2018年12月16日日曜日

『機動戦士ガンダムNT』

★★★☆☆

当初は映画館で観るつもりはなかったのですが、なんとなく観てしまいました。

『機動戦士ガンダムUC』は一応観てはいるのですが、たいして覚えていないので、その続編といわれてもついていける自信はありませんでした。
たぶん『〜UC』を熟知していると、よりつながりがわかって楽しめるのでしょうが、私ぐらいの知識でも困ることはありませんでした。

ニュータイプという概念は、ファーストガンダムから登場します。映画版だと1作目から言葉として出てきたと思いますが、その元となる最初のテレビシリーズではかなり後半の方になるまで出てきません。富野さんはいったい、ファーストガンダム制作過程のどの段階でこの概念を思いつき、その時点ではどう定義していたのでしょうか。
結局ファーストガンダムの作中ではニュータイプが何なのか明確に語られることはなく、その存在を信じていない人もいるし、信じてないけど政治利用する人もいるといった状況。
でも、そのおかげで、今になってニュータイプを主要なテーマとしてたガンダム作品ができるわけで、作品世界を形づくる設定の重要性をあらためて感じさせられます。

では、本作でニュータイプについての「答え」が得られるかというと、やはり曖昧なままな気がします。また、魂だけで存在できるとか死者と交信できるといった、ちょっとオカルトチックな説明が出てきて、私にとってはあまり好みではない方向に向かいつつあるような気配を感じてしまいました。
今後も宇宙世紀もののガンダム作品が制作されるようですが、あまりにもニュータイプの精神世界を描く方向へ進むようだと、私はついていけないかも。

公式サイトは、こちら。
http://gundam-nt.net

『ドラゴンボール超 ブロリー』

★★★☆☆

長い歴史があるドラゴンボールシリーズは、かつての敵が仲間となり、子供が生まれ成長し、気がつけば登場人物がとんでもなく多くなっています。2時間足らずの映画作品で、彼らをみんな登場させようとするのはかなり無理があります。

そして、バトル作品の宿命として最新作には最強の敵を出さざるを得ない都合上、結局戦闘力の高い一部の登場人物しか活躍の場が与えられません。

たぶんそういう理由だと思いますが、本作では登場人物がかなり抑えられており、クリリンも武天老師も悟飯も悟天も17号もまったく出てきません。
ストーリーも極めてシンプルで、フリーザとベジータ、ブロリーの過去の因縁のエピソード以外は、ほぼバトルシーンのみです。

ブロリーというキャラクターについては、原作コミックには登場しないので、何となくいたなあ…という程度の印象しかありませんが、過去のエピソードは想像の範囲を超えるようなものではありませんでした。
そうなると、本作の見どころは結局バトルシーンということになると思います。けっこう時間も長いと思いますし、アニメーション技術的にも非常にこだわって描いているのではないかと思います。とても迫力があります。

登場人物を絞って、ストーリーをシンプルにして、バトルシーンに注力したという考え方はうまくいっていると思いますし、ネット上でも評価されているようです。
ただ、私自身はあそこまでバトルシーンを見たいと思っているかというとそうでもないので、星3つとしました。

公式サイトは、こちら。
http://www.dbmovie-20th.com

2018年12月15日土曜日

『パッドマン 5億人の女性を救った男』

★★★★★

ひとことで言うと、インド版プロジェクトXな映画です。
私は、モノづくりに打ち込む人たちのエピソードに強く共感して感動してしまう傾向があるので、この映画にもとても感動しました。
同じセンサーを持っている人は、「インド映画なんて」などと思わずに観てみるといいかも。

作品中のセリフで、物語の舞台が2001年とかなり最近であることがわかりますが、インドでは生理用品が高価で、あまり普及していなかったようです。そしてその手の話題を取り上げること自体が暗黙のタブーだったため、主人公の安価な生理用品開発は非常に苦労します。
日本の時代感覚とは少しズレがありますが、日本でもほんの数十年前まで生理用品のCMがテレビで流れることはなかったのだから大差ないと思います。

本家のプロジェクトXでは、TOTOのウォシュレットが取り上げられていたと思います。あれは、シャワーを命中させるためにターゲットの位置のデータを調べる必要があるわけですが、既存の人体寸法データにそんな数値は載っておらず、自分たちで測定したくても協力者が得られず、苦労したと聞いたことがあります。タブー領域の製品開発は常に苦労するのです。

そして、女性の生理にまつわる伝統や習慣は日本にも色々あると思いますが、海外の事情は意外と知りません(私が男性だからかもしれませんが)。インドの摩訶不思議な習慣も非常に興味深いと思いました。

最終的に主人公は国連に招かれて、超下手くそな英語でスピーチをするシーンがあります。たぶん私より英語は下手。でも、とても伝わって、それがすごくいい。ああいう下手な英語が使えるようになりたいものです(^^;)。

最近のインド映画は素晴らしく進化していると思いますが、こういう製品開発ものは初めて観ました。インド国内的にも新しいタイプの作品なのでしょうか。でも、舞台がインドというだけで明らかにインド映画ですし、やっぱり途中で歌が始まるお約束もあるし、喜怒哀楽のあらゆる感情が表現されている感じもインド映画。そのまま、ハリウッドのコピーにならずに進化し続けてほしいものです。

公式サイトはこちら。
http://www.padman.jp/site/

2018年12月4日火曜日

『人魚の眠る家』

★★★☆☆

※ネタバレ情報を含んでいると思いますので、ご注意ください。

ひとことで言うと、脳死と臓器移植がテーマの作品ですが、何だかん見ていて辛くなる作品。

我が子が脳死状態に陥っても、それを死とは受け入れられずに、臓器提供を拒絶する親、というところまでは、様々な医療ドラマなのでもよくあるシュチュエーション。

ここから、親たちがテクノロジーの力を借りて、脳死状態の我が子に細工を施すあたりから、この作品独自のおそろしさが始まります。
しかも、最初のきっかけはさほど異常性を感じないのに、徐々にエスカレートしていくと周りも巻き込んで感覚が麻痺していき、気がつけばマッド・サイエンティストのような状況に。

私は基本的にはテクノロジー肯定派ではあるのですが、テクノロジーが下手に選択肢を増やし期待を持たせてしまうと、かえっておかしなことになるという、困った側面を見せられた気がします。

タイトルの「人魚」は、プールでの事故で子供が亡くなったことにかかっているような、「人形」にもかかっているような気がしました。

公式サイトは、こちら。
http://ningyo-movie.jp

2018年12月1日土曜日

『日日是好日』

★★★☆☆

黒木華さんという女優さんがとても好きなのですが、このところ彼女の出演映画が立て続けに公開されています。さすがに全部観る気はないので主演作である『ビブリア古書堂の事件手帖』だけを観ようと思っていました。

『日日是好日』も黒木さん主演ですが、ちょうど樹木希林さんが亡くなったのと公開時期が近かったこともあり、どちらかというと樹木希林さんの作品という印象だったので観ないつもりでした。それが、最初の公開から少し遅れて近所の映画館で上映し始めたので、やっぱり観に行くことにしました。

結果的には、やはり樹木希林さんの作品だと思いました。本当に自然で、どこまでが演技なのかわからない感じでした。
例えばお茶の生徒の振る舞いを見て「うん、うん」とうなずくような場面で、普通セリフを効かせるのであればそれなりのボリュームではっきりと「うん、うん」と発話するし、黙ってうなずくのであれば声は出さない、という芝居になると思います。
それが、この作品の樹木さんは、明らかに聞かせる演技としては小さい音量で、たまたま口から音が漏れたような「うん、うん」でした。でも実際、人はこういう曖昧なアクションをすることも多いので、樹木さんの芝居はとても自然で、演技っぽくない印象になるのだと思います。

