2011年2月28日月曜日

『月に囚われた男』

★★★★☆

面白い。予想以上。2009年の作品ですが、もっと話題になってもいいと思うなあ。

最近のシネコンでは、ちょっと地味めの作品を短期間だけ上映することが時々あるのですが、これもたぶんそんな作品。
監督は、デヴィッド・ボウイの息子さんだそうです。イギリス映画です。

ある会社が、月の裏側でエネルギー資源採掘を行う施設を作り、スタッフ1名で運営しています。そのスタッフが主人公。だから、登場人物は事実上1人。回想シーンや、写真や、通信相手として他にも何人か出てきますが、全部含めても5〜6人というところでしょうか。

月世界が舞台なので、SFっぽいアイテムが色々と出てくるのですが、割とチープです。月面走行車とか、ミニチュアなのが分かるし。
また、ある理由で主人公のソックリさんが登場するのですが、当然役者はそれを一人二役で演じています。ほとんどの場面で一人の顔が見えるときはもう一人は後ろ姿。つまり、だれか別の人が吹き替えています。面倒な映像処理など行わない昔ながらの方法です。

にもかかわらず、面白かったなあ。
何の予備知識もなかった私には、途中まではストーリーがどっちに向かって進もうとしているのかわからず、次はどうなるんだろう?その次は?という感じでした。あとで考えると割と単純な話のような気もしますが、観ている最中はけっこうどっぷりと入り込めました。たぶん、淡々として、あまりスピーディーでもない演出の影響もあるんでしょうね。





2011年2月14日月曜日

『ジーン・ワルツ』

★★★☆☆

 『チーム・バチスタの栄光』と同じ原作者ということで、勝手に医療ミステリーというイメージを持っていたのですが、『ジーン・ワルツ』は、私が思うところのミステリーではないかなあ。

 かといって、天才外科医が死の危機にさらされた命を救うような医療ドラマとも違います。
 そもそも、菅野美穂演じる主人公は人工授精技術を持っているようですが、その腕をふるうシーンはちょっとしか出てきません。超音波診断と帝王切開もちょっと。
 つまり、それ以外は妊婦と医者の会話、または医者と医者の会話ということになります。その中に、産科医療の課題は何か?理想は何か?ということが含まれていたり、産みたくないのに子どもができた人、産みたいのに子どもができない人など、妊娠、出産にまつわる様々な立場が描き出されています。

 最初から、そういう作品だと思っていればそれなりによかったような気もするのですが、ミステリーとして期待してしまっていたせいか、ちょっと肩透かし感がありました。





2011年2月13日日曜日

『洋菓子店コアンドル』

★★★★☆

 蒼井優は、田舎娘を演じるのが本当にうまいですね。それだけで星4つ(^^)。フラガールの時は福島弁だったけど、今度は鹿児島弁。世間知らずで勝気で、でも一生懸命でキュートで…、みたいな色々な顔が、うまく一人の人物像としてまとまっているのは見事だと思いました。…いや、単なるファンということかな…。

 他の役者もみんなよかったけど、戸田恵子の、主人公を嫌っているような暖かく見守っているような、期待しているような諦めているような、微妙な関係をさりげなく演じていたのが印象的。戸田恵子というと、私はいまだに機動戦士ガンダムのマチルダ役、伝説巨神イデオンのカララ役という声優のイメージが強いのですが、三谷幸喜作品は言うに及ばず、役者としても素晴らしい実績ですよね。

 洋菓子店コアンドルの所在地はどこの設定なのかわかりませんが、ロケ地は中目黒だったようです。東急沿線で育った私としては、街の風景に何となく懐かしさを感じました。単なる住宅地なのですが、とても魅力的に撮れていたと思います。

 お菓子そのものについては、残念ながら私はあまり興味がないので、何とも…。作っている過程も、完成したお菓子も美味しそうに撮影してるなあ、と感じただけでした。

 ストーリーは、正直言ってありふれてるかな。どこかにありそうな話を舞台を洋菓子店にしただけだと思います。
 でも、泣き、笑いの要素もうまく散りばめてあって、うまく味つけされていました。
 ちなみに、『白夜行』と同じ監督さん。同じ監督が、これほど違うタイプの作品を作ることができるんですね。ちょっとビックリ。



『工場見学 首都圏』

 こんな本を見つけて、衝動買いしてしまいました。
 一応理系。一応工学部。ちょっとワクワクしてしまったもので(^^;)。


2011年2月11日金曜日

『白夜行』

★★★☆☆

 原作の小説も読んでいないし、テレビドラマも観ていません。

 全体の印象としては、とにかく映像も音楽もセリフも、トーンが暗い…。ストーリーも悲劇的なものなので、ふさわしい演出ということになるのかな。

 物語の最後に、過去の殺人事件の真相が明らかになって、観ている側も「ああ、そういうことだったのか」と思いましたが、刑事がどうやって謎を解くのかというところに重きが置かれているわけではない気がしました。どちらかというと、殺人事件の真相がわかることで、なぜ今、彼らはこんな人物像になったのか?という謎が解ける感じなのかなあ。
 この辺が、古典的な推理小説と一味違ってるところかもしれません。

