2015年12月26日土曜日

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

★★★★☆

シリーズで最初に公開されたエピソード4は、1978年に日本で公開され大ヒットしたのはリアルタイムで知っていますが、当時の私は宇宙戦艦ヤマトに夢中だったので、スター・ウォーズはほぼ眼中にありませんでした。テレビで放送されたときに何となく観たり、のちに作られた特別版は映画館で観ているのですが、エピソード5、6となると、観たのか観てないのかもはっきり覚えていません。エピソード1〜3は一応全て映画館で観ています。
世の中にコアなファンがいるスター・ウォーズですが、私の温度感はその程度です。

そんな私でも、冒頭のテーマ曲を聴くと「あのスター・ウォーズの最新作を今見ているんだ」と、ちょっと感慨深い気持ちになってしまいました。まあ『宇宙戦艦ヤマト2199』を観たときの気持ちがザワザワする感じには及ばないのですが(^^;)。
そして、旧作の登場人物が画面に現れるたびに「おお」と思ってしまいました。

そういった高揚感も含めての星4つです。

もう少し冷静に観てみると、割と簡単に敵の武器の弱点を見抜いたりするあたりがSFとしてはちょっと軽めだと思います。あまり細かいことは気にせず楽しむ娯楽作品ということでしょう。旧作もそういう傾向があった気がするので、コンセプトが貫かれているとも言えます。

物語の始まりを描いた本作ですが、登場人物の相関図が少しずつ見えてきて、"フォースの覚醒"が垣間見えてきて、これからどんな展開を見せるのか楽しみです。

ちなみに、結局3D字幕版を観ました。

公式サイトは、こちら。





2015年12月17日木曜日

『007 スペクター』

★★★★☆

前作『007 スカイフォール』がよかったので、同じレベルを期待して観に行きました。結果は期待通り。
マンネリといえばマンネリですが、ド派手なスパイアクション映画として直球ど真ん中でした。

一部、前作やそれ以前の007シリーズのことがわかっていないと理解できない部分もあるようでしたが(私自身、前作はほとんど覚えておらず、それ以前の作品は見たことがないので理解できませんでした)、まあ細かいことは気にせずに楽しむことができました。

基本的に、ある目的に対して、どこかに行く→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→以下、繰り返し…というストーリー展開なので、実はいくらでも話を長くすることができる作りとなっています。今作も、まあ飽きませんでしたが、これでもかと世界中を駆け回ります。

ある場面、作中では北アフリカの砂漠と表現されていましたが、エンドロールによるとモロッコでロケが行われたようでした。実は夏に観た『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』もモロッコでロケが行われています。
ただでさえ似たようなスパイアクション作品でロケ地までかぶってしまうのはあまりいいことではない気がしますね。それにしても、モロッコはロケ地の誘致を積極的に行っているのかな。

ジェイムズ・ボンドとイーサン・ハントもつい比べてしまいます。スパイとしての技能には大きな差は感じませんが、英国紳士の側面を持っている分だけボンドの方がハードボイルドな印象が強い気がします。本物のスパイには不要な特性かもしれませんが、映画作品のキャラとしてはその方が魅力的かもしれません。そしてダニエル・クレイグがそのキャラにとてもうまくはまっていると思います。
そういえば前作では、ボンドが髭を剃るとき、理髪店のように泡をブラシで顔に塗り、シェービングナイフを使う描写があって、その時代錯誤感も含めてとてもかっこよかったのですが、今作ではそう言ったシーンがなかったなあ。ちょっと残念。

公式サイトは、こちら。
http://www.007.com/spectre/?lang=ja







2015年12月12日土曜日

『杉原千畝』

★★★★☆

なかなか見応えがあったと思います。史実に基づいた作品らしいですが、それだけに作品の面白さは史実に依存することになります。純粋にドラマとして見ると、星3.5と4の間ぐらいかなあ。

ビザというと、私にとっては海外旅行に行くとき必要に迫られて取得するものというぐらいの認識しかなかったので、ビザを発行することで人の命が救えるなどということは考えたこともありませんでした。
杉原千畝のことは全く知りませんでしたが、予告編を見て俄然興味が湧きました。

作品は、ほぼ時系列通りに進んでいくので、第二次大戦時、杉原自身と日本、ヨーロッパでどのようなできごとが起こり、それによって情勢がどのように変化していくのかがわかりやすかったと思います。
杉原の最大の功績(?)は、リトアニアでユダヤ人に出国のためのビザを発行してあげたことですが、このビッグイベントが映画の終盤ではなく中盤で描かれていたのはちょっと意外でした。そのあとのストーリーは、私は退屈することなく観ることができましたが、人によってはダレた印象になるかもしれません。

ロケ地は、実際に杉原は赴任した場所とは違うポーランドで行われたそうです。ポーランドといえばアウシュビッツ収容所のあるところですが、確か主演の唐沢寿明さんはフジテレビのドラマ『白い巨塔』で収容所を訪れていましたね。

イスラエルが親日国なのは、杉原のビザ発行が一因だそうです。『海難1890』ではトルコが親日になった一因のエルトゥールル号の事故が描かれていました。人助けで相手から信用してもらうという外交で国際的に良好な関係を築けるなら、こんなに素晴らしいことなはいと思いつつ、現実にはなかなかそれだけというわけにもいかないのだろうとも思い、いろいろと考えるきっかけになりますね。

それにしても、邦画(監督は外国人)なのに英語のセリフが多い作品でした(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.sugihara-chiune.jp





2015年12月6日日曜日

『海難1890』

★★★☆☆

トルコに旅行に行って以来、この国に興味を持っているので、エルトゥールル号とイラン・イラク戦争時のトルコ救援機のエピソードは知っていました。その映画ということで、最初から観に行くつもりでした。

内容的にはよかったと思いますが、やっぱりこれは史実としての出来事がよかったのであって、ドラマとしての脚色部分はそれを超えるほどではないような気がしました。

日本とトルコの友好関係を示すものとして、エルトゥールル号とトルコ救援機はセットで語られることが多く、この作品でもこの2つを取り上げています。私はてっきり、トルコが日本のために救援機を派遣してくれたのは、エルトゥールル号の乗組員を日本が救助したことに対する恩返しなのだと思っていましたが、どうも違うような気がしてきました。

映画の中ではそれを明確に示すセリフなどはほぼありませんでした。それを匂わせるセリフはあったのですが、もし実際にトルコが恩返しを意識していたのなら、あんなに弱い演出にするとは思えません。
忽那汐里さんとケナン・エジェさんはいずれも一人二役で、2つのエピソードの両方に登場しますが、これも観客に両エピソードのつながりを(無理やりにでも)感じさせるための演出だと思われます。
トルコ救援機派遣の決定は、単に国際的な人道支援であって、エルトゥールル号を意識したものではなかったというのが本当のところなのかもしれません。

日本人に助けられたエルトゥールル号の乗組員が、日本や日本人に対してどんな印象を持ったのか、その時の様子を帰国後にどのように周りの人に伝えたのかといったことはほとんど描かれていませんでした。
作中では日本人医師と乗組員の一人は英語でコミュニケーションがとれたように描かれているのですが、両者が言葉をかわす場面はとても少なくて、若干不自然だと思いました。
あまり記録が残っていないのかなあ。

全体的に、ドラマとしての演出に苦心のあとを感じてしまいました。

結論としては、2つのエピソードのドキュメンタリーを見たくなりました(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.kainan1890.jp





2015年12月5日土曜日

『黄金のアデーレ 名画の帰還』

★★★★☆

いい作品だと思いましたが、星はより正確には3.5以上4未満ぐらいかなあ。

クリムトといえば、学生時代に友人と話題にしていた記憶があります。あれは、展覧会か何かがあったんだったかな。個人的には割と苦手な画風なので、私自身は行かなかったけど。

なので、アデーレの肖像画も知っていたのですが、この作品の返還に関するエピソードは全く知りませんでした。1998年〜2006年というと(私のスケールでは)つい最近の出来事なのに、なぜだろう。

映画作品としては、名画にまつわる数奇な運命の物語でもあり、ナチスによる弾圧に巻き込まれた人々の悲劇でもあり、法廷モノでもあるというような雰囲気。
ちょっと欲張りすぎていて軸がはっきりしない気がしなくもないですが、実話に基づいているせいか、何となく説得力がありました。

主人公のマリアは、気まぐれで頑固なおばあちゃんとして表現されていて、ちょっとコミカルだけど憎めないキャラクターでいい味が出ていました。

偶然でしょうが、近い時期に公開される『杉原千畝』もナチス弾圧が激しかった頃の話ですね。先日イスラエル映画『ハッピーエンドの選び方』を観たのですが、イスラエルが親日国なのはこの杉原千畝の活動によるそうです。同じく親日国トルコが親日になった出来事を描いた『海難1890』も近い時期に公開。なんだか勝手に、いろいろつながってるなあと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://golden.gaga.ne.jp





