サンノゼというと、いわゆるシリコンバレーの一部で、周辺には超メジャー級のIT企業がゴロゴロとあります。出張中、1日だけオフということにして、ざっと回ってきました。
Adobe Systems Inc(345 Park Avenue, San Jose, CA)
Adobeはサンノゼのダウンタウンにあります。なので、ここだけは仕事のある日の帰り、ホテルに戻る途中で立ち寄りました。都会の中の高層ビルで、1階に受付カウンターとシンプルなロビーがある、日本の企業の、本社のイメージに一番近い雰囲気でした。当然ですが、入れるのはロビーまでです。
Apple Inc(1 Infinite Loop, Cupertino, CA)
Appleがクパティーノというところにあるのは知っていましたが、Infinite Loop(無限ループという意味ですよね?)という住所だったとは。リンゴマークの看板もあったのですが、住所が書かれた看板を撮ってみました(たぶん、わかる人にしかわからない)。
Apple本社にはカンパニーストアがあって、ここでしか手に入らないアップルのロゴ入りグッズなどが売っています。でもMacやiPodはありません。…と聞いていたのですが、iPadや周辺機器、ソフトウェアなども売っていて、普通のApple Storeの雰囲気でした。
せっかくなので、アップルロゴマーク入りのタンブラーとシャツを買ってみました。
Appleの原点のガレージ(2066 Crist Drive, Los Altos, CA)
Appleの歴史などが書かれた本を読むと、もともとはコンピュータ好きの若者たちが自分たちの成果を持ち寄って見せ合う、サークル活動のような中で、JobsとWozniakが出会い、意気投合したことからスタートしたと言われています。その時の会場はガレージだったとか。
で、そのガレージがここだったんだそうです。
といっても、今ここにJobsが住んでいるわけではなく、ごく普通の住宅です。
PARC(3333 Coyote Hill Road, Palo Alto, CA)
ゼロックス・パロアルト研究所(Xerox Palo Alto Research Center)といえば、アラン・ケイが、ダイナ・ブック構想を実現すべくAltoというコンピュータを開発したところ。Altoはアイコンやメニューをマウスを使って操作する、いわゆるGUIを備えたコンピュータで、研究用に相当数作られたのですが、結局市販されることはありませんでした。
ここに、Appleの開発者たちが見学に来て見せられたAltoに衝撃を受けて作ったのがMacintoshです。その後MicrosoftもWindowsを発表することになり、GUIがパソコンの標準となっていくことを考えると、PARCは極めて重要な出発点なのです。
ちなみに今はXEROXから独立した会社組織になっているようです。
そして、この建物には今、仮想化技術で勢いのあるVMwareも入っており、建物内でそのスペースをどんどん広げているとか。
Hewlett-Packard Co(3000 Hanover Street, Palo Alto, CA)
hpは、サンノゼではとても存在感がある企業のようです。アイスホッケー会場も"hp pavilion"と冠がついているし。本社も広大で、建物とかはよくわかりません。その辺一帯がhp。日本でもhpはメジャーですが、パソコンもプリンタもシェアのトップ争いをするほどではありませんが、アメリカではいずれもシェア1、2位を争うポジションにいるはず。その辺りも含めて、日本とはイメージが違うのかも。
Facebook Offices(1601 South California Avenue, Palo Alto, CA)
Facebookもここにありました。
ところで、Facebookのコーポレートカラーは濃いブルーだと思っていました。ところが、建てられた看板はエンジっぽい赤。見落とすところでした。Facebookのwebサイトはどうもわかりにくく、あまりユーザビリティやUIがわかっていないのではないかと思っていたのですが、CIもわかってなさそう。
ちなみに、今回訪れた場所はPalo Altoでしたが、たしか Facebookは、かつてSun Microsystemsがあった場所(Menlo Park)に拠点を移すと発表していたはず。次は青い看板にすることをお勧めします(^^;)。
hpの原点のガレージ(367 Addison Avenue, Palo Alto, CA)
hpの歴史についてはくわしくないのですが、やはり出発点はガレージだそうです。
この写真の、フェンスの向こうに見える三角屋根の小屋がそれ。そしてここがシリコンバレー発祥の地ということになっているそうで、案内板も立っていました。
Google(1900 - 1950 - 2000 Charleston Rd, Mountain View, CA)
