2010年7月25日日曜日

『トイ・ストーリー3』

★★★★☆

 『トイ・ストーリー』の日本公開は1996年。あのときは、川崎の映画館で見たはず。当時、フルCGアニメというと、機械的で正確ではあるものの、物理シミュレーションのようで“演技”にはほど遠いという印象を持っていたのですが、『トイ・ストーリー』のキャラクターの演技っぷりにぶっ飛んだものでした。

 あれから14年。劇場公開されたピクサー作品はおそらく全部見ていますが、やはり『トイ・ストーリー』の冠が付くと、あの原点を思い起こして感慨もひとしおです。
 いまやCGキャラクターが演じることは当たり前。3Dも当たり前になりました。
 ストーリーはとてもシンプルですが、おもちゃと大人になったご主人との別れをテーマにしているので、にぎやかで楽しい中にもどこか切なさが漂っています。

 同時上映の短編もあいかわらずよくできていますが、今回のはあまり3D効果が発揮できない作品だったのと、手描きアニメっぽい表現も目立ち、それがいかにもアメリカンだったのがちょっと気になったかな。

 見たのは字幕3D版。吹き替え版より大人向けという印象があるので、レイトショーでやっていそうなものですが、なぜか朝8:45からと18:00からの2回のみ。日曜日、会社に行くときより早起きして8:45の回に行ったら、観客は10人程度。字幕版はよっぽど人気がないのか、8:45という早めの時間が敬遠されているのか…。












 



2010年7月24日土曜日

『借りぐらしのアリエッティ』

★★★★☆

 予想よりもずっとよかったと思います。

 最近のジブリ作品は、一見かわいいキャラクターに包まれているけど、中身はとても観念的で、“理解”しようとしてもよくわからないものが多かった気がします。

 その点、『借りぐらしのアリエッティ』は、いたってシンプル。小人って何者なのか?とか、彼らの種族は存続できるのか?とか、語られないこともあるけれど、まあそこにSF的なリクツをつけるより、もし小人がいたら?というところからスタートして、小人の暮らしをわかりやすく視覚化しています。小人のスケールで見た日常の世界が堪能できるというだけでも、この作品はなかなか楽しいと思います。音も、人間目線のときと小人目線のときで変えてあって、なるほどと思いました。
 アリエッティは心優しく活発な女の子で、このキャラクター設定は一昔前の宮崎作品っぽくて、何だかとても安心してみていられる感じでした。

 声優は、最近のアニメ映画の常で、名の通った役者さんを起用しています。主役ふたりが志田未来と神木隆之介というのは、あまりにもいかにもじゃないかと思いましたが、意外とはまっていた気がします。

 エンドロールで、スタッフの名前が五十音順に並んでいることに気づきましたが、あれはもしかしたら以前もやっていたような気がしなくもないけど、どうでしたっけ…。





2010年7月11日日曜日

『竜馬がゆく』

★★★★☆

初・司馬遼太郎。

小説の形態をとっていますが、しばしば文中に作者が登場し、取材旅行の様子や調査した資料を紹介しています。そこから相当な取材量であることが推測できるため、史実に忠実な作品のようであり、でも作家としての脚色は絶対含まれているはずで、その境界がよくわからないので、どこまでを本当の歴史と受け取っていいものか、読んでいてちょっと戸惑いを覚えます。

でも、おおむね他の学術系の本と矛盾はないし、私の読んだどの本よりも詳しく書かれているので、より龍馬や幕末のことがわかった気がします。

龍馬像として意外だったのは、極めて腕のたつ剣客として描かれていること。あまりに超人的でSFヒーロー的な印象すら受けました。
基本的には反暴力主義で人を斬り殺すことはしないのですが、それでもチャンバラシーンは意外に多く、峰打ちで相手に骨折を負わせたり腕を切り落とすことはあり、予想外にバイオレンス。そう言えば『龍馬伝』の福山龍馬は、ほとんど刀を抜くことがありませんから、剣客のイメージがほとんどありませんね。

また、薩摩の小松帯刀、幕臣の大久保一翁がかなりの存在感をもって描かれているのも意外でした。

幕末の薩摩藩士というと、西郷隆盛、大久保利通が圧倒的に有名で、小松帯刀は2008年のNHK大河ドラマ『篤姫』で再評価されたようなところがあるようでした。
西郷、大久保は下級武士なので、当時の階級制度のもとではどんなに頑張っても大した活動はできない立場でした。小松帯刀は、薩摩藩の家老で直接政治を行う立場。藩の財政も握っていました。小松が、配下の西郷、大久保の活動をバックアップしたからこそ、彼らは力を発揮することができたのです。『竜馬がゆく』では、西郷、大久保を演劇の脚本、主演、小松を興行主に例えてその関係を説明しています。

