2012年12月10日月曜日

『砂漠でサーモン・フィッシング』

★★★☆☆

一番最初、映画館の予告編で観たとき、このふざけたタイトルからドタバタ・コメディを想像して、まったく観に行く気にはなりませんでした。
でもその後、どうやら意外とちゃんとした映画らしいことがわかってきて、観てみる気になりました。
実際に観てみると、飛び抜けた何かがあるわけではないのですが、安心感があったと思います。

タイトルからわかる通り、イエメンで鮭を釣るという夢を実行に移していくわけですが、どんなテクノロジーを使って、どんな創意工夫をしてそれを成し遂げていくか、という技術的なプロセスを見せる映画ではありません。
そのプロジェクトに関わる人達の心理的な変化にフォーカスされています。

この作品の登場人物は、何というか、みんなちゃんとしてます。主人公の水産学者はちょっと変わり者だし、英国首相の広報担当の女性もちょっと面白いキャラクターですが、それでも極端なキャラ設定ではないし、変に誇張された演技でもありません。
ストーリーの軸のひとつとしてロマンスも描かれていて、出会いもあれば別れもあるのですが、登場人物の対応が大人。
こんなおかしな依頼をしてきたイエメンの大富豪も、すごく周りがちゃんと見えていて、自分に対する反対勢力にでさえ配慮がある人物として描かれています。

この作品、BBCが関わっているせいか、鮭の遡上の水中撮影(あれは実写なのか…、CGのような気もしました)が、BBCのドキュメンタリー番組っぽく見えました。
ただ、役者の芝居と遡上する鮭が同時に映るカットがほとんどありませんでした。鮭のいない場所で役者の芝居を撮影して、編集で鮭のカットとつなぐことで、あたかもそこに鮭がいるかのように演出しているのが丸わかりでした。それがちょっと残念。

公式サイトはこちら。
http://salmon.gaga.ne.jp

2012年12月3日月曜日

『ボス その男シヴァージ』

★★★☆☆

『ロボット』で、久しぶりにインド映画、マサラ・ムービー熱が蘇ってきたので、その勢いで観てみました。

東京では渋谷と新宿で上映しているのですが、新宿の映画館では月曜日がメンズデーで1000円ということで、新宿を選択。

インド映画では当たり前なのですが、上映時間185分は本当に長い!それでも、面白ければ時間の長さはあまり感じないのですが、本作は若干退屈で、途中眠くなりました。

作品のそこかしこに笑いの要素が入れてあり、小ネタというかギャグが出てくるのですが、あまりにもベタで面白くないことが多かったと思います。
あとは、主人公のシヴァージが気に入った女性に結婚を迫る様がほぼストーカーで、いくらコミカルな演出であってもこれはちょっとないな、と。
シヴァージは、最初から慈悲深い金持ちの実業家で、貧困層から絶大な人気があります。この設定は『ムトゥ 踊るマハラジャ』に近いような気がします。似たような作品をもう一度観ているという感覚も、途中で退屈した原因だったかも。

実はこの作品、インドでの公開は2007年で『ロボット』よりも前。『ロボット』の方は主人公がロボットなので、多少行動がハチャメチャでも違和感がありませんし、アクションも思い切りド派手に表現することができます。本作の後に、よりスケールアップした作品を作るべく、"主人公がロボット"という設定にしたのは、実に筋が通っているように思えます。

それでも、インド映画らしい歌とダンス、笑い、涙、アクションなどがこれでもかと盛り込まれた、楽しい作品です。

公式サイトはこちら。
http://www.masala-movie.com/sivaji/

2012年12月2日日曜日

『カラスの親指』

★★★☆☆

まあ普通に楽しめました。

詐欺師の話なので、オーディエンスに対するだましが色々と盛り込まれているのですが、最初からそのつもりで見てしまうので、あんまり驚かなかったかなあ。別に予想できていたわけではないのですが、誰々は実は◯◯で…みたいな展開はよくあるので、答えがわかっても「まあそういうこともあるだろう」と。
金庫の金をだましとるところで、どういうトリックを使ったのかきちんと説明されていなくて、いくつか腑に落ちない点がありました。また、貫太郎の行動で気になる点が2つばかりあったのですが、あれがなんだったのか結局わからずじまい。この辺は、もう少しクリアにして欲しかったと思いました。
でも、基本的にこういう話は好物です。

