2010年11月23日火曜日

『武士の家計簿 「加賀藩御算用者」の幕末維新』

★★★★☆

まだ公開されていませんが、映画の方を先に知りました。で、その原作が小説ではなく、教養本だということを知って、ガゼン興味を持ちました。

読後の印象を率直に言えば、元になった資料が家計簿だということを、読者としてものすごく強く意識したという感じではなかったかな。武士の経済活動をテーマにした一般的な教養本というイメージ。

実際、「金沢藩士猪山家文書」には日記や手紙も含まれており、これによって彼らの行動や思考が明らかになっている部分も多いようです。さらに、巻末の参考文献には様々な著書や論文が多数掲載されており、この本が書かれるにあたって、武士の家計簿は、重要ではあるかもしれませんが、資料の一部に過ぎなかったことがうかがい知れます。本のタイトルとしては非常にキャッチーでいいと思いますが。

内容的には、様々な経済的課題が発生するごとに対策を講じて解決していったというよりは、家財を売り倹約して莫大な借金を返済したことが全てという印象でした。明治になってからは、猪山家はどちらかというと成功者で、困窮した生活とは無縁の状態なので、見方によっては、ちょっと期待はずれでした。

それでも、倹約生活の中でも、武士が何にお金をかけて、どこを削っていたのかがかなり詳細にわかるので、意外な事実を色々と知ることができました。もしかしたら、もう少し家計簿にこだわって、いつどんなものをいくらで購入したのかを追いかけるような内容でもよかったかもしれません。

これが、森田芳光監督によって、どんな映画になるのか、ちょっと楽しみです。


2010年11月6日土曜日

『SP THE MOTION PICTURE 野望篇』

★★★☆☆

 テレビシリーズは、何となく見始めて「あれ、結構面白い」と思っていました。

 「野望篇」はテレビシリーズの復習のような印象を受けたのですが、きっとテレビシリーズから3年も経って内容は忘れている私のような観客への配慮でもあるのでしょう。でもそれは、言い換えれば内容的には中途半端というか、独立した作品としてはちゃんと成立していない気もします。

 ところでこの作品は、SPの仕事を派手なアクションとともに楽しむ、という主旨のものだと思っていますが、そのために必須だとは思えない設定がいくつかあります。

 岡田准一演じる井上には予知能力があります。そのおかげで要人が襲われるのを未然に防ぐことができるのですが、こういうSF的設定があると、リアリティが薄れる気がします。
 また、堤真一演じる尾形が大いなる野望を抱いていることは確かにストーリーを謎めいたものにしたり、邪悪で強い敵を作り出すのに都合がいいとは思いますが、そこまでいくとSPよりも自衛隊の出番じゃないの?とツッコミたくなります。

 それほど非日常的な設定がなくても、SPという仕事には様々なドラマが作れそうな気がしますし、アクションを見せることもできるように思えます。
 最終的に「革命篇」を見て、どんなふうに自分が納得できるか、結論はもう少し保留。

 あまり細かいことを気にせずに、アクションを楽しむことに徹すれば、なかなかいいと思います。