2014年12月31日水曜日

『ゴーン・ガール』

★★★★☆

けっこう前から予告編を目にしていたのですが、その時は全然観るつもりはありませんでしたが、どうも評判がよさそうなので観ることにしました。

妻が失踪し、夫に殺害の疑いの目が向けられるというサスペンスなのは予告編でわかっていたので、最後の最後に予想外の真相が明らかになるという作りだとばかり思っていたら、ちょっと違いました。そういう意味では、謎解きを楽しむ映画とは言えないと思います。

R15ですが、エログロの激しいシーンは予想外に少なく、別の意味でゾッとする作品。
単純でバカな男。陰湿で計算高い女。好き勝手にあおり立てるマスコミ。映画で描かれているストーリーはちょっと極端かもしれませんが、現実にもこのぐらいのことが起こりうるのかもしれないという気がしてしまいました。

奥さん役の女優さん、なかなか魅力的なのですが、あの役柄はコワすぎです。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/


さて2014年に観た映画は全部で32本。去年は47本だったので、大幅に減りました。もともと少し減らしたいと思っていたので、まあいいセンだったのではないでしょうか。
星5つつけたのは、おそらく『バルフィ!人生に唄えば』1本。よりによってインド映画。もともとインド映画は嫌いじゃないのですが、まさか唯一の星5つになるとは。

『寄生獣』

★★★☆☆

原作は、こういうマンガがあったことがうっすら知っていたものの、内容はまったく知りません。

もっと荒唐無稽なものを想像していたのですが、設定的には意外とちゃんとしていて楽しめました。
でもミギーのビジュアルは好きじゃないなあ。

役者さんは達者な人ばかりですが、この人も寄生されちゃった人を演じるの?!みたいな驚きもありました。

ストーリー的には、この先の展開を全く知らない私にとっては、今回の作品はぶちまけるだけぶちまけたという印象。登場人物たちの運命しかり、いくつかの謎も残されたままで、次回の完結編でどう終息していくのか想像もつきません。

公式サイトは、こちら。
http://kiseiju.com

2014年12月9日火曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』

★★★★☆

宇宙戦艦ヤマトについては、小学生から中学生のころどっぷりハマったという思い入れがあるので、あのヤマトが新作として当時よりもはるかに高いアニメーション技術で動いているというだけで、嬉しくなってしまうところがあります。
とはいえ、復活篇や実写版と比べて2199の方がワクワクするのは、やっぱり自分の中の基準として、ヤマトでさえあればいいというわけではないということでしょう。

で、今回の『〜星巡る方舟』。ガトランティスは出てきますが、あくまでもイスカンダルへの旅の1エピソードで、それ以上ではないという印象でした。完全に独立した作品にしては、何というかあまり王道ではないストーリーという印象ですし、そもそも1回も波動砲は使わないので。
で、その王道でない(と私は感じる)ストーリーは、2199のテレビシリーズの中で結構苦手な回に通じるテイストだったので「ああ、そっちに行っちゃったかあ」という感じでした(^^;)。そういう意味では、星3.5ぐらいかも(^^;)。

ガトランティスが登場するくらいだから、公開前には明かされていない設定の中にも、旧シリーズに登場している何かが出てくるのではないかと勝手に期待して観てしまいました。たまたまヤマトがたどり着いた星はもしかしてテレザート?でも『宇宙戦艦ヤマトIII』に出てきた惑星ファンタムみたいな感じもあるなあ??など、色々気になってしまいました。制作側からすると、その辺は狙いなのかも。

ガトランティスのナスカ級とデスバテーターはやっぱりかっこいいなあ。『さらば〜』の白色彗星側のメカデザインは当時の自分にはかなり衝撃的で、昆虫の複眼モチーフや、ライトモスグリーンと白のカラーリングなど、とても斬新だと感じたのをよく覚えています。
「デザイン言語」なんていう概念はまだなかったのだと思いますが、子供ながらに、そういうものを感じ取っていたと思います。

当時からヤマトのプラモデルの大部分はバンダイが作っていたのですが、なぜか野村トーイから出ていたナスカ級(旧作では高速中型空母ナスカ)とアンドロメダのプラモデルを買った記憶があります。
メダルーサは、旧シリーズでは『宇宙戦艦ヤマト2』だけに出てきた艦で、あまり好きではなかったのですが、今回の作品の中ではかなりかっこよくリデザインされていました。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2199.net

2014年12月6日土曜日

『インターステラー』

★★★★☆

評判がいいのは知っていましたが、確かによかったと思います。0.5刻みなら星4.5かな。

上映時間は3時間近いのですが、飽きませんでした。
主人公が宇宙へ旅立つのですが、出発するまでの長いこと長いこと(^^;)。しかもそのほとんどが質素な農家の父と娘の交流を描いているので、未来が舞台の話だということを忘れそうになります。

最近のSF作品って、舞台が未来でも、庶民の生活は今とほとんど変わらないという描写をよく見る気がします。
かつて思い浮かべていた21世紀といえば、めくるめく夢のようなハイテクがあふれ、都市の景観も人々の生活も今とは全く違う未来世界でした。でも、実際21世紀になってみると、意外と何も変わっていなかったことを知ってしまった今、映画の世界で描かれる未来は、一見今と何も変わらないものの方が現実味があるのでしょうね。

宇宙に出るころからやっとSFっぽくなってきて、こんどはワームホールやブラックホール、コールドスリープ、スペースコロニー、挙句は重力の制御やら五次元など、難しい設定がてんこ盛り。難しいところへ行きすぎてちょっとスピリチュアルな雰囲気になりかかっているところもあるような…。

宇宙船の描写で、時々完全に無音になるカットがあったり、逆にものすごくBGMが前に出てくることがあったりで、音の使い方が印象的でした。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/

『天才スピヴェット』

★★★★☆

ジャン=ピエール・ジュネ監督作品。
ひとことで言えば『アメリ』の少年版みたいな感じでしょうか。他の人達とはちょっと違う思考回路を持った天才少年の家出の話。

相変わらず、ちょっとヘンテコリンなところもあり、可笑しさも哀しさもあるのですが、そういったジャン=ピエール・ジュネらしさは割と控え目な印象でした。もっと、これでもかというほどてんこ盛りにしてもらっても、こちらは受け止めるつもりで臨んだので、ちょっと拍子抜け。
もし事前知識がなかったら、ジャン=ピエール・ジュネに影響を受けた別人がそれっぽい作品を作ったのかと思ったかも。

初めて観た彼の作品は『ロスト・チルドレン』というダーク・ファンタジーっぽいSF作品なのですが、本当に画面上のどこをとってもヘンテコリンで、SF映画といえばハリウッド発の冒険活劇しか知らなかった私に強烈な印象を残しました。
この作品や『アメリ』はフランス映画として製作されていて、何となく彼の場合、フランスで作った方が、彼らしさをふんだんに盛り込めているような気がしてしまいます。

『エイリアン4』は、シリーズ物なので当然彼の独自性は出しづらいのですが、それでも彼の作品によく登場するクセの強い俳優さんが登場していたし、『ロスト・チルドレン』的なヘンテコSF設定が垣間見えました。
『天才スピヴェット』はさらに控え目な印象。これはこれでいい作品なのですが、またフランス発のこってりジャン=ピエール・ジュネな作品も観てみたい気がします。

公式サイトは、こちら。
http://spivet.gaga.ne.jp

2014年10月18日土曜日

『めぐり逢わせのお弁当』

★★★☆☆

少し前にインド映画『バルフィ!人生に唄えば』を観たのですが、実はそれよりさらに気になっていたインド映画。

内容的にはとてもよかったのですが、文芸作品的だし、全体的に虚しさが漂っています。
メインの登場人物2人がいずれも大人しく(もっと言ってしまえば暗く)口数が少なく、"間"の演技が多いので、その心の動きを見ている側が読み取る必要があります。
本編の終わり方も余韻が残る形でスパッと切ってしまっているので、その後2人がどうなったのかが気になります。

スーパーヒーローも登場せず、ドタバタコメディどころか笑いの要素もほとんどなく、踊りのシーンもない、こんなインド映画もあるんですね。

でも、役者さんの"間"の演技もすごくいいし、それ以外の細かい演出が本当にしっかりしていて、映画大国インドの、決して作品数が多いだけではない、奥深さ、底力、そんなものを存分に感じました。
アカデミー賞外国語映画賞とかが似合いそうな作品です。

