なので、詳細な情報というよりは基本的かつ普遍性の高い情報を記載することになります。
定款の作者は発起人、つまり会社設立の"言い出しっぺ"です。発起人は、会社設立当初は必ず株主にならなければいけないそうですが、取締役や社長という立場で経営に携わる必要はありません。ちなみに私の場合はひとり会社なので、発起人も株主も代表取締役も全部私です。
定款の書き方ですが、日本公証人連合や法務省のWebサイト、あるいは起業の手引書などを見ればサンプルが入手できるので、作業自体は意外と難しくないと思います。
■定款に記載する内容
定款に記載する内容ですが、大きく以下の種類があります。
絶対的記載事項
必ず記載しないといけないもの。以下の5つ。
相対的記載事項
記載しなくてもいいが記載しないとその効力が生じないもの。例えば自社の株式を勝手に譲渡してはいけないという「株式譲渡制限」など。
任意的記載事項
記載が自由なもの。例えば事業年度や定時株主総会の開催時期など。
私の場合、起業の手引書のサンプルに手を加える形で定款を作成しました。結果的に、表紙を含めてA4で5ページ、30条からなる定款となりました。内容的には、商号や目的や所在地の他、株式に関すること、株主総会に関すること、取締役に関すること、事業年度や株主への配当に関することなどが含まれています。
ここまで読んでお気づきかもしれませんが、定款は会社の概要を示すものとはいっても、「お客様を大切にします」的な企業理念や「年商1億円を目指します」といった営業目標もなければ、社員数や部門名や取扱商品などの情報もありません。会社が行うビジネスの内容に関する条項は「目的」しかありません。
つまり、登記を受け付ける役所側から見た関心事は、その会社の株と株主と取締役に関する約束ごとなのでしょう。
■事前に決めておくこと
定款を作る作業は、サンプルを入試してしまえば後はちょっと編集するだけですが、それでも事前に自分の意志を持って決めておかなければいけないことがあります。
機関設計:
私の場合、自分一人だけの株式会社を作ったわけですが、取締役が複数いる場合、監査役がいて取締役会を設置する場合など、経営層の組織構造の違いは、登記手続きに大きく影響します。定款の記載内容もことなり、提供されているサンプルも、組織構造の違いで分けてあることが多いようです。
さらに言えば、そもそも株式会社にするか合同会社などその他の会社組織にするか、会社は作らず個人事業主として仕事をするかといった基本的なことは充分検討する必要がありますね。
商号:
商号すなわち会社名の付け方にはいくつかルールがありますが、それほど難しいものではないと思います。類似商号についても、今では同一住所で同一商号でなければOKというルールになっているので、よほど特殊な場合を除いて問題とはならないと思います。
ちなみに、法務局に行くと管轄地域の商号がチェックできます。私の行った法務局では検索用のパソコンが置いてあり、自分でチェックするスタイルでした。
目的:
会社の事業目的については、提供されている定款サンプルはあまり参考にならないので、自分で考えなければいけない部分かもしれません。定款における目的は「明確性」「具体性」「営利性」「適法性」を全て満たしている必要があります。記述上特に悩むのは「明確性」と「具体性」です。
私の場合、事例集を参考にしました。実際に登記済の会社の登記簿を参照することができれば、問題のない目的の記述方法を知ることはできます(ただし有料ですが)。ためしにいくつかの企業のWebサイトを見てみましたが、Webサイトに書かれている事業目的が定款の目的と同じ記述である保証はないので、あまり参考にはならない印象でした。
また、目的の草案(というより、定款全体の草案)ができた段階で法務局に持っていき、問題がないかチェックしてもらいました。電子定款にする場合は、公証人役場でも認証前にチェックしてくれるので、この二段階のチェックによって自分が書いた目的が問題ない記述だと確信できました。
目的はいくつ書いてもいいようです。確実に行うビジネス以外に、将来行う可能性があるものも書いておいた方がいいそうです。
事業の内容によっては、役所への届出、あるいは役所からの許可、認可がないと行えないものがあるので、この点も確認しておく必要があります。
その他:
その他、本店所在地、資本金額、事業年度などを決めます。