2015年12月2日水曜日

『ハッピーエンドの選び方』

★★★★☆

おそらく人生初のイスラエル映画。
割と前評判がいいようだったので、観てみたくなりました。

別に疑っていたわけではありませんが、ストーリーも役者の演技も映像の品質も、ハリウッド作品と比べても全く遜色ありませんでした。このクオリティの作品がどんどん作られているなら、もっと日本でも観られる機会があるといいのに。

内容的には、尊厳死や安楽死を扱っているので決して明るい話ではありませんが、適度に笑いの要素も入れてあって、深刻になりすぎないよう調整されている印象でした。

死をテーマとした作品という点では、この作品の監督が『おくりびと』に影響を受けたらしいですが、私は『エンディングノート』もちらっと思い浮かべました。

イスラエル映画ということで、イスラエルの生活が垣間見えるかと期待したのですが、舞台が主に老人ホームということもあるかもしれませんが、あまり独特の事物は見当たらず、アメリカだと言われれば信じてしまいそうな感じでした。死がテーマですが、ユダヤ教の宗教性が現れているという印象も特になし。唯一、墓地(たぶん)が見たことのないスタイルでした。
逆に言うと、イスラエルのことを特に知らなくても、普通に観られる作品だと思います。

役者のセリフは、公式サイトによるとヘブライ語だそうです。音の響きがちょっとフランス語っぽく聞こえることがありました。
同じく公式サイトを見ると、女優さんの一人はエルサレム生まれだとか。「エルサレム生まれ」って、なんかそれだけで「すげー」って思ってしまいました(^^;)。

とてもいい作品だと思ったので星4つにしましたが、初めてイスラエル映画を観た喜びが若干含まれているかも。冷静に評価すれば3.5ぐらいかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://happyend.asmik-ace.co.jp





2015年11月3日火曜日

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN II 哀しみのアルテイシア』

★★★★☆

原作の細かいところまではおぼえていませんが、基本的には原作に忠実だと思います。

安彦良和さんの役割は総監督なので、作画には直接関わっていないのだと思いますが、時々キャラクターの動きのつけ方などが安彦っぽいと思うところがありました。

この作品は、一年戦争以前のキャスバルとアルテイシアの物語ですが、アムロとミライもちょっとだけ出てきます。
アムロは本当にすれ違っただけみたいな感じですが、ミライの方はセイラがアルテイシアであることを理解していてもおかしくないような関わり方です。
セイラも、一年戦争より前にシャア・アズナブルという人物と知り合いだったことになるので、このあたりが一年戦争を描いた最初のガンダム作品でのミライやセイラの振る舞いとつじつまが合わなくなっていますね。

声優さんは、最初のガンダムの声の印象が強いので、できれば同じ人にやってほしいという気持ちはありますが、もう亡くなっている方もいるのでそうもいかないんでしょうね。
逆に、池田秀一さんの若いキャスバルの声はちょっと違和感があったりして、なかなか声のキャスティングも難しいものですね。

星は4つにしましたが、これはあくまでも最初のガンダムをよく知っているから面白く感じるのだと思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.gundam-the-origin.net

2015年10月31日土曜日

『ギャラクシー街道』

★★★☆☆

実際に観に行く前に、映画のレビューサイトを見たらかなり酷評されていて心配だったのですが、実際に観てみた印象としては、私はそこまで悪くないと思いました。

批判の中に「コントっぽい」というのがあったのですが、もともと三谷作品はコメディであり、舞台っぽい見せ方をする傾向があるので、コントとの境界線を引くのは難しいと思います。
宇宙モノの作品で、宇宙人や宇宙船などのビジュアルがいかにもチープなのも狙いだと思います。

ハンバーガーショップ内で複数のエピソードが並行して進み、それぞれが色々な形で交わるオムニバス的作りは『有頂天ホテル』と似ていると思います。
『有頂天ホテル』は、見ている側が気づかないような関係であったり、意外な切り口であったりが唐突に示されて、そこに驚きと笑いと、最後にすべてのピースがぴったりとはまる心地よさがありました。でも、宇宙人を持ち出してしまうとどんな意外性もアリになってしまうので、ちょっと安易でデタラメで、制約がない分ピースが埋まった感じが乏しくなっているのかもしれません。
個人的には『有頂天ホテル』はとても好きな作品なので、それと比べてしまうと確かに差は感じます。

主人公の香取くんが、割とイライラしている役で、あまり笑える感じのイライラな演技ではなかった気がします。


公式サイトは、こちら。
http://galaxy-kaido.com

2015年10月27日火曜日

『図書館戦争 THE LAST MISSION』

★★★☆☆

実際は、星3.5ぐらいかなあ。

少なくともその世界観の中ではかなりよかったと思います。事件の事の起こりから結末までの流れも面白かったし、戦闘シーンも迫力があったし。榮倉奈々さん演じる笠原が単純すぎるところは気になりますが(^^;)。あとは松坂桃李くんの敵役は、ちょっと狂気を強調しすぎな気がしました。

あとはもう、図書の検閲とそれを阻止する図書隊が武力でぶつかり合う社会という世界観が受け入れられるかどうかだと思います。私の場合、そこにどうしてもリアリティを感じないので、少し点が低くなってしまいます。
百歩譲ってそういう対立構造があったとして、いつ良化隊と図書隊のドンパチが始まるかわからない図書館を楽しく利用する一般市民の心理がよくわかりません。

タイトルには"LAST"とついているのでシリーズ最後の作品なのかと思いきや、特にそういうストーリー展開ではありませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://www.toshokan-sensou-movie.com/index.html

2015年10月26日月曜日

『マイ・インターン』

★★★★☆

自分としてはあまり観ない路線の作品ですが、予告編を見てちょっと気になり、評判も割とよさそうだったので観てみました。

アン・ハサウェイもよかったと思いますが、彼女だけだと普通のキャリア・ウーマンの話になってしまいますから、やっぱりこの作品を特徴づけているのはシニア・インターンであるロバート・デ・ニーロの存在。実際、作中の彼はとても魅力的に描かれていました。

で、実際作品の印象はよかったのですが、冷静に考えてみるととてもフワフワした雰囲気重視の作品だった気がします。
ロバート・デ・ニーロ演じるシニア・インターンのベンが、アン・ハサウェイ演じるジュールズを仕事の上でもプライベートでも支えていくわけですが、なぜベンにそれができたのかがほとんど説明されていません。
リクツづけなんかどうでもいいと言われればそれまでですが、まあ多少なりとも、ベンのアナログな仕事の進め方がメール中心のジュールズの仕事のやり方の欠点を補完したとか、ジュールズの抱えているトラブルと同じ体験をかつてベンもしていたとか、そういうこの人だからうまくいった根拠みたいなものをさりげなく示すのがこの手の映画の常套手段だと思います。
それがほとんどなく、ベンはひたすら穏やかに微笑んでジュールズを見守っているだけです。それでも見ている側がなんとなく納得してしまうのは、ロバート・デ・ニーロの穏やかな微笑みが本当に救いになりそうな笑顔だからだと思います。

アン・ハサウェイは、あのタレ目が結構好きなのですが、少し前に『インターステラー』を見たとき「この女優さん、誰だっけ?」と完全に忘れていました。
あらためて調べてみると、それ以前の彼女の出演作では『アリス・イン・ワンダーランド』と『ダークナイト ライジング』を観ているので、そのどちらかのときに「この人、いいなあ」と思ったのだと思います。

ジュールズの会社は、ファッション系のネット通販会社。日本のテレビドラマでもいわゆる"業界モノ"は数多く作られていて、本当にその業界の人が見るとヘンテコな描写も多いようですが、ハリウッド映画はどうなのでしょう?なんとなーく、この作品の業界描写も雰囲気重視なんじゃないかと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/myintern/

『探検隊の栄光』

★★★☆☆

未確認生物とかを探しに行く探検隊モノのテレビ番組を昔はよくやっていました。
前人未到の洞窟に足を踏み入れたはずに探検隊を、洞窟の中から撮影していて「カメラマンが先に入ってるだろ!」とネタにして楽しむような番組でした。

そういった番組の撮影隊をテーマにしたコメディなので絶対面白いに違いないと、わざわざ新宿まで行って、1800円払って観てきたのですが…うーん、悪くはないと思いました。

ツッコミどころ満載の探検隊モノ番組撮影の様子を面白おかしく描いていたのは予想どおり。その場の成り行きで撮影している様子と、そうやって撮影した映像に派手な字幕とナレーションをつけて番組にするとどうなるかを対比して見せるのも面白かったのですが、なぜか笑えるほどの面白さではなかった気がします。

命に関わるような切迫した状況でも撮影を優先したりする様子が、作品内では撮影クルーの情熱として描かれているのですが、見ている側からすると単なる無謀にしか見えなかったりするあたりで、共感できないところがあったからかもしれません。

探検隊番組に目をつけたところはすごくいいと思うし、それだけに期待が大きすぎたのかなあ…。

公式サイトは、こちら。
http://tanken-movie.com

2015年10月19日月曜日

『心が叫びたがってるんだ。』

★★★★☆

とてもよかったと思います。

『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』、いわゆる『あの花』のスタッフが作った新作だそうですが、残念ながら"『あの花』を僕はまだ知らない"のですが、とりあえず評価が高いことだけは知っていたので、ちょっと観てみようかと思いました。

