2015年12月26日土曜日

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

★★★★☆

シリーズで最初に公開されたエピソード4は、1978年に日本で公開され大ヒットしたのはリアルタイムで知っていますが、当時の私は宇宙戦艦ヤマトに夢中だったので、スター・ウォーズはほぼ眼中にありませんでした。テレビで放送されたときに何となく観たり、のちに作られた特別版は映画館で観ているのですが、エピソード5、6となると、観たのか観てないのかもはっきり覚えていません。エピソード1〜3は一応全て映画館で観ています。
世の中にコアなファンがいるスター・ウォーズですが、私の温度感はその程度です。

そんな私でも、冒頭のテーマ曲を聴くと「あのスター・ウォーズの最新作を今見ているんだ」と、ちょっと感慨深い気持ちになってしまいました。まあ『宇宙戦艦ヤマト2199』を観たときの気持ちがザワザワする感じには及ばないのですが(^^;)。
そして、旧作の登場人物が画面に現れるたびに「おお」と思ってしまいました。

そういった高揚感も含めての星4つです。

もう少し冷静に観てみると、割と簡単に敵の武器の弱点を見抜いたりするあたりがSFとしてはちょっと軽めだと思います。あまり細かいことは気にせず楽しむ娯楽作品ということでしょう。旧作もそういう傾向があった気がするので、コンセプトが貫かれているとも言えます。

物語の始まりを描いた本作ですが、登場人物の相関図が少しずつ見えてきて、"フォースの覚醒"が垣間見えてきて、これからどんな展開を見せるのか楽しみです。

ちなみに、結局3D字幕版を観ました。

公式サイトは、こちら。





2015年12月17日木曜日

『007 スペクター』

★★★★☆

前作『007 スカイフォール』がよかったので、同じレベルを期待して観に行きました。結果は期待通り。
マンネリといえばマンネリですが、ド派手なスパイアクション映画として直球ど真ん中でした。

一部、前作やそれ以前の007シリーズのことがわかっていないと理解できない部分もあるようでしたが(私自身、前作はほとんど覚えておらず、それ以前の作品は見たことがないので理解できませんでした)、まあ細かいことは気にせずに楽しむことができました。

基本的に、ある目的に対して、どこかに行く→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→以下、繰り返し…というストーリー展開なので、実はいくらでも話を長くすることができる作りとなっています。今作も、まあ飽きませんでしたが、これでもかと世界中を駆け回ります。

ある場面、作中では北アフリカの砂漠と表現されていましたが、エンドロールによるとモロッコでロケが行われたようでした。実は夏に観た『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』もモロッコでロケが行われています。
ただでさえ似たようなスパイアクション作品でロケ地までかぶってしまうのはあまりいいことではない気がしますね。それにしても、モロッコはロケ地の誘致を積極的に行っているのかな。

ジェイムズ・ボンドとイーサン・ハントもつい比べてしまいます。スパイとしての技能には大きな差は感じませんが、英国紳士の側面を持っている分だけボンドの方がハードボイルドな印象が強い気がします。本物のスパイには不要な特性かもしれませんが、映画作品のキャラとしてはその方が魅力的かもしれません。そしてダニエル・クレイグがそのキャラにとてもうまくはまっていると思います。
そういえば前作では、ボンドが髭を剃るとき、理髪店のように泡をブラシで顔に塗り、シェービングナイフを使う描写があって、その時代錯誤感も含めてとてもかっこよかったのですが、今作ではそう言ったシーンがなかったなあ。ちょっと残念。

公式サイトは、こちら。
http://www.007.com/spectre/?lang=ja







2015年12月12日土曜日

『杉原千畝』

★★★★☆

なかなか見応えがあったと思います。史実に基づいた作品らしいですが、それだけに作品の面白さは史実に依存することになります。純粋にドラマとして見ると、星3.5と4の間ぐらいかなあ。

ビザというと、私にとっては海外旅行に行くとき必要に迫られて取得するものというぐらいの認識しかなかったので、ビザを発行することで人の命が救えるなどということは考えたこともありませんでした。
杉原千畝のことは全く知りませんでしたが、予告編を見て俄然興味が湧きました。

作品は、ほぼ時系列通りに進んでいくので、第二次大戦時、杉原自身と日本、ヨーロッパでどのようなできごとが起こり、それによって情勢がどのように変化していくのかがわかりやすかったと思います。
杉原の最大の功績(?)は、リトアニアでユダヤ人に出国のためのビザを発行してあげたことですが、このビッグイベントが映画の終盤ではなく中盤で描かれていたのはちょっと意外でした。そのあとのストーリーは、私は退屈することなく観ることができましたが、人によってはダレた印象になるかもしれません。

ロケ地は、実際に杉原は赴任した場所とは違うポーランドで行われたそうです。ポーランドといえばアウシュビッツ収容所のあるところですが、確か主演の唐沢寿明さんはフジテレビのドラマ『白い巨塔』で収容所を訪れていましたね。

イスラエルが親日国なのは、杉原のビザ発行が一因だそうです。『海難1890』ではトルコが親日になった一因のエルトゥールル号の事故が描かれていました。人助けで相手から信用してもらうという外交で国際的に良好な関係を築けるなら、こんなに素晴らしいことなはいと思いつつ、現実にはなかなかそれだけというわけにもいかないのだろうとも思い、いろいろと考えるきっかけになりますね。

