2013年10月30日水曜日

『マッキー』

★★★★☆

相変わらずハチャメチャなインド映画ですが、一昔前とは違う方向性のハチャメチャさになってきたかもしれません。

殺された男がハエに生まれ変わって、犯人に奪われそうになった恋人を守り、かつ犯人に復讐する話です(^^;)。
こういう作品は、ハエのような小さな虫がどうやったら人間に太刀打ちできるのか?というのが見どころの一つだと思うのですが、なかなかよかったと思います。もちろん突っ込みどころはありまくりですが、それでも「その方法だったら、ハエサイズでもできるかも」という気がしました。

男がハエになった後は、一切言葉は喋らないので、感情表現や人間とのコミュニケーションは演出上難しい点だと思います。これも結構よくできていたと思います。ハエがときどきキュウと鳴くところや、字を書いてしまうのはちょっとやり過ぎな気がしますが、インド映画だから許す(^^;)。

ハエはもちろんCG。ちょっと安っぽいところはありますが、相当頑張っていると思います。ストーリー自体が非現実的なので、多少マンガチックでも許せちゃうし、やっぱりハエがちゃんと演技をしているので、そこから来る納得感もあるような気がします。

復讐劇なので、誰もが予想できるように、相手を殺してハッピーエンドなのですが、こういう明るく楽しい殺人ストーリーって、日本だとなかなか見ない気がします。たぶん世間的に抵抗感があるからだと思いますが、インドではあまり抵抗がないのかな。

最近私が観ているインド映画『ロボット』『ラ・ワン』などはいずれもイマドキのインドが舞台だと思いますが、『マッキー』も都会的でリッチでハイテクなシーンが随所に出てきます。インド映画で、AppleのMacが登場するのは初めて見たかも。

インド映画といえばダンスシーン。『マッキー』にもダンスシーンはあるのですが、あまり本格的なものではありませんでした。CGのハエのダンスがあったのはご愛嬌。
この映画の上映時間は125分でインド映画としては短いので、あるいは『ロボット』同様、日本上映バージョンでは時間短縮のためダンスシーンをカットしているのかもしれません。

インド映画の女優さんは本当に美女ばかりですが、『マッキー』に登場するビンドゥ役のサマンサ・ルス・プラブはちょっとあどけなさも見え隠れするキュートな顔立ち。かわいいと思います。
そういえば、インド映画のスーパースター、ラジニカーントもちょっとだけ登場していました。

公式サイトは、こちら。
http://masala-movie.com/makkhi/

2013年10月26日土曜日

『人類資金』

★★★☆☆

よかった、と思います。
でも、何だかよくわからないところもありました。

部分部分では、迫力のあるアクションだったり緊迫感のある芝居だったり、よく出来ていると思うのですが、作品全体としてどういうふうにストーリーが展開しているのかとか、それぞれの登場人物がどういう行動原理で動いているのかとか、そういうベースの部分で充分に理解できなかった印象です。

そもそもこの作品は、経済ドラマであり世界情勢ドラマなので、社会科に強くない私にはわかりにくい内容でした。例えば、どうしてあの流れで国連本部での演説につながるのか?とか。
そして、映画を観ながら「あれ、今のってどうしてだろう?」などと考えてしまうものだから、話の流れに集中しきれず、ますますストーリーに着いていけなくなるという悪循環もありました。

国連本部での森山未來くんの演説は非常に印象的で、結局メッセージのための映画だったような印象です。
でもそうなると、最初のうちのM資金云々はどうなったんだっけ?気がついたらテーマがシフトしてた感じだけど、全部収束してるんだっけ?みたいなハテナが残った状態で終わってしまいました。

テレビでやるときにでも、もう1回観れば理解が深まるのかな。それとも小説読めってことかな。

最初は佐藤浩市さん演じる真舟が主役だけど、終わってみれば森山未來くん演じるセキが中心にいました。森山くんはアクションシーンもかっこよく、外国語のセリフも(私にはよくわかりませんが ^^;)かなり流暢に聴こえました。国連での英語の演説も、それはネイティブと同等というわけにはいきませんが、日本人俳優の英語としてはかなり上手だったのではないでしょうか。彼、もともと英語得意なのかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://www.jinrui-shikin.jp

2013年10月21日月曜日

『謝罪の王様』

★★★☆☆

宮藤官九郎脚本作品。彼が監督まで務めた『中学生円山』も観ているし、『あまちゃん』が終わった直後ということもあり、どうしても比較してしまいます。

『中学生円山』は、ああいう方向性がありうることは頭では理解できますが、私としては全然好みではありませんでした。たぶんコアなクドカンワールドファン向け。

『あまちゃん』はNHKだということもあり、割と万人向け。でも間違いなくクドカンワールドが全体的に発揮されていて、すごく面白かったと思います。

で『謝罪の王様』は、その中間ぐらいかなあ。ただなぜか、万人向けの『あまちゃん』よりも薄味に感じたのはなぜだろう。

映画を観る前の大きな誤解は、この話は、阿部サダヲ演じる謝罪屋が依頼者に代わって土下座しまくってトラブルを解決すると思っていたこと。実は阿部サダヲ自身が謝罪しないケースも結構ありました。その場合は、テクニックを伝授して依頼者自身が謝るわけです。
それから、作品の中では、彼のうんちくとして数々の謝罪テクニックが語られているのですが、そのテクニックによって謝罪が成功したという感じがあまりしませんでした。たぶんこの辺が薄味に感じた原因かも。

作中では、5〜6個の依頼エピソードが順番に紹介される構成になっているのですが、実はいくつかのケースは同時進行で起こっています。それが、観ているうちに「ああ、この出来事は、さっきのあの出来事と同じ時だったんだ」とわかっていくという凝った作り。
謝罪屋の話を描くのに、どうしてこういう作りにする必然性があるのかは今ひとつわかりませんでしたが、この構成自体は面白いと思いました。

公式サイトは、こちら。
http://www.king-of-gomennasai.com

2013年10月1日火曜日

『そして父になる』

★★★☆☆

なんというか、静か〜な映画でした。
子供の取り違えという一大事が話のきっかけにはなっていますが、それに対する登場人物の言動は、ものすごく普通で、誰もぶっ飛んだ行動は取らないし、大どんでん返し的な事件も起こりません。
行間や余韻の多い、結論めいたものも明示しない作りは、日本映画によくあるスタイルの一つかもしれません。そのスタイルの作品としては、とてもよかったと思います。

役者さんたちの演技は、素晴らしいです。
リリー・フランキーさんの、ちょっとルーズなキャラはご本人のイメージにあっていたし、福山雅治くんの、微妙に嫌なヤツなエリート会社員の、微妙っぷりも見事でした。
尾野真千子さんと真木よう子さんは、ちょっと前のテレビドラマ『最高の離婚』でも共演しているので、その時の二人がちらつかないでもなかったけど…。
子役の子たち、特に慶多くんはとてもおとなしく、セリフも少なめ。6歳ならもっとしゃべるし感情も豊かだと思うので、この映画の中では珍しく、ちょっとリアリティがない気がしました。
ただ、この映画は大人たちが静かに苦悩する映画なので、子供がおとなしい分、それが強調されていたと思います。

私は子供がいないのですが、もし子供がいる人がこの作品を見たら、もっと突き刺さってくるのかもしれませんね。

公式サイトは、こちら。
http://soshitechichininaru.gaga.ne.jp