ストーリーは、黒木さん演じる主人公が20歳でお茶を習い始めてからの二十数年間が描かれていますが、特に大きな起承転結はなく、ロードムービー的な展開でした。
それが、理屈で考えず手が勝手に動くまで反復練習するという、茶道の学び方とシンクロしているような気がしました。様々な季節の庭の草木のカットなども、流れ行く月日を感じさせてくれるいい味付けになっていたと思います。

個人的にはロードムービーはあまり好きではありませんが、何となくいい時間を過ごさせてもらえたと思えるような作品でした。

公式サイトは、こちら。
http://www.nichinichimovie.jp

『ムトゥ 踊るマハラジャ』

★★★★☆

20年ほど前、初めて観たインド映画が『ムトゥ 踊るマハラジャ』で、ただただカルチャー・ショックでした。
それ以前から、タモリさんが「インド映画はやたらと長い」「突然ダンスシーンが始まる」などとテレビで話しているのを聞いたことがあったのですが『ムトゥ〜』を観て「ああ、こういうことだったのか」と納得しました。

『ムトゥ〜』はコメディ色が強いので笑いの要素は多いのですが、それ以外にも映像や編集の荒っぽさや、ギャグのくだらなさ、ストーリーの強引さ、演技の臭さなどに失笑してしまうこともありました。音楽も強烈で、インドの民俗音楽とテクノを融合したような、他では聴いたことがないようなものでした。一体どこまでが本気なのか、どこまでが狙いなのか、まったくわからない作品でした。

それ以来、インド映画には何かとんでもないパワーがあるように思えて、日本で上映される作品はなるべく観るようにしてきましたし、『ムトゥ 踊るマハラジャ』はビデオを買い、DVDを買い、CDも買いました。

そんな思い出深い作品が4K&5.1chデジタルリマスター化されたというので、何の躊躇もなく観に行きました。

DVDも長らく観ていなかったので、「ああ、こんな感じだったなあ」と懐かしさを感じましたが、正直言って4K&5.1ch化された効用はほとんど感じませんでした。
画質は、おそらく見比べればきれいになっているのでしょうが、どちらかというと画面の粗さを4Kで忠実に再現した印象でした。音楽は5.1chに分離されたせいか、楽器の音色がCDと少し違うような感じもしました。
そして、このデジタルリマスターによって、この作品の持つパワーが格段にアップしたかというと、特にそんなことはないと思います。逆に言えば、この作品のエネルギー源は画質でも音質でもないということだと思います。
結局、デジタルリマスター化は、最新の映像フォーマットに合わせたという以上の意味はないように思います。

主人公ムトゥと同じ使用人仲間で、テーナッパンという小太りの男が作中に登場するのですが、この人の声が甲高くて、非常に耳障りでした。当時の私は、録音技術がよくないために音が割れているのではないかと思いました。
デジタルリマスター版ではどう聞こえるのか気になっていましたが、結果はやはり耳障りでした(^^;)。まあでも、音が割れているわけではなさそうなので、そんな風に聞こえる声なのでしょう。

あらためて観た『ムトゥ 踊るマハラジャ』は懐かしく、相変わらずの破壊力でしたが、同時にこの20年間のインド映画の進化も感じました。最近のインド映画は、映像、音、ストーリー、演出、演技、どれをとっても非常に洗練されています。それはハリウッド的になったということでもあります。それと比べると『ムトゥ〜』は明らかに野暮ったいと思います。
今のところ、インド映画はハリウッド的要素を取り入れつつもインドらしさを保ってうまく進化している印象ですが、インドらしさを失ってしまうと存在意義が薄れてしまいます。その失ってはいけないインドらしさが『ムトゥ〜』には結実していると思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.muthu4k.com

2018年11月26日月曜日

『ボヘミアン・ラプソディ』

★★★★☆

たぶん私は、年齢的にはクイーン世代なのだと思いますが、もともとそんなに音楽を聴く方ではなく、特に洋楽はほとんど聴かずにきたので、クイーンに特別な思い出も思い入れもありません。
ただ、クイーンというバンドの存在は知っていたし、フレディ・マーキュリーのビジュアルも思い浮かべることができます。楽曲については、今回の映画を通じて「へえ、この曲もクイーンだったのか」という情けない状態ですが、どこかしらで聞いたことがある曲が意外と多くてびっくり。
そして、先に日本でヒットして、逆輸入されるように本国でヒットしたというエピソードも何となく知っていたし、フレディが亡くなったというニュースも何となく覚えていました。
私のような人間でもこれだけ予備知識があったということは、きっとそれだけ存在感のあるバンドだったのでしょう。

映画館で予告編を観て、何となく気になってはいたのですが、大して思い入れもないし、観るか観ないか微妙な感じでしたが、公開後、妙に世間で盛り上がっているので、流されるように観てみました。

インド系移民である生い立ちや同性愛者であることを隠し続けた影の部分や孤独感、身勝手な振る舞いやバンドメンバーとの確執など、絵に描いたような天才、カリスマ、スーパースター像で、これがフィクションならあざと過ぎるストーリーだと思います。

作品内でたくさん使われているクイーンの楽曲はとてもよかったと思いますが、ドラマのBGMとして一部分だけが使用されることも多く、フルコーラス聴きたくなりました。「ボヘミアン・ラプソディ」は、途中からオペラ調になったりする6分間の長い曲だということは作中で取り上げられていましたが、フルコーラス聴かないと結局その6分がどのように構成されているのかよくわかりませんでした。
音楽に関しては、映画の中で全てを聴かせるというよりは、これをきっかけにクイーンの曲を聴きたいと思わせることができれば成功なのかもしれません。とすれば、私のように「ちょっと物足りない」と感じたのは、狙い通りだったかもしれません。

そういうことで、私のように半分普通のドラマとしてこの作品を観てしまうと、ストーリーのあざとさや楽曲の物足りなさといったネガティブな印象もあるのですが、それでも何か惹きつけられるものがありました。
たぶんクイーンに思い入れのある人が観たら、大いに感動するのではないでしょうか。


公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/bohemianrhapsody/

『ビブリア古書堂の事件手帖』

★★★☆☆

原作は読んでいません。
以前テレビドラマになったとき、剛力彩芽さんが原作の主人公のイメージと違い過ぎるということで話題となり、今回の映画の黒木華さんの方がしっくりくるということなので、どんなものなのかという興味がありました。
ところが、映画レビューサイトでの評価は今ひとつ。一瞬、観に行くのをやめようかとも思いましたが、一応初志貫徹。

結果としては、心配していたほど悪いとは思いませんでした。

鎌倉の町が美しい絵で撮られていたと思いますし、黒木華さんはもちろん、野村周平くんの演技もよかったと思います。
過去の時間軸の方の東出昌大くんと夏帆さんも、昭和な空気にけっこうよくなじんでいたと思います。黒木華さんも昭和顔ですが、東出くん、夏帆さんも昭和顔かも。

レビューがイマイチだったのは、やはり原作のイメージと違ったということなのか、謎解きの要素が弱いのか、過去の時間軸のシーンが長い印象なのか、たぶんその辺りの理由なのではないかと思います。
でも、私の一番の目的の黒木華さんはよかったと思います。

