2011年10月23日日曜日

『ツレがうつになりまして。』

★★★★☆

なかなかよかったと思います。

取り上げているテーマは「うつ」で、なかなか辛い状況が描かれているのですが、一貫してほのぼのした雰囲気。くすりと笑え、泣け、あったかい気持ちになれます。ストーリー展開は、だいたい予想通りでしたが、それでも充分満足できました。

宮﨑あおいと堺雅人はさすが。
宮﨑あおいは、ああいうマイペースで頑張らない役をキュートに演じるのが本当に上手。役柄と本人が完全に一体化して見えました。
堺雅人は、几帳面過ぎてうつになってしまうというキャラにピッタリで、本人的にはどんより落ち込んでいるのに、はたから見ると妙なおかしさをかもし出していて絶妙だと思いました。
この二人は、大河ドラマ『篤姫』で、徳川将軍と正室を演じましたが、それ以上にお似合いの夫婦役だったと思います。

宮﨑あおいは、実生活の方では夫と別居などと報じられていますが、作品中で彼女自身が言っている台詞がまるっきり矛盾していて、あらためて役者って大変だなあと感じました。

あとはやっぱり、イグアナのイグの存在が、ストーリー展開には大して影響はないものの、いい間を作っていてよかったと思います。

うつという病気については、この映画を見ただけで理解できるわけもないでしょうが、特別なことではないと感じることはできました。

2011年10月15日土曜日

『DOG×POLICE 純白の絆』

★★★☆☆

警察の特殊部隊、動物、パートナーとの信頼、組織間の対立、過去の汚名を挽回、ゲーム感覚の無差別犯罪…。いずれも、一度は別の作品で取り上げられたようなテーマの断片を、もう一度再構成した作品という印象でした。
なので、つまらないとは言わないものの、新鮮味はあまりなかったかも。ある程度、話の展開も予想できたし。

市原隼人君は、以前は爽やかな好青年のイメージでしたが、今や暑苦しい(^^;)、そしてちょっと反社会的なイメージも感じます。今回の役には合っているとは思いますが、個人的には割と苦手なタイプ。
戸田恵梨香さんは、クールビューティな役がはまっていたとは思いますが、警備部の制服と装備をつけた状態でも体の線の細さがわかってしまうので、若干リアリティに欠ける気がしました。ま、とりあえずキレイだからいいか(^^;)。

この作品に登場する刑事たち、別の作品でも警察関係者の役をやっていた人が何人もいて、すんなり受け入れられるんだけど、妙な違和感もあったりして、不思議な感じでした。

この作品で唯一意外だったのは、犯人の扱い。もちろん最後に犯人にたどり着くのですが、よくあるケースとしては、捕まる直前に犯人が社会への不満をぶちまけたり、それに対して主人公が言い返したり…的なやりとりがあるのですが、この作品では、この辺りが非常にあっけなく終わります。それより主人公の危機をパートナーの犬が救うというエピソードを重点的に描いていました。前半部分でチラチラと犯人の姿が登場したときは、その異常性をかなり強調した描写だったのに、肩すかしで終わった感じがしました。

主人公のバディである犬のシロ。耳が大きくとがっていて鼻先も細長いので、ちょっとキツネっぽい顔つきです。予告編などの事前の映像を見ていたときは、あまりかわいくない印象でしたが、本編を見ている間は、特に気になりませんでした。

作品の中に、スティーブン・ジャッブスなる人物が出てきます。黒のタートルネックにジーンズ姿で、明らかにスティーブ・ジョブズをイメージしていることがわかります。ジョブズが亡くなってすぐのタイミングだったので、ヘンな感じでした。

2011年10月9日日曜日

『はやぶさ/HAYABUSA』

★★★☆☆

はやぶさ映画として私が観たものとしては2作目。前のものはドキュメンタリーだったので、ドラマとしてはこれが初めて。

もともと私は、はやぶさのエピソードはそれ自体が大好きで感動的なので、映画作品としてどう料理されていてもすばらしく思えてしまいます。一生懸命努力して冷静に考えると、まあ★3つといったところでしょうか。

ドラマとして仕立て上げるには、はやぶさプロジェクトに携わる人たちの素顔を描く必要があります。主役の竹内結子をはじめ、役者さんたちはとてもよかったと思いますが、ややとってつけた感があったかもしれません。

はやぶさで感動するためには、それぞれのトラブルがいかに危険な状態で、それをどんな方法で乗り越えたかを理解する必要があります。そのためには技術的な説明が不可欠です。それがとてもわかりやすく、この作品で初めて「ああ、そういうことだったのか」と理解できたこともありました。
でもそれは同時に、役者の台詞が不自然なほど説明的になってしまうということにもつながるので、難しいところですね。

はやぶさプロジェクトの裏側を描いたことで、研究開発予算の少なさなど、日本の宇宙開発環境の苦しい状況がよくわかります。こういうことを一般の人に感じてもらうことも重要な気がします。

