2013年9月24日火曜日

『エリジウム』

★★★★☆

『第9地区』の監督作品だということを知って、観ようと思いました。

明るくきらびやかじゃない方の未来を描いたSF作品として、なかなかよかったと思います。

地球側のすさんだ世界の感じとかは『第9地区』と通じるものがあって、確かに同じ監督の作品だと実感できました。まあディテールのアイデアとかは、過去の明るくきらびやかじゃない系SF作品にも似たものがあったりして、大きくそれを越えているという感じではありません。でも、このトーンは結構好き。

たまたま近い時期に観た『スタートレック イントゥ・ダークネス』と対比するとなかなか面白いのですが、一方は正規軍が反乱を抑えこむ表側の物語、もう一方は、抑圧された下々の人間が支配層に反旗を翻す裏側の物語。自分は、意外とどちらも好きらしい。

マット・デイモンやジョディ・フォスターなどの有名な俳優を起用できたのは、『第9地区』での監督の評価が高まったせいもあるのだと思いますが、この作品には、有名俳優はいなくてもよかったかも。名も知らぬ下々の人間をセレブが演じる必要はないように思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.elysium-movie.jp

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

★★★★☆

前作の印象がよかったので、今回も観るつもりでした。

結論としては、昔ながらの王道SF映画。もちろん、映像表現も進化しており、イマドキの俳優さんを起用しているのでしょうが、(たぶん)わざと奇をてらったことをやろうとはしていないので、安心して観ていられます。

相変わらず、カークとスポックは、考え方の違いから随所でぶつかります。スポックの冷静とカークの情熱は、どちらも極端ですが、作品全体としては、スポックがカークの考え方を受け入れていく傾向が強い気が。個人的にはもうちょっとスポックの冷静さ、論理性の価値も評価してほしいものです。

ジョン・ハリソンは、本当におそろしい敵で、その演技もよかったと思います。あのくらいいかにも悪役というキャラクターを持ってくるのであれば、ストーリーもこの最強最悪の敵にどうやって勝つか?というところにフォーカスしてもよかったかも。

途中、カークがエンタープライズ号のエンジンを直すシーンでは3.11を思い浮かべてしまいました(字幕では「放射線」ならぬ「照射線」となっていましたが…)。そして、敵の宇宙船が地上に落ちてビルをなぎ倒すシーンでは、9.11を思い浮かべました。
まあ私の考えすぎかもしれませんが、結構挑戦的ですね。

そう言えば、『マン・オブ・スティール』『キャプテンハーロック』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』と、続けて3D上映がある作品を観たのですが、結局3Dを選んだのは『キャプテンハーロック』のみ。
普段、ほとんどレイトショーしか観ない私にとって、レイトショー割引の効かない3Dは2倍の値段となってしまうので、3本も続けて観るのはさすがに経済的に考えてしまいます。

公式サイトは、こちら。
http://www.startrek-movie.jp/index.php

2013年9月17日火曜日

『キャプテンハーロック』

★★★☆☆

私は、世代的には子供の頃にハーロックに接していておかしくないのですが、『宇宙海賊キャプテンハーロック』は、マンガも読んでないしTVアニメも見ていません。映画『わが青春のアルカディア』は観ているのですが、残念ながら、ほとんど何も覚えていません。割と記憶に残っているのは『銀河鉄道999』の映画に登場するハーロックぐらいなので、イマイチどういう世界観なのか、誰と戦っている海賊なのか、よくわかっていません。でも断片的にビジュアルや声の記憶は残っている状態でした。

今回の映画を見て、少し『わが青春のアルカディア』を思い出したのですが、要するに身勝手で人々を苦しめる支配者に反抗して海賊行為を行うので、犯罪者として追われ、恐れられ、でも憧れられ期待されるというのがハーロックの立場ですね。そういう意味では、まさにハーロックでした。