公式サイトは、こちら。
https://biblia-movie.jp

2018年11月3日土曜日

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第六章 回生篇』

★★★★☆

全7章(26話)のうちの第6章(19〜22話)。太陽系内でのガトランティスと地球艦隊との戦いの続きからデスラー戦の導入部分まで。つまり、残りはデスラーとの決着と都市帝国戦を残すのみというところまで話が進みます。これは、同じく全26話で描かれた『宇宙戦艦ヤマト2』とほぼ同じペース。

ということで、物語はかなり大詰め。これまで散りばめられた伏線や謎の回収が一部始まりますが、新たな謎も出てきているようで、まだストーリーがどこへ向かうのかよくわからないところがあります。

原作(『さらば〜』『〜ヤマト2』)の面影はほとんどなく、全然知らない物語です。ガトランティス人誕生の起源が明かされますが、何だか難しくて1回見ただけだと完全に理解できた気がしません。

第7章は新星篇で2019年3月1日上映なので、テレビ放送とタイミングを合わせて完結します。おそらく、今後続編の可能性を残した『〜ヤマト2』に近い終わり方になると個人的には予想しています。そうなると、戦死者はあの人とあの人と…。
オープニングテーマ曲で、旧作の都市帝国下部での戦闘とそっくりのカットがありますが、都市帝国のデザインは旧作とは全然違うものになっています。あのカットはオープニングのためだけに作られたのか、実際に本編に登場するのか。
色々と気になります。

※まだ第6章の劇場上映が始まって日が浅いので、詳しいことは何も書けませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2202.net

2018年10月31日水曜日

『search / サーチ』

★★★★☆

とても面白かったと思います。
基本的に全編パソコンやスマートフォンや監視カメラ映像の中だけでストーリーが展開します。なので、ある程度パソコンやネットサービスがわかっている人が見た方が楽しめると思います。
過去のエピソードはWindows XPの画面で、現在のエピソードはmacOSの画面だったりするあたり、ニヤリとしてしまいました。

すべてパソコン画面内というところにこだわって作っているだけに、ログイン画面やスクリーンセーバー、壁紙などがキャラクターのアイデンティティや心情などと結びついて意味を持ってくるのは面白いと思いました。

逆に、アクションシーンや屋外の様子を見せるのはビデオチャット機能やネットのニュース映像を利用してパソコン画面内に収めているのですが、そこまで無理しなくてもいいのでは?という気もしました。
別の見方をすれば、パソコン内で映像が動くことが当たり前になった今、世の中のあらゆる出来事がパソコン内で表現できるところまで来たという、パソコンの進化に対する感慨も覚えます。

この作品は、仮にパソコン画面内だけで見せるという仕掛けがなかったとしてもなかなか面白いサスペンスだったとは思いますが、やはりパソコン画面内だけという縛りがあることで数段面白さが増していると思うので、演出の勝利と言えるかもしれません。

主人公の一家は韓国系のアメリカ人で、失踪した娘は、実は親友と呼べる友達がいないというあたり、今のアメリカのリアルな状況を描いているようで興味深いと思ったら、監督はインド系アメリカ人だそうです。

若干マニアックなのと、パソコン画面内縛りの演出に助けられているところもあると思うので星4つにしましたが、私自身若干マニアックなパソコンユーザーでもあるので、個人的には限りなく星5つに近い印象でした。

公式サイトは、こちら。
http://www.search-movie.jp/index2.html

2018年9月11日火曜日

『マガディーラ 勇者転生』


★★★☆☆

あの『バーフバリ〜』の監督とスタッフたちが、『バーフバリ〜』以前に作った作品で、過去と現代をつないだアクション物というところもやや傾向が似ています。
そうなると、仕方のないことですが、どうしても『バーフバリ〜』と比較してしまいますが、自分としてはやはり『バーフバリ〜』に軍配が上がると思いました。

まずは主役の俳優さんの濃さがかなり違う印象。インド人なので誰でも濃い顔なのですが、『バーフバリ〜』のプラバースはその中でも格別にコッテリしています。ガタイもでかく、そのマッチョぶりがある種超人的。
対して『マガディーラ〜』のラーム・チャランは、どこか現代的てスタイリッシュな雰囲気があって、マッチョではあるのですが、普通の若者の枠を超えていないように見えてしまいます。

また『マガディーラ〜』は現代パートが結構長いのですが、基本的に主人公はチャラく描かれており、さほどヒーローの風格を感じさせません。
さらに、現代パートは割とコミカルなラブストーリーといった展開なのですが、インドの笑いが今ひとつ響いてこない気がしました。

たぶん先に『マガディーラ〜』を観ていれば、このような部分も普通に受け入れていたかもしれませんが『バーフバリ〜』の絶対的な暑苦しさ(^^;)と比べてしまうとこざかしく思えてしまいました。

ということで、やはり私がオススメするとすれば『バーフバリ〜』の方です。


公式サイトは、こちら。
http://baahubali-movie.com/theater_maga.html

2018年8月23日木曜日

『ペンギン・ハイウェイ』

★★★☆☆

原作は読んでいません。
映画レビューサイトでの評価が高かったので期待していたのですが、すみません、私は今ひとつピンと来ませんでした。どういうスタンスで観ればいいのかよくわからなかったという印象でしょうか。

自分が住む街に出現したペンギンの謎に、研究大好きな小学4年生のアオヤマ君が迫っていくのですが、本人は大人の研究者にも負けないつもりなのかもしれませんが、実際には科学的アプローチがきちんとできているわけではありません。
最終的に科学的(SF的)な理屈づけをして謎が解けるのか、それともメルヘン、ファンタジー的な答えとなるのか、どっちなんだろう?とずっと思い続けて、結末も結局フワリとした感じだったので、個人的にはあまりスッキリしませんでした。

アオヤマ君は、活発でスポーツマンというタイプでもなく、単なる優等生でもなく、内向的でナイーブでもなく、少し変わった男の子で、ありそうでなかなかないキャラクター設計だと思いました。私はかなり好き。そんな彼を否定せず、背中を押すお父さんも只者じゃないと思います。
一方で、ガキ大将のスズキ君はジャイアンもどきという印象で、何十年も前のいじめっ子キャラのように感じたのですが、いまどきの小学校にもあんな子がいるのでしょうか。

アオヤマ君の声は北香那さんという若い女優さんが演じてします。この方『めざましテレビ』に出演されているので知ってはいたのですが、小学4年生のアオヤマ君のビジュアルに素晴らしくよくハマっていたと思います。キャラクターの中から自然に発せられているようでした。

お姉さん役の蒼井優さんは逆に、すごく蒼井優さんを感じる声でしたが、実写作品でキャラと一体化するように、お姉さんになっていました。

アオヤマくんとお姉さんの関係を見ていて、『銀河鉄道999』の星野鉄郎とメーテルを思い浮かべました。憧れのお姉さんと冒険の旅に出て、少年が少し成長するという構図が似ている気がします。

スタジオコロリド作品を観たのはたぶんはじめてなのですが、なぜか名前は知っていました。こういう路線の作品を作るスタジオなのでしょうか。今後も記憶にとどめておきたいと思います。


