2015年5月30日土曜日

『チャッピー』

★★★★☆

とてもよかったと思います。気持ち的には星4.5。

この映画の監督ニール・ブロムカンプの作品は、『第9地区』がなかなかよくて、『エリジウム』は割と普通のハリウッド映画という印象でした。このまま普通になっていくのかと思っていましたが、無用の心配だったようです。

『第9地区』もそんな印象だったと思いますが、街の風景も人々の生活もほとんど今と変わらないけど、ちょっとだけテクノロジーが進んだ近未来の描き方が特徴的です。
もっとも『チャッピー』の場合は、2016年に自律、成長するIAが発明されるという話なので、近未来ですらないですね。

そして、そのAIテクノロジーが、素晴らしい未来でもスーパーヒーローでもなく、個人のエゴや犯罪と結びついて騒動を巻き起こし、ハッピーエンドともアンハッピーエンドともつかない結末を迎えます。

ロボットが自我を持ち、進化していくことで悲劇を招くというSF作品はよくあると思います。そういう意味ではこの作品も似たようなものだと思いますが、独特のタッチで描かれていて、新鮮でした。

ロボットのチャッピーは人間の俳優さんが演じている(モーションキャプチャー?)そうですが、ちょっと人間的過ぎて2016年のロボット技術としてはリアリティがないような気がしました。

ヒュー・ジャックマンがこの作品に出ているのは何となく違和感がありましたが、相当な悪役でした。んー、やっぱり違和感(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.chappie-movie.jp


2015年5月16日土曜日

『脳内ポイズンベリー』

★★★☆☆

この作品については、人間の頭の中のいくつかの感情をキャラクターとして見せるというアイデアが、この夏に公開されるピクサー作品『インサイド・ヘッド』とかぶっている点でとても気になっていました。

ネットでは、根拠があるんだかないんだか、ピクサー側のパクリ疑惑なども出ているようですが、同じアイデアからどれだけ異なる作品に仕上がっているのか比較する意味でも観ておきたいと思いました。

この作品に脳内会議のシーンがなかったとしたら割とありふれたラブストーリーという印象になると思います。なので、脳内会議こそがこの作品を面白くするキモ。
感情は、理性、衝動、ポジティブ、ネガティブ、記憶の5つのキャラクターとなっていて、理性が議長となって会議が行われます。ただ、実際には会議はいつも大混乱で、全てのキャラクターがほぼ怒鳴り合っているので、基本の意思決定システムがあまり機能していない感じ。
まあ人間常に葛藤しているのは確かなのでそんなものかもしれませんが、ハッピーな時でもネガティブはガンガンに主張しているし、落ち込んでいる時もポジティブが騒いでいるというのが、メリハリに欠けるという気がしました。
また、途中ポジティブが眠ってしまう場面や、第6のキャラクターの登場など、脳内の仕組みとしてよく理解できない(雰囲気は伝わるけど)こともあり、若干消化不良ぎみでした。

総じて悪くはないのですが、基本設定が面白いだけに、もっと面白くできそうな気がするんだよなあ、というのが正直な感想。さて『インサイド・ヘッド』はいかに?

公式サイトは、こちら。
http://www.nou-poi.com

2015年5月5日火曜日

『フォーカス』

★★★☆☆

映画館の予告編で面白そうだったので観てみることに。

ウィル・スミス演じる天才詐欺師の話。泥棒が主人公でちょっとコミカル、カジノやサーキットといった道具立て、女スリとのラブロマンスなど、私の中では『ルパン三世』の雰囲気とかなりダブりました。

『フォーカス』というタイトルは、相手の意識を別のところに集中させて、その間に何かを盗み取る(ミスディレクションとかミスリードなどと言われる)テクニックから来ています。このタイトルから、私としてはさぞかし鮮やかな手口が登場するものと期待していましたが、実際はそれほどでもなかったと思います。
集団スリの手際は鮮やかだったけど、数字当てのギャンブルのタネはちょっと無理があるし、サーキットのエピソードはミスリードとはあまり関係がない気がします。
作品全体として悪くないと思ったのですが、どこか物足りない印象だったのは、おそらくその点だった気がします。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/focus/

2015年5月3日日曜日

『寄生獣 完結編』

★★★☆☆

原作は読んでいませんが、前作の後アニメ版『寄生獣 セイの格率』を観ました。それと比べると、設定やストーリーがすっきりシンプルになっていたりアレンジも見られますが、基本的にはそのまま実写化している印象です。

前作はアニメ版を見る前だったので、何がどうなっていくのかわかりませんでしたが、『〜完結編』は作品についての理解が進んだ後だったので、安心して観られました。ただ、逆に言えば実写版だけを観たときにどれだけ腑に落ちるかは想像しづらくなりました。
結局寄生生物が何だったのかよくわからないし、寄生生物を完全に撃退したわけではない終り方ですが、アニメ版で知っていたから抵抗がなかったけど、やっぱり物語としてはスッキリ感が少ないかもしれないですね。

泉新一役の染谷将太くんの演技はよかったけど、アニメ版を知ってしまうとちょっとビジュアル的にイメージと違うかなあ。
村野里美役の橋本愛さんは、他の作品でちょっと変わった子を演じていたり、本人もユニークな人らしいので、本作の健気で一途な美少女役が合っているような合っていないような…。

公式サイトは、こちら。
http://kiseiju.com

2015年5月1日金曜日

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

★★★★☆

いい映画だと思いました。

無理に意外性のあるストーリーにするわけでもなく、最新の映像技工に頼るわけでもなく、魅力的なテーマ、しっかりとした人間ドラマ、優れた演技と、王道の作り方でいい作品に押し上げた感じ。

第二次大戦中のイギリスが舞台ですが、私にとっては新鮮でした。世界史はとらなかったし(^^;)、どうしても第二次大戦と言うと日本が直接関係し敗戦につながった太平洋戦争をイメージしがち。同じころヨーロッパでの動きというとナチスドイツの周辺国への侵攻やユダヤ人迫害などは映像作品などでも何となく見聞きしたことがあっても、連合国側については意外と知りません。

ドイツ軍の暗号を解読する話なので、てっきり解読できたら終りだと思ったら、解読できた後の苦悩も大きかったようで、考えさせられました。

ベネディクト・カンバーバッチの演じたアラン・チューリングの変人っぷりと、変人でありながら人間性も垣間見える演技はよかったと思います。

「イミテーション・ゲーム」は、チューリングの論文のタイトルだそうですが、映画の内容に対してあまりピンと来ませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://imitationgame.gaga.ne.jp