2019年6月15日土曜日

『海獣の子供』

★★★★☆

ストーリーは、何を言いたいのかさっぱりわかりませんでした(^^;)。
でも、あれだけ映像が素晴らしいと、それだけで星4つあげちゃいたくなりました。

STUDIO 4℃というと『鉄コン筋クリート』を映画館で観ています。一般大衆ウケはしないと思いますが、ちょっとアングラというかマニアックというか屈折しているというか、メジャー路線からは少しずれたポジションにいるこだわりのプロ集団という印象を受けました。

『海獣の子供』でも、映像面でハッとさせられる表現がたくさんありました。背景の美しさやCGの使い方、人物のものすごく細かい仕草などの演技などなど。

今時のアニメ作品はキャラクターの顔などに共通の造形パターンがある印象で、個人的にはあまり好きではありません。人間の顔という立体物を線画で平面に置き換える際、もっと様々な造形の解釈があるように思えます。
本作の場合、原作漫画のキャラクター造形を再現しているということでしょうが、お決まりの描き方にはいかないところが好印象でした。

あのさっぱりわからないストーリーも当然原作に基づいているのだと思いますが、それを選んだところが、いかにも(私のイメージする)STUDIO4℃らしいと思って、ニヤリとしてしまいます。

これからも、変に一般ウケを狙わず、こだわりの作品を期待します。

米津玄師くんの主題歌も、私にとってはなんだか難しいメロディでした。


公式サイトは、こちら。
https://www.kaijunokodomo.com

『パドマーワト 女神の誕生』

★★★★☆

インドの歴史大河ドラマといった感じの作品。
人間ドラマとしても軍記物としても面白く、映像的にも迫力があってよかったと思います。
ただ、インドの歴史モノ映画というと、ちょっと前に『バーフバリ』があったので、あれと比べてしまうとどうしても全体的に大人しい印象になってしまいます。

この作品は、インドの昔の叙事詩に基づいているそうですが、この叙事詩自体が史実に基づき脚色したものだそうです。
基本的には二つの国の戦争を描いているのですが、その一方はイスラム教国で建築様式が中東っぽく、そもそも私は昔のインドについて何も知らないので、あまりインドを強く感じない不思議な雰囲気でした。まあ『バーフバリ』も無国籍な印象でしたが。

シリアスな歴史モノですが、インド映画お決まりのダンスシーンはいくつかありました。インド映画は上映時間が長いので、インド以外の国ではダンスシーンなどをカットしたインターナショナル版が用意されることもよくあります。今回の日本上映版は164分ということなので、どうやらインド国内版と同じ長さなのではないかと思います。

公式サイトは、こちら。
http://padmaavat.jp

2019年6月2日日曜日

『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』

★★★☆☆

前作も映画館で見ているのですが、どんなストーリーだったかまったくおぼえていません。ただ、さらにその前のハリウッド版ゴジラと比べると、日本のゴジラをリスペクトしている感じがしたことはおぼえています。

最近のハリウッドのアクション、クライシス系の映画で気になるのは、登場人物があまりに不用意で楽観的すぎるため危機を呼び込んでいるとしか思えないものがよくあること。登場人物が危機にさらされないとこの手の作品は面白くないわけですが、登場人物の振る舞いが勇敢というより愚かに見えてしまうと、それもまた低レベルな感じになってしまいます。
で、今回のゴジラでも、やはり「軽率な行動」が目につきました。

映像は非常に迫力があってよかったのですが、暗い場所であったり、逆に光が強かったり、雲や煙がかかっていたり、動きが速かったり、…といった状況で、怪獣たちの造形のディテールがよくわかりませんでした。例えば、モスラの羽にはどんな模様があったのか、とか。

音楽は、本編の中でもオリジナルのゴジラやモスラの音楽のフレーズがモチーフとして入っているのは気づきましたが、エンドロールでははっきりと使われていました。ハリウッド作品の中で聴くゴジラやモスラの楽曲には、ちょっと感動しました。

ゴジラ愛を感じる作品でしたが、『シン・ゴジラ』の政府や自衛隊の動きを徹底的にリアルに見せるという切り口を見せられた後ということもあり、良くも悪くもハリウッドらしい軽さに終始していた気がします。


公式サイトは、こちら。
https://godzilla-movie.jp

2019年4月7日日曜日

『ROMA/ローマ』


★★★★☆

アカデミー賞外国語映画賞受賞作品。NETFLIX制作なので、アカウントを持っていない私は普通なら観ることができませんが、アカデミー賞受賞を受けて劇場上映しているので、観てみました。