弁当の宅配という習慣も含めて、ごく普通のインド人の生活が垣間見えます。街は雑然としていて、道路は交通渋滞、電車は満員。職場や家も特にきれいではありませんが、なんとなくステキな絵になっていて、それもよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
http://lunchbox-movie.jp

『宇宙戦艦ヤマト2199 追憶の航海』

★★★☆☆

まずは、これまで劇場とテレビで放映された全26話の総集編の方。

オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』1作目の映画版もテレビの総集編なので、ついつい比較しようとする意識が働きます。前半はオリジナルと2199に共通のエピソードがありますが、2199の方はかなり大胆にカットしていて、事実上ちゃんと描かれているのは冥王星から。それ以降はあまり共通のエピソードはないので、ストーリー的にはオリジナルの面影はほとんどない気がします。

子供のころのように、何度も何度も繰り返し見たりはしていないので、どこが新作カットなのかはさっぱりわからず(^^;)。このあとに控える完全新作の『〜星巡る方舟』につながるようはカットが追加されているのかと思ったのですが、それらしいものは特にありませんでした。
『〜星巡る方舟』は、ヤマトがイスカンダルから出発して大マゼラン銀河外縁部に到達したところでの話だそうですが、実は『〜追憶の航海』の本編はほぼイスカンダルを出発するところで終わっています。そういう意味では、『〜星巡る方舟』は『〜追憶の航海』の続きから始まるようになっているのではないでしょうか。

ということで、音声は5.1chになっているそうですが、絵の方は基本的にテレビと同じで、わざわざ短縮したものを観る価値があるかというと、正直微妙(^^;)。26話を一気に見るのは大変なので、全体の流れをざっと把握できるのが嬉しいということでしょうか。

ところで次回作の"星巡る方舟"って白色彗星のことを指しているような気がしているのですが、どうなんでしょう?人口都市に人々を乗せて宇宙をさすらう様は正に方舟ですよね。ところが、私が知っている範囲では『〜星巡る方舟』の情報の中に"ガトランティス"という言葉は登場しても"白色彗星"は登場していません。例えば、彼らガトランティスが白色彗星で宇宙を回遊し始めるエピソードが描かれているとしたら、このタイトルはピッタリ来るなあと思ったりするのですが…。
まあ、この予想が当たるか外れるか、もうすぐわかることでしょう。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2199.net

2014年10月1日水曜日

『バルフィ!人生に唄えば』

★★★★★

インド映画です。いやあ、スンバラシイです。

主人公は耳が不自由で言葉もほとんどしゃべれないバルフィという男性で、ヒロインの一人は自閉症のジルミルという女性。151分という長い作品ですが、セリフは非常に少なく、表情やゼスチャなどで感情を表現しています。

バルフィはひょうきんでいたずら好きで、雰囲気としては『アメリ』のような感じでしょうか。ルックスも、イケメンというよりはとぼけた顔つきだと思うのですが、本当にいい演技だったと思います。

最初に登場したヒロインは、これぞインド美人という女優さんですが、事前にテレビなどで見た人とは印象が違うなあと思っていたら、途中からもう一人のヒロイン、ジルミルが登場。つまりこの作品はバルフィと二人の女性をめぐる物語なのですが、公式にはどちらがヒロインなんだか、Wヒロインみたいな位置づけなのかはよくわかりません。
ジルミルの演技も素晴らしいです。

音楽は、インド映画っぽい雰囲気もあるのですが、アコーディオンとかを使っていてどこかヨーロッパっぽい気もします。完全に芝居にシンクロした音楽も多く、セリフの少なさを音楽でカバーしているところもあるように思います。

ストーリーは現在から始まりますが、過去のいくつかの時代を行きつ戻りつ振り返りながら展開していくので結構複雑。細かい部分でのつながりはよくわからないところもありました。各役者さんの老けメイクはもうちょっと頑張って欲しかったかな。

全体としては、ほっこり暖かい気持ちになれる作品ですが、悲哀もあり、コントのような笑いのコネタもありで、ものすごく充実していると思います。
一応インド映画らしく、突然歌とダンスが始まったりするのですが、割と大人しめですし、主軸は深い人間ドラマ。インド映画、恐るべし。

公式サイトは、こちら。
http://barfi-movie.com

2014年9月27日土曜日

『イン・ザ・ヒーロー』

★★★☆☆

自分の世代だと、スーツアクターと聞いてイメージするのは、やはりウルトラマン、仮面ライダーシリーズということになります。
最初の仮面ライダーでは、本郷猛役の藤岡弘、さんが自ら仮面ライダーのスーツを着ていたとか、初代ウルトラマンの中に入っていたのが、ウルトラセブンでウルトラ警備隊のアマギ隊員を演じた古谷敏さんだとか、そういったエピソードを聞くと、なんとも言えない感慨を覚えます。
もちろん、子供向けヒーロー番組における裏方は他にも色々いるでしょうが、子どもたちからの羨望の眼差しを一身に受けながら、本人は全く認知されないというジレンマが最も大きいのは、やはりスーツアクターでしょう。
特に、初期のウルトラマン、仮面ライダーの頃はスーツアクターという職業自体が世間には知られていないし地位も確立されていないので、その役割を渋々引き受けたり、肉体的にも過酷で辞めようと思ったり、でも子どもたちの本気の声援が支えになったりと、本当にドラマティックでエピソードに事欠かなかったようです。

そういうことで、この作品は、スーツアクターをテーマに取り上げた時点でおおよそどんなストーリーなのか想像できましたし、実際想像の範囲内でした。それでも自分にとっては、こういう人たちがいてくれたおかげで子供のころのウルトラマンや仮面ライダーの思い出ができたんだと思うと、ちょっと嬉しかったりします。

最後のクライマックスは、ハリウッドの忍者映画でのチャンバラシーンでしたが、個人的にはやっぱり怪獣やヒーローの中に入った方がよかった気がします。

公式サイトは、こちら。
http://in-the-hero.com

2014年9月24日水曜日

『猿の惑星 新世紀(ライジング)』

★★★★☆

類人猿好きの私としてはとても満足度が高い作品ですが(^^;)、それを差し引いても楽しめると思います。

こういう動物モノの作品で私があまり好きではない演出に、様々なしぐさが人間的過ぎるというものがあります。充分にキャラクター化されている場合はいいと思うのですが、せっかくリアルなCGで作られた恐竜がハグをしたり肩を落としてトボトボ歩いたりすると、もちろん見ている側としてはわかりやすいのですが、なんかちょっと違和感を覚えてしまいます。

この作品の猿たちも、そういうところはあるのですが、何しろ人間に拮抗するほど知能の発達した猿なので、普段感じる違和感は割と少なめでした。

前作は断片的にしか覚えていないのですが、人間側の登場人物で前作から引き続き出てくる人はいないようですね。死んじゃったんだっけかな??

本作では、まだ色々な点で猿より人間の方が優っている状況ですが、徳の高い猿のリーダーであるシーザーがいて、密かにリーダーの座を奪おうと狙っているずる賢い猿もいて、愚かな人間もいて、これって人間同士のグループ間の対立と変わりないなあと思いながら観ていました。そういう意味では、ずいぶん考えさせられる映画ですね。

前作では、知能の高い猿の誕生と、人類滅亡の始まりを描き、今作では、猿と人間が拮抗する状態となり争いが本格化。次回作があるとすれば(この流れならきっとあるでしょう)、人類が滅ぼされて猿が地球を支配するところが描かれて、最初の『猿の惑星』へとつながるはず。そう考えると何とも悲観的な作品ですね。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/saruwaku-r/

2014年9月20日土曜日

『舞妓はレディ』

★★★★☆

周防監督らしい、色々なところに少し緩さを感じつつ、ホンワカできる映画でした。

やっぱりこの作品は、主演の上白石萌音さんの魅力と、京都の花街の風習がかいま見える面白さに尽きるかなあ。

上白石さんは、ちょっと垢抜けてない雰囲気があって、ベビーフェイスなんだか老け顔なんだかよくわからない風貌で、でもなんだか愛嬌があって、不思議な存在感です。雰囲気に合った役で朝の連続テレビ小説とかに出たら、一気に国民的女優になりそう。