公式サイトは、こちら。
http://penguin-highway.com

2018年8月20日月曜日

『インクレディブル・ファミリー』

★★★☆☆

前作の『Mr. インクレディブル』は、ピクサーの長編アニメの中で初めて人間が主人公の作品でした。
フルCGアニメで人間の顔の造形はおそらくとても難しく作る側もさぞかし苦労していると思いますが、見る側としてはあまり好みではないことが多い印象です。
また、おもちゃが生き生きと動くといったテーマは、まさにCGだからこそできる表現ですが、キャラクターが人間の場合、CGで表現する必然性はそれほどないように思えます。
そんなわけで、当時『Mr. インクレディブル』は私の中ではあまり好きな作品ではありませんでした。

今回『インクレディブル・ファミリー』を観るにあたって、自分の中でその点をどう感じるのかが一つの興味でした。
結論としては、どうでもよくなっていたようです。『Mr. インクレディブル』から『インクレディブル・ファミリー』まで約14年の歳月が流れており、その間CGは当たり前の映像表現となりました。3DCGを従来のアニメっぽく線画に処理したものから、実写と区別がつかないリアルなものまで目にしていると、それはもはや鉛筆で描くかボールペンで描くかぐらいの差に過ぎず、テーマがCG向きかどうかという観点は意味をなさなくなったのだと思います。

ということで、今回は割とストーリー自体を楽しめた気がします。ヒーローとしての活躍という意味では、奥さんのイラスティガール中心に展開していたのはちょっと意外でしたが、まあ普通に面白かったと思います。ただ、バットマンなどのもう少しシリアスなストーリーのヒーローものもいろいろとあるので、それと比べるとかなりライトな印象です。

子供たちが、特殊能力は持っているもののやはりまだ幼いので、しばしば足を引っ張ってしまうところがあります。彼らが人間として、ヒーローとして充分に成長したときの、プロフェッショナルなヒーローチーム、インクレディブル・ファミリーの活躍を見てみたい気がします。…結局私は、シリアスなテイストの方が好みなのでしょうね。

同時上映の短編『bao』もよかったと思います。何作か前の短編はインドを感じさせるものでしたが、今回は中国。ピクサーのスタッフもグローバル化しているでしょうから、これは当然の流れ。ストーリーもキャラクターの造形もどこかアジアを感じました。
こうやって、世界中の様々な感性を取り入れることで、CGによる人間の顔の造形も豊かになりつつある気がします。


公式サイトは、こちら。
https://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html

2018年8月13日月曜日

『カメラを止めるな!』


★★★★★

今話題の作品ですが、ありがたいことに近くのシネコンで上映を始めたので、早速観てきました。

ネタバレは避けたいので、かなりぼやかして書きますが、これからご覧になるつもりの方は、先に読まない方がいいかも。

映画を観る前に、内容について知っていた情報は「ゾンビ映画かと思いきや、途中から…」というようなものでした。
実際、最初はゾンビ映画。しかもかなりのB級。この時点ではどう話が展開するのかまったく読めませんでした。そして、途中からこの映画が何をやりたいのかがわかり始めました。映画作品をたくさん観ていると、実は本作と同じような構造、構成の作品に時々出会うことがあります。そういう意味では、星5つはちょっと甘い気がしますが、その構造パターンの中でもかなり手が混んでいて面白いのは間違いありません。

こういう先品を作るのはさぞ難しいだろうと思います。その難しさは、よくできたミステリー作品と似ている気がします。例えば殺人事件が起こって、探偵が登場します。探偵は色々と調べて犯人につながる手がかりを見つけていきます。それは時に、現場の状況や遺留品であり、関係者の言動ですが、探偵が見聞きしたことは全て、視聴者も知ることができます。でも、この時点では視聴者には犯人はわかりません。

そして謎解きが始まります。探偵は、自分が手に入れた手がかりの意味を解説し、犯人を指摘します。このとき、視聴者が「ああ、なるほど。そういうことだったのか」と納得できると、そのミステリーは面白いと評価されます。

謎解きの前の視聴者は、探偵と同じ手がかりを知っているはずなのに犯人はさっぱりわからず、謎解きを聞くと全ての疑問が解決するという、この落差が大きければ大きいほどミステリーは面白くなります。

そして、探偵が謎解きの解説で「あのときのあれは…」と説明するとき、視聴者が「あのときのあれ」をきちんと思い出せることが重要です。謎解きが始まるまでは現場の様子や人の言動の何に意味があるのかもわからずに見ているにもかかわらず、謎解きが始まったときにはきちんと思い出せるように映像を作るのはかなり難しいはずです。重要なものを強調しすぎると謎解きの前に視聴者が答えにたどり着いてしまいますし、強調しなさすぎるとあとで思い出せなくなります。絶妙なバランスを作り出すために、脚本も俳優の芝居やセリフも撮影の絵作りも、かなり練り上げる必要があるのではないかと想像します。

本作はミステリーではありませんが(ある意味謎解きの妙ではあるのですが)、本当によく練られた、面白い作品だと思います。


公式サイトは、こちら。
http://kametome.net/index.html

2018年8月11日土曜日

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』

★★★★☆

ド派手なアクションエンターテインメント作品として、高いレベルで楽しめたのは間違いないのですが…。

シリーズも6作目となり、特にここ何作かは「いかにトム・クルーズが体を張っているか」を楽しむ作品になっている気がします。

1作目の有名なシーンで、敵の施設内部に侵入し、セキュリティをかいくぐるために天井からワイヤーで吊るされてコンピューターから情報を抜き取るといったものがありました。そもそもスパイなので、人に知られずに活動するということは基本でしょうし、情報戦という意味では、今やネットもスパイの活動場所として外せないと思います。

そういった、情報戦、頭脳戦といった知的(?)なスパイ活動は本作ではほとんどなく、格闘、バイク&カーチェイス、スカイダイビング、ヘリコプターなどの体育会系の活動ばかり。むしろ、それだけを追求して徹底的に高めている感があり、それはすごいと思います。

でもそうなると、次回作がもしあるなら、やはり体育会系路線で行くしかないでしょうし、トム・クルーズの年齢はさらに高くなる中、アクションはさらに高度で危険なものを求められるでしょう。そんなことができるのか心配になってしまいます。
言いかえれば、先のことを考えるなら、もう少し頭脳戦にシフトさせるべきなのに、後先考えずに詰め込めるだけ体育会系アクションを詰め込んでいるのが今作、ということになるかもしれません。

実は、ストーリー展開の細かい部分(誰がどの組織に属していて、誰を狙っているのか、など)はよくわかりませんでした。そういった情報は、ほんの一瞬のセリフの中で説明されていたりするのですが、集中力が落ちて見逃してしまったりすると、「あれ、なんでインドにきたんだっけ?」と、展開についていけなくなります。
それでも、ド派手アクションだけ楽しむことができてしまいました。ということは結局、ストーリーは重要ではない、というのは言い過ぎかな。


公式サイトは、こちら。
http://missionimpossible.jp

2018年8月5日日曜日

『スターリンの葬送狂騒曲』

★★★☆☆

どのくら史実に忠実なのかはわかりませんが、ソ連のスターリンの死を巡る後継者争いを、毒を含んだコメディタッチで描いた作品。
イギリス製作で、ロシアでは上映禁止になったそうです。
どこかで予告映像を見て面白そうだと思った記憶があるのですが、気づいたらいつも行くシネマイクスピアリでやっていたので観てみました。

結論としては、ソ連の歴史についてほとんど知識のない私だと、どうしても部分的にしかわかりませんでした。星3つはそんな私の評価ですが、たぶん予備知識がある人が観れば相当面白いのではないでしょうか。
私は、正直途中で眠くなりました。