また、株式の譲渡制限を設けるかどうかを決めます。株主は会社の経営に大きな影響力を持つので、株式の譲渡が自由にできると見ず知らずの誰かに会社を乗っ取られるリスクが出てきます。そこで、株式の譲渡には株主総会の承認が必要といった制限を設けておいた方が安心なのです。…こう言われると、譲渡制限しますよね、当然。
■電子定款の場合
定款の中身は、紙の定款であろうと電子定款であろうともちろん同じなのですが、唯一差があるのは、発起人の署名押印の部分です。
紙の定款の場合、
「以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。」
と書くところを、
電子定款の場合は、
「以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、電磁的記録であるこの定款を作成し、発起人が次に電子署名する。」
と書き換えておく必要があり、本物の印鑑を押す代わりに電子署名を付与することになります。
会社の設立は、法務局という役所に申請するのですが、それ以前に行う一大イベントが定款の作成です。
定款というのは、「会社の憲法」などと言われるそうですが、要は会社の概要を内外に対して宣言したものです。憲法なので、詳細な情報というよりは基本的かつ普遍性の高い情報を記載することになります。
定款の作者は発起人、つまり会社設立の"言い出しっぺ"です。発起人は、会社設立当初は必ず株主にならなければいけないそうですが、取締役や社長という立場で経営に携わる必要はありません。ちなみに私の場合はひとり会社なので、発起人も株主も代表取締役も全部私です。
定款の書き方ですが、日本公証人連合や法務省のWebサイト、あるいは起業の手引書などを見ればサンプルが入手できるので、作業自体は意外と難しくないと思います。
■定款に記載する内容
定款に記載する内容ですが、大きく以下の種類があります。
絶対的記載事項
必ず記載しないといけないもの。以下の5つ。
- 商号(会社名)
- 目的(どんな事業を行う可能性があるか)
- 本店所在地
- 出資額
- 発起人の氏名及び住所
相対的記載事項
記載しなくてもいいが記載しないとその効力が生じないもの。例えば自社の株式を勝手に譲渡してはいけないという「株式譲渡制限」など。
任意的記載事項
記載が自由なもの。例えば事業年度や定時株主総会の開催時期など。
私の場合、起業の手引書のサンプルに手を加える形で定款を作成しました。結果的に、表紙を含めてA4で5ページ、30条からなる定款となりました。内容的には、商号や目的や所在地の他、株式に関すること、株主総会に関すること、取締役に関すること、事業年度や株主への配当に関することなどが含まれています。
ここまで読んでお気づきかもしれませんが、定款は会社の概要を示すものとはいっても、「お客様を大切にします」的な企業理念や「年商1億円を目指します」といった営業目標もなければ、社員数や部門名や取扱商品などの情報もありません。会社が行うビジネスの内容に関する条項は「目的」しかありません。
つまり、登記を受け付ける役所側から見た関心事は、その会社の株と株主と取締役に関する約束ごとなのでしょう。
■事前に決めておくこと
定款を作る作業は、サンプルを入試してしまえば後はちょっと編集するだけですが、それでも事前に自分の意志を持って決めておかなければいけないことがあります。
機関設計:
私の場合、自分一人だけの株式会社を作ったわけですが、取締役が複数いる場合、監査役がいて取締役会を設置する場合など、経営層の組織構造の違いは、登記手続きに大きく影響します。定款の記載内容もことなり、提供されているサンプルも、組織構造の違いで分けてあることが多いようです。
さらに言えば、そもそも株式会社にするか合同会社などその他の会社組織にするか、会社は作らず個人事業主として仕事をするかといった基本的なことは充分検討する必要がありますね。
商号:
商号すなわち会社名の付け方にはいくつかルールがありますが、それほど難しいものではないと思います。類似商号についても、今では同一住所で同一商号でなければOKというルールになっているので、よほど特殊な場合を除いて問題とはならないと思います。
ちなみに、法務局に行くと管轄地域の商号がチェックできます。私の行った法務局では検索用のパソコンが置いてあり、自分でチェックするスタイルでした。
目的:
会社の事業目的については、提供されている定款サンプルはあまり参考にならないので、自分で考えなければいけない部分かもしれません。定款における目的は「明確性」「具体性」「営利性」「適法性」を全て満たしている必要があります。記述上特に悩むのは「明確性」と「具体性」です。