タイミング的に、『アナと雪の女王』にあやかったわけではないと思いますが、なぜかミュージカル仕立てのこの作品。上白石さんの歌声は、他のどの役者さんよりよかったと思います。力強く声が出ているし素直でまっすぐ歌っていて好感が持てます。フレーズの最後はビブラートがかかるかかからないか微妙な感じ。たぶん今後トレーニングを積めばもっと色々なボーカルテクニックが使えるようになるのでしょうが、なんだかこの人にはノンビブラートでいって欲しい気がしました。

作品の中には、舞妓や芸姑の風習や着物の着付け、正座の仕方などが登場して興味深いですが、私が一番気になったのは、髪を結い上げるシーン。ああいう職人の作業を見るのは大好きです。最初から最後まで見ていたいくらいです。

この作品が海外の映画祭で上映されたのはテレビで見て知っています。作中、舞妓や芸姑の踊りから連続的にミュージカルシーンにつながっているところが結構ありました。いかにも日本舞踊的な動きから徐々に腰を振ったりターンしたりといういかにも西洋的なダンスに変わっていくのですが、ああいうのを外国人が見たとき、本来の舞妓や芸姑の踊りと演出としてのダンスの境界線を正しく認識できるのでしょうかね。
京都観光に来た外国人が「『舞妓はレディ』のようなダンスショーは見せてくれないのか」などと言い出しそうでちょっと心配(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.maiko-lady.jp

『るろうに剣心 伝説の最期編』

★★★★☆

映画の3作品全体を通して、新しいスタイルのチャンバラ映画として、とてもよかったと思います。

志々雄はちょっと妖怪じみていて、個人的にはやり過ぎな気がしました。人間を超越した特殊能力を出しちゃうと、仮面ライダーとかスーパーマンとか、ちょっと別の路線になってしまうので、原作でも、志々雄はああいう人なんだろうか。

福山雅治演じる師匠はよかったと思いますが、もう少しおじいちゃんっぽい役者さんの方が私のイメージには合うかなあ。剣心が子供のころに出会ったことになっているけど、いったい何歳の設定?
あの師匠の強さを見てしまうと、師匠が直接志々雄と戦ったらあっさり勝つんじゃないかと思ってしまいます。すっかり世捨て人生活を満喫している様子だから「新しい世は若いもんの力で作っていけばいいんじゃ」という考えなのかな。

一旦負けて、師匠のところで修行して強くなったらまた対戦というのは、ドラゴンボールと同じパターン?その度に新しい奥義を会得するようだと、やっぱりこの作品は超人ヒーローものなのかなあ。何しろ原作を知らないのでよくわかりません。
史実とは違うとはいえ、江戸時代から明治への国家大転換期の騒乱を描いているので、自分としては超人や妖怪を持ち出すのはちょっと…。せいぜい剣の達人にとどめてほしいと思います。

京都大火編とは二部作の扱いですが、1本にまとめるのは難しかったのでしょうか。伝説の最期編が、色々なことにきっちりと決着がついて物語としての終息感があるのに対して、京都大火編は、投げたボールが宙に浮いた状態で終わった感じで、物語的にはかなり物足りない印象でした(アクションはそれなりに楽しめるのですが)。これで同じチケット代なのかなあ、とちらっと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html?oro=mile

2014年9月15日月曜日

『フライト・ゲーム』

★★★☆☆

派手さはありませんが、ずっと緊張感が続く感じが、サスペンス映画としてなかなかよかったと思います。

飛行機の機内のシーンが95%、空港のシーンが3%、それ以外が2%といった感じで、とにかくほとんどずっと飛行中の機内で物語が進行していきます。でも、次々に色々なことが起こるし、乗客の誰も彼もが怪しく見えるし、飽きることはありませんでした。

ちょっと前のテレビで、映画を観ていた人のほとんどが犯人を当てられなかったと宣伝していましたが、これは正統派の犯人探しミステリーではないと思います。
だってねえ、ちゃんとした犯人探し作品の場合、注意深く見ていればその人が犯人だとわかるヒントを散りばめておくものじゃないですか。この作品には、そういう伏線がないので、これで犯人を当てろという方がおかしいと思います。

それに、犯人側の立場に立ったとき、こんなにリスキーな犯罪計画はありません。逃げ場のない飛行機の中で予告殺人なんて、成功率低すぎでしょう。

そんなわけで、リアリティという観点ではツッコミどころはありますが、そこはあまり気にせず"もしもこういう状況になったら…"という部分を楽しむサスペンスとして、ハラハラドキドキできると思います。

ところで、この作品の原題は『NON-STOP』。邦題をあえて原題と変えるのは、言葉として難しすぎたり、ニュアンスが伝わりにくかったりという理由が多いと思うのですが、このタイトルを変える必要はなかった気もしますが…。


公式サイトは、こちら。
http://flight-game.gaga.ne.jp

2014年8月18日月曜日

『STAND BY ME ドラえもん』

★★★☆☆

ドラえもんを映画館で観たのは初めて。
たぶん、山崎貴監督の3DCGじゃなかったら、観ようとは思わなかったと思います。

そもそもドラえもんといえば、小学校のとき雑誌『小学◯年生』で読み、てんとう虫コミックスを買っていたので、けっこう好きでした。私の記憶が正しければ、私が意識した時点ですでに発売されていたのは11巻まで。12巻は発売されてすぐに買った気がします。

ただなぜか、全巻そろえたいという欲求はそれほど強くなく、実際購入したのは10冊に満たなかった気がします。

調べてみたところ、コロコロコミックの創刊が1977年なので、私が小学4年のとき。すでにコミックに入っていたエピソード「のび太の恐竜」が長編作品に書きなおされて連載されていて「あれ、何これ?」と思っていたら、しばらくしてそれが映画になったわけです。
ただ、1977年というと『宇宙戦艦ヤマト』が映画化された年で、それ以降は、同じマンガやアニメ、SFといっても、もうちょっと上の年齢層をターゲットにした作品に惹かれていったため、ドラえもんとは疎遠になってしまいました。

大人になって、色々なSF映画などを観るようになって、「どうやらドラえもんのタイムパラドックスなどのSF要素はけっこうすごかったらしい」ということに気付き始め、映画の原作となった長編作品のコミックスは何冊か買いました(藤子・F・不二雄氏存命中のものだけ)。

そんなわけで、久々のドラえもん、映画館で見るのは初めて、しかも私の中では、大山のぶ代さんの声の印象が色濃く残っているという悪条件(?)での鑑賞でした。

結果としては、…なかなか微妙でした(^^;)。

3DCGのドラえもんは興味深かったし、3DCGならではの表現もあったと思いますが、やっぱり人間のキャラクターが人形っぽくて、不自然な感じがしました。個人的には、ピクサーもディズニーも、人間のキャラクターに関してはイマイチだと思っているので、誰がやっても難しいのだと思いますが…。

ストーリーは、原作の複数のエピソードをつないだということですが、そのつながりはとても自然だった気がします。
ただ、私がドラえもんの特徴だと思っている、意外にに高度なSFのテーマが、今回の作品ではあまり見られませんでした。のび太の結婚相手がジャイ子からしずかちゃんに変わったら、セワシくんはどうなるの?みたいなうんちくがちょっとぐらいあってもよかったかも。
また、小学生ののび太が、未来の結婚間近の自分がいる時代(確か19年後と言っていたと思います)を見に行くんですが、超近代的な未来都市になっていて笑えました。40年以上生きてきたおじさんとしては、たかだか20年程度であんなに生活は変化しないということを知ってしまっているので。
今回のストーリーは、のび太とドラえもんの関係、のび太としずかちゃんが結婚できるのか?というところにフォーカスが当たっているので、ジャイアンとスネ夫が完全な脇役でした。それも、彼らの嫌な部分だけが強調されていたのが、ちょっとかわいそうでした。

泣かせどころは、原作の6巻から7巻にかけてのエピソード「さようなら、ドラえもん」「帰ってきたドラえもん」に相当する部分。これらは小学生のときにすでに読んでいたし、予告映像などで今回の映画に入っていることを薄々知っていたので、「ああ、やっぱり」という感じでした。セリフやシーンは、私の記憶と一致するものも多かったので、割と原作に忠実だったかもしれません。

