2017年10月10日火曜日

『ドリーム』

★★★★☆

公開直前になって、なんとなく評判がいいので観てみようと思った作品。

ひとことで言うと、NASAのマーキュリー計画に計算係として関わっていた黒人女性が、差別に耐えながら活躍する話。
…というと、もうそれだけで話の展開は想像できてしまいますが、実際そのままの展開でした。変に足したり引いたりひねったりせず、ストレートに展開し演出もまっすぐですがすがしく感じました。

史実に基づいた作品だそうですが、当時のNASAの黒人差別の状況はもう少し改善されていたようです。いずれにしろ、当時のアメリカ社会は、これから宇宙へ行こうという時代に、映画で描かれていたような差別がまだまだ残っていたというのは事実でしょうから「何が自由の国だ」という感じですね。

純粋にいい作品だと思いますが、差別という要素があっての感動だという気もするので、自分の中ではちょっとモヤモヤした気持ちがあります。冷静になると、感動するより反省すべきでは?とも思ってしまいます。
この辺りの受け止め方は、私は所詮日本人なので、よくわかっていないのかもしれません。

ところで、この作品の原題は『Hidden Figures』。"figure"は「数字」や「計算」という意味と「人物」という意味があるので、ロケットの軌道計算を行う計算係の仕事と、差別のために舞台裏で活躍していた優秀な人々を表すダブルミーニングなのでしょう。
それが日本では『ドリーム』。以前から映画の邦題のセンスには疑問を感じていましたが、これはかなりひどいレベルだなあ。私は最初、ミュージカル映画のような作品かと思ってしまいました(^^;)。


公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/dreammovie/

2017年10月3日火曜日

『ソウル・ステーション/パンデミック』

★★☆☆☆

うーん。

公式サイトには確かに「『新感染 ファイナル・エクスプレス』の前日譚」と書かれているのですが、本国韓国でも本当に前日譚扱いなのでしょうか(邦題をはじめとして、日本側でヘンな宣伝や演出をすることがよくあるので)。

前日譚というからには『新感染〜』よりも時系列的に前の出来事ということになるはずですが、そう判断できる要素が何一つありません(例えば『新感染〜』の車内パニックのきっかけとなった、トイレに隠れていた感染者が、いつどこで感染して、なぜ列車に乗ったのかが描かれるとか)。
そもそも『新感染〜』以前にソウル駅付近であれだけのパニックが起こっていたら、『新感染〜』の列車が普通に発車できるとは思えません。

また、『新感染〜』では感染病がどのように生まれどのように広まったかが全く描かれていなかったので、前日譚ではその部分が明らかになると期待していましたが、『ソウル・ステーション〜』でも、その部分は結局わからないまま。

結局、ほぼ同じタイミングで発生した列車内でのパニックとソウル駅付近でのパニックを二つの作品にしたような印象でした。サイド・ストーリーまたはアナザー・ストーリーと呼ぶのであればまあ納得できますが、前日譚ではない気がします。

アニメーション技術については、背景とか視覚効果的なものはともかく、基本的な人物のデッサンとか動作とかがあまりちゃんと描けていないように思えます。
ジャパニメーション流が正解だとは思わないので、様々な技法や個性的な表現があるのはいいと思うのですが、どちらかというとクオリティが低く見えてしまったのが残念なところです。

ストーリー的には、登場人物の中に一人も冷静で理性的な人がいないので、どうも締まりがない印象。危険な状況を人にきちんと伝えられない、問題の原因を考えない、軽率な行動で危険を呼び込む、そんなことをやっていては、パニックが拡大するのは当然だと思えます。
『新感染 ファイナル・エクスプレス』の方は、もう少しちゃんとしていた気がします。同じ監督なのに、どうしてだろう。