私の場合、事例集を参考にしました。実際に登記済の会社の登記簿を参照することができれば、問題のない目的の記述方法を知ることはできます(ただし有料ですが)。ためしにいくつかの企業のWebサイトを見てみましたが、Webサイトに書かれている事業目的が定款の目的と同じ記述である保証はないので、あまり参考にはならない印象でした。
また、目的の草案(というより、定款全体の草案)ができた段階で法務局に持っていき、問題がないかチェックしてもらいました。電子定款にする場合は、公証人役場でも認証前にチェックしてくれるので、この二段階のチェックによって自分が書いた目的が問題ない記述だと確信できました。
目的はいくつ書いてもいいようです。確実に行うビジネス以外に、将来行う可能性があるものも書いておいた方がいいそうです。
事業の内容によっては、役所への届出、あるいは役所からの許可、認可がないと行えないものがあるので、この点も確認しておく必要があります。
その他:
その他、本店所在地、資本金額、事業年度などを決めます。
また、株式の譲渡制限を設けるかどうかを決めます。株主は会社の経営に大きな影響力を持つので、株式の譲渡が自由にできると見ず知らずの誰かに会社を乗っ取られるリスクが出てきます。そこで、株式の譲渡には株主総会の承認が必要といった制限を設けておいた方が安心なのです。…こう言われると、譲渡制限しますよね、当然。
■電子定款の場合
定款の中身は、紙の定款であろうと電子定款であろうともちろん同じなのですが、唯一差があるのは、発起人の署名押印の部分です。
紙の定款の場合、
「以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、この定款を作成し、発起人が次に記名押印する。」
と書くところを、
電子定款の場合は、
「以上、株式会社◯◯◯◯を設立するため、電磁的記録であるこの定款を作成し、発起人が次に電子署名する。」
と書き換えておく必要があり、本物の印鑑を押す代わりに電子署名を付与することになります。
『モンスターズ・ユニバーシティ』
★★★★☆
観たのは3Dの字幕版。
自分の中では、『トイ・ストーリー』以来ずっと続いていたピクサー作品の不敗神話が、昨年の『メリダとおそろしの森』で途切れた感があるのですが、今回はまたいつものクオリティに戻った気がします。一安心。
ストーリーは、最終的に『モンスターズ・インク』に繋がらないといけないので、そういう意味では想像の範囲に収まっているけど、その中で結構色々と変遷があって面白いです。大学入学当時、マイクは努力家で、サリーはちょっと嫌なヤツだったなんて、『モンスターズ・インク』からは想像できなかったからなあ。
もっと意外だったのは、彼らの最終学歴。『モンスターズ・ユニバーシティ』というぐらいなので、優秀な成績で卒業してバチェラーを取得するのかと思ったら…。
『モンスターズ・インク』と同じ世界観で時間的にもつながっている話だけに、景色や建物やキャラクターが結構共通しているみたいで「あ、なんか見たことある」と思うことがよくありました。
『モンスターズ・インク』をおさらいしてから『モンスターズ・ユニバーシティ』を観たら、もっと色々気づけたかも。
初期のピクサー作品は、エンドロールの後NG集が入っていました。今回は、NG集ではないけど、エンドロールの後にちょっとした「オチ」の映像がありました。
同時上映の短編は『The Blue Umbrella』という作品。ストーリーはあまりひねりがないと思いますが、映像の雰囲気がこれまでのピクサー作品とはちょっと違いました。
ピクサー作品というと全編3DCGだからリアルなんだけど、写真と区別がつかないというようなものではありませんでした。でもこの短編作品は、写真と見間違えるようなCGでした。実写映画でCGだと気付かれないようなCGを使うことはいくらでもあるので、技術的には可能なんでしょうが、ピクサー作品としてはちょっと新鮮でした。
公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/monsters-university/home.html
観たのは3Dの字幕版。
自分の中では、『トイ・ストーリー』以来ずっと続いていたピクサー作品の不敗神話が、昨年の『メリダとおそろしの森』で途切れた感があるのですが、今回はまたいつものクオリティに戻った気がします。一安心。