ただ、やっぱりどうしても気になってしまうのがCGです。つくづく、人間をCGでリアルに表現するのは難しいことなんだと感じました。モーションキャプチャを使ってリアルに動いているとはいってもどこかぎこちなく、表情がついているとはいっても、能面のような印象はぬぐえず、ちょっとハイテクなサンダーバードのような感じ。皮膚や洋服のテクスチャも入ってはいるんですが、やっぱり全体としてプラスティックっぽい質感に感じてしまいました。ハーロックのマントなんて、ビニール製に思えました。
今の技術ではこれが限界なのか、もっとお金をかければさらにリアルにできるのかはよくわかりませんが…。

キャラクターデザインが、外人っぽいのはしょうがないんでしょうね。ハーロックってドイツ人の血を引いているはずだし。ただ、顔の造形が整っているけど個性がないと思いました。ただし、ヤッタランだけは、太っちょキャラで三枚目のせいか、ちゃんと個性を感じるし、動きや表情も割と自然で受け入れやすく感じました。

アルカディア号は、あの艦首のドクロマークは残っているものの、アニメ版とはかなり異なるデザインで、好みで言えばアニメ版の方が好きですが、今回のアルカディア号も、画面の中ではなんとなく馴染んでいたようにも思います。

そして声。ハーロックというと、どうしてもアニメ版の井上真樹夫さんの声しか思い浮かばないので、小栗旬くんの声がハーロックのキャラと乖離しているように感じてしまいました。後の登場人物はアニメ版のイメージを持っていないせいか、それほど気になりませんでした。

一応星3つにしましたが、限りなく2つに近い3つかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://harlock-movie.com

2013年9月14日土曜日

『マン・オブ・スティール』

★★★☆☆

昔のスーパーマン、私はちゃんと見たことがないのですが、なんとなく明るく楽しいヒーロー物といったイメージを持っていました。そのイメージと比べると、ずいぶんシリアスな作品ですね。

クラーク・ケントは、真の力を見せることに常にためらいと遠慮があって、子供の頃の回想シーンは、ひたすら苦悩と葛藤してます。作品の前半は、クラークの悶々とした心の状態がひたすら描かれます。
後半は、ド派手な戦闘シーンですが、敵と比べてものすごく強いという感じではないので、割と苦戦するし、その戦いによって街がめちゃくちゃに破壊されるので、必ずしも後味がいいとは言えません。

パシフィック・リムでも思ったのですが、ハリウッドは、ヒーローが敵と戦う過程で街を破壊するということに抵抗はないのでしょうか?日本だと、ウルトラマンが怪獣との戦いで街を壊してしまう描写を大人たちが嫌がったために、最近の作品ではそういう演出が少なくなっている印象があります。

バッドマンのダークナイトシリーズを手がけたクリストファー・ノーランが製作を担当しているだけに、作品の重さはダークナイトシリーズと共通するものがあります。
音楽もすごく似ている気がすると思ったら、同じ人が担当していました。さすがにあのジョン・ウイリアムズの曲は使われていないんですね。確かに、今回の作品の世界観にはちょっと合わない感じがします。

スーパーマンのコスチュームも、作品世界の暗さに合わせたのか、かなりトーンを落としたデザインになっていますが、どうしてもあの赤いマントとかが脳天気な印象で、若干浮いていた気がしました。

映像は、本当にスピード感があって、スーパーマンのとんでもないパワーもよく表現されていました。まあ、今の映像技術を持ってすれば、驚くほどではないかもしれませんが。

ところで、スーパーマンの境遇って、ドラゴンボールの孫悟空とよく似てますね。サイヤ人として生まれ、赤ん坊のころに地球に送り込まれ、地球人として成長したころに母星を失った同じサイヤ人が地球にやってきて戦う…。
まあありがちな設定なので、どっちかが真似したというようなものではないでしょうが、戦闘シーンで、ふっとばされた主人公がその勢いで山を破壊してしまう描写とか、そっくりでした。どこかで、仲間を殺された怒りから、スーパークリプトン人になるんじゃないかと思うほど(^^;)。残念ながら、最初から最後までスーパーマンはスーパーマンでした。

続編があるようですが、今回の敵が"実は生きていた"パターンで再登場するのか、新たな敵が登場するのか、気になるところです。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html?home