たぶん私は、かなり大人目線で、大人の鑑賞に耐えうるSF要素を期待しすぎてしまったために、微妙な印象になったのだと思います。
もっと童心に帰って、小学生の喜び、悩み、友情、恋心などを思い出すつもりで観れば良かったような気がします。

公式サイトは、こちら。
http://doraemon-3d.com

2014年8月15日金曜日

蛇口交換

今使っている洗濯機に付属していた、水道の蛇口と洗濯機をつなぐホースの接続部分はカチッと固定するアタッチメント式になっています。

洗濯機ホースのアタッチメント部分


蛇口側が普通の形状の場合は、アダプターを取り付けて使います。そのアダプターがこれ。

洗濯機ホース用アダプター


写真から想像できると思いますが、水道の蛇口を4方向からネジで締め付けて固定します。
今の部屋に引っ越したきたときなので、かれこれ8年ほど前になるでしょうか、自分でこれを取り付けてホースを繋ぎ、ずっと普通に洗濯機を使ってきました。

それが、最近洗濯し終わった後、洗濯機の下に少し水がたまっていることに気づきました。どうやらこの蛇口部分から水漏れしているようでした。当初はごく少量だったので、蛇口全体をタオルで覆って水が滴るのを防いでいたのですが、いつかちゃんと直したいと思っていました。

水漏れの原因は、このアダプターの緩みではないかと思っていたので、一度アダプターを外してみました。すると…

蛇口の穴


アダプターを固定するネジを押し当てていた部分に穴が開いてしまっています。
水が漏れる隙間を作るまいと、私が目一杯ネジを締め付けた結果のようです。これじゃ水が漏れるわけです。

アダプター自体は特に傷んでいる様子はなかったので、この蛇口の部品だけを交換して、またアダプターを取りつけて使ってもよかったのですが、ネットで調べてみると、最初から洗濯機ホースのアタッチメントに対応した蛇口があることがわかりました。
ならばということで、そちらを試してみることにしました。

洗濯機用蛇口部品


安いものから高いものまで色々あるようでしたが、金属製で、ホースが抜けた時には水を止めるストッパーつきのものにしてみました。約2500円。割と高めの製品かな。

交換作業は、レンチがあれば簡単。蛇口の先端部分なので、その蛇口さえ閉めておけば、家の大元の栓を締める必要もなし。
レンチは、以前キッチンの蛇口のコマを交換した時に買ったものがあったので、それを使いました。

あっさり交換が終わった結果はこんな感じ。

交換終了


お試しの意味を込めて実際に洗濯してみましたが、水漏れは全くなし。素晴らしい。

部品を交換してしまったことで、この蛇口を洗濯機以外の目的では使いづらくなってしまった可能性があります。ただ、洗濯機置き場に設置されている、明らかに洗濯機のための蛇口だし、この8年間も実績としてそれ以外の用途で使ったことはないので、まあ問題はないでしょう。

あとは、将来この部屋を退去する時にどうするかだけど、いつのことかわからないし、そのとき考えればいいということにして、一件落着。

2014年8月9日土曜日

『るろうに剣心 京都大火編』

★★★★☆

前作同様、スタイリッシュで現代的なチャンバラアクションは今作でも健在。まさにこれが観たかったので、そういう意味では満足。

キャラクターのファッションとかは完全に時代考証無視で、いかにもマンガ的。十中八九、日本の描写がヘンテコリンなハリウッド映画を笑えませんね。でも不思議とハリウッド映画よりは受け入れやすいのはなぜだろう。

監督はNHK大河ドラマ『龍馬伝』の方で、音楽も同じ方、出演者も『龍馬伝』出身者(?)が多数。別に気にしなくてもいいのに、つい『龍馬伝』出身者探しをしてしまいます。
操役の若い女優さんは土屋太鳳さんという人だそうで、全然知らないなあと思ったら『龍馬伝』出身らしいです。全く記憶にない…。
田中泯さんという凄みのある年配の俳優さんは『龍馬伝』で初めて知ったのですが、あんなに激しいアクションシーンがあるとはビックリ。あれは吹き替えなんだろうか。

ストーリー的には、シンプルな勧善懲悪かな。敵役が絵に描いたような極悪人すぎて複雑な心理の動きがなく、ちょっと薄っぺらな印象がありますが、チャンバラアクションを楽しむエンターテインメント作品だから、これでいいような気もします。
9月に公開される作品との2部作ですが、いかにも次回作に続くことが前提の作り。結局今作では何も決着がついていないし、謎の男が登場して気を持たせる終わり方。
それはいいのですが、テレビのCMで出てきたシーンのいくつかは今作には出てこなかった気が?ちょっとずるいなあ。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/

2014年8月2日土曜日

『GODZILLA ゴジラ』

★★★☆☆

なかなかよかったと思います。

私の場合、すっかり娯楽映画になったゴジラを子供のころやっていたはずなので"ゴジラ世代"ということになるのでしょう。でも、実際にはリアルタイムでは一度も見たことがなく、どちらかというとテレビのウルトラマンの方に思い入れが強いので、ゴジラは何となく知っているという程度です。

とはいえ、最初のハリウッド版ゴジラは「これはゴジラではない」と思ったので、今回のオリジナルゴジラへのリスペクトが感じられる仕上りは、無条件に嬉しくなります。

今回のゴジラは、私が子供のころにやっていた"みんなの友達"ゴジラではなく、どのような意思で行動しているのかわからない巨大生物です。
作品全体としても、そんな巨大生物が現れたら人間社会はどうなってしまうのかを描いたパニックムービー。核開発への警鐘というテーマも相まって、充分大人の鑑賞に耐えうる作品になっていると思います。
そもそもゴジラの第1作はそういう作品なので、ここでも原点回帰やオリジナルへのリスペクトを感じられます。

CGで作られたゴジラは、中に人間が入る必要はないので、より生物的な造形ができるのは当然ですが、もうちょっと頭が大きい方がゴジラらしいのに…など、個人的には気になるところもあったりします。でもちゃんとゴジラに見えますね。

渡辺謙さん演じる芹沢博士は、ちょっと不思議な存在。ああいう博士が登場するところはゴジラ作品らしさにつながっているけど、彼はゴジラの生態にものすごく詳しいわけでもなく、ゴジラを恐れるわけでも憎むわけでもなく、ただそこにいてゴジラを見ているだけ。続編ではもう少し活躍するのかな?

そして、この作品で一番ビックリしたのは、登場する巨大生物がゴジラだけではないこと。予告編など、事前に見る機会があった映像にはゴジラだけしか登場していなかったからなあ。

星は、日本のゴジラへの愛が感じられることを加味すると4つあげたくなりますが、冷静に考えると、今のハリウッドでは、このくらいの巨大モンスターパニック映画は充分普通だと思い直して3つにしました。

公式サイトは、こちら。
http://www.godzilla-movie.jp

2014年7月27日日曜日

『思い出のマーニー』

★★★☆☆

スタジオジブリ作品としては、宮﨑駿、高畑勲両氏が全くタッチしない初の長編だそうですね。

高畑作品は観ていないものも多く、絵のテイストとかが作品ごとに変わる印象があります。『思い出のマーニー』は絵のテイストとしては明らかに宮崎作品と似ているので、どうしても宮崎作品と比べて見てしまう気がします。

絵の綺麗さや、キャラクターのしぐさなどの細かい演技などは、まったく遜色が無いと思います。物語やそのテーマが宮﨑駿っぽさが少なかったのかな。こちらの先入観もあるのでしょうが、微妙にこれまでのジブリ作品とは別物という気がしました。

で、思ったのですが、宮﨑駿色が薄れたジブリ作品は、私の中では細田守、原恵一、新海誠などと同種のグループに分類される気がします。

相変わらず、声の演技は俳優を使っていますが、映画を観ていて誰だかわかったのは、松嶋菜々子、吉行和子、黒木瞳ぐらいかな。以前は抵抗があったけど、観ていて違和感がなかったので、まあこんなものなのかなあと思うようになりました。