映画館で予告編を何度か見て、ちょっと妄想世界のような描き方があったので、そういう表現ばかりだと私は苦手なのですが、全体から見ると時間的にも表現的にも控えめだったと思います。

ストーリーは、子供のころのトラウマで声が出せなくなった女の子が、クラスでオリジナルのミュージカルをやることになり、歌を歌ことで自分の気持ちを表現しようとする。その姿に影響されて、クラスが一致団結する。恋あり、友情あり。という、かなりガッツリな青春学園モノで、あらすじだけ説明すると金八先生みたいですね(^^;)。

ミュージカルをやることになった経緯から本番までの彼らの活動の様子も、人間関係の変化もとても丁寧に描かれていて、大事件が起きまくるわけでもないのにダレる感じもなく、ミュージカルの楽曲は作っている最中はヘンテコな曲だと思いましたが、最後の本番では意外とちゃんと聴けました。エンディングの乃木坂46の歌までいい歌に聴こえてしまいました(^^;)。

これだけちゃんとした作品なのに、女の子のキャラクターデザインなどがどうしても二次元好きな一部の人をターゲットにしている印象があり、逆に言うとそれ以外の人を排除してしまうのは、かなりもったいない気がします。

公式サイトは、こちら。
http://www.kokosake.jp

2015年10月12日月曜日

『バクマン。』

★★★☆☆

『DEATH NOTE』が面白かったので(珍しく原作マンガを買った)、同じ原作者のこの作品も興味があったのですが、結局原作は未読のまま、映画を観てみました。

ひとことで言うと、青春スポ根ドラマのマンガ版という感じでした。単純明快。
何に情熱を燃やせばわからずいた高校生がマンガと出会ってのめり込んでいく様子。
原作と作画というペアで活動するので、そこに生まれる信頼や友情とちょっとした確執。
強力な敵が現れ、勝敗を競い合う構図。
同級生との淡い恋。

マンガ執筆の話ですが、どちらかというと主人公2人の奮闘ぶりを前面に押し出していて、業界裏話的なエピソードや描写はあまり重視していない気がしました。そんな中でも、週刊少年ジャンプ編集部の連載決定プロセスとかはちょっと興味深かったです。

当然映画の中で、登場人物が作ったいろいろなマンガ作品やアイデアが出てきます。映画の中では「すげー面白れー」と言っていたものが私には特に面白く感じませんでした(^^;)。そういったマンガの中身を細かく説明することはないのですが、実際のところどのくらい完成されたものを用意してあったのか気になります。

映像は結構面白かったです。どうしても地味になりがちな執筆中の描写とエンドロールが特に。

サカナクションの音楽は、疾走感があってカッコよくて、でも汗や泥の臭いは感じないので、この文化系スポ根ドラマにはよく合っていたと思います。

公式サイトは、こちら。
http://bakuman-movie.com

2015年10月10日土曜日

『アントマン』

★★★★☆

ずいぶん前から予告編をやっていて、最初は興味がなかったのですが、ジワジワと観てみたくなりました。

もともとは決して正義感の強い人間ではない主人公が、しかたなくアントマン役を引き受けるという筋書きとか、随所に織り込まれる笑いの要素などが、ちょっとB級映画っぽいのですが、それも含めて楽しめました。
この作品は続編が作られるそうですが(いかにもそういう終わり方でした)、観てもいいかなと思わせるものでした。

ところで、昆虫サイズのヒーローというと、私はどうしても『ミクロイドS』を思い浮かべますね。共通点は昆虫モチーフの小さいサイズのヒーローということだけだと思いますが、40年以上前に同じようなアイデアを出していたとは、あらためて手塚治虫はすごいなあ。
『ミクロイドS』の主題歌には「心を忘れた科学には…」云々という、科学の暴走に対する警鐘とも言える一節があります。当時のアニメ主題歌としてはやけに社会的なメッセージだなあと思って調べてみたら、阿久悠作詞でした。あらためて阿久悠はすごいなあ。

公式サイトは、こちら。
http://marvel.disney.co.jp/movie/antman.html

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN エンド オブ ザ ワールド』

★★★☆☆

原作とは全く違うストーリーだそうですが、そもそも原作をよく知らないので、単体の映画作品として観た印象です。

後篇は、いろいろな謎が明らかになって、ストーリーに決着がつくものと思っていました。
確かに謎の答は登場しましたが、意外とさらっと流した感じで、深く踏み込んでいないのがちょっと拍子抜けしました。で、その内容も割とありがちな印象でした。
ストーリーの決着という点でも微妙。壁の外の世界に憧れているエレンは、結局壁の外に出ることはなかったし、あの終わり方だと、人類の壁の中での暮らしは特に大きく変わることはなさそう。
はっきり言ってしまえば、いかにも続編がありそうな終わり方でした。

映像はよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.shingeki-seyo.com/index.html

2015年9月18日金曜日

『テッド2』

★★☆☆☆

…途中で少し寝てしまいました(^^;)。
まあ、もともと前作もお下品な映画で、まさにその続編だったな、という印象ですが、自分としては前作ほど盛り上がらなかったのはなぜだろう?

まず、同じパターンで、さすがに飽きてきたということがあるかもしれません。前作はくまのぬいぐるみがCGでスムーズに動くことや、そのぬいぐるみの性格が下品なオッサンだという設定の新鮮さに驚きがありましたが、2作目ともなるとそれは前提となってしまうので。

裁判のくだりは、この作品にしては深すぎた気がします。所詮ぬいぐるみに命が宿るというファンタジーなのだから、ヘンに部分的に理屈っぽくせずに、ドタバタコメディーで押しまくった方がよかったのではないでしょうか。

この作品の特徴として、ドラッグネタが結構頻繁に出てきますが、なかなか共感できません。笑いのツボとしてもよく理解できないので、面白く感じません。

もし3作目があったとしても、次は観に行かないかも(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://ted-movie.jp

2015年9月12日土曜日

『アンフェア the end』

★★★☆☆

アンフェアシリーズは、TVシリーズはほとんど観ておらず、映画は『アンフェア the answer』しか観ていません。
このような状況だとシリーズ完結編と言われても全体の流れがよくわかならいので、単独の作品としてしか評価できません。

『アンフェア』だけあって、今作内でも色々と"裏切り"がありましたが、あまりやり過ぎるとどうにでも都合よくストーリーがいじれてしまうので、若干安易な感じがしました。

映像はとてもスタイリッシュでかっこよかったと思います。ロケ地もセットも、パソコンの画面デザインも絵としてのかっこよさ重視で作られている気がしました。
やや荒唐無稽な設定やストーリーも、妙にキザなセリフや芝居も、全てはかっこよさ優先なんでしょうね。
自分としては、もうちょっと泥臭くて地味でもいいので、現実的な方が好みです。

金曜日のレイトショーは意外と席が埋まっており、特に女性が多かったように思います。篠原涼子もしくはこのシリーズのファンもいたようで、私にはよくわからないところでウケていました。

公式サイトは、こちら。
http://unfair-the-end.jp

『映画 みんな!エスパーだよ!』

★☆☆☆☆

いやあ、くだらない(^^;)。
実は、テレビドラマをちょっとだけ見たことがあります。まさか映画になるような作品だとは思っていなかったのでつい気になって観てしまいましたが、ノリがテレビのときとまったく同じで、これといってスケールアップした様子はありません。

まあそれが狙いなのでしょうが、SFとしても見るべきところはないし、ストーリー展開もメリハリがないし、エロさは男子中学生の妄想レベル。
その路線で思いっきり振り切っているので、むしろすがすがしい気もしますが、自分としては価値がよくわかりませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://esper-movie.gaga.ne.jp

2015年8月22日土曜日

『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』

★★★★☆

このシリーズもすでに5作目。さらに他のスパイ・アクションものなども含めて考えると相当数の作品があるはずですが、ざっくり言ってしまえば、どれも同じようなものです(^^;)。
そういった定石というかお約束というかワンパターンというか、そういったものを前提としたうえで、やっぱりハラハラ、ドキドキ、ワクワクすることができたので、よかったと思います。

一時期この手の映画では、ネットワーク上でのハッキング v.s. セキュリティの攻防とかが増えていた気がします。もちろん今回の作品でもそういう描写はありますが、どちらかというと施設への侵入、カーチェイス、格闘など、体を使ったアナログのアクションを重視している印象でした。

今回の作品ではモロッコのカサブランカとアトラス山脈の山道で、ド派手なカーチェイスのシーンが登場します。
モロッコには行ったことがありますが、私のカサブランカの印象はもっと都会なので、ちょっとイメージと違いました。アトラス山脈は、マラケシュからサハラ砂漠ツアーに行ったときに通ったのですが、そのときの印象に近いものでした。
実は、私の記憶に間違いがなければ、シリーズ3作目か4作目でもモロッコが舞台になったシーンがあったと思います。あのときは事前にそのことを知らず、映画を観ていて「なんかモロッコっぽいなあ」と思ったら、本当にモロッコで撮影していたのでした。