よくできた作品だと思いました。ただ、私にとっては割と苦手な路線でした。旅をしないロードムービーといった感じで、起承転結がはっきりしないタイプの作品。アカデミー賞外国語映画賞には是枝裕和監督の『万引き家族』もノミネートされていましたが、是枝監督作品も、そういう点では私の中では同じカテゴリーです。

日常を切り取った感じの描写が多いので、ディテールは面白いと思いました。70年代メキシコの生活の様子がよくわかった気がします。

白黒の映像は綺麗でした。オープニングの何分間かカメラを動かさずずっと床だけを撮っているカットは印象的でした。あとは、カメラをパンさせるすごく不思議な撮り方も、技巧的にはどうなのかわかりませんが、印象には残りました。

R15指定でしたが、そうせざるを得なかったのはたぶん1シーンだけだったような気がします。あそこでパンツさえ履かせておけばR指定なしにできるのに、そういう判断にならないのが芸術の面白いところですね。

この作品のタイトルなどで使われているフォントなのですが、個人的にはちょっとかわいらしさを感じてしまい、この作品のトーンとは合っていないような気がしてしまいました。

公式サイトは、こちら。
https://www.netflix.com/jp/title/80240715

2019年3月23日土曜日

『グリーンブック』

★★★★☆

2019年 第91回アカデミー賞作品賞受賞作品。

黒人と白人、上流階級と使用人という構図が、『最強のふたり』を彷彿とさせるので、観に行こうかどうしようか考えましたが、まあアカデミー賞も取ったことだし、ということで観に行きました。

ストーリー展開も、大きなところでは『最強のふたり』と似たような感じで、最初はいがみ合っていた二人が徐々に友情を育んでいくというもので、想像どおりでした。
ただ『最強のふたり』は、たまたま白人の富豪と黒人の使用人だっただけで、黒人差別は直接的なテーマではなかったと記憶しています。そして、全体的なトーンとしては明るめ。
対して、『グリーンブック』は黒人差別がモロに作品のテーマなので、いい塩梅に笑いをちりばめてはいるものの、作品全体として暗く重いものを感じました。

アメリカで、いまだにこのような黒人差別を扱った作品が作られ、高い評価を得ているのは、表面的な制度上は差別が撤廃されているものの現実には今も差別意識が根強く残っているということなのでしょう。50〜60年前を舞台にしたこのような作品を観て、実は今を憂いているのだと思います。
日本でも人の心の中の差別的な意識は多々あると思いますが、少なくともアメリカ社会をダイレクトに経験していない私にとっては、黒人差別問題を当事者感覚を持って受け止めることは難しいように思います。

主人公の白人は黒人嫌いですが、自分を運転手として黒人にときには逆らい罵ったりもするのですが、必要以上にキレて暴力を振るったり周りのものを破壊するような行動を取らないのは見ていてホッとしました。
行儀が悪く下品で粗暴なキャラなので、最近の日本の作品であれば簡単にキレて暴れまわる演出となりそうな気がします。私はああいう描写に必ずしもリアリティを感じないし、安易な演出に思えて好みではありません。


公式サイトは、こちら。
https://gaga.ne.jp/greenbook/

2019年3月2日土曜日

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第七章 新星篇』

★★★★☆

来週以降テレビで観られるとわかっていますが、一応映画館に観に行きました。
『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』と『宇宙戦艦ヤマト2』のリメイクということで、結末もどうなるのか気になりましたし、そこにたどり着くまでの過程もいろいろと気になる点がありました。

なるべくネタバレしないようにしたいところですが、ゼロというのもちょっと難しい気がします。ご了承ください。

全体として、展開が慌ただしかった気がします。旧作の『さらば〜』や『〜ヤマト2』ではもう少しじっくり見せていたシーンに相当するところがサッと過ぎ去っていく印象でした。
おそらく、旧作のラストは25話までで終了し、そのあとに旧作にはまったくないエピソードを1話追加した構成になっていることも展開の速さに関係している気がしますが、だとすると、全26話の中盤のあの回とかは削ってもいいのでは?と思わなくもない気がします。

旧作にどっぷりハマった私としては、印象的なシーン、セリフ、絵、設定などがリメイクでどうなるのかと気になっていたことが多々あったのですが、まったく違うものになっていた部分が多かったと思います。だからこのリメイクは駄作だということではありませんが、すぐには自分の中で消化しきれないかもしれません。もう一度見返さないと充分理解できていない部分もあるような気がします。

