2015年1月15日木曜日

『チェイス!』

★★★★☆

正直、インド映画には若干点が甘いと思います。本当は3.5ぐらいかな。

銀行の融資を受けられずに、シカゴのインドサーカス団の団長である父親が自殺したことを恨んで、大人になった息子が仕返しをする復讐劇。

舞台がシカゴで、タイトルの通りバイクや車の派手なカーチェイスとかもあってかなりハリウッド的なのですが、やっぱりインド映画の破天荒さやダンスシーンなどもあって、進化した現代のインド映画という感じ。

日本上映版は147分だけどオリジナルは162分だとか。いくつかのシーンがカットされているらしい。
『ロボット』のときも最初に上映されたのが短縮版で、完全版が観たいという声を受けて期間限定で完全版が上映されたはず。両方観てしまったのは私です(^^;)。あのときは、ダンスシーンがいくつかカットされていたのはわかりました。やっぱり『チェイス!』もダンスシーンかな。

事前情報としては、あり得ないチェイスシーンがあることだけ。実際に観てみると、確かにチェイスシーンは印象的ですが、上映時間全体から見れば意外と短い気がしました。
インド映画は長いので、現地での上映では途中休憩が入ると聞きます。日本でインド映画を観て休憩があった記憶はありませんが、「後半へ続く」的な字幕が出る場合があるのでその区切りがわかります。
『チェイス!』ではそのような字幕はありませんでしたが、中盤でそれまで伏せられていた事実が明らかになり、そこから急にストーリーの傾向が変わったので、たぶんあの辺りで休憩が入ったのではないかと推測します。
あそこで急に人間ドラマに切り替わった感じになって、しばらく派手なアクションが出てこないのが、多用な要素を盛り込んでいるとも言えるのですが、私自身はちょっとダレた印象も受けました。

主役のアーミル・カーンはインドでは大スターだそうです。日本でも上映された『きっと、うまくいく』にも出ていたので、顔は覚えていました。
私が初めて観たインド映画『ムトゥ 踊るマハラジャ』のラジニカーントも当時インドのスーパースターだと聞きましたが、あれはタミル語映画で、『チェイス!』はヒンディー語映画なので、ちょっとカテゴリーが違うのかな。まあ世代もキャラクターも結構違う気がします。

アーミル・カーンの演技がどれだけすごいかは正直よくわかりませんでしたが、サーカス団員としてアクロバットのシーンがあり、バイクチェイスのアクションシーンがあり、ダンスシーンもあるということで、体はムキムキでした。


公式サイトは、こちら。
http://chase-movie.jp

2015年1月5日月曜日

『ベイマックス』

★★★☆☆

ピクサーがディズニーに買収されても両者の作品を結構区別してきたのですが、徐々にどちらの作品かわからないものが出てきました。この作品も、何となくピクサー作品を観るような心構え(?)で観てしまいました。

ベイマックスの造形とアクションは、ドンくさい可愛らしさがとてもよくて、最初から最後まであの雰囲気でゆるい日常的なストーリーが展開するものとばかり思っていました。
ところが、物語の後半はかなりアベンジャーズな感じの派手な活劇。それはそれで楽しいのですが、やっぱりちょっと期待と違う…。

んー、まあドラえもんの映画とかも敵と戦ったりするので、あれと同じだと思えばいいのかなあ。でもドラえもんは、通常の短編作品の日常ストーリーがあってのスケールが大きい長編作品だからなあ。
もしベイマックスの続編があったら、ぜひスモールスケールのゆるゆるな作品を観てみたいものです。…でもあの終わり方ではムリだろうなあ。

実はこの作品の原題は『Big Hero 6』だそうです。このタイトルを最初から知っていたら、あのストーリー展開も違和感なく受入れられたかもしれません。

日本を意識したサンフランソウキョウは、結局ハリウッド映画によく出てくるインチキニッポンという感じでしたが、でも日本らしいアイテムが風景の中に沢山出てくるので楽しいです。

アメリカのフルCGアニメーションは、人間のキャラクターの顔の造形には苦労している印象があります。また、手描きアニメの時代からディズニーは動物のキャラクターはいいけど人間のキャラクターはイマイチという話も聞いたことがあり、実際私もそう感じていました。
今回も女性や子供は相変わらずでしたが、ワサビというドレッドヘアーの黒人(?)や、大学教授の顔の造形は結構いい感じに思えました。CGらしいデフォルメをしつつ「こういう人、本当にいそう」という気がしました。CGで似顔絵を描く技術が少しずつ進化しているのかもしれません。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/movie/baymax.html

2015年1月3日土曜日

『バンクーバーの朝日』

★★★☆☆

いい話だと思いました。
南米やハワイや満州などは何となく知っていましたが、カナダ移民というのは初めて聞きましたし、野球チームの存在もその活躍も全く知らなかったので、そのことを知っただけでも価値があったと思います。

ただ、そうなるとドキュメンタリーの方がより自分の興味には合っていると思います。

エンターテインメントとして見た場合、登場人物たちがやけに破棄がない気がしました。必ずしも野球を楽しくやっているように見えないし、バントや盗塁を多用したスモールベースボールも、他に勝てる方法がないので仕方なくやっているので、どうも爽快感に欠ける印象でした。
たぶんそれは、史実に基づくリアルな描写なのかもしれませんが、だとしたらドキュメンタリーでいいじゃないか、ということですね。

映画では語られていないことで気になったこととして、仕事も少なく低賃金で生活に余裕もないのにどうして野球チームができたのか、カナダ人から差別されていた日本人移民のチームがどのような経緯でカナダリーグに参加するようになったのか、彼らが"発明"したスモールベースボールの具体的な戦術とはバント、盗塁以外にどんなものがあったのか、実際の戦績はどのようなものだったのか、などがあります。
仕事をしながら野球をやっていたのに、遠征とかどうしていたのかもわからないし、そもそも球団運営資金はどこから出ていたのかも不思議です。
そういう意味では、この映画はあくまでもバンクーバー朝日への興味の入り口なのでしょう。

移民一世と二世の意識に違いは作品の中でもちょっと描かれていて、なかなかよかったと思います。

名の通った役者さんが結構出てくるのですが、妻夫木くん演じる笠原とその家族、野球チームの4〜5名以外はほぼチョイ役かなあ。宮崎あおい、ユースケ・サンタマリア、本上まなみの役は、登場しなくてもいいぐらいだし、貫地谷しほりもあまり持ち味が発揮されているとは思えませんでした。よく意味がわからないキャスティングでした。

公式サイトは、こちら。
http://www.vancouver-asahi.jp