10月1日に1100円で観たので、まあ仕方がないかな。

公式サイトは、こちら。
https://pandemic-movie.com

2017年9月23日土曜日

『バーフバリ 伝説誕生』

★★★★☆

インドでは歴代興行収入を塗り替えた作品だとかで、日本でも上映されたようですが全く知りませんでした。たまたまその事実を知り、iTunes Storeでレンタル配信しているのを見つけたので自宅で鑑賞。

歴史スペクタクルものということになるのでしょうか。でもいつの時代、場所を描いたものなのかさっぱりわかりません。もちろん登場人物はインド人だし、インドっぽい生活スタイルを感じさせる要素はたくさんあるのですが、50年前の戦争のシーンはグラディエーターのようで、古代ローマ時代をインド人俳優で描いてるような無国籍感です。
敵である蛮族は、いわゆる未開の地の原住民のステレオタイプそのままというビジュアル。
主人公シブドゥは、超人的に強くて、マンガのようです。
でも、そのテキトーっぷりがインド映画の面白さなので、細かいことは気にしてはいけません(^^;)。

とにかくド派手で怒涛の展開で、138分飽きる暇がありません。

この作品、二部作なのですが、続編『バーフバリ 王の凱旋』は日本では2017年12月29日公開(すごい公開日!)だそうです。今度は映画館で観たいものです。

iTunes Storeの説明では、日本語字幕があるかのように書かれていたのですが、実際にはないようで、しかたなく日本語吹き替えで鑑賞。かなり残念。

公式サイトは、こちら。
http://baahubali-movie.com








2017年9月16日土曜日

『ダンケルク』

★★★★☆

もともと観るつもりではなかったのですが、評判がいいようなので観に行きました。

世界史は苦手ですし、第二次大戦中のヨーロッパ事情には疎いですし、ダンケルクの撤退作戦のこともこの映画を観るまで全く知りませんでした。そういった背景を知っていれば、より作品が理解できるのかもしれません。
ただ、作中では説明的な要素はほとんどなく、ある意味では舞台はどこでもよかったのではないかという気もします。

要は、ドイツ軍に攻め込まれたイギリス軍が、敵の戦闘機や爆撃機の妨害を受ける中フランスから船でイギリスへ撤退する話です。
観客は、撤退するイギリス兵と同じ場に身をおき、襲ってくる敵の攻撃を一緒に体験する感覚を味わいます。
たぶん戦闘機のエンジン音や機銃の音はかなり大きめに調整されているのだと思いますが、本当に恐怖感を覚えました。派手な戦争ものの作品だと空を覆い尽くすほどの大編隊だったりしますが、1機だけでもあんなに怖いものなのですね。

BGMもひたすら恐怖感、切迫感をあおるようなものでした。
そして、登場人物は戦意も全くなくなった兵士達で、セリフは非常に少なく、お互いの名前も名乗りません。若い兵士は知らない役者さんばかりで、最後まで顔を覚えられませんでした。そもそも、誰が主人公だったんだろう?
また、敵のドイツ軍は、戦闘機と爆撃機は絵として登場しますが、兵士は全く画面上に姿を見せなかったと思います。
この辺の演出も、普通の映画とはちょっと違う感じ。

とにかく肩に力が入る映画でした。


公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/dunkirk/
この公式サイト、やけに情報が少ないですね。観終わった後で、役者さんの名前を確認しようと思ったのに、キャストの情報すら書いてない…。

2017年9月11日月曜日

『三度目の殺人』

★★★☆☆

モヤモヤする映画です(^^;)。
この映画のプロモーションで福山雅治さんがテレビに出演したとき、通常の作品はストーリーが進むにつれて真実が明らかになっていくが、この作品はだんだんわからなくなっていくという逆のアプローチをとっている、という説明をしていました。
事前にこの説明を聞いていなかったら、全く納得感がなかったかも。