『〜ヤマト2199』のときも、コスモリバースシステムの中核は人間の精神という設定がありましたが、本作でも人間の精神をSF的に取り扱うような設定が出てきて、個人的にはちょっと苦手なところ。何となくヱヴァンゲリヲンっぽいと思うのですが、ヱヴァは最初からそういう世界観の作品なのでまだ許容しやすいと思います。でも、少なくとも旧作のヤマトにそういう要素はないので、割と違和感を覚えます。
また、26話で出てくる国民投票や真田の演説に強い意味を持たせる演出はガンダムっぽさを感じました。
ヤマト→ガンダム→ヱヴァンゲリヲンという日本のSFアニメの歴史を踏まえてあらためてヤマトをリメイクするとき、ガンダム的要素、ヱヴァ的要素をも取り込んだということかもしれません。

で、実はあれでガトランティスが滅亡したのか、私にはよくわかりませんでした。
ふと、『〜ヤマト2199』のときは結局後から完全オリジナルの映画『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』が制作されたので、もしかしてそういう可能性を残しておいたのだろうか?と思ったりして。
また、旧作『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』以降に相当する続編がありうるのかも気になるところです。


公式サイトは、こちら。
http://yamato2202.net

2019年2月9日土曜日

『ファースト・マン』

★★★★☆

アポロ計画を描いた映画としては、トム・ハンクスが主演した『アポロ13』が大好きです。あれは、月面着陸というミッションは失敗しますが、次々と起こるトラブルを宇宙飛行士と地上クルーの努力で乗り切るという内容で、失敗したミッションを取り上げたところに大きな価値があると思っています。

『ファースト・マン』はアポロ11号で人類初の月面着陸を成功させたニール・アームストロングが主人公なので、これを普通にハリウッドが映画化したら、人類の偉業、科学の勝利、勇敢なる英雄、アメリカの誇り、…といったキラキラした作品にしかならないはず。ただ、そこは『セッション』『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督なので、さぞかし違う切り口の作品なのだろうという期待がありました。

結果としては、アポロ11号をテーマに、よくここまでネガティブな雰囲気漂う作品にしたなあという出来栄えでした。NASAの仕事では、時には生死に関わるほどの非常に厳しい訓練、事故による仲間の死、マスコミや世間からのバッシング、プライベートでは、娘の死、生きて帰れる保証のない仕事に取り組むことから来る家族との微妙な関係と、アポロ計画が語られるとき、普通ならあまり強調されないネガティブな要素を淡々と描写していきます。
逆に、月面着陸を実現させることが技術的にいかにすごいことなのかは、ほとんど表現されません。

主人公は、すべてを飲み込んでミッションに取り組み、家族と接している感じで、ほとんど感情を表現しないので、何を考えているのかはよくわかりません。本物のニール・アームストロングがこういう人だったのか、この作品用に作られた人物造形なのか、たぶん後者のような気がします。

あとは、手持ちカメラを多用しているのか、かなり画面がフラフラと揺れるのが印象的。ロケットの発射の際の船内の振動も思い切り画面を揺らします。でもそこがドキュメンタリーやニュース映像のようで生々しく、リアルに感じられます。
音も、ロケット噴射やその振動でガタガタ、ギシギシと大きな音をたてたかと思うと、宇宙空間ではまったくの無音になったり、かなり極端に変化します。
こういったカメラや音の使い方も新鮮で、生々しさやロケットに乗ることの恐怖感、宇宙の異世界感などを強く印象づける効果につながっているように思いました。

細かいところですが、序盤にモハーヴェ砂漠が登場します。私はMacユーザーなので、macOS MojaveのMojaveだとすぐにわかりました。

字幕監修は、日本人宇宙飛行士の毛利衛さんでした。

公式サイトは、こちら。
https://firstman.jp

2019年2月6日水曜日

『マスカレード・ホテル』

★★★☆☆

原作は読んでいません。

ホテルを舞台にした有名な映画やテレビドラマはいくつかあると思うのですが、主に宿泊客の人生に光を当てた人間ドラマといった体裁になることが多いように思います。
一方で、殺人事件の犯人探しを楽しむエンターテインメントがミステリー。
そのいいとこ取りをしたような作品でした。

たくさんの怪しい宿泊客のエピソードは、実は犯人探しとは何の関係のない場合もあって、そうした"ノイズ"をたくさん加えて観客を混乱させるのは、ミステリーとしてはちょっとアンフェアな気がします。これで、ミステリーとしての骨格がいい加減だったら納得できないところですが、本作の場合はちゃんとしていたと思います。
だとしたら、もっとノイズを減らして、ミステリーとしての骨格だけで勝負してもよかったのではないかと思ってしまいます。原作はどのようなバランスなんだろう??