公式サイトは、こちら。
http://marnie.jp/index.html

『超高速!参勤交代』

★★★☆☆

映画館で映画を観るのはちょっと久しぶり。選んだ映画は、コメディ時代劇。

公開するずいぶん前からこの作品の存在は知っていて、ヘンテコなタイトルは気になっていました。

一応、「情けは人のためならず」的な教訓も含まれているといえば含まれていますが、基本的にはお気楽なエンターテインメントです。その時の自分は、あまり重い作品を観たい気分ではなかったので、ちょうどよかった気がします。

福島県いわき地方の弱小藩が幕府から急な参勤交代を命ぜられて、お金をかけずに5日間で江戸まで行かないといけないという設定ですが、個人的にはこの課題をクリアするための奇策で笑わせてもらえるともっとよかったような気がします。

佐々木蔵之介さん演じるお人好しのお殿様はとても彼に合った役でよかったと思います。
深田恭子さんのアバズレ役は若干無理があるような気がしましたが、コメディ作品としてはそのミスマッチ感もありのような気がします。
上地雄輔くんの役は、弱小藩の家臣で、いつもクール。ものごとを感情で判断せず、妥協してもかまなわいので合理的な策を提案するキャラクター。クールすぎて笑えるというわけでもなかったし、ちょっと意外な配役でした。

公式サイトは、こちら。
http://www.cho-sankin.jp

2014年5月25日日曜日

『ノア 約束の舟』

★★★☆☆

一応キリスト教系の中学高校に通っていたので、新約聖書の方はちょっとだけ学校で読む機会がありましたが、旧約聖書の方はごく一般的な知識しかありません。
映画の中で、アダムとイブからノアの時代までの流れを簡単に説明してくれるので助かりました。

そんな私なので、あまり先入観にとらわれず、単純に映画作品として観ることができた気がします。で、結局この作品は『ロード・オブ・ザ・リング』のような架空世界のファンタジーだと理解しました。神の啓示とか予言とか、若干スピリチュアルな要素が入っていますが、"番人(ウォッチャー)"という岩石人間みたいな生き物が出てきたり、人間の文明レベルや生活スタイルは、実際の人類の歴史に照らすといつの時代なんだかもよくわからないのも、ファンタジー作品っぽいと思いました。

ノアの方舟は、人間は洪水で絶滅させて、動物のみを救うためのものなので、当然ながら大量の人が死にます。ノアはその使命を全うしようとするので、人間に対してとても冷たくて残酷。でも、自分の親族に対してはどうしても甘くなり、ノア自身はそれに苦悩します。この苦しみがこの作品の大きなテーマだと思いますが、ひねくれた見方をすれば、ノアはとてもひどい奴です(^^;)。

この作品は公開前のスペシャル上映会で観たので、ノアを演じたラッセル・クロウの舞台挨拶がありました。彼自身も「この作品を観て、僕をひどい奴だと思わないでね」と言っていました(^^;)。




公式サイトは、こちら。
http://www.noah-movie.jp

2014年5月20日火曜日

美味しんぼ問題について思うこと

ニュースで盛んに採り上げられている『美味しんぼ』。読んでもいない私がとやかくいうことではないと思うのですが、いくつか思うことがあります。


ニュースなどを見ると、作品が風評被害を与えているという論調が多く、それは鼻血と原発事故の因果関係がないにもかかわらず、あたかもあるかのように表現しているから、ということのようです。つまり、争点は鼻血と原発事故の因果関係についての真偽。作品を批判している人たちにとっての真実は、"因果関係なし"で結論づけられているということでしょう。だから彼らは作品に対して、「"因果関係あり"と言うなら根拠を示せ」と主張します。

ただ、作品で描かれている"真偽"には別の見方もできると思います。それは、鼻血と原発事故の因果関係があるなしに関わらず、あるのではないかと疑っている人達がいるという真偽。作者自身の意図はわかりませんが、作品は、疑っている人達がいるという真実を訴えているように思います。
この見方をすると話がひっくり返って、「"因果関係なし"というけど、本当にその結論でいいの?すべての人を納得させられるだけの根拠は示せているの?」という、作品から批判者への問いかけという構図に見えてきます。


そもそも鼻血などの諸症状と原発事故の放射線漏れとの因果関係というのは、どうやって証明するものなのでしょう?
おそらく、まず最初に"症状と放射線漏れに因果関係あるとすればこんな事象が発生するはず"という仮設を立ててそれを検証することになるはず。その事象がはっきりと確認されれば"因果関係あり"または"因果関係ありの可能性が高い"という結論となり、事象が確認されなければ"因果関係ありとは言えない"という結論となるのではないかと思います。

この"因果関係ありとはいえない"というのは"因果関係なし"と証明されたということとは意味が違います。というのは、別の調査方法では確認できる可能性があるわけですし、因果関係があった場合に起こりうる別の事象は起こっているかもしれないのです。
つまり、"因果関係なし"を証明することは"因果関係あり"を証明することよりはるかに難しいのではないかと想像できます。因果関係があった場合に起こりうる全ての事象について、確実な調査で検証しないと"因果関係なし"とは断定できないわけですから。放射線の影響は時間が経ってから現れるという話もあるようなので、なおさら証明は難しそうです。


さらに話を難しくするのは、私も含めて多くの人はけっこう適当にものごとを信じたり疑ったりします。
星座や血液型の占いや風水、パワーストーンなど、科学的には根拠がない(まさに"因果関係ありとはいえない")ものを信じている人はけっこうたくさんいますし、政府が発表した内容はとりあえず「ヤツらは何か隠しているんじゃないか?」と疑う人たちもいます。
こういう感覚の人が福島で鼻血を体験すれば「被ばくだ」「福島には住まない方がいい」という発言をする可能性は大いにあり、それを聞いた人が、それが根拠のない断定だと思わずに「福島の人が言ってるんだから間違いない」と信じこんでしまう可能性もまた大いにありうると思います。


結局、福島内外に放射線の影響が出ているのではないかと疑っている人がいるのはすでに明らかなことですし、政治家が"福島は安全"路線を方針としていることもこれまで通りですし、科学的に因果関係なしを証明するのが難しいことも充分想像できるので、今回の騒動は私にとって特に新しい何かがあるわけではありません。
そうなると、最後に残るのは"表現の自由"なので、まあ嬉しくない人はたくさんいるでしょうけど、作品を描くこと自体は別に構わないのではないかと思います。

表現はアンダー・コントロールしないでね。

2014年5月17日土曜日

『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』

★★★★☆

『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』などの矢口史靖監督作品。

なかなかよかったと思います。
矢口監督らしい、いい感じのゆるい作品。ノリとしては他の矢口作品と同じようなものだと思いますが、この作品は割と好きな方かも。山村の風景やそびえ立つ木々などの風景の撮り方とかが好みだったからかな。

キャラクターの演出がマンガのようにわかりやすいです。染谷将太演じる都会のお調子者でやる気がない若者も、伊藤英明演じる怒りっぽい林業従事者も、長澤まさみ演じる気の強い女の子も絵に描いたよう。
そして、村の人達はみんな声がでかい(^^;)。
でも、そんな中、若者は微妙にたくましくなり、林業従事者は微妙に若者を信頼するようになり、女の子は微妙に若者に心を許していくという変化もちゃんと伝わってきました。

公式サイトは、こちら。
http://www.woodjob.jp

2014年5月10日土曜日

『テルマエ・ロマエ II』

★★★☆☆

ひとことで言うと、「完璧なパート2」でしょうか。

もともとこの作品は、古代ローマ人のテルマエ(公衆浴場)設計者のルシウスが現代日本にタイムスリップして、お風呂の新しいアイデアを入手しては元の時代に戻ってそのアイデアを盛り込んだテルマエを設計するという比較的短いエピソードの積み重ねで構成されています。

一応パート1から少し経って古代ローマの国の情勢も変化しているのですが、それは付け足しだと見れば、前作と全く変わらず日本のお風呂のアイデアを入手するエピソードが次々と続きます。絵としての見せ方も、演出の路線も特に変更はなし。最後に上戸彩演じる真実や何人かの日本人が古代ローマにタイムスリップして活躍するというパターンも一緒。

上戸彩演じる女の子とルシウスがお互いのことをすでに知っていて、ラテン語でコミュニケーションが取れるところと、元の時代に戻る方法がすでにわかっているところがちょっとだけ違うかな。
それ以外は、どのエピソードがパート1に入っていてもパート2に入っていても違和感はないでしょう。