スターリンが自室で倒れたとき、部屋の入り口にいた見張りの兵士は、室内の物音に気づいたものの、中を確認してスターリンの機嫌を損ねたら処刑されると思って何もしませんでした。優秀な医者は粛清してしまったのでヤブ医者しか残っていませんでした。側近たちもこれで自分が権力者になれると思い、彼を積極的に助けようとはしません。

そして、スターリン死亡後は、側近たちや親族による次の権力者の椅子の争奪戦です。それがどいつもこいつも自分のことしか考えないクズばかりで、しかも独裁政権を支えてきた人たちなのでやり方がえげつない。何一つ共感できません。その狂気を笑おうというのがこの作品の趣旨だと思います。

シネマイクスピアリの中でも小さめのスクリーン、しかもレイトショーでしたが、思ったよりはお客さんが入っていました。やはりこういう作品に興味を持つ層が一定数はいるようです。
最近はシネマイクスピアリでも、こういうちょっとマニアックな作品も扱うことが増えた気がします。ありがたいことです。

公式サイトは、こちら。
http://gaga.ne.jp/stalin/

2018年8月2日木曜日

『未来のミライ』

★★★☆☆

実は、映画のレビューサイトを見ると結構厳しい評価となっていたので、少々心配しつつ観に行きました。

一応4歳の男の子、くんちゃんの時空を超えた冒険の物語ということになっているのですが、なぜ、どうやって時空を超えるのかというSF的な説明は特にないので、単なる妄想の世界というか、夢オチ的なストーリー展開というか、観ていて腑に落ちる感覚はあまりありませんでした。

どちらかというと、子育てあるあるがかなり丁寧に描写されているので、親世代には共感できる部分が多いかも。子供のしぐさなど、かなり細かく演出していたし。だとすれば、作品全体を子育て奮闘記的な体裁でまとめた方がわかりやすかったのではないかと思ってしまいました。

くんちゃんの声の上白石萌歌さんの演技はとてもよかったと思いますが、個人的には、なぜかその声がくんちゃんから発せられている感じがしなかったなあ。
ミライちゃんの黒木華さんは、ミライちゃんの姿形との一体感があったのですが。
そして、福山雅治さんの声の演技は意外とよかったと思います。

くんちゃんのお父さんは建築家で、くんちゃんの家は彼が自分で設計しているのですが、なかなか面白い構造でした。子供部屋と中庭とリビングダイニング(かな?)がよく登場していましたが、さらにその上に寝室やバストイレがあるようでした。住宅全体の構造を知りたくなってしまいました。

結論としては、物語の根幹部分がやや弱くて枝葉末節が凝っているという印象でした。


公式サイトは、こちら。
http://mirai-no-mirai.jp

『劇場版コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』

★★★☆☆

基本的に医療モノのドラマは好きで、つい観てしまいがちです。救命救急を扱ったものだと『救命病棟24時』シリーズは結構ガッツリ観ていました。たぶんその前にアメリカのテレビドラマ『ER』などがあるのでしょうが、こちらは観ていないので言及できることはありません。

『コード・ブルー』も観ていましたが、ひとことで言えば『救命病棟24時』にドクターヘリという要素を加えて焼き直した作品というのが私の理解で、演出的にも共通点が多いと思いました。ただ、やけに若い美男美女の役者を取りそろえているあたりは、重厚さに欠ける印象もありました。
最初のころは、主要キャストの5人と柳葉敏郎さん演じる指導医の黒田先生も含めて、いずれも人間性に難ありのキャラクターばかりで、ギスギスした空気が嫌でしたが、だんだんお互いの信頼関係が芽生えてくると、少し面白く観られるようになりました。
3rd Seasonは、それぞれ役者としての格がかなり上がっている主要キャストが勢ぞろいした驚きもあり、救命医として一流に成長し、お互いの信頼も増したプロのチームとしての活躍や、フェローを指導する立場の苦悩など、自分にとって共感しやすい部分も多く、結構楽しく観ることができました。

で、映画ですが、3rd Seasonのもう一つの最終回といった内容です。映画らしく災害のスケールは大きいのですが、実はこれまでのテレビシリーズでも結構大きな災害シーンがあったので、圧倒的とまでは言えない気がしました。

3rd Seasonの最終回であり、シリーズとしても一区切りという空気もあるので、どうしても各登場人物の身の振り方に時間を使ってしまい、フライトドクターとしての医療的な活躍の部分がなかったわけではないのですが、印象としてはやや薄かったように思いました。

また、シリーズとしての一区切りと考えた場合、1st Seasonから主要キャスト5人がどう成長したか?の答えが欲しくなります。それは黒田先生が今の彼らを認めるかどうかだと思うので、個人的には黒田先生が映画に登場することを期待していました。
実際どうだったのかは伏せておきますが、私が思っていたのとは少し違う形で、答え的なものに触れていました。

夏休み中とはいえ、レイトショーの割にお客さんが入っていました。本当にこの作品は人気があるんですね。

ところで、この作品のタイトル「コード・ブルー」って、どういう意味でしたっけ?

公式サイトは、こちら。
http://www.codeblue-movie.com/index.html

2018年7月25日水曜日

『ハン・ソロ / スター・ウォーズ・ストーリー』

★★★☆☆

宇宙を舞台にした冒険活劇として普通に面白いと思いました。

ただ、『スター・ウォーズ』のスピンオフ作品としては、やや『スター・ウォーズ』色が薄いような気がしました。
と言っても、私はそんなに『スター・ウォーズ』マニアではないので、本流のストーリーにつながる細かいネタを拾えていないだけかもしれません。
また『ローグ・ワン』がエピソード4に直結するストーリーで予想以上に面白かったので、それと比べると本流とのつながりが少ないように感じてしまうだけかもしれません。

そもそもハン・ソロは、エピソード4でルークとオビ=ワン・ケノービがたまたま雇っただけの人物なので、それ以前にスカイウォーカー家とは何の関わりもなかったのでしょうから、まあ当然といえば当然なのかもしれません。

でもせめて、ジャバ・ザ・ハットぐらい出てきてくれるとよかったかも。

公式サイトは、こちら。
https://starwars.disney.co.jp/movie/hansolo.html

『ジュラシック・ワールド / 炎の王国』

★★★☆☆

なんだかんだ言って、自然の中で躍動する恐竜のリアルな映像が見られるのが楽しみで、ちょっと奮発してIMAX 3Dで観ました。

でまあ、恐竜たちは躍動していたし、IMAX 3Dも迫力があってよかったのですが、まさかストーリーがあんなふうに展開するとは。テレビで、「このシリーズが新しい時代に入った」と言っていた意味がわかりました。そして、ガッカリというか戸惑いというか、自分としては、あまり嬉しくない結末でした。観終わったばかりの気分的なものも含めると星2.5に近い3つかなあ。今後続編が作られてそれを観たら、少し印象が変わるかも。でも逆に「やっぱりやめておけばよかったのに」と言いたくなる可能性もあります。

作中に登場する一部の恐竜は遺伝子操作によって極めて知能が高いという設定になっていますが、ときどき見せるゼスチャがあまりにも人間的で違和感がありました。例えば、頭をぶつけた後痛そうに頭を振るとか、何かを見たときに不思議そうに首をかしげるとか、相手を倒した後雄叫びをあげるとか…。
映画作品として、恐竜にも感情表現が必要という制作側の判断なのかもしれませんが、それをやってしまうともう、ゾンビやエイリアンや妖怪や、そういった人を襲う怪物と同じになってしまう気がします。
最初の『ジュラシック・パーク』の驚きは、絶滅してしまった恐竜を画面上にリアルに蘇らせたことだと思います。恐竜は爬虫類や鳥の祖先なのだから、賢いといってもせいぜいカラスぐらいのレベルがちょうどいいような気がします。

