2012年11月24日土曜日

『ロックアウト』

★★☆☆☆

凶悪犯を宇宙空間に浮かぶ施設でコールドスリープさせる宇宙刑務所を舞台にした近未来SFアクション。製作・脚本がリュック・ベッソン。…ということで、目一杯期待して観に行きました。

結果は…、うーん、期待が大きかっただけにイマイチ。

囚人を宇宙でコールドスリープさせる宇宙刑務所という設定は、面白いと思います。囚人をコールドスリープさせることで収監スペースを節約できるし、食料も運動も必要もないし、暴動を企てる恐れもなくなります。そもそも宇宙空間だから脱獄して市民生活を脅かす危険性もありません。刑務所を宇宙に持っていくというアイデアは、それなりに理にかなっているように思えます。

やっぱり、イマイチだったのはストーリーかなあ。一見いいアイデアに思える宇宙刑務所で、ちょっとしたことがきっかけで囚人たちの暴動が起きて人質を取られてしまうわけですが、その人質の救出劇に話を絞った方がいいような気がしました。
その人質の中に大統領の娘がいるのですが、救出の対象は彼女一人で他の人質や囚人たちの安否は全然問題としないというのも、あまり現実的ではないように思えました。

宇宙刑務所の囚人たちは暴動を起こすまで眠っていたので、お互いのつながりがなかったはずなのですが、あっさりと一人のボスを中心に組織化されるのも違和感がありました。普通は、脱出ポッドやシャトルなど、数少ない地球への帰還手段をめぐって囚人同士の争奪戦になるんじゃないかなあ。多くの囚人たちは、ボスの指示の下、まるでショッカーの戦闘員のように見回りをしたり侵入者を排除したりしているんだけど、そこまでしてボスに従う必然性を感じませんでした。

主人公のキャラクター設定も、元CIAエージェントで、口が悪くひねくれ者のタフガイという感じでなんだかステレオタイプ。別の作品のあんなキャラやこんなキャラを思い浮かべてしまいました。大統領の娘のじゃじゃ馬ぶりもまた然り。

公式サイトはこちら。
http://lockout.jp

2012年11月20日火曜日

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 』

★★★★☆

エヴァンゲリオンと言えば、最初のTVシリーズでは伏線として散りばめた様々な謎に決着をつけることができずに終わり、あらためて劇場版が作られたという経緯があります。この旧劇場版ですが、結局、私が充分に理解できるほどわかりやすく謎の答えが説明されたものではありませんでした。
たぶんエヴァって、その作品中では謎についての説明が最低限かそれ以下に抑えられているような気がします。また、いわゆるSF的で合理的に説明しやすい部分と、極めてスピリチュアルで、超科学的な説明しかできない要素が混ざっていて、これが私の感覚の中ではなかなか腑に落ちるところまでいかないのだと思います。
それでも、理解できる断片だけでも面白いし、作品世界の雰囲気や作画の綺麗さに見る価値を感じてきました。

さて、今回の『〜新劇場版:Q』ですが、初めて、旧作と重複する要素のない、全く新しいステージだけで構成されています。最初、あまりにも破とつながりがない状況だったので、シンジくんの夢オチかと思ったほど。…ということは、何もかもが謎。ここへ来て謎が増えちゃってます。例によって、作中では最低限以下の説明しかなかったので、次回作で明らかになるのか、結局これ以上の説明はないのか、まったくわかりません。
確か新劇場版を始めるときに、旧作よりもわかりやすくするという庵野さんの言葉があったように記憶しているのですが、私はすでにもう信じていません(^^;)。
そもそも、TVシリーズでちゃんと終着点に辿りつけなかった"前科"を考えると「これって次回作でちゃんと完結するの?」「そもそも次回作って完成するの?」と心配になります。次回作でちゃんと解決する前提での星4つかな。

そういえば、破とQの間にこれだけ隔たりを作っておけば、ガンダムシリーズのように、隙間を埋めるストーリーでまた作品が作れるわけですね。そんな目論見もあるのかなあ。個人的には、ダラダラとシリーズがあとづけ的に拡大していくのは好きではないので、破とQの間にについての疑問も次回作ですっきり解決して欲しいと思います。
そう考えると、ますます次回で決着を見るのか不安。そして、私自身のこの作品全体に対する評価も次回作まで見ないとなんとも言えない、というのが正直なところです。

結局今回も、理解できる断片と雰囲気、作画の綺麗さを楽しんだ感じになりました。

それにしても、平日のレイトショーであれだけ混んでいたのは久しぶり。そもそも、序と破のときは一番近くの映画館ではやっていなかったのに、この盛り上がりは何?

