2020年2月21日金曜日

『1917 命をかけた伝令』

★★★★☆

直前まで観に行くつもりはなかったのですが、アカデミー賞ノミネートや全編ワンカットに見えるように撮影しているということで、何となく興味が湧いて観てみました。

ストーリーはいたってシンプルで、第一次大戦中のイギリス軍の兵士が、敵ドイツ軍が潜んでいるかもしれないエリアを通って最前線の味方に作戦中止命令を伝えるというもの。

全編ワンカット風の映像は臨場感があり、戦場に立たされる恐怖感を疑似体験できます。
この感じ、前にも体験したような気がして思い返してみると『ダンケルク』とちょっと似ている気がします。

『ダンケルク』の方は第二次大戦ですが、なぜかやはりドイツ軍と戦闘状態のイギリス軍が撤退する内容で、ドイツとイギリス、どれだけ仲が悪いんだ?!と思ってしまいました。
そして、主人公は士官でもなく英雄でもエースパイロットでもない、本当に下っ端の兵士で、敵からの攻撃に怯えながら最終的に逃げ伸びられるかが最大の見どころという点も同じです。
『ダンケルク』も割と長いカットがあったような気がしますが、さすがに前編ワンカット(風)ではなかったようです。

で、全編ワンカット風と言えば、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』がありました。映像処理技術が発展して、本当にワンカットで撮影しなくてもワンカット風に仕上げられるようになると、ちょいちょいこういう作品が出てくるのでしょうね。ただ、全編ワンカットの使い道としては『バードマン〜』より『1917〜』の方が必然性を感じる気がします。

ただ、実際には全編ワンカットというには無理がある繋ぎ方の部分もあって、ちょっと宣伝文句として強調しすぎのような気もします。技術的には、本当に全編ワンカット風の映像は作れるのでしょうが、演出上は息継ぎをするタイミングを用意できなくなりますし、時間経過が表現できなくなり、むしろ不自由になるのかもしれません。
そういう部分が多少あっても充分素晴らしい映像技術ですし、技術サンプルではなく作品なので、完全な全編ワンカットにこだわらない姿勢は間違っていないと思います。

今年のアカデミー賞は『パラサイト 半地下の家族』が話題ですが、昔ながらの西洋的なアカデミー賞作品の流れをくむ映画として本作もなかなかよかったと思います。


公式サイトは、こちら。
https://1917-movie.jp

2020年2月9日日曜日

『フォード VS フェラーリ』

★★★☆☆

私は、車には詳しくないですし、今は自分の車を持ってもいませんし、もう随分運転もしていません。
でも、自分が学生のころはF1をテレビで放送していましたし、周りに車好きの友人がたくさんいたということもあり、常に何となく気になる工業製品の一つではあります。

車に限らず、様々な製品開発の裏話や苦労話にはとても興味があります。
レーシングカーはある意味極限の製品開発なので、そこにどんな裏話があるのか知りたくて、この映画を観てみました。

製品開発をドラマの中で表現するとき、どこまで専門技術に触れるかは難しいところだと思います。ある程度触れないと製品開発を描いたことにならないですし、やりすぎると一般の観客はついていけなくなります。
この作品の場合は、あまり専門技術には触れないという選択をしたような印象でした。テストドライブと設計上の仕様変更を繰り返す描写はあるのですが、具体的な技術的説明は端折っているので、結局キツイ練習に耐えたので足が速くなったというような理解しかできず、スポ根の色合いが強くなっている気がしました。
つまり、製品開発の裏話を期待していた私にとっては、ちょっと物足りませんでした。

また、フォード対フェラーリという構図の他に、フォード社内の現場対上層部という対立の構図があって、こちらは、まあ想像の範囲でしたが楽しめました。朝の情報番組で「『踊る大捜査線』のよう」と表現していましたが、なるほどそのような感じでした。

マット・デイモンがフェラーリのル・マンプロジェクトリーダー役でクリスチャン・ベールががドライバー役なのですが、なぜか自分の中では、逆の配役の方がしっくりくるような気もしました。

ちなみに、私の知り合いがこの映画について解説(?)しています。
https://nikken-career.jp/special/1371/


公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/fordvsferrari/

2020年2月1日土曜日

『ロマンスドール』

★★★☆☆

蒼井優さんとタナダユキ監督というと『百万円と苦虫女』という作品がなかなか面白かったので、この作品も観てみようと思いました。

ラブドール職人であることを隠したまま結婚した夫と妻、それぞれの嘘や秘密やすれ違いが描かれています。でも、ラブドール職人という特殊性を除けば、割と普通のストーリー展開のような気がします。

あとは、役者の芝居の力のような気がします。
相変わらず蒼井優さんの演技は素晴らしいと思います(あ、でも旦那さんの山里さんはあまり見たくないかも ^^;)。そして、高橋一生さんも他の役者さんも、演技演技しておらず、サラリとその人になっている感じがします。

ピエール瀧さんもガッツリ出演して、いい味出しています。手錠かけられるシーンもあって、ちょっと余計なことを考えてしまいましたが、それを当然のことのように上映しているのは、この作品の制作に関わったどなたかが頑張ったからでしょうか。心の中で拍手を送りたいと思います。

ラブドール職人の話とはいえ、ラブドールそのものにはそんなにフォーカスが当たらないのだろうと勝手に思っていましたが、結構ダイレクトに登場していました。そういうものの存在は知っていましたし、すごい技術だとは思っていましたが、本物は見たこともないので、なかなか興味深かったです。


公式サイトは、こちら。
https://romancedoll.jp