2013年4月29日月曜日

『リンカーン』

★★★☆☆

予想していたことですが、その時代のアメリカの状況がわかっていないと、この作品の核心には触れられないのかもしれません。
実際、映画本編の直前に監督のスピルバーグによる簡単な状況解説映像がついていました。そう言えば『レッド・クリフ』にも解説映像がついていたなあ。海外歴史ものは、やっぱりこういう配慮があると助かります。
とは言いつつ、作品世界に漂う雰囲気だけでも味わい深いものでした。

そもそも私は、リンカーン大統領については、南北戦争の終結、奴隷解放、「人民の人民による人民のための政治」など、ごくわずかの知識しかありませんでした。南北戦争が日本の幕末の時期だということも、かなり最近になって知りました。

この作品を観て驚いたのは、日本ではようやく江戸時代が終わろうとするとき、アメリカではすでに議会での多数決によって法律が決められていたこと。だから、リンカーンがやったことは、奴隷制度撤廃のための憲法改正案を通すための2/3の票集め。でも、そのやり方は限りなく脅迫に近く、必ずしもクリーンではなかったみたい。

憲法改正反対派(奴隷制容認派)は、単純に奴隷が必要だと思っていたわけではなく、昨日まで奴隷だった人たちが急に一般市民になると世の中が混乱するので、これを懸念していた人たちもいたようで、この辺りの客観的なものの見方はさすが。

一方で、白人と黒人が人間として平等なのか、方の上で同等の権利を持つだけなのかが大きな議題となる感覚は、この映画を観るまで私自身では全く想像もしていなかったので驚きました。
結局この時は、白人と黒人は同じ人間ではないが法律上同等に扱われるということで憲法改正が実現します。白人と黒人が同じ人間だと言ってしまうと、世間が納得しなかったようです。アメリカでも女性の参政権も認められていなかった時代、キリスト教的宗教観なども相まって、本質的に白人と黒人は別モノ、男性と女性も別モノというのが一般的な見解だったようです。

作品の中のリンカーンは何だか不思議な人でした。情熱的で信念を持った理想主義者のようでもあり、飄々として全てを達観した仙人のようでもあり、周りの空気を読み時にはズルもする策略家のようでもあり…。でも、この作品ではやっぱりリンカーンの一挙手一投足は発言に注目してしまう。そういう意味では、史実と合っているかどうかはわかりませんが、紛れもなくリンカーンという人物を描いた映画だと思います。

公式サイトはこちら。
http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/



2013年4月20日土曜日

『舟を編む』

★★★★☆

この作品は、『川の底からこんにちは』の石井裕也監督作品なので、絶対見に行こうと思っていました。

『川の底〜』とは、全体的にゆるくてのんびりした空気が漂っていて、クスリと笑える要素が含まれている感じは似ていますが、予想以上に作品のトーンが違いました。強いメッセージは感じませんでしたが、不器用でもまじめにコツコツ努力することはステキなことだと感じられる映画です。

ストーリーは1995年から始まります。なぜ1995年なんだろうと思ったのですが、電子辞書が一般化してきた時代に、あえて昔ながらの紙の辞書作りに奮闘する人たちを描くのに適していたということのようです。
辞書作りの作業にはちょっとだけパソコンが登場していましたがほとんどは手作業で、そのアナログ感であったり時代錯誤感みたいなものを見せたい意図があるのだろうと思いました。そのせいか、辞書編集部や主人公の住む下宿はかなり昭和な雰囲気で、1950〜60年代といっても通用するほど。個人的に嫌いじゃないけど、若干演出過剰な気もしてしまいました。

宮﨑あおいの板前姿は、ちょっと違和感があったかな。

公式サイトはこちら。
http://fune-amu.com

2013年4月16日火曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 第五章「望郷の銀河間空間」』

★★★★☆

今回は、第15話〜18話にあたる部分で、オリジナルでいうとドメルが銀河方面に赴任してきてからヤマトが航路の中間地点バラン星に到達するまでの、割と細々としたエピソードに相当します。2199でもおおよそその辺りが描かれていますが、なかなか濃密でかなり満足度が高かったです。

相変わらずオリジナルとは異なるストーリーではありますが、ところどころでオリジナルを彷彿とさせるシーンが散りばめられています。
今回、ヤマトはドメル艦隊と直接戦闘になるのですが、ガミラス本国からの緊急連絡によりドメルは詰めのチャンスを逃します。オリジナルではバラン星での戦いで似たシーンがあります。
食料と物資の補給目的でビーメラ星(2199ではビーメラ4)にも立ち寄ります。
古代と真田が宇宙要塞に乗り込むエピソードに似た場面も用意されています。要塞を警備しているロボットはオリジナルのデザインを完全に踏襲していました。