坂本龍馬の功績で有名な薩長同盟と大政奉還ですが、いずれも龍馬のオリジナルのアイデアではないようです。薩長同盟は龍馬と同じく土佐脱藩浪人の中岡慎太郎も同様のアイデアを持っていたと言いますし、大政奉還は幕臣の大久保一翁も考えていたそうです。龍馬は両者と交流があったので、彼らのアイデアを拝借したのか、それともたまたま同じことを思いついたのかわかりませんが、少なくとも『竜馬がゆく』では、それらの仕事を龍馬一人で成し遂げたわけではないことがわかる書き方になっていました。

龍馬を主人公にしたドラマなどでは、何でもかんでも彼だけの功績として描くものが多いような気がしますが、『竜馬がゆく』では、彼の周りの人達の功績もきっちり書かれているのでびっくり。まあ単に私がモノを知らなかっただけなのかもしれません。

学校で習う日本史は、邪馬台国辺りから数えても約2000年分。その全体を大雑把に把握しようとすれば、自ずと個々のできごとのディテールがおろそかになり、とりあえず年表でも暗記するしかなくなります。その結果、なんだかちっとも面白くないし、わかった気にもなりません。『竜馬がゆく』を読むのは大変でしたが、やっぱりこのくらいの密度の方が理解が深くなります。おそらく、読み終わってしばらくすれば内容のほとんどは忘れると思いますが、それでも一度でもわかった気がした、という体験は違うと思います。

















『WALKING WITH DINOSAURS』

★★★★☆

以前から行きたいと目をつけていたこれ。

http://www.wwdj.jp/


アニマトロニクス技術を駆使して、実物大のリアルな恐竜が動くライブです。どんなストーリーなのか、そもそもストーリーがあるのか知りませんでしたが、一人の考古学者が狂言回し的に、三畳紀から白亜紀までの恐竜の世界を紹介するという感じでした。

肝心の恐竜は、相当リアル。造形やテクスチャーだけでなく、ちゃんと骨があって筋肉が動いて皮膚がそれに伴って引っ張られている感じに見えました。ただ、残念なのは、大きい恐竜はいずれも自立歩行出来ないので、動く台座の上で足を動かして歩いているように見せていること。この動きはかなりよくできていると思いましたが、踏み込んだ足に重心が乗っている感じがしないのが残念なところ。
でも、『ジュラシック・パーク』のようなCGは所詮二次元だし、仮に3Dにしたところでスクリーンの中の虚像に過ぎませんが、この恐竜は確かに目の前にある"実在"。現在の技術で実現可能な、最もリアルな恐竜体験でしょう。

ライブとしては、基本的には恐竜がのそのそ動いているだけなので、若干しまりがない印象。まあ、本物の恐竜もそんなに素早くは動かなかったんだろうから、ある意味リアルなのかも。ただ、肉食恐竜が草食恐竜を襲う時など、激しいぶつかり合いがないのは、恐竜の形をした精密機器なので仕方がないのでしょうが、迫力に欠ける一因だったと思います。
また、親子の愛情表現にほおずりをするなど、人間の文化を模したしぐさは、観客に伝わりやすいとは思うものの、どうも違和感を覚えました。

実物大の恐竜は相当大きいのですが、アリーナクラスの会場で観客席から見ると、なかなか大きさを実感することができません。そういう意味では、あのアニマトロニクス技術はそのままに、ディズニーランドのように、乗り物に乗って恐竜のすぐ近くまで行けるようなアトラクションの方が、ふさわしいようにも思いました。

いろいろ思うところはありましたが、それでも実物大の動く恐竜には、無条件にワクワクさせられます。
もしこれから行かれる方は、席が選べるならとにかくステージに近い場所がオススメ。フラッシュ撮影や長時間のビデオ撮影でなければ撮影OKなので、暗所、手ブレに強いカメラを持って行くといいと思います。

2010年7月10日土曜日

『FLOWERS フラワーズ』

★★☆☆☆

 蒼井優の娘が竹内結子と田中麗奈と仲間由紀恵。仲間由紀恵の娘が鈴木京香と広末涼子という超豪華キャスト。
 ひとことで言ってしまうと、この女優陣を見るための映画かなあ。2時間の資生堂のCMと言えなくもないですが、その割には頑張っていたと思います。…が、やっぱり総合的には星2つってところでしょうか。