公式サイトはこちら。
http://www.evangelion.co.jp

2012年11月13日火曜日

『最強のふたり』

★★★★☆

前評判通りのいい映画でした。ものすごく笑えるとか、ものすごく泣けるとか、ものすごくドキドキするとか、そういう作品ではありませんが、ほのおかしく、ほの切ない感じですかね。

頚椎損傷で首から下が麻痺しているフィリップと、その介護をすることになったスラム出身の黒人ドリスの名(迷?)コンビぶりが描かれているのですが、私の予想とはちょっと違いました。
私の予想は、最初は全くウマが合わない二人が、いろいろな出来事を経て、最後には最高のコンビになっていくのかと思っていましたが、最初から最後までドリスはマイペースだし、フィリップはそれを楽しんでいる感じでした。
フランス映画なのでこういう演出になったのか、実話に基づいたストーリーなのでこうなったのか、よくわかりませんが、これがもしハリウッドのフィクションだったら、最初と最後の二人の関係にコントラストをつけると思うなあ。

俳優陣は、フランス人ということもあると思いますが、誰一人知っている人はいませんでした。
私が何しろ気に入ったのは、フィリップの笑顔の演技。彼は首から下が麻痺している役なので、顔でしか演技できません。そして金持ちの役なので、基本的な振る舞いがきちんとしていて、絶叫したり泣き叫んだりといった派手な感情表現もしません。
そんな中で、ドリスとのやり取りを心から楽しんでいる、ニヤリ、クスクス、ニッコリと笑う顔が、とても印象的でした。

邦題は『最強のふたり』ですが、原題は『UNTOUCHABLE』(フランス語ではたぶん『INTOUCHABLES』)。私は、個人的には原題とぜんぜん違う邦題は好きじゃないのですが、原題のままだと別の映画を思い浮かべてしまうからなあ。『最強のふたり』は、割といいタイトルだと思いました。

ところでこの作品、RG12指定なのですがなぜだろう?若干ドリスの下ネタがえげつなかったかもしれないけど…?

実は、この作品が日本で公開されたときは、近くの映画館でやっていなかったので諦めていました。今回のように、ちょっと後になって上映するスケジュールがあらかじめわかるとこちらとしては非常に助かるのですが、なんとかならないものでしょうかねえ。

http://saikyo-2.gaga.ne.jp

2012年11月9日金曜日

『のぼうの城』

★★★☆☆

原作は読んでいません。

時代劇アクションものとしては、戦いのシーンや水攻めの迫力があったと思います。

2万の軍勢に取り囲まれた城を500の軍勢で守りぬいたという実話に基づいた話だということを最初から知っていたので、どんなにすごい策が登場するんだろう??という期待がちょっと大きすぎたかもしれません。意外と地味な策であり、偶然うまくいっただけのようにも見え、決して圧倒的勝利ではありませんでした。

確かにのぼうは策士だったのかもしれませんが、でくのぼうのふりをして実はキレ者と感じさせる描写はほとんどありません。城を守りぬくことができた最大の功労者がのぼうだったのかも微妙な気が…。なので、正直、見終わった後のスッキリ感がイマイチだったかも。それが史実だと言われればそれまでですが。

野村萬斎ののぼう様ははまり役だったと思います。
ぐっさんの演技は悪くないと思うのですが、なぜかわざとらしさを感じてしまいました。どうしてもコントを見ているような気がして、いつかギャグを言うんじゃないかと思ってしまいました。
上地雄輔の石田三成は、思ったよりはずっとちゃんとしていたのですが、おバカキャラの印象が強すぎるので、彼が戦国武将を演じていること自体がすでに違和感というか…。
そして、市村正親と鈴木保奈美は、比較的最近の大河ドラマでそれぞれ明智光秀、お市の方を演じていた印象が残っていたため、これも若干の違和感がありました。

http://nobou-movie.jp

2012年11月3日土曜日

『009 RE:CYBORG』

★★★☆☆

サイボーグ009の、オリジナルストーリーによる新作です。

009は、子供のころ、赤いユニフォームの方のTVアニメをやっていたのですが、特に一生懸命見たわけではなく(でも、主題歌がかっこよかったのは覚えています)、原作のマンガもチラッと立ち読みぐらいはしたかもしれませんが読破したことはありません。
世界各地出身の9人がサイボーグ化され、それぞれに異なる特殊能力を得て正義のために戦うこと、そして彼らはサイボーグであるがゆえに普通の人として生きていけないという悲しみを背負っていること、というぐらいの基本設定は理解していました。

今回の作品は、従来のセルアニメっぽい線画ですが、キャラクターも3Dデータを作って動かしているそうで、最新のアニメ技術を堪能できました。009の加速装置の見せ方とかもよかったと思います。

もともと009の世界観やストーリーはハード路線らしいので、こうした映像技術もリアル路線のキャラクターデザインがよく馴染む気がします。オリジナルに愛着のある人は石ノ森章太郎の絵と違いすぎるキャラクターデザインに抵抗があるのかもしれませんが、私は気になりません。
ゼロゼロサイボーグたちが、世界各国の出身者という設定も、いまどきの、世界中を舞台にしたストーリーに馴染むので、素晴らしく先見の明があったことを感じます。これでもし中東地域出身のサイボーグがいたら完璧だったのに。

今作のストーリーも途中までは面白かったのですが「神」の扱いがちょっとなあ。神に超常現象起こさせるのがアリなら、何でもアリになっちゃうので、SF(= Science Fiction)としての面白みがなくなってしまう気がします。
実は、赤ユニフォームのとき、劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』という作品があって、ノベライズを読んだような記憶があるのですが、この作品にもボルテックスという超越的な存在が出てきて超常現象を起こすような部分があって、がっかりしたことを思い出しました。
サイボーグ009という作品では、このスタイルが定番なんでしょうかね。

ということで、最新のアニメ技術が素晴らしい作品です。

http://009.ph9.jp