ストーリーは、最終的に『モンスターズ・インク』に繋がらないといけないので、そういう意味では想像の範囲に収まっているけど、その中で結構色々と変遷があって面白いです。大学入学当時、マイクは努力家で、サリーはちょっと嫌なヤツだったなんて、『モンスターズ・インク』からは想像できなかったからなあ。
もっと意外だったのは、彼らの最終学歴。『モンスターズ・ユニバーシティ』というぐらいなので、優秀な成績で卒業してバチェラーを取得するのかと思ったら…。
『モンスターズ・インク』と同じ世界観で時間的にもつながっている話だけに、景色や建物やキャラクターが結構共通しているみたいで「あ、なんか見たことある」と思うことがよくありました。
『モンスターズ・インク』をおさらいしてから『モンスターズ・ユニバーシティ』を観たら、もっと色々気づけたかも。
初期のピクサー作品は、エンドロールの後NG集が入っていました。今回は、NG集ではないけど、エンドロールの後にちょっとした「オチ」の映像がありました。
同時上映の短編は『The Blue Umbrella』という作品。ストーリーはあまりひねりがないと思いますが、映像の雰囲気がこれまでのピクサー作品とはちょっと違いました。
ピクサー作品というと全編3DCGだからリアルなんだけど、写真と区別がつかないというようなものではありませんでした。でもこの短編作品は、写真と見間違えるようなCGでした。実写映画でCGだと気付かれないようなCGを使うことはいくらでもあるので、技術的には可能なんでしょうが、ピクサー作品としてはちょっと新鮮でした。
公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/monsters-university/home.html
2013年7月8日月曜日
『真夏の方程式』
★★★☆☆
ガリレオの映画第2弾。
ガリレオは、テレビ版はエンターテインメント色を強めにして、映画版は人間ドラマの色合いを濃くする方針のようです。映画版がテレビ版と同じような演出で作られていたら、たぶん今回の第2弾は観なかったと思います。
テレビ版は、割とオカルトチックなノリがあって、事件発生に際して大抵超常現象が起こります。これを湯川先生が物理学的に起こりうることだと実証していくのがパターン。
湯川先生は文字通り変人で、現象を物理学的に解き明かすことには興味を示すけど、犯人の動機や事件の裏側にある人間同士の愛憎には全く関心がありません。
そして、事件の謎を解き明かす瞬間、彼はお約束のようにその辺の壁でも地面でも、ところ構わず数式を書きまくるというシーンが登場します。
テレビ版のこういった演出があまり好きではない私としては、映画版がグッと重厚感のあるドラマとして仕上げられていることは大歓迎です。
前作の『容疑者Xの献身』も、オカルトめいた超常現象は登場しないし、物理学者しか知らないような変わった装置も出てきませんし、あの数式を書きまくるシーンもありません。真実を知ってしまったことに苦悩し動揺する湯川先生は、面白おかしいマンガのキャラクターのような変人ではなく、人間性を持ち心の弱さを持った一人の男でした。
同じキャラクター、同じ設定でありながら、これだけトーンを変えた作品作りをするのは大変そう。福山雅治の演技も、ガリレオらしい変人ぶりは最低限残しつつ、人間味を加えるバランスが見事。
今回の『真夏の方程式』も、スタイルとしては『容疑者Xの献身』同様、人間ドラマ型の方で作られています。
最終的にすべての真実が明らかになったとき、謎が解けたというすっきり感とは別に、それぞれの登場人物が抱えているやりきれない事情が切なくなります。謎解きや犯人探しと、人間ドラマのバランスもいい感じです。
ただなあ、自分としては前作の方がさらによかったんだよなあ。
ところで、湯川の環境保護団体への言葉、
「人間は自然に手を加えて利用してきた。その恩恵はあなた方も受けている。あとは選択の問題だ」
すごく湯川らしいセリフですが、エンターテインメント作品らしからぬ重みを感じます。
公式サイトは、こちら。
http://www.galileo-movie.jp/index.html
ガリレオの映画第2弾。
ガリレオは、テレビ版はエンターテインメント色を強めにして、映画版は人間ドラマの色合いを濃くする方針のようです。映画版がテレビ版と同じような演出で作られていたら、たぶん今回の第2弾は観なかったと思います。
テレビ版は、割とオカルトチックなノリがあって、事件発生に際して大抵超常現象が起こります。これを湯川先生が物理学的に起こりうることだと実証していくのがパターン。
