2014年10月18日土曜日

『めぐり逢わせのお弁当』

★★★☆☆

少し前にインド映画『バルフィ!人生に唄えば』を観たのですが、実はそれよりさらに気になっていたインド映画。

内容的にはとてもよかったのですが、文芸作品的だし、全体的に虚しさが漂っています。
メインの登場人物2人がいずれも大人しく(もっと言ってしまえば暗く)口数が少なく、"間"の演技が多いので、その心の動きを見ている側が読み取る必要があります。
本編の終わり方も余韻が残る形でスパッと切ってしまっているので、その後2人がどうなったのかが気になります。

スーパーヒーローも登場せず、ドタバタコメディどころか笑いの要素もほとんどなく、踊りのシーンもない、こんなインド映画もあるんですね。

でも、役者さんの"間"の演技もすごくいいし、それ以外の細かい演出が本当にしっかりしていて、映画大国インドの、決して作品数が多いだけではない、奥深さ、底力、そんなものを存分に感じました。
アカデミー賞外国語映画賞とかが似合いそうな作品です。

弁当の宅配という習慣も含めて、ごく普通のインド人の生活が垣間見えます。街は雑然としていて、道路は交通渋滞、電車は満員。職場や家も特にきれいではありませんが、なんとなくステキな絵になっていて、それもよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
http://lunchbox-movie.jp

『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』

★★★☆☆

まずは、これまで劇場とテレビで放映された全26話の総集編の方。

オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』1作目の映画版もテレビの総集編なので、ついつい比較しようとする意識が働きます。前半はオリジナルと2199に共通のエピソードがありますが、2199の方はかなり大胆にカットしていて、事実上ちゃんと描かれているのは冥王星から。それ以降はあまり共通のエピソードはないので、ストーリー的にはオリジナルの面影はほとんどない気がします。

子供のころのように、何度も何度も繰り返し見たりはしていないので、どこが新作カットなのかはさっぱりわからず(^^;)。このあとに控える完全新作の『〜星巡る方舟』につながるようはカットが追加されているのかと思ったのですが、それらしいものは特にありませんでした。
『〜星巡る方舟』は、ヤマトがイスカンダルから出発して大マゼラン銀河外縁部に到達したところでの話だそうですが、実は『〜追憶の航海』の本編はほぼイスカンダルを出発するところで終わっています。そういう意味では、『〜星巡る方舟』は『〜追憶の航海』の続きから始まるようになっているのではないでしょうか。

ということで、音声は5.1chになっているそうですが、絵の方は基本的にテレビと同じで、わざわざ短縮したものを観る価値があるかというと、正直微妙(^^;)。26話を一気に見るのは大変なので、全体の流れをざっと把握できるのが嬉しいということでしょうか。

ところで次回作の"星巡る方舟"って白色彗星のことを指しているような気がしているのですが、どうなんでしょう?人口都市に人々を乗せて宇宙をさすらう様は正に方舟ですよね。ところが、私が知っている範囲では『〜星巡る方舟』の情報の中に"ガトランティス"という言葉は登場しても"白色彗星"は登場していません。例えば、彼らガトランティスが白色彗星で宇宙を回遊し始めるエピソードが描かれているとしたら、このタイトルはピッタリ来るなあと思ったりするのですが…。
まあ、この予想が当たるか外れるか、もうすぐわかることでしょう。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2199.net

2014年10月1日水曜日

『バルフィ!人生に唄えば』

★★★★★

インド映画です。いやあ、スンバラシイです。

主人公は耳が不自由で言葉もほとんどしゃべれないバルフィという男性で、ヒロインの一人は自閉症のジルミルという女性。151分という長い作品ですが、セリフは非常に少なく、表情やゼスチャなどで感情を表現しています。

バルフィはひょうきんでいたずら好きで、雰囲気としては『アメリ』のような感じでしょうか。ルックスも、イケメンというよりはとぼけた顔つきだと思うのですが、本当にいい演技だったと思います。

最初に登場したヒロインは、これぞインド美人という女優さんですが、事前にテレビなどで見た人とは印象が違うなあと思っていたら、途中からもう一人のヒロイン、ジルミルが登場。つまりこの作品はバルフィと二人の女性をめぐる物語なのですが、公式にはどちらがヒロインなんだか、Wヒロインみたいな位置づけなのかはよくわかりません。
ジルミルの演技も素晴らしいです。

音楽は、インド映画っぽい雰囲気もあるのですが、アコーディオンとかを使っていてどこかヨーロッパっぽい気もします。完全に芝居にシンクロした音楽も多く、セリフの少なさを音楽でカバーしているところもあるように思います。

ストーリーは現在から始まりますが、過去のいくつかの時代を行きつ戻りつ振り返りながら展開していくので結構複雑。細かい部分でのつながりはよくわからないところもありました。各役者さんの老けメイクはもうちょっと頑張って欲しかったかな。

全体としては、ほっこり暖かい気持ちになれる作品ですが、悲哀もあり、コントのような笑いのコネタもありで、ものすごく充実していると思います。
一応インド映画らしく、突然歌とダンスが始まったりするのですが、割と大人しめですし、主軸は深い人間ドラマ。インド映画、恐るべし。

公式サイトは、こちら。
http://barfi-movie.com