真実もよくわからないし、役所広司さん演じる被告の頭の中もよくわからないまま。…ということは、それはこの作品にとって重要ではないのでしょう。

役所広司さんの演技は素晴らしいです。基本的に穏やかで落ち着いた態度、喋り方なのに、どこまでも不気味。福山雅治さん演じる弁護士との接見室のシーンは見応えがあります。被告のブレない不気味さが弁護士を飲み込んでいく感じが緊張感とともに伝わります。

広瀬すずさんは被害者の娘の高校生役ですが、こちらも何を考えているのかわからなくて結構不気味でした。


公式サイトは、こちら。
http://gaga.ne.jp/sandome/

2017年9月10日日曜日

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 激突 ルウム会戦』

★★★☆☆

ついに一年戦争の始まりが描かれます。ということは、宇宙世紀史上とても重要な瞬間のはずですが、開戦そのものは作中では意外とサラリと通り過ぎた感じ。ブリティッシュ作戦も意外とあっさり。ルウム会戦は少し丁寧に描かれていますが途中までで、続きは次回作へという形で本作は終わってしまいます。

では、本作では何を描いているかというと、開戦前後の人々のドラマということになるでしょう。それが、シャア、ランバ・ラル、黒い三連星、ザビ家、連邦、セイラ、アムロをはじめとするサイド7の人々と多岐に渡るので、それぞれの短いエピソードが散発的に散りばめられていている印象。

絵はきれいだし、動きのクオリティもいいし、それぞれのエピソードはファースト・ガンダムの物語をより深めるものではあるのですが、一本の映画作品としてのまとまりやストーリーの軸が希薄な気がします。前作のときも同じようなことを書きましたが…。

今回からタイトルにローマ数字がなくなったのかな(「V」と書かれている場合もありますね)。これは、ファースト・ガンダムで描かれた部分もリメイクしていくということでしょうか。ア・バオア・クーまで何年かかるんだろう。

公式サイトは、こちら。
http://www.gundam-the-origin.net

2017年9月3日日曜日

『新感染 ファイナル・エクスプレス』

★★★★☆

ずいぶん前にこの作品が韓国でヒットしているという情報を知って、観に行こうと決めていました。
韓国映画は、この手のアクションものの暴力描写がちょっとキツイこともあるのですが、経験的に韓国でヒットしたものはまず裏切られることはありません。

あるウイルスか何かに感染すると自我を失い凶暴になって人を襲い、噛みつかれるとその人もまた感染して凶暴化するという設定ですが、その感染者の姿や動きはまさにゾンビ。あの見せ方はやや安易ですし、ちょっとコミカルにも見えてしまいました。

特急列車という閉鎖空間で感染者に襲われる人々のパニック映画ですが、閉鎖空間だけに間が持つのかと思いましたが、何度か駅に停車したり人間模様を描いたりして、飽きさせない展開でした。

主役を演じたコン・ユさんは、なかなかの大沢たかお顔でした(^^;)。
子役の女の子、キム・スアンの演技は素晴らしかったと思います。

この作品、ほぼ列車に乗っている人たちの視点でしか描かれていないので、その時ソウルやプサンでは何が起こっていたかもよくわかりませんし、感染の原因も対策も作品内ではほぼ明らかにされません。
前日譚は別のアニメーション作品として描かれるらしいですが、サイドストーリーや続編の余地がたくさん残されていて、その辺りも狙っているのかもしれません。

"新感染"というのはもちろん"新幹線"とかけたダジャレタイトルですが、当然日本でしか通用しないはず。原題はどうやら"プサン行き"という意味のようです。この作品にダジャレタイトルが適当かは疑問が残るところ。


公式サイトは、こちら。
http://shin-kansen.com

2017年8月27日日曜日

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

★★★☆☆

この作品の元となったテレビドラマは観ていませんし、当時高い評価を受けていたことも全く知りません。

事前の世間的な期待度は割と高く、私自身もそれなりに期待していたのですが、公開後のレビューサイトではなかなかの酷評も多いようです。

私自身は、充分楽しめましたし、少なくともそこまで酷評されるようなものではないと思いました。

学生が主人公の時空間超越モノということで、どうしても『君の名は。』と比較されてしまうのは、ちょっと損していますね。

岩井俊二さんは、このアニメ作品には「原作」としてクレジットされていて、実際どれだけ関わっているのかわかりませんが、彼の名前を聞いただけで、感覚的で行間のある作品をイメージしていました。そのつもりで観れば、特に気になりませんでした。