それにしても、邦画(監督は外国人)なのに英語のセリフが多い作品でした(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.sugihara-chiune.jp





2015年12月6日日曜日

『海難1890』

★★★☆☆

トルコに旅行に行って以来、この国に興味を持っているので、エルトゥールル号とイラン・イラク戦争時のトルコ救援機のエピソードは知っていました。その映画ということで、最初から観に行くつもりでした。

内容的にはよかったと思いますが、やっぱりこれは史実としての出来事がよかったのであって、ドラマとしての脚色部分はそれを超えるほどではないような気がしました。

日本とトルコの友好関係を示すものとして、エルトゥールル号とトルコ救援機はセットで語られることが多く、この作品でもこの2つを取り上げています。私はてっきり、トルコが日本のために救援機を派遣してくれたのは、エルトゥールル号の乗組員を日本が救助したことに対する恩返しなのだと思っていましたが、どうも違うような気がしてきました。

映画の中ではそれを明確に示すセリフなどはほぼありませんでした。それを匂わせるセリフはあったのですが、もし実際にトルコが恩返しを意識していたのなら、あんなに弱い演出にするとは思えません。
忽那汐里さんとケナン・エジェさんはいずれも一人二役で、2つのエピソードの両方に登場しますが、これも観客に両エピソードのつながりを(無理やりにでも)感じさせるための演出だと思われます。
トルコ救援機派遣の決定は、単に国際的な人道支援であって、エルトゥールル号を意識したものではなかったというのが本当のところなのかもしれません。

日本人に助けられたエルトゥールル号の乗組員が、日本や日本人に対してどんな印象を持ったのか、その時の様子を帰国後にどのように周りの人に伝えたのかといったことはほとんど描かれていませんでした。
作中では日本人医師と乗組員の一人は英語でコミュニケーションがとれたように描かれているのですが、両者が言葉をかわす場面はとても少なくて、若干不自然だと思いました。
あまり記録が残っていないのかなあ。

全体的に、ドラマとしての演出に苦心のあとを感じてしまいました。

結論としては、2つのエピソードのドキュメンタリーを見たくなりました(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.kainan1890.jp





2015年12月5日土曜日

『黄金のアデーレ 名画の帰還』

★★★★☆

いい作品だと思いましたが、星はより正確には3.5以上4未満ぐらいかなあ。

クリムトといえば、学生時代に友人と話題にしていた記憶があります。あれは、展覧会か何かがあったんだったかな。個人的には割と苦手な画風なので、私自身は行かなかったけど。

なので、アデーレの肖像画も知っていたのですが、この作品の返還に関するエピソードは全く知りませんでした。1998年〜2006年というと(私のスケールでは)つい最近の出来事なのに、なぜだろう。

映画作品としては、名画にまつわる数奇な運命の物語でもあり、ナチスによる弾圧に巻き込まれた人々の悲劇でもあり、法廷モノでもあるというような雰囲気。
ちょっと欲張りすぎていて軸がはっきりしない気がしなくもないですが、実話に基づいているせいか、何となく説得力がありました。

主人公のマリアは、気まぐれで頑固なおばあちゃんとして表現されていて、ちょっとコミカルだけど憎めないキャラクターでいい味が出ていました。

偶然でしょうが、近い時期に公開される『杉原千畝』もナチス弾圧が激しかった頃の話ですね。先日イスラエル映画『ハッピーエンドの選び方』を観たのですが、イスラエルが親日国なのはこの杉原千畝の活動によるそうです。同じく親日国トルコが親日になった出来事を描いた『海難1890』も近い時期に公開。なんだか勝手に、いろいろつながってるなあと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://golden.gaga.ne.jp





2015年12月2日水曜日

『ハッピーエンドの選び方』

★★★★☆

おそらく人生初のイスラエル映画。
割と前評判がいいようだったので、観てみたくなりました。

別に疑っていたわけではありませんが、ストーリーも役者の演技も映像の品質も、ハリウッド作品と比べても全く遜色ありませんでした。このクオリティの作品がどんどん作られているなら、もっと日本でも観られる機会があるといいのに。

内容的には、尊厳死や安楽死を扱っているので決して明るい話ではありませんが、適度に笑いの要素も入れてあって、深刻になりすぎないよう調整されている印象でした。

死をテーマとした作品という点では、この作品の監督が『おくりびと』に影響を受けたらしいですが、私は『エンディングノート』もちらっと思い浮かべました。

イスラエル映画ということで、イスラエルの生活が垣間見えるかと期待したのですが、舞台が主に老人ホームということもあるかもしれませんが、あまり独特の事物は見当たらず、アメリカだと言われれば信じてしまいそうな感じでした。死がテーマですが、ユダヤ教の宗教性が現れているという印象も特になし。唯一、墓地(たぶん)が見たことのないスタイルでした。
逆に言うと、イスラエルのことを特に知らなくても、普通に観られる作品だと思います。

役者のセリフは、公式サイトによるとヘブライ語だそうです。音の響きがちょっとフランス語っぽく聞こえることがありました。
同じく公式サイトを見ると、女優さんの一人はエルサレム生まれだとか。「エルサレム生まれ」って、なんかそれだけで「すげー」って思ってしまいました(^^;)。

とてもいい作品だと思ったので星4つにしましたが、初めてイスラエル映画を観た喜びが若干含まれているかも。冷静に評価すれば3.5ぐらいかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://happyend.asmik-ace.co.jp