実は『ジュラシック・パーク』のころから恐竜のしぐさについては擬人化し過ぎだと感じていたのですが、本作の終わり方も相まって、ますます自分の好みではない方に展開していっているように思えてしまいます。


公式サイトは、こちら。
http://www.jurassicworld.jp

2018年7月24日火曜日

『空飛ぶタイヤ』

★★★☆☆

『半沢直樹』『下町ロケット』『陸王』などと同じ池井戸潤原作の企業ドラマ。
てっきりこれらのTVドラマと同じ制作チームによる映画だと思っていたのですが、どうやらそういうわけではなかったようです。

それでも作品のテイストがTVドラマと同じような雰囲気なのは、よほど池井戸潤さんの原作に共通の黄金律のようなものが強烈なのでしょう。

1時間ドラマ10話と違って、2時間ほ度で終わる映画なので、部分的にかなり早い展開でした。一方で、登場人物が多くてそれぞれのバックグラウンドをじっくり描く時間はないので「この人誰だっけ?」という状況に陥りそうな場面も。

基本的に勧善懲悪でラスボスははっきりしているのですが、それをどうにかしたいと思っている人があちこちにいて、どの人たち同士はお互いに必ずしも意気投合しているわけではないという関係性がこれまでのTVドラマよりひとひねりしてある印象でした。

充分面白かったのですが、TVドラマと同じ路線でありTVドラマ以上のものはそれほど感じなかったので、TVの2時間ドラマぐらいでよかったのかなあというのが正直なところです。

公式サイトは、こちら。
http://soratobu-movie.jp

2018年6月30日土曜日

『万引き家族』

★★★★☆

是枝作品らしい暗いトーンで、起承転結の結の部分がイマイチはっきりしないのもいつも通り。

社会の底辺あたりで、生活のためには社会のルールなど気にせずしたたかに生きている人たちが生々しく描かれています。そんな中でも、彼らはそれなりに楽しく生活しており、お互いにいたわりあう優しさや穏やかさも持っています。

決して明るくハッピーなエンターテインメントではなく、かといって社会問題として糾弾しようというドキュメンタリーでもなく、色々と考えさせられるドラマでした。

子役の2人を含めて、出演者の演技は素晴らしいです。

音楽が細野晴臣さんだったのはエンドロールを見て知りました。本編の中でBGMがついているシーンは非常に少ないのですが、前衛音楽的というか、これって音楽なの?というかなり変わった印象でした。細野さんだと知り、妙に納得しました。
映画とこの音楽が合っているのか、正直よくわかりませんが、この音楽を作る方も作る方、採用する方も採用する方という感じかも。


公式サイトは、こちらです。
http://gaga.ne.jp/manbiki-kazoku/

2018年6月10日日曜日

『バーフバリ 王の凱旋<完全版>』

★★★★☆

昨年末に公開された不完全版(^^;)ならぬインターナショナル版は141分で、今回の完全版は26分長い167分だそうです。

ちょうど半年前ですが、どのシーンが追加された26分なのかまったくわかりませんでした。我ながら情けない記憶力(; ;)。
監督のインタビューでは、インターナショナル版は時間が短い分展開が早いが完全版は人間ドラマをじっくり見せていると言っていましたが、私の印象ではやっぱり怒涛の展開でした。

この半年の間に、日本の一部の人たちの間でバーフバリがずいぶん盛り上がっているようで、『ムトゥ 踊るマハラジャ』で衝撃を受けて以来のインド映画好きとしては嬉しい限りです。まあ、絶叫上映に参加したいとは思いませんが…(^^;)。

と思ったら、まさかのスピンオフのアニメ作品やコミック版が登場するとか。インド映画でもそういうシリーズ展開ってあるんですね。でもコミカライズは日本で行われるようです。ここまでくると、調子に乗りすぎてどこかで大コケしそうで、逆に不安になります。

もともとこの作品は2部作で『バーフバリ 伝説誕生』の続編です。半年前のインターナショナル版のときは、前作のあらすじが最初に紹介されたような記憶があります。今回の完全版はそれがありませんでした。父親のバーフバリの時代と、25年後の子供のバーフバリの時代と二つの時間軸が描かれていることが、前作を知っていないとわかりにくい気がしました。

一部に熱狂している人たちがいるとはいえ、やはりこの作品は万人にオススメできるものではないと思います。
でも、ちょっとでも気になっているのであれば、観てみるといいと思います。気にいるかどうかはわかりませんが、衝撃を受けることは間違いないでしょう。


公式サイトは、こちら。
http://baahubali-movie.com

2018年5月26日土曜日

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第五章 煉獄篇』

★★★★☆

見応えはあったと思います。

詳しくは触れませんが、デスラーとキーマンの"裏側"が少し見えてきます。デスラーの過去に触れたことは、今後もし続編が作られた場合、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』や『宇宙戦艦ヤマトIII』に相当する作品での彼の行動原理にもうまくつながりますね。

ついでですが、『宇宙戦艦ヤマト 新たなる旅立ち』から『ヤマトよ永遠に』にかけて、スターシャと古代守の子供サーシャが急激に成長したのはイスカンダル人の特性という無理矢理な設定は、時間断層内で育ったことにするという手が使えますね。
その辺のことも考えたうえでの伏線として設定されているのでしょうか。

そして、土星空域でのガトランティスと地球連邦軍との艦隊戦。双方とも数で勝負という状況なので、戦術的な面白さはあまりなくて、とんでもない数の艦船が整列している様が絵として面白いという印象でした。

第五章は、前半はデスラーとキーマンにまつわるエピソード、後半はガトランティスと地球の艦隊戦ということで、ヤマトクルーも、さらに言えばヤマトそのものも存在感がすごく薄いと思いました。全26話の作品なので、いくつかはそういう回があってもいいと思いますが、一章分の4話全部というのは、あまりいいバランスではないような…。

『〜ヤマト2』と比べると、数話分程度展開が早いようですが、第五章の最後と第六章の予告編を見ても、今後どうなるのかさっぱりわかりません。『さらば〜』とも『〜ヤマト2』とも違う展開があるようです。

白色彗星内の都市帝国は、旧作のデザインを引き継がないのでしょうか。シンプルなのに強烈なインパクトがあるあのデザインは傑作だと思うのですが。


公式サイトは、こちら。
 http://yamato2202.net


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2018年5月12日土曜日

『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 誕生 赤い彗星』

★★★★☆

前作は「激突 ルウム会戦」でしたが、ルウム会戦の一部始終を描いているという印象がなく、自分の中では内容とタイトルがしっくりこない印象でした。
どちらかというと、今作の方がルウム会戦が描かれた作品だと思ってしまいました。とはいえ、今作でTHE ORIGINのアニメ作品は終了ということで、結果的にファーストガンダム以前の、キャスバルがエースパイロットのシャアになるまでを描いたストーリーの最終話となれば「誕生 赤い彗星」というタイトルの方が今作にふさわしいのも確かでしょう。

