2011年12月24日土曜日

『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』


★★★★☆

この手の、実在の人物を主人公にした作品の多くは、その人物を美化しすぎる傾向にあるので、見る側としてもそれなりに疑ってかからないといけません。『真実』などとサブタイトルについているけど、きっと真実じゃないんだろうと思っています。

それを前提として見て、役所広司演じる山本五十六は大変魅力的に描かれています。穏やかな平和主義者で、人情味があって、考えがブレず、いつも最善を尽くし、冷静沈着で、おごらず…。
そんな人物でも、個人的な想いと司令長官という公の立場としての行動や発言に微妙に差があるところは、とてもよくわかります。組織の中で活動するって、たいへんなんですよね。

戦争開始直前の日本の世論の動きは印象的。もしその当時、自分がそこにいたら、日独伊三国同盟反対、戦争回避という考えを持てたか、考えさせられます。

これが、2011年最後の映画となりました。今年観た映画は45本。2010年は27本で、そのときの自分としてはこれが限界だと思っていたのですが、大幅に増えました。ただなあ、やっぱりこれだけ映画館に足を運ぶと、負担もそれなり。2012年はどうしたものか…。




『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』

★★★★☆

面白かったです。
これぞアクション映画という 感じなので、難しいことを考えずに楽しめばいい作品だと思います。モスクワ、ドバイ、ムンバイと、世界各地の風景の中にトム・クルーズがいるという絵も面白いし、展開がスピーディで飽きさせません。

スパイの仕事としては、けっこうミスが多いので有能とは言いがたい気もしますが、そんな細かいことを気にしてはいけません。

音楽は、それぞれの 舞台に合わせて、その国っぽい音楽になっていましたが、 何となくアメリカ人の思い込みが入っているように思えました。

公式サイトは、こちら。
http://www.mi-gp.jp








『源氏物語 -千年の謎-』

★★★☆☆

源氏物語の中の世界と、源氏物語を書いている紫式部の世界が並行して描かれる構成は、ストーリーを2倍楽しめるのでよかった気がします。
『千年の謎』というサブタイトルは、式部がなぜ源氏物語のストーリーをあのように描いたのか?という謎に迫るという意味が込められていたのだと思いますが、言うほどのものではなかったかと思います。

途中、生き霊対陰陽師のホラー映画みたいになってどうなることかと思いましたが、まあほどほどに抑えられていたようです。

生田斗真の光源氏は、予告編などではちょっと違和感を覚えたのですが、本編ではそれほど気になりませんでした。

ちなみに私、『源氏物語』をちゃんと読んだことはありません(^^;)。

公式サイト(?)は、こちら。
http://www.kadokawa.co.jp/sp/201111-01/





2011年12月11日日曜日

『リアル・スティール』

★★★☆☆

まあなんというか、細かいことは考えずに楽しむ映画といったところでしょうか。

話の進む方向も単純明快で、結果の予想もつくのですが、その中で熱くなったり切なくなったり爽快になったりする作りです。こういう作品を楽しめる感覚って、『水戸黄門』を見て毎回楽しいと思う感覚と通じるものがあるような気がして、自分としては素直に受け入れたくないような…(^^;)。
観客が格闘技に求めるものがエスカレートして、人間の格闘技よりもっと刺激的で暴力的なものを求めたために、ロボット格闘技が生まれ人間の格闘技がすたれたという、文明批判的な一節も出てくるのですが、映画全体としては特にそういうメッセージを伝えようとは思っていないみたいでした。

ロボットは当然CGだと思いますが、本当によくできていて、近い将来こんなふうに人間とロボットが並んでいる光景が当たり前になるんだろうなあ、と思わせます。
ハリウッドのロボットデザインは、日本とはかなりおもむきが違いますね。『トランスフォーマー』などもそうですが、複雑すぎて、後からは色ぐらいしか思い出せません。同じハリウッドでも『スター・ウォーズ』のR2-D2やC-3POは記憶に残りやすい気がします。個人的にはあのくらいが程よいさじ加減だと思いますが、今となっては古くさいということになるのかな。

ところで、ロボット格闘技と聞いて、かつて『プラレス3四郎』というマンガがあったのを思い出しました(^^;)。
公式サイトは、こちら。
http://disney-studio.jp/movies/realsteel/









2011年12月4日日曜日

『アントキノイノチ』

★★★☆☆

暗い過去を持つ男女を岡田将生君と榮倉奈々ちゃんが演じています。過去の出来事の重さや、ハッピーエンドとは言えない終わり方の割に、作品全体の印象は、爽やか青春ラブストーリーでした。

たぶん、主役二人の俳優が爽やかすぎるのかなあ。
岡田君は『重力ピエロ』のときに、純粋すぎる凶暴性みたいな役がはまっていたせいか、今作でも爽やかなルックスの裏に陰や毒がある感じがしなくもありませんでした。
榮倉奈々ちゃんは、テレビドラマなどに出演しているのを見たことはあるのですが、自分の中でどう捉えていいのか未だに定まらない女優さん。顔は、愛嬌があると思うし、演技も悪くはないんだけど、自分にとっては、今のところ何か心動かされる感じがないんですよね。

遺品整理という「死」と近い仕事が登場するしタイトルも「〜イノチ」なので、生死について深く考えさせられる作品かと思っていたのですが、近い時期に観た『エンディングノート』の印象が非常に強かったせいか、相対的に浅く感じました。