 ストーリーは、それぞれの女性の、恋愛、結婚、出産、仕事等にまつわる不安や悩みや決意を描いたもの。
 正直、それぞれのエピソードに対して、深い心理が描かれているという感じでもなく、割とサラリと通過していく印象でした。まあ、あまりじっとりしすぎず、カラッとしているので、そこが見やすいといえば見やすいと思いました。

 映像は意外と凝っていて、一番古い蒼井時代はモノクロ、昭和40年前後の竹内・田中・仲間時代は、それらしく色あせた画像処理をしているようでした。
 そして音も、蒼井時代だけモノラルだった気がします(ちょっと自信なし)。音については、BGMがなくセリフも少ないシーンが結構多いせいか、水の流れや波の音、足音、着物の擦れる音などがはっきり聞こえて印象的でした。
 また、単純に時系列にエピソードを並べずに、頻繁に時代を行き来しつつ展開していく構成。悪く言えば、その位しないと話がシンプルすぎてもたないのかもしれません。

 そして、椿の花が何度も写っていたのは、やっぱりアレのCMってことですかねえ(^^;)





2010年7月4日日曜日

『FURUSATO 宇宙からみた世界遺産』

★★☆☆☆

 んー、微妙。
 日本科学未来館でも上映しているようですが、まさに博物館とかで流す映像っぽい。劇場映画としてはどうかなあ…。

 まず、宇宙から見た世界遺産は3Dで見てもたいして立体感を感じません。地上からの映像を交えて紹介する世界遺産は3つですが、なぜその3つを選んだかがよくわかりません。そして、上映時間が短い(1時間足らず)ので、個々の世界遺産について詳しく学術的に解説するでもなく、ドラマが展開されるでもなく、中途半端。

 一応映像はきれいだと思うし、3Dが効果的なシーンもありました。

『踊る大捜査線 THE MOVIE 3 ヤツらを解放せよ!』

★★★★☆

 テレビシリーズが11話あって、スペシャルドラマが3つあって、映画が2本あれば、そりゃあ仕方ないとは思いますが、どうしても以前のアイデアとダブるところはありますね。よく言えば「踊る」ワールドが貫かれている、悪く言えばマンネリというこかもしれません。
 たぶん7年ぶりの新作なので、かつての作品をよく知らない人もいるでしょうし、知っている人にとっても「踊る」ワールドに引き戻される効果があるので、わざとなのかもしれません。
 それに、キャストもかなり変わっているから、何もかも新しくしたら「踊る」らしさがなくなってしまう気もするので、これはこれでいいのかな。

 いかりや長介演じる和久さんが登場しないのは当然ですが、何やら大人の事情で水野美紀も登場しないことは事前に知っていました。それが作品世界ではどのように表現されるのか気になっていましたが、一応軽く触れられていました。
 筧利夫、真矢みきは登場しませんが、特に説明もなし。
 そして、事前に伝え聞いていたとおり、かつての犯人が一部再登場。とは言ってもきっとチョイ役でしょ、と思っていたら…。これはちょっとびっくりしました。
 内田有紀は、せっかくの再登場なのに、ほぼ脇役でした。ちょっと残念。そして、単なる脇役だと思っていた王(ワン)さんの予想外の活躍(^^)。

 ストーリー展開は、「踊る」シリーズはちょっと複雑なところもあって、1回見ただけじゃよく理解できないところがあるのですが、今回もそんな感じ。でも映画2作目よりはわかった気がしています。
 でも、湾岸署引越しの最中に8つの事件が起こると、宣伝されているのですが、どう数えると8つになるのかわかりません。

 そして、こりゃ絶対続編があると見ました。
















2010年7月2日金曜日

『孤高のメス』

★★★☆☆

 一言でいうと、限りなくドキュメンタリーに近いエンターテインメントという感じでしょうか。

 話の展開が、ものすごく淡々としています。法整備が遅れている脳死肝移植を、非難を覚悟でやろうという話なので、もっとドラマティックに演出する方法がいくらでもある気がします。それが、それほど苦悩するわけでもなくあっさり実施を決定し、賛同する仲間もそれほど迷わず、非難する側も大した妨害をするわけでもなく、強行した後の顛末も意外とあっさり。

 でもまあ、丁寧な作りで、それなりに見ごたえはあったと思います。