今回の作品では、実際に離陸する飛行機の外壁にトム・クルーズがしがみついて撮影したことが話題になりました。迫力ある映像を追求するのはいいと思いますが、あれはさすがにやり過ぎかも。観ていて違う心配をしてしまって、かえって作品に集中できない気がしました。

公式サイトは、こちら。
http://www.missionimpossiblejp.jp

2015年8月13日木曜日

『ジュラシック・ワールド』

★★★★☆

IMAX 3Dで観てきました。

『ジュラシック・パーク』は22年前になるのですね。当時私は社会人になったばっかりで、帰宅途中に横浜の相鉄ムービルで観た記憶があります。友達から恐怖感が増していいと言われて、あえて前の方の席に座りました。
恐竜が生きているように見える映像はとても魅力的で、以来『ジュラシック・パーク』シリーズは全て観ています。

さて『ジュラシック・ワールド』を観た感想ですが、あらためて『ジュラシック・パーク』は偉大だったんだなあと再認識してしまいました(^^;)。
22年間の間に、間違いなく映像技術は進歩しているはずで、実際その進歩は感じられました。ただ、やっぱりインパクトの大きさという意味では『〜パーク』の方が大きかったと思います。
例えば、初めてテレビのフルHDを見たときは、その画面の鮮明さに強烈な感動を覚えました。4Kは確かにフルHDよりもさらにきれいなのですが、順当な性能の向上だと思うだけで衝撃という意味ではそこそこのレベルでしかありません。『〜パーク』と『〜ワールド』もちょうどそんな感じ。

『ジュラシック・パーク』シリーズは、基本的に人間が恐竜に襲われて逃げまわる話なのですが、登場人物の行動があまりに軽率で自ら状況を悪化させ危機を呼びこむ傾向があります。それは今回の『〜ワールド』でも継承されていました(^^;)。
なぜそんなストーリーにするのか、それが人間のリアルな姿だという考えなのかよくわかりませんが、個人的にはもう少し人間側が充分に慎重でスキがなく、それでも人智を超えた危険が訪れるというストーリーの方が好みです。

ということで、設定やストーリーは『〜パーク』を完全に継承し、映像技術は順当に進歩したのが今回の『ジュラシック・ワールド』だと思います。
この作品自体はエンターテインメント映画としてとてもよかったと思いますが、それもこれも22年前の『〜パーク』あってのことだと感じました。


公式サイトは、こちら。
http://www.jurassicworld.jp

2015年8月3日月曜日

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

★★★☆☆

原作コミックは読んだことがありません。少し前にやっていたTVアニメは一応観ましたが、すごく面白かったというほどの印象ではありませんでした。ストーリー的にも完結せずに終わったはずなので、何だかよくわからないまま、かなり中途半端な予備知識しかありません。

実写版は、特に原作ファンではない私でもわかるほど別の作品ですね。登場人物もかなり違うし、ストーリーもいじってあります。それがいいのか悪いのか、私にはよくわかりません。

『進撃の巨人』の世界はいつの時代なのかどこの国なのか、そもそも地球上の話なのかもよく知りませんが、少なくとも現代の文明とは異なる文明社会が舞台となっています。映像作品になったとき、そういった社会のディテールがどこまで細かくリアルに描かれるかは重要だと思いますが、今回の作品の場合は、その辺がちょっと微妙かなあ。もしかしたら設定は細かく作られているのかもしれませんが、充分に描く尺がなかったのかも。

CGの巨人はなかなかのビジュアルで、夢に出てきそうです(^^;)。街で暴れている様は、かっこわるいウルトラマンみたいな感じでした。
エンドロールで、かなりの数のCGスタジオの名前が出てきていました。アニメ作品だと作画を手伝ったアニメスタジオの名前がたくさん出てくるのはよくあることですが、実写作品であれだけのスタジオの名前が並ぶのは初めて見ました。

キャストは、豪華俳優陣なのですが、うーん、イメージ合っているのかなあ。水原希子さんのミカサは割とよかった気がします。石原さとみさんはハンジですが、あのメガネをかけちゃうと誰なのかよくわからない気がしました。

前篇は結局、アニメ版のさらに途中ぐらいのところで終ります。原作のマンガはまだ進行中のようですが、後篇でどのような決着となるのか気になるところです。

公式サイトは、こちら。
http://www.shingeki-seyo.com/index.html

2015年8月1日土曜日

『インサイド・ヘッド』

★★★☆☆

決してつまらなかったわけではないのですが、ピクサー作品としては、ちょっと地味目かもしれません。

人間の感情を、ヨロコビ、カナシミ、ビビリ、ムカムカ、イカリの5つのキャラクターに振り分けているのですが、ムカムカとイカリあたりは、違いがわかりにくいです。
それ以外に、長期記憶とか潜在意識とか人間の心理の仕組みが色々と出てくるのですが、それらがストーリーとどう結びついているのか、単に雰囲気を出すためだけに専門用語を使ったのか、理性と感性とどっちで受け止めればいいのか迷う感じがありました。
また、ストーリー展開の中で、ヨロコビが嘆いたりカナシミが喜んだりするので、けっこうややこしい印象でした。

結局は主人公であるヨロコビとカナシミがお互いに理解を深めていくストーリーのようですが、最初のうちは感情の5つのキャラクターとその感情の持ち主であるライリーと、誰が主人公なのかなかなかわかりませんでした。ビジュアル的にも、どのキャラクターも割と地味な気がしました。

頭の中で5つの感情に事件が起こる=感情がうまく機能しないということは、ライリーにとっては引きこもり寸前のような危険な心理状態になることを意味するので、見方を変えるととてもシリアスで、誰が見ても単純に楽しい作品というよりは、少し社会的な色合いも感じてしまいました。

原題は『Inside Out』だそうです。タイトルのほか、日本語吹き替え版の場合はこどもの嫌いな食べ物がブロッコリーからピーマンに変更されているそうですが、私が観たのは字幕版だったのでブロッコリーのままでした。
映画の初めにピート・ドクター監督のコメントとドリカムの歌が流れる映像があったのですが、日本向けのコメントだったのでしょう、わざわざ邦題の『インサイド・ヘッド』と言っていました。
パソコンのソフトに各国語版があるように映像コンテンツにもローカライズ版があってもいいのかもしれませんが、個人的にはそこまでしてくれなくてもいいかな、という感じ。

ちなみに、『脳内ポイズンベリー』とは、頭の中の感情をキャラクター化するという着想は同じですが、作品全体としては全くの別物ですね。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/movie/head.html

2015年7月27日月曜日

『海街diary』

★★★★☆

すごくよかったと思います。星5つでもいいかなあ。

原作のコミックの評価が高いことは知っていましたが、読んだことはありません。

是枝作品では、前作『そして父になる』よりもこちらの方が好きかも。たぶん、福山雅治くんより、美人4姉妹の方がよかったからだと思いますが(^^;)、作品のトーンも『そして〜』の方がシリアスで暗く『海街〜』の方は明るく爽やかだったということもあるような気がします。

この作品は、4姉妹それぞれのキャラクターの魅力と、鎌倉の風景がほとんど全てだと思います。そしてそれが、実際とてもよかったと思います。

何と言っても広瀬すずさん演じる腹違いの妹が素晴らしい。もうキラッキラ輝いています。あれは演技力なのかなあ。そもそも存在がうまくハマったのかなあ。

彼女がよすぎて4姉妹の他の3人がかすんでしまいそうなところ、綾瀬はるかさん演じる長女、長澤まさみさんの次女のエピソードにもちゃんと時間をかけて丁寧に描かれていました。
なぜか夏帆さんの三女だけはこれといったエピソードが描かれなかったのですが、キャラクターははっきりしていたし、決して単なる脇役ではありませんでした。

この作品の映画化の情報は結構前から出回っていて、当時は広瀬すずさんが何者なのか知らなかったので"メジャーな女優3人+無名の新人が出ている映画"だと思っていたのですが、映画公開時点では完全に彼女は旬の女優となっていて、"あの広瀬すずが出ている映画"とすっかり見方が変わってしまいました。
ただ、実際に作品を観てみると、やっぱり彼女はこの作品公開まで無名だった方がよかったかも。その方が「この子はいったい誰?!」という強いインパクトを残せたような気がします。

そして、久しぶりに鎌倉に行きたくなりました。

公式サイトは、こちら。
http://umimachi.gaga.ne.jp

2015年7月22日水曜日

『HERO』

★★★★☆

テレビドラマではなく映画にするほどのスケール感があるかどうかは微妙だと思いますが、よくできていたと思います。

この作品は、ミステリーという認識はあまり強くないかもしれませんが、意外と地味にコツコツ証拠を集めて、犯行の立証がちゃんとしていると思います。

シリーズが長くなると、期待されるお約束にも応えなければならず、マンネリ感も出てきますが、自分としては程よいというか心地よい感じでした。

検事が他国の大使館内で捜査をするのは違法と作品内では言っていますが、いくら型破りの検事とは言え、完全に違法な方法で捜査を行うのはちょっと行き過ぎな気がします。

数か月前に仕事でお会いした外国人の方は俳優の仕事をしていて『HERO』に出たとおっしゃっていたので、てっきり過去の作品かと思っていたら、今回の最新作に登場していたので、私にとってはそれが一番盛り上がりました(^^;)。