湯川先生は文字通り変人で、現象を物理学的に解き明かすことには興味を示すけど、犯人の動機や事件の裏側にある人間同士の愛憎には全く関心がありません。
そして、事件の謎を解き明かす瞬間、彼はお約束のようにその辺の壁でも地面でも、ところ構わず数式を書きまくるというシーンが登場します。
テレビ版のこういった演出があまり好きではない私としては、映画版がグッと重厚感のあるドラマとして仕上げられていることは大歓迎です。
前作の『容疑者Xの献身』も、オカルトめいた超常現象は登場しないし、物理学者しか知らないような変わった装置も出てきませんし、あの数式を書きまくるシーンもありません。真実を知ってしまったことに苦悩し動揺する湯川先生は、面白おかしいマンガのキャラクターのような変人ではなく、人間性を持ち心の弱さを持った一人の男でした。
同じキャラクター、同じ設定でありながら、これだけトーンを変えた作品作りをするのは大変そう。福山雅治の演技も、ガリレオらしい変人ぶりは最低限残しつつ、人間味を加えるバランスが見事。
今回の『真夏の方程式』も、スタイルとしては『容疑者Xの献身』同様、人間ドラマ型の方で作られています。
最終的にすべての真実が明らかになったとき、謎が解けたというすっきり感とは別に、それぞれの登場人物が抱えているやりきれない事情が切なくなります。謎解きや犯人探しと、人間ドラマのバランスもいい感じです。
ただなあ、自分としては前作の方がさらによかったんだよなあ。
ところで、湯川の環境保護団体への言葉、
「人間は自然に手を加えて利用してきた。その恩恵はあなた方も受けている。あとは選択の問題だ」
すごく湯川らしいセリフですが、エンターテインメント作品らしからぬ重みを感じます。
公式サイトは、こちら。
http://www.galileo-movie.jp/index.html
2013年7月1日月曜日
『コン・ティキ』
★★★☆☆
たぶん小学校3年生のときだったと思うのですが、風邪を引いて学校を休んだとき、『片耳の大しか』(椋鳩十著)という本を親が買ってくれました。これが子供向けの偕成社文庫というシリーズで、その後自分のお小遣いで何冊か買いました。椋鳩十や戸川幸夫の動物ものが好きでしたが、一番気に入っていたのは古田足日の『海賊島探検株式会社』。そして『コンチキ号漂流記』もかなりお気に入りで、何度も読み返した記憶があります。"探検"とか"漂流"とか、子供心にワクワクしたんでしょうね。
そんな作品の映画化作品となれば、例えつまらなくても観に行かないわけにはいきません。
そして実は、その本は今も手元にあります。「1976年3月 1刷」ということは、初版ということですよね。
さて、映画の『コン・ティキ』ですが、実話に基づいている以上、勝手にエピソードを追加するわけにはいかないんでしょうが、正直言って漂流ものとしては想像できる範囲だったかなあ。訪れる危機といえば、嵐とサメと仲間割れ。コン・ティキ号はイカダで、海流に乗って進むだけだから操縦するシーンもほぼなし。比較的最近、やはり漂流ものの『ライフ・オブ・パイ』を見ているのも、ちょっと条件が悪かったかも。
それでも、約35年前に何度も読んだ物語を目の前にビジュアルで見せられると、やっぱりワクワクしますね。
この感覚は『宇宙戦艦ヤマト2199』を見たときと本質的には同じ。子供のころの自分にとって、人類学的検証として行われた史実としてのイカダでの航海も、エンターテインメントの空想物語である宇宙戦艦の航海も、ワクワク感に区別はないんでしょう。
映画の『コン・ティキ』には、本に出てきたエピソードで私が記憶しているものがいくつか出てきませんでした。
そのうちの一つ。バルサの丸太を縄でしばっただけのコン・ティキ号はそのうちバラバラになると思われていたものの、バルサがいい具合に水を吸ってふやけて衝撃を吸収し、縄が緩むことがなかったというもの。映画では、バルサが水を吸っていることを心配する描写や、縄だと持たないかもしれないのでワイヤーで補強しようという案をヘイエルダールが拒否するシーンがありました。
もう一つ。本では、しばしばシイラという魚を釣って食べる場面が登場していた記憶がありますが、映画では航海中の食事に関するシーンはほとんどありませんでした。ただ、イカダの下の海を泳ぐ魚の中にシイラがいたのはわかりました。
公式サイトはこちら。
http://www.kontiki.jp
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