原作の漫画は1巻しか読んだことがないので、2巻以降にどんなエピソードが入っているのか知りませんが、日本のお風呂がエピソードに事欠かないことには、あらためてびっくりしました。

そういう意味では、安心して観ていられますし、期待通り。逆に言えば、期待を上回るところは特にないかな。分析的に見るとパート2の方が色々とスケールアップしているのでしょうが、印象としてはパート1の衝撃の方が強かった気がします。

星は3つにしましたが、全体的に緩い映画なので、ひどく感動したり、大いにドキドキしたりして星5つつけるより、この作品にはふさわしい点数と理解していただけるといいかと思います。


公式サイトは、こちら。
http://thermae-romae.jp

2014年4月3日木曜日

『白ゆき姫殺人事件』

★★★☆☆

この作品は、ずいぶん前から映画.comで見つけていて「昔ながらのミステリーのようなタイトルだなあ」と印象に残っていました。その時点では、原作の存在も知らず、キャストもわかりませんでした。
観にいくことにしたきっかけは、湊かなえ原作だと知ったから。小説は1冊も読んだことがないのですが、私は湊かなえ原作の映像作品とは相性がいい気がしているのです。

星は3つにしましたが、限りなく4つに近い3つといった感じでしょうか。

一応ミステリーの形式を取っていて、ストーリーの最後に真犯人が明らかになります。ただ、警察や探偵が犯人を突き止めるプロセスには主眼はありません。

最近ときどき見る手法ですが、同じシーンを異なる人の観点で何度も見せる構成になっています。やっぱりこの手法は私の好み。
見る側は、同じアクション、同じセリフを何度か視聴し、でもその中にさっきとはちょっと違う要素が入ってくるわけですが、何が同じで何が違うかがわからないと意味が伝わらないので、芝居の演出や編集は結構気を使うはず。

そして、この作品を特徴付けているのはやはり、ネットで情報が拡散するおそろしさ。
綾野剛演じる赤星という人物が本当に最低なヤツで、でも今の世の中、あんな感じでネットに書き込んじゃう人はいくらでもいそうです。映画がおそろしいというより、それが現実に起こりうる(というか、しばしば起こっている)と確信できるのがおそろしいわけです。

作品内で使われているSNSはTwitter。画面にオーバーラップする形で、色々なつぶやきが表示されます。この感じ、前にもあったなあと思い出したのは、深津絵里主演、森田芳光監督の『(ハル)』という作品。パソコン通信(^^;)で出会う男女の話でした。『電車男』は2チャンネル、今回の作品はTwitter。コミュニケーションツールが進化してます(^^;)。

こうして思い返してみると、イマドキなテーマも入っているし、昔ながらのミステリーの要素も入っている、構成も凝っている、役者もよかった。特に悪い点はなかったのですが、ものすごく強いインパクトがあったわけでもないので、星4つまではいかない気がしました。じわじわ来る作品なのかもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://shirayuki-movie.jp/

2014年3月29日土曜日

『アナと雪の女王』(吹替版)

★★★☆☆

ミュージカル映画は苦手で、『オペラ座の怪人』は観てみたのですが、やっぱり世間が評価するほどその良さがわからず、『レ・ミゼラブル』は観ませんでした。

で、『アナと雪の女王』は、作中の『Let It Go』歌唱シーン(英語)が丸々そのまま予告編だったのですが、とても印象に残りました。でもこの時点ではまだ觀る気なし。
公開日が近づき、松たか子さん、神田沙也加さんの歌声が高い評価を受けているのを知って、気になり始めました。中には"日本語吹き替え版がオリジナルを超えた初めてのミュージカル映画"などという評もあり、「いやいや、それは言い過ぎでしょ?!」と思いつつ、吹替版を観てみることに。洋画は絶対字幕版を観ることにしている私としては、異例の選択です。

松たか子さんの『Let It Go』は本当に素晴らしかったです。黒人シンガーのようなパワフルさとは違うし、アドリブっぽいフェイクとかがたくさん入る歌唱法でもなく、素直な発声で言葉もはっきりと発音する歌い方。でもすごく力強い。
同じ『Let It Go』を、エンディングではMay Jさんが歌っているのですが、松さんの方が突き刺さってくる感じでした。

神田沙也加さんは、こんな声だっけ?というのが第一印象。デビュー曲はお母さんの松田聖子さんによく似ていると思った記憶がありますが、この作品の中では聖子ちゃんっぽさは感じませんでした。
彼女の歌もよかったけど、『Let It Go』と違いセリフと歌が混ざったような、いわゆるミュージカルっぽい曲ばかりだったので、私的にはやっぱりちょっと苦手。

あとは、オープニングとクライマックスのシーンで出てきた大人数でのコーラス(ゴスペルっぽい?でもアフリカンっぽい雰囲気もあったような…)はよかったけど、結局『Let It Go』が突出してよかった気がします。

ストーリーは、まあ悪いとは言いませんが、割とシンプル。
アメリカのフルCGアニメの人間のキャラクターは、個人的にイマイチ好きではなくて、この作品でもそれを再確認。アナもエルサも、かわいいとも美しいとも思いませんでした。

最近のCGアニメの日本語版は、声だけではなく、画面内の文字も日本語化されています。原題は『Frozen』で全く違うのに、タイトルロゴアニメーションも日本語化されていたし、テロップも、さらには作中に登場するお店の看板も日本語になっていました。
文字を差し替えてレンダリングしなおせばいいんだから、技術的には簡単なのはわかるのですが、字幕派の私としてはやり過ぎな気もします。

話題作だけに、お客さんはかなり多かったです。そして、春休み中ということもあり年齢層は低め。話し声は多め、途中で席を立つ人も多めでした。

公式サイトは、こちら。
http://ugc.disney.co.jp/blog/movie/category/anayuki/

2014年3月2日日曜日

『アメリカン・ハッスル』

★★☆☆☆

意外と評判がよさそうだったので観に行ったのですが、うーん、私には今ひとつだった気がします。

詐欺師がFBIの捜査に協力して汚職政治家を摘発する話なんですが、イマイチ誰が何の目的で行動しているのかがわかりにくくて、だんだんこちらの集中力が落ちてきて、若干眠くなり、ますますストーリーがつかめなくなるという悪循環でした(ちゃんと集中し続けていれば面白かったのかも)。

FBIの捜査の割に、詐欺の計画がテキトーで、そこに男女の愛憎劇も混ざってくるので、だましのテクニックの鮮やかさがあまり感じられませんでした。一応主人公は"天才詐欺師"ということになっているので、こちらが勝手に期待しすぎたのかもしれません。

テキトーさや愛憎劇はかなりのドタバタで、かつ主人公のルックスは髪の毛が薄く腹の出ただらしない男。ドタバタコメディの要素がそろっていて、実際笑いの要素もあるのですが、それほど笑えませんでした(アメリカ人にはウケたのかなあ)。

結局、実在の事件を扱った社会派作品なのか、だましのテクニックの鮮やかさを楽しむ作品なのか、ドタバタコメディで笑える作品なのか、自分の中で消化できないうちに終わってしまった印象です。

公式サイトは、こちら。
http://american-hustle.jp

2014年2月26日水曜日

『ラッシュ/プライドと友情』

★★★☆☆

なかなかよかったと思います。

F1ドライバー、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの、実話を元にしたストーリー。2人が総合チャンピオンを争った1976年のシーズンを描いています。

私が好きな『アポロ13』のロン・ハワード監督作品だけあって、ドキュメンタリーを見ている感覚になります。
一方で、実話が元になっている限りやむを得ないのですが、ストーリー自体が割とシンプル。もちろん、ニキ・ラウダの事故や短期間でのレース復帰、最終戦までもつれ込んだ優勝争いなどは実話としては充分ドラマティックですが、純粋に映画作品として見ると、少し物足りない気もします。

人物の描写はすごくよかったと思います。チャラい印象のジェームス・ハントと、堅物で融通の効かないニキ・ラウダは、どこまでもウマが合いません。
それならお互いに放っておけばいいのに、自分の考えをストレートに相手にぶつけます。そんな、気になって仕方がないけど大嫌いな二人の関係が絶妙。
ニキの事故後はちょっとだけ距離が縮まりますが、それがまた、ほんのちょっとで、決して大親友になったりはしないところがリアルです。