ところで、今作のタイトルは『HERO』で、2007年の作品と全く同じなのですね。混乱しそうですね。

公式サイトは、こちら。
http://www.hero-movie.com

2015年7月12日日曜日

『バケモノの子』

★★★★☆

とてもよかったと思います。

日本で一番有名なアニメブランドと言うと、やはりジブリだと思いますが、いよいよ細田守ブランドが勢いづいてきた感じでしょうか。
少なくとも自分は、『時をかける少女』を観て以来、細田守作品というだけで一定以上の期待をするようになっていますが、一般的にはどのくらい浸透しているのでしょう。

前作『おおかみこどもの雨と雪』が子育てに奮闘するシングルマザーの話で、優しく柔らかい雰囲気だとすると、『バケモノの子』は粗暴な父親の子育ての話でしょうか。子供の方も負けん気の強い男の子なので、いつも怒鳴り合い、いつも取っ組み合いという印象です。

役所広司さんというと、どこか穏やかな雰囲気をたたえていて粗暴な印象はないのですが、父親代わりのバケモノ、熊徹はなかなかよかったと思います。

宮崎あおいさんは『おおかみこども〜』では母親役だったのですが、今回はやんちゃな男の子、九太の少年期の声を演じています。これもご本人のイメージとはぜんぜん違うのですが、意外としっくりはまっていると思いました。

あとは印象に残ったのが広瀬すずさん。聞いた瞬間に彼女の声だとわかったのですが、キャラクターに合っていたのか、美しい声なのか、声の演技が上手だったのかよくわかりませんが、もし実写でこの役を広瀬すずさんが演じたらなかなかいいのではないかと思いました。

細田監督の最新作が『バケモノの子』だと最初に知ったときは、おおかみの次がバケモノというのが引っかかりました。『サマーウォーズ』ではちょっとディープな電脳世界も描いていますが、お伽話系が2作続くとそっち路線専門?といった印象になってしまいますね。

公式サイトは、こちら。
http://www.bakemono-no-ko.jp/index.html

2015年6月29日月曜日

『セッション』

★★★★☆

アカデミー賞ノミネートで注目されていた作品ですが、なぜか今ごろになって近所の映画館で上映されていたので観に行きました。

アカデミー賞にノミネートに値する作品でした。
音楽をテーマにした作品ですが、明るく楽しいというよりは、上映中ずっと緊張感が続くような映画。

何がよかったのか、自分でもまだ消化できていません。

音楽学校の超怖い先生と、その先生を恐れながらもなぜかのめり込んでしまう生徒(ドラマー)の話。アクションものやスポ根ものなら珍しくない設定なので、それを音楽に置き換えただけのような気もします。

先生の方からは、なぜ厳しくするのかを語るシーンがあります。…が、その後の展開から、その言葉が本音だったのかよくわからなくなりました。
生徒の方は、なぜそこまでのめり込んでいくのか、全く語られません。

先生が何に対して厳しいのかも、実はよくわかりません。作中ではテンポのズレをしばしば指摘していましたが、正確なテンポを叩かせたいのか、とにかく速く叩かせたいのか??それとも、そういうテクニックはどうでもよくて、厳しさに耐える力を身につけさせたいのか?

そもそも、映画作品としてそういった細かいことを描きたいわけではないような気もします。登場人物の背景や関係も最低限しか描かれないし、生徒同士の関係も先生同士の関係も全く描かれません。本当に限られた状況だけを切り取って見せて、後は好きなように想像してくれと、こちらに委ねられたような感じです。

最後の演奏のシーンはすごいのですが、音楽として素晴らしいというよりは、音楽にとりつかれた狂気の表現のようにも思えました。

J・K・シモンズ演じる先生の存在感は圧倒的。演じきってます。

公式サイトは、こちら。
http://session.gaga.ne.jp

2015年6月2日火曜日

『イニシエーション・ラブ』

★★★★☆

原作は読んでいません。

自分はつくづく、トリック系の作品が好きみたいです。
ラスト5分で全てが覆るという宣伝文句に乗せられて、まんまと観てしまいました。
そして、本当に「あ!そういうことだったんだ!」とビックリして、かつ腑に落ちる感覚を味わえたので、実質それだけで星4つ(^^;)。

原作の小説は「映像化不可能」と言われていたということですが、私は映画で見事に騙されました。逆に小説ではどんな仕掛けになっていたのか、非常に興味がわきました。

この作品にもしそのトリックがなかったら単なるラブストーリーですが、うーん、昔のトレンディドラマぐらいのレベルかなあ。決して、面白いと言えるほどの話ではないと思います。

前田敦子さんの演技は初めて観ましたが、どうなんだろう?演じている役は、健気で一途というよりは、男にデレデレした態度をとってたぶらかす印象で、最初から「こいつのこの態度は絶対信用できない」と思わせるものでした。
そういう役を見事に演じきったのか、演技力のせいで白々しさが出てしまったのか、よくわかりませんでした。

時代設定が80年代ということで、私にとっては懐かしいアイテムがいっぱい登場して、ノスタルジックな気分になりました。ただ、自分にとって一番響いたのはトリックの部分だったので、現在が舞台でも全然問題はなかったと思います。

80年代の邦楽ヒット曲がたくさん使われているのも話題になっているようです。各曲のテーマとマッチするシーンで使われていたようですが、私にとって多くの曲は『ザ・ベストテン』などの歌番組でよく聴いていたので、どうしても歌番組で歌手が歌っている映像が浮かんでしまい、かえって作品世界に集中できなくなってしまいました(^^;)。

映画の観客は、年齢層の若い女性同士が多かった気がします。彼女たちは作中の前田敦子さんの役に共感できたのか、80年代をどう見たのか、非常に気になるところです。

公式サイトは、こちら。
http://www.ilovetakkun.com

2015年5月30日土曜日

『チャッピー』

★★★★☆

とてもよかったと思います。気持ち的には星4.5。

この映画の監督ニール・ブロムカンプの作品は、『第9地区』がなかなかよくて、『エリジウム』は割と普通のハリウッド映画という印象でした。このまま普通になっていくのかと思っていましたが、無用の心配だったようです。

『第9地区』もそんな印象だったと思いますが、街の風景も人々の生活もほとんど今と変わらないけど、ちょっとだけテクノロジーが進んだ近未来の描き方が特徴的です。
もっとも『チャッピー』の場合は、2016年に自律、成長するIAが発明されるという話なので、近未来ですらないですね。

そして、そのAIテクノロジーが、素晴らしい未来でもスーパーヒーローでもなく、個人のエゴや犯罪と結びついて騒動を巻き起こし、ハッピーエンドともアンハッピーエンドともつかない結末を迎えます。

ロボットが自我を持ち、進化していくことで悲劇を招くというSF作品はよくあると思います。そういう意味ではこの作品も似たようなものだと思いますが、独特のタッチで描かれていて、新鮮でした。

ロボットのチャッピーは人間の俳優さんが演じている(モーションキャプチャー?)そうですが、ちょっと人間的過ぎて2016年のロボット技術としてはリアリティがないような気がしました。

ヒュー・ジャックマンがこの作品に出ているのは何となく違和感がありましたが、相当な悪役でした。んー、やっぱり違和感(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.chappie-movie.jp


2015年5月16日土曜日

『脳内ポイズンベリー』

★★★☆☆

この作品については、人間の頭の中のいくつかの感情をキャラクターとして見せるというアイデアが、この夏に公開されるピクサー作品『インサイド・ヘッド』とかぶっている点でとても気になっていました。

ネットでは、根拠があるんだかないんだか、ピクサー側のパクリ疑惑なども出ているようですが、同じアイデアからどれだけ異なる作品に仕上がっているのか比較する意味でも観ておきたいと思いました。

この作品に脳内会議のシーンがなかったとしたら割とありふれたラブストーリーという印象になると思います。なので、脳内会議こそがこの作品を面白くするキモ。
感情は、理性、衝動、ポジティブ、ネガティブ、記憶の5つのキャラクターとなっていて、理性が議長となって会議が行われます。ただ、実際には会議はいつも大混乱で、全てのキャラクターがほぼ怒鳴り合っているので、基本の意思決定システムがあまり機能していない感じ。
まあ人間常に葛藤しているのは確かなのでそんなものかもしれませんが、ハッピーな時でもネガティブはガンガンに主張しているし、落ち込んでいる時もポジティブが騒いでいるというのが、メリハリに欠けるという気がしました。
また、途中ポジティブが眠ってしまう場面や、第6のキャラクターの登場など、脳内の仕組みとしてよく理解できない(雰囲気は伝わるけど)こともあり、若干消化不良ぎみでした。

総じて悪くはないのですが、基本設定が面白いだけに、もっと面白くできそうな気がするんだよなあ、というのが正直な感想。さて『インサイド・ヘッド』はいかに?