ヤマト側、ガミラス側とも一枚岩ではないことがより具体的な事件として描かれ、そんな中で、一人ひとりのキャラクターが見えてきます。

また「謎」の一部が明らかになります。

ちょっとびっくりしたのは、18話でもうバラン星を通過してしまったこと。オリジナルでは20話でバラン星を通過した後は七色星団、ガミラス本星での戦いとイスカンダル到着、帰路をたった6話で描いているのですが、2199では全体のバランスを少し調整したようです。

公式サイトはこちら。
http://yamato2199.net

2013年4月12日金曜日

『ドラゴンボールZ 神と神』

★★★☆☆

 原作者の鳥山明が直接関わって17年ぶりに製作されたと話題のアニメ。

 『ドラゴンボール』のTVアニメは、まあチョコチョコとは観ていましたが、映画作品を映画館まで観に行ったことはこれまではありませんでした。ただ、原作のコミックは好きで、一応全巻持っています。

 で、今回なぜ映画を見ようと思ったかというと、ひとつはやはり鳥山明が参画していることへの期待。本当は、彼の手でこの作品がコミカライズされれば一番うれしいのですが、そういう話があるのかないのかもよくわからないので、とりあえず映画を観てみることにしました。
 TVアニメの絵は、やはり鳥山明本人のデッサン力には及ばないところがあったと思いますが、今回は気合が入っているようなのでそれなりにキレイに仕上がっていそうだったし、予告編映像を観た印象ではアニメーション技術も相当進歩しているようだったので、そこにも興味がありました。

 さらに、比較的簡単に行ける木場の映画館でIMAX上映をやっていることを知り、これも映画館へ行こうと思うきっかけとなりました。
 IMAXというと、2年ほど前にアメリカのサンノゼに仕事で行ったとき、The Tech Museum  of Innovationという科学博物館みたいなところにIMAXシアターがあって、人体をテーマにしたプログラムを観た記憶があります。
 IMAXという技術自体については私もイマイチ理解しておらず、サンノゼで観たものは天球型の超巨大スクリーンでしたが、木場の映画館のスクリーンは大型ですが平面でした。結局のところ、キレイな映像と迫力のある音響が体感できるシアターということのようです。
 ちなみに今回の『ドラゴンボールZ 神と神』の木場でのIMAX上映は一般が2000円でレイトショー割り引きは適応されません。

 で、作品を観た感想ですが、割とギャグテイストの強い路線でしたね。ストーリーについては、まあこんなものかなあという感じ。基本、すごく強い奴が現れて悟空と戦うというものにならざるをえないので、あとは破壊神ビルスのキャラクターとかで味付けされているのかな。ビルスのキャラデザインは、さすが鳥山明。ネコの顔の造形を解釈して、線画でああいうふうにまとめるのは、高度な仕事だと思います。

 あとは、1時間半あまりの作品の中でどうにかリクツをつけて悟空を強くしないといけないわけですが、若干安易な印象はぬぐえませんでした。
 それを言ってしまうと、スーパーサイヤ人も安易なのですが、原作の長期連載の中だと、それまでの長い経緯があるのでなんとなく納得できました。

 アニメーション技術は進歩してますねえ。メチャメチャ強い者同士の格闘戦のスピード感や迫力を感じることができました。ただ、動きが速すぎて、どう攻撃して、それをどう防御してどう応戦したのかといったことがよくわかりませんでした(^^;)。原作コミックだと、その辺かなり細かく描写されていたのですが。

 IMAXについては、最初の予告編などは普通の上映方法で、「ここからIMAXに切り替えます」との宣言があり、確かにその後は映像も音響もワンランクアップした気がします。映像は明るくクリアです。音響はそもそもボリュームが大きいと思いましたが、それでもクリアに聞こえ、低音は振動を全身で感じました。映像と音響だと、音響の方が通常上映との違いを強く感じたと思います。
 ただ、これに2000円払う価値があるかというと、…微妙。通常上映1800円だと考えれば200円アップなので、これならアリだと思います。ただ、レイトショーは通常上映1200円なので、800円アップになってしまいます。これは自分としてはナシ。3D上映と同じように、通常レイトショー料金+200円というような料金設定の方が嬉しいかも。個人的には通常上映でもこれといって不満はないので、普段は通常上映を選ぶでしょうが、ここぞというときには+200円払うと思います。

公式サイトはこちら。
http://www.dragonball2013.com