 堀北真希、高良健吾、船越英一郎はいずれも、いい芝居をしていたと思います。
 ただ、堀北真希という人は、ルックス的にちょっとファニーというかイモっぽさがあるというか庶民的というか、そんなイメージがあるので、私としては今回の役はちょっとしっくりこなかったかなあ。彼女の演技がよくないのではなくて、キャスティングに違和感があったということですね。

 堀北真希と高良健吾は子供時代に悲惨な体験をしている役で、子供時代は当然子役が演じています。子役がいい演技をするためには、その悲惨な体験を理解しないといけない気がするのですが、プロの役者とはいえ、子供にどうやって説明するのかなあ。それとも、そこは説明しないで演技指導するのかなあ。この映画を観ていて、ふとそんなことも気になってしまいました。





2011年2月6日日曜日

『川の底からこんにちは』

★★★★☆

 面白い。
 あちこちに脱力系の笑いが散りばめられていて、でもちょっと涙や感動もあり、という、あのジャンルに属する作品。
 個人的には、何となく『踊る大捜査線』シリーズや『亀は意外と速く泳ぐ』などと近い雰囲気を感じました。

 登場人物は、全員不思議なキャラで、概ねやる気がない感じ。満島ひかりさんは、なりきっていましたね。基本やる気がない人が時々頑張ってみたりするので、意外と一貫した人物像として演技するのは難しい気がしますが、とても自然でした。個人的には、時々の頑張りもなくてもいいような気もしましたが。
 脇を固める役者さん達もなかなかいい雰囲気でした。『亀は意外と速く泳ぐ』や『森崎書店の日々』にも出ていた、岩松了という地味な中年オヤジという風情の役者さんが、この作品にも出ていました。まさに脇役専門という感じなのかもしれませんが、印象に残ります。

 満島ひかりと結婚した石井裕也監督は、1983年生まれだそうです。若い!これからが楽しみ。


2011年2月5日土曜日

『経済成長という病 退化に生きる、我ら』

★★★★☆

読み始めて最初に感じたのは、著者の頭の良さと言葉遣いの巧みさ。
本人は経済の専門家ではないと言っていますし、確かにそういう感じはしないのですが、何というか、モノゴトを見聞きしたときに、それについて色々なことに気づき、色々なことを感じ、色々なことを考え、自分の意見を導くということが、高いレベルでできる人なんだと思いました。
言葉遣いは、中には難しい言葉も出てきますが、総じて平易だと思います。ただ、「その言葉をここで使うのか」という表現がたくさんあり、それがニュアンスをわかりやすくしていたと思います。人によってはハナにつくと感じるかもしれませんが、私は結構好き。

内容的には、7割ぐらいは共感できました。
人類が地球に誕生して人口は増加し続けているわけですが、増加プロセスがあるということは、いつかは減少プロセスがあるのは当然で、現に日本は、減少段階に入ろうとしています。そのとき生産も消費もこれまでと比べて減るのは当然なんだから、経済規模は縮小するのが当たり前なのに、経済成長こそが絶対の目標という考え方はおかしいのではないか、というのが著者の主張です。
これを著者は色々な角度から論じます。わかりやすい例で言えば、食品ビジネスの規模を拡大し、肥満が問題になったら今度はダイエットビジネスを興すというのが、無理な価値創造による経済成長絶対主義的な発想。そうではなく、肥満にならないよう日々の食事をつつましくし、それにふさわしいように食品ビジネスの規模を縮小する方が本来やるべきことなのではないか、というのが、この本の言いたいことです。一度贅沢を覚えてしまうと、つつましく控えめな生活に戻るのは大変ですが、著者はこれを"大人として生きる"と表現しています。

共感はできるのですが、今そのおかしな考え方に支配されている枠組みにどっぷり浸かってビジネスに携わっている自分としては、この経済活動を止めるに止められないところもあります。
それでも、現状を否定する視点を得ることができたという点で、この本を読んだ価値はあったと思います。


『GANTZ』

★★★☆☆

原作のマンガは人気があるそうで、確かに惹きつけられるものがありました。

ただ、今回の前編は結局何がなんだかわからないまま終わりました。そうなると、結局異星人殺戮ゲームをやっているだけということになります。まあその中でも、不条理な運命にさらされる人たちの心理や派手なアクション、SF設定の面白さなどは表現できるのです。

最近のこういう作品に登場する若者の言動が、自己中心的、短絡的、日和見的で好きではありません。あれを多くの人はリアルだと感じるのでしょうか。現代の若者は、本当にみんなあんなに愚かなんでしょうか。私の目から見れば明らかに、その愚かな性格のために最大の効果を得る機会をのがしているのですが…。
確かにストーリーを作る上では、キャラクターにああいった性格づけをした方が、ゲームの形勢が変化しやすく、最終的にどうなるのかが読めなくなるので都合がいいのでしょうが。

ともかく、この作品の評価は、後編でどれだけすっきりと謎を解き明かしてくれるかにかかっているような気がします。

アクションやCGはかなり派手で、頑張っていたのではないでしょうか。

この作品、結構暴力的な描写があってPG12指定なのですが、シアターに4〜5歳ぐらいかなあ、子供を連れたお母さん数名が入ってきたので「大丈夫?」と思っていたら、殺戮シーンで退場していきました。ニノと松ケンが出てる〜ぐらいのつもりだったのかもしれませんが、事前によく調べた方がよかったですね。お母さんも大変だ。映画館側も確認してあげた方がいいのかもね。