レースのシーンは、映像、音響とも、とても迫力がありました。たぶんCGも使いつつ絵を作っているのでしょうが、CGだとわからないカットもたくさんあると思います。

ところで、ジェームス・ハントはマクラーレン、ニキ・ラウダはフェラーリ所属なのですが、双方とも赤をベースにちょと白が入った車体。ヘルメットもスーツも似たような色合いで、激しいレースのシーンだと、どっちがどっちか一瞬わからなくなります。これも実話を元にしていることの弊害(?)。もしフィクションだったら、ライバル同士の車は絶対違う色合いにして、画面上ですぐ区別できるようにするでしょうから。

最終戦は日本の富士スピードウェイ。日本人としては、このドラマのクライマックスが日本を舞台にしているというのはちょっと感動。画面の中には、日本人らしき観客、記者、日本語の看板、日本語の実況中継の音声などもちらちらと登場します。

それにしても、1976年にすでに日本でF1が行われていたんですね。
私にとって、F1というと大学時代。周りに好きな人が多く、古舘一郎の派手な実況中継もあって、一番接する機会が多かった時期です。あのころは、アラン・プロストとアイルトン・セナが優勝争いをしている印象でした。
そのセナが事故死したのはよく覚えていたので、最初にこの作品を知った時は、セナの話を映画にしたのかと思いました。

そういえば、2013年末にミハエル・シューマッハがスキーで事故にあったのは偶然ですが、この映画が公開されたら観ようと思っていた自分には、ちょっと因縁めいた感じがしました。

作品のオリジナルタイトルは『RUSH』だけで"プライドと友情"は邦題として追加されたフレーズのようですが、なんかカッコ悪いなあ。
たぶん"RUSH"の中に、カーレースのスピード感、事故の衝撃、二人の感情のぶつかり合いやライバルの存在に突き動かされる気持ちなどが全部込められているんだと思いますが、日本語だと満員電車とかを思い浮かべちゃうからダメなのかな。

公式サイトは、こちら。
http://rush.gaga.ne.jp

2014年2月19日水曜日

FileMaker Pro

FileMaker Pro、楽しいです。

個人的にも、以前の会社でも、ちょこちょことFileMaker Proを使ったデータベースを作っていたのですが、最新版を購入したのを機に、昔作ったものを作り直してみたりしています。

前の会社では、セキュリティのため3か月に1回、全員のPCログインパスワードを変更していました。システム管理者が、ランダムな文字列のパスワードを用意して、小さな紙に印刷して配布する方法でした。

新しいものに変えたら以前のパスワードは忘れてしまっていいかというと、なんだかんだで数か月後に必要となって、思い出せずに困るということがあったので、システム管理者が全員分の過去のパスワードも含めてすべて管理するため、FileMaker Proを使っていました。当時はVer. 5とか6とかでしたが、最新のVer. 13で全面的に作り直してみました。


Ver. 13では、新たにポップオーバーという画面部品が追加されたので、それを使ってプルダウンメニュー風のインタフェースにしてみました。実はこれ、Ver.5のころからずっとやりたかったことなのですが、当時は(たぶんものすごくがんばれば似たようなことはできたのかもしれませんが)できませんでした。




当時、パスワードの作成は、フリーのパスワード作成ソフトを使っていましたが、その機能も、FileMaker Proのスクリプトと計算式を使って自作しました。これについてはVer.5でもできたはずですが、残念ながら当時の自分にはそこまでやる気がありませんでした(^^;)。

画面デザイン的には特に見るべきものはありませんね(^^;)。最新版には、昔はなかったレイアウトテーマやスタイルといった画面デザインを効率的に行うための機能があったので、とりあえずそれに慣れるために積極的に使ってみました。
ここからさらに、各画面パーツの配置を調整し、アイコンをデザインし、フォントをセレクトし、用語を見直し…みたいなことをやっていかないと、磨き上げられたものにはならないですね。でも、テーマやスタイルを使えば、この程度ならできるということもわかりました。
ターゲットユーザー=自分1人だとこれで充分なんですが、トレーニングのためにもう少しいじってみるか…。

FileMaker使いのレベルとしては、このくらいでどんなもんなんだろう。中の下ぐらいかなあ。先日のConferenceで発表しているようなプロの開発者たちのレベルが、とんでもなく高いことだけはよくわかったけど…。

2014年2月15日土曜日

『レッド・オクトーバーを追え』

★★★☆☆

先日、『映画『エージェント:ライアン』公開記念Best of<ジャック・ライアン>上映会』というイベントが開催され、懸賞で当たったので行ってきました。

このイベントは、ジャック・ライアンの最新作である『エージェント:ライアン』の他に、過去のジャック・ライアン作品で最も支持されている作品を1本上映するというものでした。そこで選ばれたのが『レッド・オクトーバーを追え』でした。Blu-rayだったようですが、映画館のスクリーンサイズに引き伸ばしても普通に見られました。

なかなか面白かったと思います。
冷戦時代のソ連とアメリカの緊張関係とか、潜水艦同士の戦闘シーンとか、真実を突き止める謎解きの要素とか、いろいろな要素が詰め込まれています。
潜水艦の艦長がしばしば奇策を使う人で、敵の魚雷をギリギリでかわしたりします。
「艦長!敵の魚雷が迫ってきています。早く対抗策の指示を!」「いや、まだだ」
みたいな会話は、ちょっと宇宙戦艦ヤマトみたいでした(^^;)。当時はかっこいい演出っだったのかもしれませんが、今の自分にとってはあまりクールじゃないかなあ。

それにしても、2本続けて映画を観るのは疲れました。







『エージェント:ライアン』

★★★☆☆

先日、『映画『エージェント:ライアン』公開記念Best of<ジャック・ライアン>上映会』というイベントが開催され、懸賞で当たったので行ってきました。

スパイアクション映画としては、なかなかよかったと思います。

映画の宣伝では、『インテリジェンス・スパイ映画』『解析』といったフレーズが登場し、武闘派スパイではなく頭脳はスパイであることが強調されているのですが、正直、全体の印象としてはこれまでのスパイ映画とさほど変わらない印象でした。
イマドキのスパイ映画は、ミッション・インポッシブルにしろ007にしろ、サイバーな要素は入っているし、『エージェント:ライアン』のジャック・ライアンは(よく言えば)頭がよすぎて一瞬で解析結果を導き出してしまうので、それは見た目上、ひらめきや思いつきと同じようにしか見えませんでした。
かといって、解析プロセスを延々とやっても面白くないしスピード感もなくなるでしょうから、演出的には難しいところですね。

主人公ジャック・ライアン役は、クリス・パイン。最近のスタートレックのカーク役の印象が強く残っていて、今回の作品を観ていてもどうしてもカークのような気がしてしまいました。

今回の作品の時代設定がよくわからないのですが、"敵"はモスクワにいます。つまりロシア(ソ連?)対アメリカの構図。最近はもっぱらイスラム対アメリカの構図が多いので、何だか新鮮でした。

ところで、このイベントでは、映画の上映の前に池上彰さんと優木まおみさんのトークショーがありました。
池上さんは、ジャック・ライアンシリーズの原作者トム・クランシーの作品が大好きだそうで、まあ色々な話が出るわ出るわ。映画を見ないで、池上さんの話を2時間聴いていてもよかったかも(^^;)。話がわかりやすいのはテレビと同じでしたが、テレビよりもワンランク辛辣でした(^^;)。
ちなみに、池上さんは今回の映画の字幕監修を担当したそうです。

公式サイトは、こちら。
http://www.agentryan.jp


2014年2月1日土曜日

『小さいおうち』

★★★★☆

とてもよかったと思います。

この作品を観ようと思ったのは、最近気になっている黒木華(くろき はる)さんが出演しているから(^^;)。予告編で、和服に割烹着姿の女中役を見て、めちゃめちゃ役にハマっているように思えたので。

結果としては、期待通りでした。山形から東京に出てきて女中になるのですが、いい感じにほっぺが赤くて困り顔が似合う垢抜けない雰囲気といい、遠慮がちで自己主張せず家族に尽くす姿といい、それでいて、よく気がつく働き者なところといい、黒木華という女優さんのためにあてがわれた役のようでした。

実際の黒木さんはもっとイマドキでポップで都会的なところもあるのでしょうし、そういう役もやれるんでしょうが、たぶん私にとって、黒木華といえば「小さいおうち」の女優役という印象になるだろうなあ。
ちなみに、私にとって蒼井優といえば「フラガール」、堀北真希といえば「ALWAYS 三丁目の夕日」なのですが、なぜかいずれも東北の女の子の役。私はちょっとイモっぽい子が好きなんだろうか(^^;)??