公式サイトは、こちら。
http://www.nou-poi.com

2015年5月5日火曜日

『フォーカス』

★★★☆☆

映画館の予告編で面白そうだったので観てみることに。

ウィル・スミス演じる天才詐欺師の話。泥棒が主人公でちょっとコミカル、カジノやサーキットといった道具立て、女スリとのラブロマンスなど、私の中では『ルパン三世』の雰囲気とかなりダブりました。

『フォーカス』というタイトルは、相手の意識を別のところに集中させて、その間に何かを盗み取る(ミスディレクションとかミスリードなどと言われる)テクニックから来ています。このタイトルから、私としてはさぞかし鮮やかな手口が登場するものと期待していましたが、実際はそれほどでもなかったと思います。
集団スリの手際は鮮やかだったけど、数字当てのギャンブルのタネはちょっと無理があるし、サーキットのエピソードはミスリードとはあまり関係がない気がします。
作品全体として悪くないと思ったのですが、どこか物足りない印象だったのは、おそらくその点だった気がします。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/focus/

2015年5月3日日曜日

『寄生獣 完結編』

★★★☆☆

原作は読んでいませんが、前作の後アニメ版『寄生獣 セイの格率』を観ました。それと比べると、設定やストーリーがすっきりシンプルになっていたりアレンジも見られますが、基本的にはそのまま実写化している印象です。

前作はアニメ版を見る前だったので、何がどうなっていくのかわかりませんでしたが、『〜完結編』は作品についての理解が進んだ後だったので、安心して観られました。ただ、逆に言えば実写版だけを観たときにどれだけ腑に落ちるかは想像しづらくなりました。
結局寄生生物が何だったのかよくわからないし、寄生生物を完全に撃退したわけではない終り方ですが、アニメ版で知っていたから抵抗がなかったけど、やっぱり物語としてはスッキリ感が少ないかもしれないですね。

泉新一役の染谷将太くんの演技はよかったけど、アニメ版を知ってしまうとちょっとビジュアル的にイメージと違うかなあ。
村野里美役の橋本愛さんは、他の作品でちょっと変わった子を演じていたり、本人もユニークな人らしいので、本作の健気で一途な美少女役が合っているような合っていないような…。

公式サイトは、こちら。
http://kiseiju.com

2015年5月1日金曜日

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

★★★★☆

いい映画だと思いました。

無理に意外性のあるストーリーにするわけでもなく、最新の映像技工に頼るわけでもなく、魅力的なテーマ、しっかりとした人間ドラマ、優れた演技と、王道の作り方でいい作品に押し上げた感じ。

第二次大戦中のイギリスが舞台ですが、私にとっては新鮮でした。世界史はとらなかったし(^^;)、どうしても第二次大戦と言うと日本が直接関係し敗戦につながった太平洋戦争をイメージしがち。同じころヨーロッパでの動きというとナチスドイツの周辺国への侵攻やユダヤ人迫害などは映像作品などでも何となく見聞きしたことがあっても、連合国側については意外と知りません。

ドイツ軍の暗号を解読する話なので、てっきり解読できたら終りだと思ったら、解読できた後の苦悩も大きかったようで、考えさせられました。

ベネディクト・カンバーバッチの演じたアラン・チューリングの変人っぷりと、変人でありながら人間性も垣間見える演技はよかったと思います。

「イミテーション・ゲーム」は、チューリングの論文のタイトルだそうですが、映画の内容に対してあまりピンと来ませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://imitationgame.gaga.ne.jp

2015年4月29日水曜日

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』

★★★★☆

ひとことで言うと、とても不思議な映像作品。

主人公が舞台に立つプレッシャーなどで精神的に錯乱した状態に陥るという点と鳥のモチーフがどうしても『ブラック・スワン』を思い出させますが、『バードマン〜』の方がずっとぶっ飛んだ作品。

ただ、目新しいのは映像処理技術やBGMなどの斬新なアイデアなのですが、この作品にそのアイデアを組み合わせる必然性があったのかを考えると、正直よくわかりません。
強いて言えば、主人公の精神の異常性や緊張感みたいなものを感じさせる効果はあったような気がします。まあ感覚的には、作品世界にはまっていた(というか映像処理、BGMも含めて作品世界を構成していた?)と思います。
例えば『ゼロ・グラビティ』の映像表現は、その後の作品の基準を変えてしまうような影響力を感じたのですが、『バードマン〜』の映像表現は、今後の作品の基準を変えてしまうというよりは、この作品単独でユニークな表現をしているだけという印象です。

上映時間のほとんど全てが1カットでつながっています。それも、単純に主人公をハンディカメラで追い回すだけではなく、時間が経過したり、屋外から窓を通過して屋内へ移動したりローアングルからハイアングルへ劇的に目線が変わったり。もちろん実際には、別々に撮影したカットをCGで滑らかにつないているんだろうけど、あれだけ徹底的にやれば今までにない感覚が生まれます。
ただ、若干セリフが頭に入ってこない気がしたのは、この1カット手法のためかもしれません。

ドラムのみのBGMがかなりあり、映像を見ながらアドリブで叩いたんじゃないかという感じのもので、強く印象に残りました。
冒頭の作品タイトルのところは、ドラムBGMと動くタイポグラフィーがシンクロしていてそこだけ取り出してもなかなかカッコよくて、「お、これは作品は普通の作品じゃないな」と思わせるものでした。

その斬新な要素を除くと、登場人物の多くが自分勝手で、すぐにキレて感情が爆発してしまって、見ていて何らハッピーな気分にはならない作品でした(^^;)。

映画館で、私の後ろの列に若い男女3人組が座ったのですが、彼らがチョイチョイしゃべるし、作品内のちょっとした下ネタでいちいち笑うし、私の2つ隣の空席の背もたれに足を載せて、それが私の視界に入ってくるし、背もたれの振動も伝わってくるしで、映画を鑑賞する環境としては劣悪でした。
本来、この作品を観に来るような客層の人ではなさそうな気がしました。タイトルだけ見て『バットマン』や『スパイダーマン』のような娯楽作品と勘違いしたのかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/birdman/

2015年4月25日土曜日

『ドラゴンボールZ 復活の「F」』

★★★☆☆

"鳥山明脚本"に引かれて観てしまいました。

結果としては、まあいつものパターンではあるのですが、単純明快でよかったと思います。

ドラゴンボールというと、ある時期からは、

強い敵が現れる→最初は悟空は負けてしまう→修行その他でパワーアップ→悟空の仲間たちもコテンパンにやられる→最後にパワーアップした悟空登場。敵をやっつける

みたいな基本フォーマットができあがってしまっているのですが、映画作品ででこれをやるのは時間的に無理があるように思います。悟空のパワーアップもいい加減飽きてきて、髪の色は何色あるの?とツッコミたくなる状況です。悟空の仲間たちも多すぎて、悟空を活躍させるためには他の仲間はザコ扱いせざるを得なくなってしまいます。

今回の作品はその辺の課題がかなり整理されていたと思います。
青い髪の悟空は“超サイヤ人ゴッドのパワーを持ったサイヤ人の超サイヤ人”だそうです。個人的には、今回の作品ではあの設定はなくてもよかったと思いますが、きっとドラゴンボールのお約束として許されなかったのでしょう(^^;)。ただ、どうやってその力を会得したかはストーリー上どうでもよく、特に時間をかけて描かれているわけではありません。
今回の作品に悟天とトランクスは出てきません。登場させて、超サイヤ人なのに対して活躍する場もないくらいなら、登場人物を絞り込んでそれぞれに意味のある役割を持たせた方が作品として引き締まるので、悪くない考え方だと思います。その代わりに天津飯や亀仙人がフリーザ軍との戦いに参加するのはちょっと違和感がありましたが…(^^;)。

結局のところ今回の作品には、パワーアップしたフリーザとパワーアップした悟空の戦いを見せることがほぼ全てで、基本フォーマットのそれ以外の要素は極力排除した作りになっていたということだと思います。
そこに鳥山明的笑いが程よい塩梅で散りばめられていたと思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.dragonball2015.com

2015年4月18日土曜日

『ジヌよさらば -かむろば村へ-』

★★★☆☆

松尾スズキ監督作品というと『クワイエットルームへようこそ』をテレビ放送だったかレンタルだったかで観たことがあります。作品の内容はほとんど覚えていませんが、独特の面白さがあったことだけは記憶に残っています。

今回の作品を観て「ああ、こんなノリだったなあ」と、松尾スズキテイストを思い出しました。

実はこの作品、もともと観るつもりはなかったのですが、"お金を使わない生活"という設定が面白いと思っていたのと、"試写会で爆笑だった"という報道などがあったので観る気になりました。

結果としては、確かに笑いの要素はたくさんあったけど、爆笑する程ではなかったかなあ(^^;)。
こちらが勝手に期待していたのは、"お金を使わない生活"を実現するための奇想天外な工夫とかそれによる大騒動とかの、知恵比べ的な笑いだったのですが、それもちょっと違いました。
どちらかというと、クセのある村民たちのエピソード、特に阿部サダヲさん演じる村長の人物像や過去にフォーカスされている印象でした

