原作のマンガは読んでいませんが、聴覚障害者へのいじめの描写がきつすぎると話題になったことが頭の片隅に残っていた作品。
映画については、近所の映画館ではやっておらず当初は観ないつもりでしたが『君の名は。』がとてもよかったので、ちょうど登場人物が同じ年代のこの作品が気になって観てみることにしました。
結論としては『君の名は。』とは全く違う、でもとてもいい作品だったと思います。
ストーリーはかなり暗くて重たい内容でした。それをかなりストレートに、思っていたよりもずっと真面目に描いている印象でした。
キャラデザインはとてもイマドキ感があり、いわゆる胸キュンものと区別がつかないビジュアルなのです。実際、恋愛の要素も入っているのですが、聴覚障害やいじめといったテーマが入っている分、辛さ、苦しさ、悩みなどのネガティブな空気感が強かったと思います。
今年、日本テレビの24時間テレビとNHKのバリバラが放送されたころに『感動ポルノ』という言葉を初めて知ったこともあり、この作品は感動ポルノなんだろうか?という疑問を持ちながら観ましたが、自分としては感動ポルノ的ではないと思いました。
すごくリアルに感じたのは、いじめのきっかけの描き方。人は、それまで自分たちがやっていたやり方やノリを誰かのために変えさせられそうになると、どうしてもその人を排除して、これまでのやり方を維持しようとしてしまうんですね。
本当はやり方を変えることによって新しい何かが得られるということもあるはずですが、なかなかそういう捉え方は難しいようです。ましてや、経験が少なく比較的狭い世界で生きている小学生には、相当なハードルだと思います。
そして、ストーリー上は全くフォーカスが当たらないのですが、あの担任の教師の対応は相当にまずいと思います。
BGMの音楽は、曲としての印象は特に残っていないのですが、サウンドとして印象的でした。というのは、割と目立つノイズが入っているのです。プールで耳に水が入ったときのようなちょっとボソボソとこもったような音が聞こえていました。もしかしたら聴覚障害者の聞こえ方を再現しているのかな?とも思いましたが、公式サイトには、ピアノのハンマーが動く音や消音フェルトが擦れる音などについて触れているので、あれは楽器から出る、本来の音以外の音なのかもしれません。何れにせよ、意図的に入れられたノイズのようです。
さて、今回は渋谷の映画館で観たのですが、周りのお客さんは若い人が本当にたくさん。彼らの目にこの作品はどのように見えたのかなあ。
公式サイトは、こちら。
http://koenokatachi-movie.com