冒頭、お葬式のシーンから始まって「あれ、最近よく似た作品を観たなあ」と思ったら『永遠の0』でした。そして、現代の若者がおじいさんやおばあさんの若いころの体験をたどっていくという多きな構成も同じ。

そして『小さいおうち』も実は、『永遠の0』同様戦争体験を扱っています。『永遠の0』は戦場における戦争なのに対して『小さいおうち』は兵隊に行かなかった人たちの戦争ですね。そして、国際社会や国家体制などの大きなスケールではなく、ひとつの家族という小さいスケールで描いていることろは、全く視点が違います。
でも、すごくわかりやすかったし、すんなり入ってくる感じがしました。教科書に載っている戦争とは、ちょっと見え方が違いました。
『永遠の0』『風立ちぬ』『小さいおうち』…。それぞれの戦争の描き方の違いを比べてみるのも面白いかもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://www.chiisai-ouchi.jp

2014年1月29日水曜日

『ウルフ・オブ・ウォールストリート』

★★★★☆

懸賞でジャパン・プレミアに当選してしまったので、一般公開前に観ることができました。当選していなかったら観に行ったか微妙でしたが、結果的にはかなり面白かったと思います。
星は4つにしましたが、4.5ぐらいでもいいかもしれません。まだ1月なので、ここで5つつけちゃうと、この1年の評価基準が上がっちゃいそうなので、ちょっと控えめに(^^;)。

ジャパン・プレミアの様子
ジャパン・プレミアの様子

レオナルド・ディカプリオは"警鐘を鳴らす映画""こうなってはいけないという映画"、マーティン・スコセッシ監督は"very very very funny serious film"と言っていましたが、まさにその通り。

主人公に共感できるところは、まったくありません(^^;)。自分勝手だし、お下劣だし、社会秩序に何の興味もないし、金とドラッグとセックスへの欲望だけ。そのくせ、警察権力はおそれ、罪から逃れようとする。
たぶん中身が子供なんだと思うのですが、何となく(本当のところはわかりませんが)堀江貴文氏とかと重なる気がしました。

そんなメチャクチャな男を、ハードに、みっともなく、でも面白おかしく描いていて、そのバランスが絶妙だと思いました。
金融界の闇を、徹底的に暗くシリアスに描くこともできたと思いますが、どうしてこういう演出にしたのかなあ。その意図はよくわかりませんが、面白おかしい演出がなければ、私はこの作品をさほどいいと思わなかった気がするので、やっぱりうまい見せ方なんでしょう。

レオナルド・ディカプリオを演じるジョーダンのナレーションが入っていて、全体として自分の半生を振り返る形式になっているのですが、ところどころ画面の中のジョーダンがカメラに向かって解説するシーンがあって、コメディっぽいというか、こういうタイプの映画ではあまり見たことがない演出でした。

R18だそうです。ボカシがいっぱい入っていました(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.wolfofwallstreet.jp

2014年1月25日土曜日

『エンダーのゲーム』

★★★☆☆

当初、予告編を見た段階では特に観るつもりはなかったのですが、Facebookでつながっている通の方が何名か高く評価していたので、それならばということで観に行きました(ちょうどポイントがたまっていて無料で観られたし ^^;)。

原作の小説があるようですが、読んでいません。で、たぶん映画は、小説と比べると相当端折っているような気がしました。
この設定はなんだろう?とか、この人は一体?とか、なんでそっちに話が進むの?とか、ちょっとわかりにくいところがあって、たぶん原作ではきちんと説明されているのかもしれませんが、映画ではわりとさらっといってしまうので、若干重厚感に欠ける気がしました。
特に、エンダーくんがどう優秀なのかがイマイチわかりませんでした。彼が訓練などで繰り出す作戦も、戦術的な根拠が説明されず、悪く言えば子供だましっぽく思えてしまいました。ああいうところで「なるほど、これは確かにすごい作戦だなあ」と思うことができたら、ずいぶん印象が違ったと思いますが。

エンダーくんのルックスはいかにも成長過程で顔つきも幼く、体もできあがっていないので、ビデオゲームが得意というだけなら納得しやすいのですが、銃撃戦や格闘術でも強いのはどうもリアリティを感じなかったりします。

少年が、大人の都合で戦闘に巻き込まれるというと、エヴァンゲリオンのシンジくんを思い出します。サードの少年というのは偶然でしょうが。

作品全体の世界観は、近未来の地球対異星人の宇宙戦争なので、スター・ウォーズなどの昔ながらのSFっぽくてちょっと懐かしい感じ。

公式サイトは、こちら。
http://disney-studio.jp/movies/ender/

2014年1月13日月曜日

『ジャッジ!』

★★★☆☆

予告編が始まったころは、全く観る気はなかったのですが、意外と評判がよさそうなので観てみました。

特に難しいメッセージがあるわけではない、コメディ映画。

日本のコメディ映画というと、三谷幸喜や宮藤官九郎とかを思い浮かべます。それぞれ持ち味は違いますが、大爆笑というよりはじわじわ、ほんのり来る笑いというのが共通点のような気がします。日本的、なのかな。この作品もそういう意味では似ているかも。

妻夫木くんのダメダメっぷりは、トヨタのCMの大人になったのび太くんと同じような感じでした。

北川景子さんのツンデレっぷりは見事。はまり役だと思います。でも、映画全体の9割はツンの方で、デレは1割り程度。もう少しデレを見たかった気もします(^^;)。
彼女は『ハンサム☆スーツ』でも見ているはずなのですが、実はあまり印象に残っていません。もちろん美女だと思うけど、動いてしゃべって演技するより、一番いいアングル、一番いい表情を静止画で切り取った方が美しさが生きるんじゃないかと思ったり…。
でも最近バラエティ番組に出ているのを見て、実はサバサバした関西人らしい人となりも垣間見えて、ちょっと興味が出てきました。

ちなみにCM業界の話なのですが、商業芸術に携わる人達が、あるときふと自分の原点を思い出す感じ、とってもよくわかります(^^;)。

ライバル関係の広告代理店は、現通と白風堂で、とりあえず架空の会社になっていますが、エースコックやTOYOTAはCMのクライアントとしてそのまま登場していたりします。作中に登場するエースコックのCMなんてヒドい出来なのですが、よく名前使わせてくれたなあ(^^;)。監督はもともとCM業界の人らしいので、コネがあったのかな。

公式サイトは、こちら。
http://judge-movie.com

『秒速5センチメートル』

★★★★☆

2013〜2014年の年末年始、iTuneseStoreで音楽やムービー、電子書籍、アプリなどが期間限定で無料提供されました。この作品は、そのときに無料レンタルされたので、iPadで観ました。まさか2014年最初の映画がiTunesStoreのレンタルになるとは(^^;)。

小学校の卒業時期から20代前半の男女の恋愛模様が、みずみずしい純文学という感じで描かれていて、なかなかいい雰囲気です。

ストーリー展開はありふれていると思うのですが、登場人物の心の声や何気なく差し挟まれる日常風景がいちいちいいんだよなあ。

最近のアニメの背景画はリアルで緻密ですが、電車内の手すりや壁のツヤツヤ感はちょっとビックリしました。アニメの背景って私は不透明水彩使っているイメージなのですが、これは透明水彩っぽい印象でした。公式サイトに載っている絵をよく見ると、全部かどうかはわからないけどやっぱり不透明みたいです。
動画の中のエンドロールでは、新海誠監督の名前が「美術」のところに書かれていたので、監督自身も背景画を描いているのかも。相当こだわりはありそうです。

タイトルの「秒速5センチメートル」は、さくらの花びらが散るときの落下速度だそうです。ストーリー上、重要なキーワードなのかと思ったら、そうでもなかった気が。ただ、男女の心が近づいたり離れたりする話なので、その速度と関連づけているのかもしれません。…女性は心が離れていく速度が速いですなあ(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.cwfilms.jp/5cm/