阿部サダヲさんと松たか子さんは、以前『夢売るふたり』という作品で夫婦役を演じていたのをはっきりと覚えていたので、違う作品で同じ設定、しかも割と生活水準も近い雰囲気なので、不思議な感じでした。
三谷幸喜さんが特別出演してします。

公式サイトは、こちら。
http://www.jinuyo-saraba.com

2015年4月14日火曜日

『ソロモンの偽証 後篇・裁判』

★★★★☆

前篇も含めて、全体としてなかなか面白かったと思います。

中学生が自らの手で学校内裁判を行うというアイデアがこの作品の面白さだと思いますが、謎解き重視で描くか、中学生たちの成長の物語にするかで、大きく印象が異なると思います。
この作品は、両方を狙っているのでしょうが、結果的には両方ともちょっと物足りなさを感じました。

謎解きという意味では、予想を超えたものではなかったかなあ。
明らかに裁判の趣旨と違う方向に話がブレるのは、中学生の成長物語として彼らの本音を吐き出させる必要があるのでしょうが論理ゲームとしてはちょっと余計なノイズにも思えます。
裁判に積極的に関わった中学生のうち、藤野さんや神原くん以外は、その過程で何を思いやり終えてどう感じたのか全く描かれていないので、それもちょっと残念。

全体としては、前篇、後篇の2部構成でとても丁寧に描いているのに物足りないということは、テレビドラマとかでもっと時間をかけた方がいいのかもしれません。
そう考えると、大人になった主人公が教師として母校に赴任してきて中学生だった頃を回想するというくだりは削ってもいいような気がしました。

主人公藤野涼子役の藤野涼子さんは、やっぱりとてもよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
http://solomon-movie.jp

2015年4月5日日曜日

『エイプリルフールズ』

★★★★☆

面白かったと思います。
『エイプリルフールズ』というタイトルと、大量のキャストの存在を知っただけで、作品のコンセプトが想像できました。
つまり、様々なシチュエーションで嘘にまつわるエピソードが描かれ、それらが実はつながっていて、最後には「ああ、なるほど」となるような作品。

三谷幸喜さんの『有頂天ホテル』も似たノリだと思うのですが、このようなストーリー展開は私の大好物。

実際、期待に違わぬ「ああ、なるほど」を感じられました。

途中、泣き笑いの要素も散りばめられていますが、全体的には軽いエンターテインメントで、大作としてありがたがるような作品ではないと思いますが、こういうの好きなんですよねえ、やっぱり。

途中、エピソードのつながりがわからない部分があって、展開がはやくて見落としたのかとずっと気になっていたら、最後に謎解きが出てきたものがありました。どうしてアレだけ後出しにしたんだろうなあ。もう少し早めに種明かししてくれれば、気持ちの引っ掛かりが解消されて、気が散らなかったのに。

ほんの1シーンだけ登場した小池栄子さんが、どういうキャラクターなのかよくわかりませんでした(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://aprilfools.jp

2015年3月18日水曜日

『ソロモンの偽証 前篇・事件』

★★★☆☆

原作は読んでいません。
前篇と後篇に分かれているので、前篇しか観ていない現段階では謎が提示されただけなので星3つ以上つけようがないですね。
ただ、作品に引き込まれたし、後篇で何がどうなるのかとても気になるので、前篇としてはよかったのだと思います。

全く意識していなかったのですが、黒木華さんがこの作品にも登場します。しかも『幕が上がる』と同様教師役。でも本作では、ものすごく気が弱い、すぐに倒れちゃうような役。『幕が上がる』の生徒たちをリードしていく先生役のイメージが残っていたので、ちょっと演技がわざとらしく見えてしまったかなあ。でもきっと、彼女のビジュアルにはこういう気の弱い役は合っているような気がします。

主役の藤野涼子役の藤野涼子さんは、本作が役者デビューだそうですが、すごくうまく役にはまっていると思います。学校で起こった事件の裁判を学校で、生徒主導でやりたいと言い出す学級委員役ですが、ちょっと地味だけど端正な顔立ちがいかにも学級委員という感じで、優等生の反乱のコワさみたいなものを感じました。演技も全然違和感ありませんでした。

ちょっと気に入らなかったのは、多くの登場人物が、断片的な事実だけをみてすぐに犯人を決めつけたり誰かをうそつき呼ばわりしたり、すごく思考が短絡的なこと。後篇の裁判で真実が明らかになるという展開の都合上、前篇では真実が歪んでいないといけないということかと思うのですが、ちょっと安易すぎる印象でした。

平日のレイトショーだったのですが、上映開始時間まで客席には私一人。最終的なお客さんはおそらく3〜4人。うーん、もう少し評価されてもいい作品だと思うけどなあ。

公式サイトは、こちら。
http://solomon-movie.jp

『幕が上がる』

★★★☆☆

結局観ちゃいました、ももクロ映画。
前評判通り、青春映画として結構ちゃんとしていました。

本広克行監督らしさはあまり感じなかった気がします。私の中では、本広作品はちょっと外した笑いが入っているイメージがあるのですが、この作品にはそういう要素はあまりなかったので。
最初の方に、使い終わった台本を焼くシーンがあるのですが、その本のタイトルが確か「ウィンタータイムマシン・ブルース」。本広作品に『サマータイムマシン・ブルース』というのがあるので、そのパロディですね。

ももクロのメンバーたちの演技は、意外とちゃんとしていました。彼女たちはいつもキャッキャ笑っている印象しかなかったので、真顔の演技を見ると随分雰囲気が違っていました。で、やっぱりこのコたちはキャッキャ笑っていて初めて魅力的なんだな、と思ったり…(^^;)。

そしてやはり注目して見てしまう黒木華さん。この作品では、学生演劇出身の先生役で、ものすごく厳しいわけでもなくものすごくやさしいわけでもないけど、演劇部に信頼され彼女たちをリードし背中を押す立ち位置。キャスティングとしてぴったりだったかはちょっとよくわかりませんが、私的には満足(^^;)。

映画館のお客さん、少なかったなあ。ももクロのメンバーが、全国全ての上映館で舞台挨拶を実施したらしいから、モノノフのみなさんは、そこを狙ったのかな。静かに観られてよかったけど…。

公式サイトは、こちら。
http://www.makuga-agaru.jp

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN I 青い目のキャスバル』

★★★☆☆

iTunesStoreのビデオレンタルで観ました。
原作のマンガは読んでいるのですが、結構前なのでディテールは覚えていません。でも割とそのままアニメにした印象。
原作者、総監督として安彦良和さんが関わっていて、キャラも確かに安彦キャラですが、やはり本人がアニメーターとして絵を描いているわけではないせいか、やっぱり"味"が違いますね。どちらかというと、制作プロセスや機材の変化によるのかなあ。

ファースト・ガンダムの面白さがだんだんわかるようになってきたころ、作り手(富野さん?)は、ジオン公国で実権を握っているのがジオンではなくザビ家で、ジオンはザビ家に暗殺されて、でもジオンのニュータイプ思想をザビ家は政治的に利用して…みたいな込み入った設定をどうやって考えたんだろう?その設定の中のどの時代でも物語は作れるのに、どうしてザビ家支配後の世界を選んだんだろう?などと考えたことがありました。
でも、この込み入った設定のおかげで、30年以上経ってからでもちゃんと過去の時代の物語が作れてしまうのだから、すごいもんだと思います。

そんな感じでファースト・ガンダムを観ていた自分にとっては今明かされる過去の物語は充分面白いのですが、今回の『〜青い目のキャスバル』だけを独立した作品として観た場合どうなんでしょうか…。時間も1時間ちょいで短いし、内容的にも地味だし、『機動戦士ガンダム』なのにガンダム出てこないし(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.gundam-the-origin.net

2015年2月14日土曜日

『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』

★★★☆☆

もともとは『踊る大捜査線』の本広克行監督が手がけるアニメ作品ということで、最初のTVシリーズ、第2シリーズをざっと観て、結局映画も観てしまいました。

『攻殻機動隊』などにも通じるシリアスな近未来SFもので、設定上の最大のポイントは"シビュラシステム"によって管理された社会。
この社会では、すべての人々の心理傾向が数値化され、犯罪を起こす可能性「犯罪係数」が一定数を越えると、実際に犯罪行為を行う前に取り締まり、処罰することで秩序を維持します。この管理を行うのがシビュラシステムで、物語は取り締まりを実際に行う"刑事"たちの活動を描いています。

おそらく、この設定のもと、いくらでも物語は作れると思うので、今後もどんどん続編は出てくるのかもしれませんが、実は最初のTVシリーズでシビュラシステムの謎、このシステムが抱える矛盾などに結構深く突っ込んでいるので、満を持して公開された劇場版も内容の濃さという点ではそれを上回るものではなく、単なる1エピソードという印象でした。

ところで、この作品の制作は、アニメ界では高い実績のあるプロダクションやスタッフの手によるものですが、本広総監督の影響力がどの程度なのかが観ていてもよくわかりません。例えば機動戦士ガンダムシリーズの富野由悠季総監督ほどの影響力ではないのだろうと思ったり…。