Googleも、その辺一帯がGoogleとしか言いようがないスケールでした。しかも、通りの名前が"Google"のようです。
ついでですが、上の「大きな地図で見る」からGoogleマップへ移動し、Googleの敷地の周りの道をストリート・ビューで見てみると面白いです。やたらとたくさん人や自転車が写っているのですが、こっちに向かって手を降っています。どうやら、Googleの社員がいつストリート・ビューの撮影車両が通ることを知っていて、わざと出演しているようです。
Yahoo!(701 1st Ave, Sunnyvale, CA)
Yahoo!といえば、Web黎明期に検索ビジネスを立ち上げて一気に中心的な役割を担うことになった会社ですが、今アメリカでは、Googleが圧倒的に強く、苦戦を強いられていると聞きます(ちなみに、日本ではGoogleよりYahoo!Japanの方がシェアが大きかったはず)。身売りの話もしばしばあるのですが、実際に会社を見てみると、そんな状況の企業とはとても思えない大きさです。
Intel Corporation(2200 Mission College Blvd, Santa Clara, CA)
Intelといえば、もちろんCPUを始めとするチップメーカー。ここは、博物館やショップが併設されているのですが、残念ながら時間が遅かったため、もう閉まっていました。
Computer History Museum(1401 N Shoreline Blvd, Mountain View, CA)
順番は前後しますが、Computer History Museumという博物館に立ち寄りました。ここ、入場無料なのですが、展示はとても充実しています。ソロバンなどの電気を使わない計算ツールから始まって、真空管からどんどん集積回路が進化していく過程や、ワークステーション、パソコン、サーバなどの歴史を、製品の展示でたどることができます。私の場合、Macを中心としたごく一部の知識しかありませんが、CPUに詳しい人でもサーバに詳しい人でも、かなりワクワクすると思います。
ありました。XEROX Alto。モニタが縦長なのは、現実の紙を模したからです。当時のコンピュータディスプレイは黒地に緑の文字が一般的でしたが、Altoは白地に黒文字。これも紙っぽくするためです。向かって右側にマウスがありますが、左側には、小さなピアノの鍵盤のような入力デバイスが見えます。これは、ピアノで和音を弾くように色々なキーの組み合わせに応じて処理を実行する、ショートカットのような機能を持っていたと聞いたことがあります。
残念ながら、展示してあるAltoは電源が落とされていました(そもそも動くのかどうか??)が、画面の写真が展示してありました。ウィンドウやポップアップメニュー、アイコンらしきものも確認できます。現在のMacやWindowsの面影があるようなないような…。
XEROXはAltoの後、StarというGUIシステムのワークステーションを市販します。Starの日本語版がJ-Starで、実は私はJ-Starを仕事で2〜3年使ったことがあります。AltoのアイコンデザインはJ-Starのものとテイストが似ているような気がします。
これがApple I。このころのコンピュータはキットとして販売されていたそうです。現存するApple Iは大抵このような木のケースに入っているのですが、このケースもキットの一部なのか、それとも購入者が自分で用意したものなのか、よくわかりません。
これがApple II。コンピュータを、このようにプラスティックのケースに収めた完成品として販売するようになったのはApple IIが最初らしいです。Appleの最初のヒット商品。
Palm Pilot。PDA(Personal Digital Assistant)という言葉と概念はAppleがNewtonプロジェクトに際して打ち出したものですが、おそらく商品として成功したのはPalm Pilotの方でしょう。Newtonが理想を追い求めたのに対して、Palm Pilotはいい具合に現実的な落とし所にまとめた印象でした。
今はもうこのPDAは存在しませんが、そのOS、Palm OSだけは一時SONYに買われ、Accessに買われ、今はhpがWeb OSという名前で持っており、アメリカではこれを搭載したスマートフォンやタブレットを発表しています。つまりiPhone、iPadの対抗馬です。AppleとPalmの不思議な縁ですね。
IT企業が集まっているとはいっても、実際に回ってみると相当広い範囲に点在しており、それらをつなぐ公共交通機関は整備されていません。流しのタクシーもそんなに見かけないので、事実上車がないとこのようなツアーは不可能です。今回私は、サンノゼ在住の友人が車を出してくれたので、1日でこれだけの企業を巡ることができました。実は、偉そうに解説していますが、どこをどう回るかも全て友人が探し考えてくれたもの。その節は本当にお世話になりました。