のちにホワイトベースに乗り組むことになるキャラの顔ぶれがそろい、登場人物の年齢も階級もファーストガンダムの1話につながる状況となって、モビルスーツ戦の描写もガッツリとあるので、とても見応えがあるし、あのお馴染みのガンダムを見ている感覚になりました。

後から前日譚を描いた作品というと、スターウォーズの『ローグ・ワン』が『エピソード4/新たなる希望』の数分前まで描くというあのつなげ方があまりに印象的で、勝手にそんな期待をしてしまいました。
正確なことはわかりませんが、本作はファーストガンダム1話の1週間前ぐらいまで描いていたような感じだったので、それなら数分前まで描いちゃってもよかったかも。

アニメ版のTHE ORIGINはひとまずここまでということですが、まあ区切るとしたらここしかないので、よかったような気がします。ファーストガンダムと同じ時間軸に踏むこんでしまったら、最後までいってくれないと気持ち悪いですし、それをこれまで通りのクオリティで作ると何年かかるかわかりませんし。
とか言いつつ、しばらくしたら続編が作られそうな気もします。

公式サイトは、こちら。
http://www.gundam-the-origin.net



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2018年5月5日土曜日

『レディ・プレイヤー1』

★★★☆☆

それほど観るつもりはなかったのですが、世間的に意外と評判がいいようなので、観てみることにしました。

結果としては、普通に楽しいエンターテインメントだったという印象です。

私ぐらいの世代の日本人には、ガンダムや金田バイクやメカゴジラが登場するという感慨もあるのですが、作品全体からすると、ほんの付け合わせ程度でした。また、どうせ出すならデザインも動き方も忠実に、効果音もオリジナルと同じようにして欲しかったかも。その辺りの扱いが、あまりリスペクトを感じませんでした。
それにしても、権利関係の交渉ってどんな感じだったんだろう?スピルバーグに映画に出られるならと、簡単に差し出すものなのかな。交渉の結果断った日本のキャラもいたんだろうか。

作品で描かれている騒動は、VR(バーチャルリアリティ)空間オアシスを巡る利権争いですが、オアシスは言ってみれば大ヒットしたネットゲームの一つといった程度の位置付けなので、オアシスに興味のない人の生活にはほとんど何の影響もない話です。
そう考えると、この映画はバーチャルリアリティが社会に浸透していった先の具体的なイメージを示してはいますが、VRに対する警鐘といった社会的なメッセージがあるわけではなさそうです。

演出上大変だと思うのは、バーチャル空間でのドタバタと当時にリアル世界でもドタバタが起こっていて、その両方の状況をカットを切り替えながら観客に理解させること。
二人のアバターがバーチャル世界では同じ場所にいても、リアル世界では別々の場所にいたりするので、なかなかややこしいのです。


公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/readyplayerone/

2018年4月17日火曜日

『リメンバー・ミー』


★★★★☆

前評判通り、よかったと思います。

メキシコを舞台にしたのは、表現的にもストーリー的にも新鮮味が感じられた気がします。

表現的に面白かったのは、ひいおばあちゃんのシワシワの皮膚。顔のつくり自体は、アニメキャラとしてかなりデフォルメされているのに、皮膚はとてもリアルで、なんとも不思議な感じでした。
そして、ミゲルのえくぼ。どうして3Dアニメのキャラクターにえくぼをつけようと思ったのだろうか?3Dデータ化するとき、顔に表情をつけて動かすとき、えくぼがあると難易度が上がるのだろうか?えくぼがなくても、ミゲルというキャラクターの見え方はさほど変わらなかったのではないかと思えてしまうのですが、作っている人たちは結果に満足しているのだろうか?

例によって『リメンバー・ミー』は邦題で、原題は『Coco』。シワシワのひいおばあちゃんの名前です。何世代もの家族を描いた作品で、主人公はミゲルなのに、あのひいおばあちゃんの名前をタイトルにしてあるのは、なかなか深いと思います。しかもこの深さは言語に依存しないのに、どうしてタイトル変えたがるのだろう(^^;)?

ピクサー映画といえば、同時上映の短編も楽しみの一つなのですが、今回はディズニー・スタジオ制作のアナ雪の続編。これも日本だけの売り方かと思ったら、アメリカでも同じだったようです。
確かに最近ピクサーとディズニーの作品の差は感じなくなりましたが、こういう混ぜ方はどうなんでしょう?

最初のアナ雪のヒットの影響でしょうが、最近のアメリカ産アニメは歌重視の傾向がありますね。今回も『リメンバー・ミー』、同時上映のアナ雪ともに歌のオンパレード。もはやインド映画を笑えませんね(^^;)。
まあ別に悪くはないのですが、流行りの取り入れ方がちょっと露骨すぎる気が…。


公式サイトは、こちら。
https://www.disney.co.jp/movie/remember-me.html

2018年4月9日月曜日

『ダンガル きっと、つよくなる』

★★★★☆

話題のインド映画。
元レスリングのインド代表が、娘たちを超スパルタで鍛え上げるストーリー。
私の世代の日本人にわかりやすくいうと、インドのレスリング界を舞台にした『巨人の星』のような話。

一応実話に基づいているようですが、映画の最初に「父親と2人の娘以外は脚色」というような表記がありました。

インド映画ではおなじみのダンスシーンはありません。歌はいくつかありました。
上映時間もインド映画としてはそれほど長くありません(日本で上映されるのは短縮版かもしれませんが)。
そんなわけで、インド映画らしさはあるものの、かなり普通の感動作でした。とても良くできていると思いましたが、日本には本当にたくさんのスポ根作品があるので、それらと比べて突出しているというほどではない気がしました。
そもそもインドに「スポ根」というジャンルはあるのしょうかね??そういうタイプのドラマがこれまでインドにはなかったから大ウケしたということはないでしょうか?

女子レスリングが扱われており、自分のやり方を押し付けるインド代表のコーチが登場したり、インドにおける女性の地位の低さなどの社会問題にも触れられており、どこかで聞いたようなテーマが含まれています。

主役のアーミル・カーンは、日本でも上映された様々な作品でも主演を務めるスターです。基本、めちゃめちゃマッチョな肉体の役を演じることが多いですが、今回はレスリング選手の現役引退後ということで、かなり太ってだらしない体に肉体改造したそうです。
最近、役作りのための肉体改造が役者としての評価を高める傾向がありますが、あれって医学的に見て問題ないのでしょうか。私は、役者の行きすぎた肉体改造には疑問を持っています。

公式サイトは、こちら。
http://gaga.ne.jp/dangal/

2018年4月8日日曜日

『ちはやふる -結び-』

★★★★☆

広瀬すずに甘いと言われてしまうかもしれませんが(^^;)、前作『ちはやふる -下の句-』よりはよかったと思います。

1作目の『ちはやふる -上の句-』は、寄せ集めの競技かるた部が徐々にまとまっていって東京都大会で優勝するまでの話で、単純明快。この作品は競技かるたを舞台にした青春スポ根モノなので、このくらいわかりやすい展開の方がいい気がします。

2作目の『〜 -下の句-』は全国大会へ進むのですが、団体戦とクイーン戦の両方を描いていたり、幼馴染の新(あらた)くんが、活躍するでもなく、単なる脇役でもなく、中途半端な感じだったりして、やや明快さに欠ける印象でした。

今回の『〜 -結び-』では、クイーン戦は描かず全国大会の団体戦のみで、競技かるたに復帰した新くんとの直接対決もあるので、スポ根モノとしてのクライマックスがはっきりしていました(逆に言うと、クイーン戦がないので、現クイーンの若宮詩暢はあまり活躍の場がない印象でした)。
あとは、後輩を引っ張っていく先輩としての苦悩も描かれており、これもスポ根っぽくてよかったと思います。

広瀬すずさんは、様々な作品に出まくって新鮮味がなくなってきたのではないかと思いきや、キラキラした女子高生を演じきっていました、。

また、『君の名は。』を経験した上白石萌音さんや、大河ドラマ『おんな城主 直虎』を経験した矢本悠馬くんなど、「みんな、すっかり立派になって」という親戚のおじさんのような気分になりました(^^;)。

映画の『ちはやふる』は今回の3作品目で完結ということのようですが、完結というには描かれていないことも多く、原作の漫画はまだ進行中ということもあるので、続編があってもいいような気がしますが、どうなんでしょう??