公式サイトは、こちら。
http://psycho-pass.com

2015年2月11日水曜日

『ミルカ』

★★★★☆

インド映画のレベルの高さは私にとって既に当たり前なので驚くべきことではありませんが、とてもよくできていたと思います。インド国内では数々の映画賞を受賞した作品だそうです。

インド映画で、実話を元にした大河ドラマ的な作品は初めて観たと思います。
ミルカ・シンという実在の短距離走のアスリートの半生を描いた物語で、実際は割とシンプルなストーリーだと思いますが、ひとつひとつ丁寧に描いていますし、時間軸を入れ替えたりしてちょっと複雑さを出しています。余談ですが、この時間軸入れ替えの手法、最近私が観たインド映画ではよく使われているのですが、流行りでしょうか(^^;)。
153分、特にダレることもなく観ることができました。

インド・パキスタン分離独立の混乱が悲劇的に描かれているのも、実話ならでは。インドとパキスタンは仲が悪いという話は聞いたことがありましたが、どんな経緯があったのかよく知らなかったので、勉強になりました。

インド映画につきもののダンスシーンは最低限で、ストーリーと無関係に踊りだすわけではなく、実際にストーリーの中で踊る芝居を入れてあるという控え目な演出となっていました。どうもこの作品の監督はダンスシーン否定派のようです。インドにもそういう監督がいるんですね(^^;)。

笑いの要素もほんの少し。実はこの作品には、ブレイク前の武井壮さんが出演しているということを私は観る前から知っていたのですが、彼の登場で監督の計算にはない笑いが客席から起こるかも、と思っていましたが、特にそんなことはありませんでした。

ミルカ・シン役のファルハーン・アクタルの肉体は、短距離走選手と言われて何の違和感もないマッチョぶり。
この人の顔なんですが、ふとした瞬間に日本の俳優の池内博之さんっぽく見えました(^^;)。

この作品の邦題は『ミルカ』ですが、原題は『BHAAG MILKHA BHAAG』。
字幕をよく見ていたらコーチがミルカに対して「BHAAG !」と叫んでいるところを「走れ」と訳しているところと「逃げろ」と訳しているところがありました。もしかすると「走れ」と「逃げろ」の両方の意味を持つ言葉なのかもしれません。
インド・パキスタン分離独立で言われた「逃げろ、ミルカ」と、アスリートとして言われた「走れ、ミルカ」のダブルミーニングを込めたタイトルだとしたら、まさにこの作品の核心をついていると思います。

公式サイトは、こちら。
http://milkha-movie.com

2015年1月15日木曜日

『チェイス!』

★★★★☆

正直、インド映画には若干点が甘いと思います。本当は3.5ぐらいかな。

銀行の融資を受けられずに、シカゴのインドサーカス団の団長である父親が自殺したことを恨んで、大人になった息子が仕返しをする復讐劇。

舞台がシカゴで、タイトルの通りバイクや車の派手なカーチェイスとかもあってかなりハリウッド的なのですが、やっぱりインド映画の破天荒さやダンスシーンなどもあって、進化した現代のインド映画という感じ。

日本上映版は147分だけどオリジナルは162分だとか。いくつかのシーンがカットされているらしい。
『ロボット』のときも最初に上映されたのが短縮版で、完全版が観たいという声を受けて期間限定で完全版が上映されたはず。両方観てしまったのは私です(^^;)。あのときは、ダンスシーンがいくつかカットされていたのはわかりました。やっぱり『チェイス!』もダンスシーンかな。

事前情報としては、あり得ないチェイスシーンがあることだけ。実際に観てみると、確かにチェイスシーンは印象的ですが、上映時間全体から見れば意外と短い気がしました。
インド映画は長いので、現地での上映では途中休憩が入ると聞きます。日本でインド映画を観て休憩があった記憶はありませんが、「後半へ続く」的な字幕が出る場合があるのでその区切りがわかります。
『チェイス!』ではそのような字幕はありませんでしたが、中盤でそれまで伏せられていた事実が明らかになり、そこから急にストーリーの傾向が変わったので、たぶんあの辺りで休憩が入ったのではないかと推測します。
あそこで急に人間ドラマに切り替わった感じになって、しばらく派手なアクションが出てこないのが、多用な要素を盛り込んでいるとも言えるのですが、私自身はちょっとダレた印象も受けました。

主役のアーミル・カーンはインドでは大スターだそうです。日本でも上映された『きっと、うまくいく』にも出ていたので、顔は覚えていました。
私が初めて観たインド映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』のラジニカーントも当時インドのスーパースターだと聞きましたが、あれはタミル語映画で、『チェイス!』はヒンディー語映画なので、ちょっとカテゴリーが違うのかな。まあ世代もキャラクターも結構違う気がします。

アーミル・カーンの演技がどれだけすごいかは正直よくわかりませんでしたが、サーカス団員としてアクロバットのシーンがあり、バイクチェイスのアクションシーンがあり、ダンスシーンもあるということで、体はムキムキでした。


公式サイトは、こちら。
http://chase-movie.jp

2015年1月5日月曜日

『ベイマックス』

★★★☆☆

ピクサーがディズニーに買収されても両者の作品を結構区別してきたのですが、徐々にどちらの作品かわからないものが出てきました。この作品も、何となくピクサー作品を観るような心構え(?)で観てしまいました。

ベイマックスの造形とアクションは、ドンくさい可愛らしさがとてもよくて、最初から最後まであの雰囲気でゆるい日常的なストーリーが展開するものとばかり思っていました。
ところが、物語の後半はかなりアベンジャーズな感じの派手な活劇。それはそれで楽しいのですが、やっぱりちょっと期待と違う…。

んー、まあドラえもんの映画とかも敵と戦ったりするので、あれと同じだと思えばいいのかなあ。でもドラえもんは、通常の短編作品の日常ストーリーがあってのスケールが大きい長編作品だからなあ。
もしベイマックスの続編があったら、ぜひスモールスケールのゆるゆるな作品を観てみたいものです。…でもあの終わり方ではムリだろうなあ。

実はこの作品の原題は『Big Hero 6』だそうです。このタイトルを最初から知っていたら、あのストーリー展開も違和感なく受入れられたかもしれません。

日本を意識したサンフランソウキョウは、結局ハリウッド映画によく出てくるインチキニッポンという感じでしたが、でも日本らしいアイテムが風景の中に沢山出てくるので楽しいです。

アメリカのフルCGアニメーションは、人間のキャラクターの顔の造形には苦労している印象があります。また、手描きアニメの時代からディズニーは動物のキャラクターはいいけど人間のキャラクターはイマイチという話も聞いたことがあり、実際私もそう感じていました。
今回も女性や子供は相変わらずでしたが、ワサビというドレッドヘアーの黒人(?)や、大学教授の顔の造形は結構いい感じに思えました。CGらしいデフォルメをしつつ「こういう人、本当にいそう」という気がしました。CGで似顔絵を描く技術が少しずつ進化しているのかもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/movie/baymax.html

2015年1月3日土曜日

『バンクーバーの朝日』

★★★☆☆

いい話だと思いました。
南米やハワイや満州などは何となく知っていましたが、カナダ移民というのは初めて聞きましたし、野球チームの存在もその活躍も全く知らなかったので、そのことを知っただけでも価値があったと思います。

ただ、そうなるとドキュメンタリーの方がより自分の興味には合っていると思います。

エンターテインメントとして見た場合、登場人物たちがやけに破棄がない気がしました。必ずしも野球を楽しくやっているように見えないし、バントや盗塁を多用したスモールベースボールも、他に勝てる方法がないので仕方なくやっているので、どうも爽快感に欠ける印象でした。
たぶんそれは、史実に基づくリアルな描写なのかもしれませんが、だとしたらドキュメンタリーでいいじゃないか、ということですね。

映画では語られていないことで気になったこととして、仕事も少なく低賃金で生活に余裕もないのにどうして野球チームができたのか、カナダ人から差別されていた日本人移民のチームがどのような経緯でカナダリーグに参加するようになったのか、彼らが"発明"したスモールベースボールの具体的な戦術とはバント、盗塁以外にどんなものがあったのか、実際の戦績はどのようなものだったのか、などがあります。
仕事をしながら野球をやっていたのに、遠征とかどうしていたのかもわからないし、そもそも球団運営資金はどこから出ていたのかも不思議です。
そういう意味では、この映画はあくまでもバンクーバー朝日への興味の入り口なのでしょう。

移民一世と二世の意識に違いは作品の中でもちょっと描かれていて、なかなかよかったと思います。

名の通った役者さんが結構出てくるのですが、妻夫木くん演じる笠原とその家族、野球チームの4〜5名以外はほぼチョイ役かなあ。宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア、本上まなみの役は、登場しなくてもいいぐらいだし、貫地谷しほりもあまり持ち味が発揮されているとは思えませんでした。よく意味がわからないキャスティングでした。

公式サイトは、こちら。
http://www.vancouver-asahi.jp