また、下ネタ云々というレビューを見かけましたが、自分にはまったくわかりませんでした。確かに上品とは言いかねる会話などはありましたが、中学生の男の子ならそのくらいは当たり前。

メインの登場人物が中一という設定なのですが、最近の日本のアニメの記号化されたキャラクターデザインだと高校生ぐらいにも見えたりしてしまいました。
そして、菅田将暉くんと広瀬すずさんの声がキャラにあっていたのかどうかも、ちょっと微妙な気がしなくもないです。

広瀬すずさんの歌う『瑠璃色の地球』は、もちろんボーカリストとしての技術や表現力は松田聖子さんにはまったく及ばないのですが、素直でまっすぐでよかったと思います。

学校の校舎やプールがやけに凝ったデザインで気になりました。

公式サイトは、こちら。
http://www.uchiagehanabi.jp/index.html

2017年8月13日日曜日

『君の膵臓をたべたい』

★★★★☆

原作は読んでいませんが、話題になっていたのは知っていましたし、なかなかインパクトのあるタイトルが気になっていました。

ヒロインの女子高生が膵臓の病気で長くは生きられないという設定を除けば、最近流行りの胸キュンものとそう変わりはないかなあ。

でも、時間を飛び越えたり人の心が読めたりするような特殊能力も出てきませんし、むしろ残酷な現実をしっかり描いているので、割と地に足のついた作品として観られたと思います。

ヒロイン役の浜辺美波(なんだかすごくビーチガールな名前ですね ^^;)さんは、たぶん以前テレビドラマか何かで見たことがありましたが、まだ世間的にはそれほどの知名度も実績もない女優さんだと思います。
彼女の役は、命に関わる病気なのにやたらと明るくて主人公の内向的な男の子を翻弄するのですが、とてもよかったと思います。

主人公の男の子役の北村匠海(こちらも名前に海がつくんですね)くんは、全く知らない俳優さんでしたが、こちらもよかったです。

彼らが、役者としてまだそれほど有名ではないことと演技がとてもよかったことで、本人がキャラクターそのもののように思えて、ストーリー自体は必ずしも目新しくなくても、観たことのない新鮮な作品に感じられたのだと思います。


公式サイトは、こちら。
http://kimisui.jp/#/boards/kimisui

2017年8月6日日曜日

『カーズ/クロスロード』

★★★☆☆

前作、前々作も観ているのですが、正直間が空きすぎて、細かいストーリーやキャラクターの関係性はよく覚えていません。
でも、それがわかっていなくては本作が楽しめないということはありません。

世代交代がストーリーの大きなテーマなので、ちょっと切ない感じもあり、さらに続編があったとしたらどう展開していくのか読めない終わり方でした。
主人公のマックィーンは新世代に突き上げられる立場ですが、キャラクターが車なので、しわも白髪もなく、あまり老いを表現できないのが苦しいところですね。

途中、レースに向けての準備のプロセスは、新たなパートナーとの信頼関係や悪あがきや葛藤や、マックィーンにとっては色々と重要な部分かもしれませんが、観ている側としてはちょっとダレてしまう感じがあったかも。

今回も私はもちろん字幕版を観たのですが、それでも日本上映版の主題歌は奥田民生さんなのかと心配していましたが、幸い全て英語の歌でした。いや、奥田民生さんには何の恨みもありませんが、可能な限りオリジナルに近い形で観たいので。

同時上映の短編も悪くなかったのですが、いじめはいけないというメッセージがややストレート過ぎな気がしました。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/movie/cars-crossroad.html