公式サイトは、こちら。
http://chihayafuru-movie.com/#/boards/musubi

2018年3月13日火曜日

『シェイプ・オブ・ウォーター』

★★★★☆

アカデミー賞にノミネートされたころに作品の存在を知ったのですが、そのときはさほど興味が湧かず、『パシフィック・リム』のギレルモ・デル・トロ監督作品だと知ってやや違和感を覚え、アカデミー賞を受賞したと聞いて結局気になって観に行きました(^^;)。

『パシフィック・リム』は、ギレルモ・デル・トロ監督が日本の特撮を意識して作ったということで観てみたのですが、あまりピンと来ませんでした。しかもこのとき、私の中では勝手に、彼は娯楽性の強いSF作品の監督というイメージができあがってしまいました。

『シェイプ・オブ・ウォーター』の内容や映像のトーンは予告編などでなんとなくわかっていて、それが私のイメージするデル・トロ監督とはちょっと違っていたので、彼の作品だと知って驚きました。

主人公のイザベラは、地味な容姿で、かなりユニークな自分ルールを持っていて、意外と行動的。私は『アメリ』に似ているような気がしました。
1960年代のアメリカの研究機関が舞台なのですが、アナログ感のある研究室内のインテリアや研究装置などはなかなかいい感じ。
そう言えば『アメリ』の監督ジャン=ピエール・ジュネの作品に『ロスト・チルドレン』というファンタジックなSF作品があります。決して似ているわけではないのですが、どこか根底に似た世界観を感じてしまいました。

ストーリーのあらすじだけを思い浮かべると非常にシンプルで、これといったひねりもない印象なので、たぶん細かい道具立てや演出を面白がる作品だと思います。

主人公の掃除婦仲間の黒人女性役を演じた女優さんは『ドリーム』でNASAに勤務する計算係役で出演していました。今度はほぼ同じ時代の研究施設で掃除婦。ちょっと混乱しそう。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/


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2018年1月30日火曜日

『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち/第四章 天命篇』

★★★☆☆

これから観る人のために情報を伏せてしまうと何も書けないので、とりあえず公式サイトに書かれている程度は話の内容に触れます。

今回は、デスラー戦、ゴーランド戦、ザバイバル戦と、割と戦闘中心。
『〜2202』は『さらば〜』の設定、『〜2』の設定、そのどちらでもない設定が混ざっているので、観ながら「ここは『さらば〜』か」「ここは『〜2』」などと意識します。で、どの戦いにもどちらでもない要素が入っていて、新鮮ではあるのですがオリジナルと違いすぎる気がすることも…。

12話で白色彗星と直接対峙するのですが、なぜこのタイミングだったんだろう?ちょっと唐突な気がするし、早すぎる気がしました。『〜2202』の全体を通した謎として「ガトランティス人とは?」というのがあり、少しずつ明らかになってきていますが、どうも自分としてはまだピンとこない感じです。

星4つにしなかったのは感覚の問題ですが、たぶんその辺りが影響している気がします。

『〜2202』で気になっていたこととして『〜2』のようなテレサと島のラブロマンスがあるのかどうか。とりあえず『〜2202』のテレサは服着ていないし、反物質的な存在なので、それはなさそう。個人的にはその方がいいです。

気がつけば『〜2202』も第四章で14話まで進み、ほぼ半分。テレサ発見までに使った話数は『〜2』とほぼ同じ。その割に『〜2』で感じたようなストーリーの引き伸ばし感はなかった気がします。

14話のラストも、『さらば〜』とも『〜2』とも違う展開で、先が読めない終わり方でした。


公式サイトは、こちら。
http://yamato2202.net



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2018年1月21日日曜日

『ゴッホ ~最期の手紙~』

★★★★★

ずっと気になっていた作品なのですが、運よく近くの映画館で上映されていたので観に行きました。

アニメーションには、ロトスコープと言って実写映像をトレースしてアニメ化するという手法がありますが、通常は線画。この作品はそれをゴッホタッチの油絵でやっています。実写映像を元にしているので人物の動きはリアルなのですが、タッチは完全にゴッホなので、何とも言えない不思議な感覚に陥ります。

作品に参加したアーティストは厳しい審査で選抜され、ゴッホタッチの絵を描くトレーニングを積んだそうですが、それでも各自の個性が出るもの。同じシーンなのにカットによって随分調子が変わっていていました。まあそれも"味"だと思いますし、こんなめちゃくちゃなアイデアを実際にやってしまったということを考えると、正直グゥの音も出ません。たぶん、人形アニメよりもっと時間がかかりますよね。

確か20年ぐらい前から、写真をゴッホ調に加工するPhotoshopのフィルターはあったと記憶しています。実写をゴッホ調にするだけならデジタル処理でいくらでもできるはずですが、手書きを選択したその判断には敬意を払います。アーティストたちの作業は相当過酷だったようですが、本当にお疲れ様でした。
実際はデジタル処理も相当使っているようですが、それが前面に出て主張してくる感じはありません。あくまでも人間の手作業が主役でデジタル技術は裏方やサポートという関係性がいいですね。

ストーリーは、ゴッホの死の1年後に発見されたゴッホ最後の手紙をきっかけに、彼の死の真相に迫っていくというものです。単純にゴッホの生涯を描いてもよかった気がしますが、なぜ彼の死後を舞台にしたのかなあ。でも、主人公がゴッホの死の真相に迫っていく中で、ゴッホの人となりや周囲の人たちとの関係がわかってくるので、楽しめました。

近所の映画館では吹き替え版だったのがちょっと残念でしたが、1フレームずつ全てがアート作品だと考えると、字幕が重なっていないのはよかったかもしれません。


公式サイトは、こちら。
http://www.gogh-movie.jp


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2018年1月1日月曜日

『DESTINY 鎌倉ものがたり』

★★★☆☆

山崎貴監督作品。
ファンタジックな作品なので、黄泉の国とか魔物とか実在しないものの造形にCG、VFXが最大限活かされていると思います。

そして、ファンタジックな作品なので、細かい設定や理屈づけよりは雰囲気を楽しむ方がいいと思います。

とりわけよかったのは、高畑充希さんの演技かなあ。旦那さんのことが大好きな若い奥さんをとてもかわいらしく演じています。もともと彼女は、"てへへ系"の演技がとても上手だと思いますが、そんな彼女のためのキャラクターであり、そんな彼女のための作品かもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://kamakura-movie.jp


さて、2017年に観た映画は41本でした(うち、1本だけは動画配信のみで視聴)。前年よりは本数が減っていますが、これといって観たい作品がない時期があったり、観たい作品があるときは結構なペースで映画館に行ったりで、最終的にはこの本数。


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