木村拓哉くんは「どんな役を演じても木村拓哉」と揶揄されることがありますが、最近の演技は"木村拓哉"を抑え気味な気がしますが、周りからは若い頃の"木村拓哉"を期待する声もあるのでしょうから、さぞかし大変だろうと思います。個人的には、何年間か表舞台に出るのをやめて、ビジュアル的にも内面的にも完全におじさんになってから脇役で復帰したりすると評価されそうな気がしますが、彼の場合それは許されないのでしょうね。

最後に、木村拓哉演じる刑事と長澤まさみ演じるフロントクラークが恋愛関係に進展するような雰囲気のるシーンがありましたが、私はこの作品に恋愛はなくていいと思いました。


公式サイトは、こちら。
http://masquerade-hotel.jp

2019年1月21日月曜日

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』

★★★★★

インド映画は、東京でも上映する映画館が限られる場合が多いのですが、興味があっても映画館では観る機会がないということもあります。
この映画も、予告編などを観て気になっており、できれば観たいと思っていた作品。幸いにも比較的行きやすい映画館で上映されていたので、ここぞとばかりに観てきました。

結論としては、とてもよかったと思います。

ストーリーの骨子は極めてシンプルで、インドで迷子になった言葉の喋れないパキスタン人の女の子を、バジュランギおじさんが家まで送り届けるというものです。それを、159分の作品として、飽きさせることなく、ハラハラさせ、考えさせ、笑わせ、共感させ、感動させる仕上がりになっていると思います。

シャヒーダー役の女の子はとても可愛いビジュアルで、言葉が喋れない役なので表情や仕草だけで健気に演じています。

また、作品の中ではインドとパキスタンの関係や異宗教との関係など、インドならではの事情も描かれています。それが社会科の教科書とはちょっと違う生っぽさで、非常に興味深いです。
韓国映画にも北朝鮮が取り上げられているものがありますが、インドは映画の中でパキスタンについてこんな風に取り上げることができる自由さはあるんですね。

ただ、作中で「インドもパキスタンもない」といったセリフをパキスタンのテレビレポーターが語るという演出は、ちょっと恣意的なものを感じました。インド映画なんだから、インド人側がそういうメッセージを発信すればいいのに、インド映画でパキスタン人のそれを言わせるのは「そっちが折れないからいけないんだ」というメッセージのように思えてしまいますね。…というのは私の考えすぎでしょうか。

そう言えば『LION ライオン 25年目のただいま』もインドの迷子の話で、パキスタンとの関係にも触れていたはず。インドではよくある話なのでしょうか。

いくつか、日本の感覚では腑に落ちない点もありました。
普通、迷子を見つけたら警察に相談すると思いますし、その子がパキスタン人だとわかればパキスタン大使館にどうにかしてもらうと思います。そして、相談したのに取り合ってもらえないということは考えられないと思います。
この映画の中でもバジュランギは警察にもパキスタン大使館にも相談しているのですが取り合ってもらえません。取り合ってくれちゃうと作品が成立しないので、映画としては当然なのですが、あれはインドでも不自然な展開なのか、それともインドではよくあることなのか、そこが謎でした。


公式サイトは、こちら。
http://bajrangi.jp

2019年1月2日水曜日

『来る』

★★★☆☆

2018年11月から12月にかけて観たい作品がたくさんあり、いつにないペースで映画館に通った結果、年末公開で観たかった作品は全て観てしまったのですが、せっかく1月1日は金額が安いので『来る』を選びました。
『告白』の中島哲也監督作品なのと、黒木華さんが出演しているので、気になっていました。ただ、ホラーは好きではないので躊躇していましたが、ネットのレビューを見る限りホラーとしての怖さはそれほどでもないということなので、観てみることにしました。

実際に観てみると、ホラーじゃないということはないのですが、確かに人間の怖さの方が印象に残りました。
以前、蒼井優さん主演の『彼女がその名を知らない鳥たち』という作品が「共感度ゼロ」「全員クズ」といったキャッチコピーを掲げていたのですが、『来る』の主要キャストもかなりのクズぞろいでした。最初はいい人そうに描かれていても、話が進むに連れて裏の顔が出てきます。

普通、主人公は映画の上映時間の最初から最後まで出続けるのがセオリーですが、この作品では重要な役どころの人物が途中で退場したり途中から登場したりするので、結局誰が主人公なのか、正直よくわかりませんでした。まあ、それが悪いことだとは思いませんが。

子役の女の子は作中ではけっこうひどい仕打ちを受ける役で、この作品に出演したことがトラウマにならなければいいなあと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://kuru-movie.jp


さて、昨年2018年に観た映画は33本でした。前年よりは10本近く減っています。まあ自分でも少し本数を減らしたいと思っていたので、狙いどおりといったところでしょうか。
一方で、星5つを付けたのが3作品ありました。『ゴッホ ~最期の手紙~』『カメラを止めるな!』『パッドマン 5億人の女性を救った男』なので、ちょっと変化球的な作品ばかりかもしれませんが、自分としては収穫が多かった1年だった印象です。