さあ、あとは渡辺謙主演と藤原竜也主演のはやぶさ映画が待っています。

2011年10月8日土曜日

『KAZUMASA ODA TOUR 2011』

★★★★☆


コンサートの会場は、その集客数や形状などによって、ライブハウス、ホールクラス、アリーナクラス、スタジアムクラスなどと分類されるようです。
今回、同じツアーで、いろいろなタイプの会場に行ってみました。


■さぬき市野外音楽広場テアトロン(2011.07.23)

小田和正が、何回か前のツアーから使い始めて、おそらくとても気に入っている会場だと思われます。実際に行ってみて、気に入っている理由がわかったような気がしました。

ローマのコロッセオのように、すり鉢上の斜面に観客席が並び、すり鉢の底にあたる部分がステージになっている野外会場です。観客席から見ると、ステージの向こう側は瀬戸内海。コンサートの進行中も、はるか向こうを船が行き交う様子が見えます。

まだ日の高い17:00からコンサートが始まるので、おそろしく暑いのですが、徐々に日が傾き、時々心地いい風がほほをなでていきます。芝生の自由席があったり、ビールや冷たいドリンクを飲む人がいたり、観客もどこか開放的というかリラックスした雰囲気。

最近の小田さんのコンサートでは、彼が観客席に飛び込んで観客にマイクを向けることがしばしばあるのですが、この会場では特にそれが多いようです。この日はたぶん3時間半ぐらいのコンサートだったと思うのですが、累計30分、もしかしたらそれ以上小田さんは客席にいたのではないでしょうか。私との距離1mぐらいのところを何度か通過していきました。マイク向けられなくてよかった。

コンサートの最後には、花火があがりました。これも、この会場ならではの演出。

会場の立地は、はっきりいって最悪。たぶんそれが理由で、いい会場なのに利用率がとても低いそうです。車でしか行けない場所なので、当日は高松駅から有料のシャトルバスが出ます。片道1時間弱。1台のバスに50人乗るとして、例えば1万人を運ぶには、のべ200台のバスが必要となる計算です。香川県中のバスを集めてピストン輸送しているんじゃないかというほどの状況でした。たぶんバス運行のやり方もよくなかったようで、行きは会場近くでシャトルバス自体が渋滞してしまうし、帰りは出払ったバスが戻ってくるのを延々待たされました。

で、この会場は、どこからは写真撮影禁止なのかよくわからなかったので、離れたところからちょっとだけ撮影させてもらいました。もし撮影禁止だったらごめんなさい。
また、コンサート中、小田さん本人が突然「次の1曲の間だけ撮影していいことにします」と言い出したので、その画像もアップしておきます。
















横浜アリーナ(2011.08.25)


ここは、いろいろなイベントで何度か来ているので、特に感じるものはありません。今回行った会場の中では、一番観やすくて聴きやすかったかな。


今回のツアーで、神奈川県ではアリーナの他にもいくつかの会場を回っています。その中で、とても評判がいいらしい横須賀芸術劇場には行ってみたかったのですが無理でした。ここは2000人規模だからホールクラスになるのかな。個人的には、このくらいの規模の会場が好きです。


東京ドーム(2011.09.28)


東京ドームは、YMOと坂本龍一のコンサートに行ったことがあったはず。ちなみに、ここで野球を観たことはありません(^^;)。


座席の位置にもよるのでしょうが、音が反響して聴きづらかったです。ヘンな方向から完璧なこだまが聞こえました。
よく、音にこだわりのあるアーティストは、ドームはもちろん、武道館ですら使わないといいますが、納得です。YMOと教授の時もそう思ったのかなあ。昔のことで、記憶がありません。
小田さんも、最近まではほとんどドーム会場は使っていなかったはず。でも、年齢を重ねて、体力的に多くの会場を回るのが難しくなり、それに反して小田和正のコンサートを観たいというニーズは多いため、ドーム会場を使うという判断になったようです。


今回のツアー、私はもう観に行く予定はありませんが、10月26日まで続きます。何となく、その後で被災地での公演が追加されそうな気がしますが。
64歳。次は(いつ)あるんでしょうか?

『猿の惑星:創世記』


★★★★☆

最初の『猿の惑星』は、何となく知識だけはあるけど、ちゃんと観たことはないはず。ティム・バートンのは観ました。

で、本作。
事前の予告編映像などから予想していた話の展開と95%ぐらいは一致していました。…というと、物足りなく感じそうですが、意外とそんなこともなく楽しめました。たぶん、プロセスが丁寧に描かれているためでしょうか。

映画では、地球が猿の惑星になった2つの原因(猿の知能が発達することと人類が衰退すること)が示されています。前者の理由は予告編から予想していましたが、後者については、想像と違いました。これが5%。でもこれで、納得感が強くなりました。

猿は全て、人間の俳優が演じた動きにCGをかぶせたものだそうです。すごくよくできているとは思いましたが、顔つきがホンモノの猿とはちょっと違うと思いました。特に知性が高い猿だから特別と言われればそれまでですが、個人的にはちょっと残念。

(人間の)主人公の恋人役の女優さんがキレイでした。インド出身で『スラムドッグ&ミリオネア』に出ていたそうな。覚えてないなあ(^^;)。