上映時間が175分らしいのですが、ちょっと長いかなあ。観ていて飽きはしなかったけど、一番最後の種明かし的部分とかは「まだあるのかあ」と思ってしまいました。一部のエピソードだけ取り出して2時間ぐらいにまとめても映画としては成立するような…。

村上ショージの演技は、うまいのか下手なのかよくわからないなあ。若干セリフが棒読みっぽいのですが、それがかえって、この男には何か裏があるんじゃないかという感じを与えていたような気がします。
石原さとみのおバカキャラはちょっと新鮮でした。最初テレビCM見たときは彼女だと気づきませんでした。
まひろ役の能年玲奈は、爽やかでなかなかよかったと思います。10代前半の人かと思ったら、19歳らしい。
貫太郎役の小柳友は、何か別の作品で見た記憶がありますが、何だったかなあ。図体はでかいのに気が弱いキャラクターをうまく演じていたと思います。

公式サイトはこちら。
http://movies.foxjapan.com/crow/index.html

『エル・ブリ 世界一予約のとれないレストラン』

★★★☆☆

世界一予約がとれないレストランと言われた、スペインのレストラン「エル・ブリ」の、主にメニュー開発の様子を追ったドキュメンタリー映画です。

映画館で上映していたときから気になっていたのですが観られず、今回iTunes Storeでレンタルしました。

https://itunes.apple.com/jp/movie/eru-burino-mi-mi-shi-jie-yi/id573221178

このレストランは、半年間店を休業して、次の年のメニュー開発にあたるのですが、その様子をカメラが追います。

映画作品としてみた場合、時系列に反って淡々とシェフたちの様子が映されるだけなので、特にストーリー的な起伏はありません。その様子に対して、何か解釈や解説が字幕やナレーションとして付け加えられているわけでもないので、本当にただのぞき見しているような感じです。
それでも、忙しく仕事をこなすシェフたちの足だけを写したりするカットがあったりして、映画っぽさも多少見られます。

新しいメニューが創作される様子はやっぱり面白いですね。それはまさにデザインプロセスそのもので、最初はアイデアの断片を次々と試していき、可能性のあるものをコンセプト化して、より狙いにあったものへと調整していきます。さらにディテールを高めていき、コースとしての構成を考えていきます。その間、写真やメモを適宜残していきます。こういう様子を垣間見るのは、ワクワクします。

この映画を観ると、エル・ブリがいかにオーナーシェフ、フェラン・アドリアのワンマンっぷりがよくわかります。メニュー開発にあたって実際に手を動かすのはシェフのチームで、おそらく相当優秀な人達なんだと思いますが、あらゆる判断、決定はフェランにおうかがいを立てます。そして、フェランの言い出すことが、ものすごく感覚的で思いつきっぽい。フェランはほとんど笑わないし、いつ何を言い出すかわからないので、現場はいつもピリピリしています。
エル・ブリの頭脳でありすべてであるフェランと、その手足として働くシェフたちという組織の実態はよくわかりますし、それでうまくいっているんでしょうが、理想的な組織かどうかは、疑問符がつくような気がします。

公式サイトはこちら。
http://www.elbulli-movie.jp

2012年11月24日土曜日

『ロックアウト』

★★☆☆☆

凶悪犯を宇宙空間に浮かぶ施設でコールドスリープさせる宇宙刑務所を舞台にした近未来SFアクション。製作・脚本がリュック・ベッソン。…ということで、目一杯期待して観に行きました。

結果は…、うーん、期待が大きかっただけにイマイチ。

囚人を宇宙でコールドスリープさせる宇宙刑務所という設定は、面白いと思います。囚人をコールドスリープさせることで収監スペースを節約できるし、食料も運動も必要もないし、暴動を企てる恐れもなくなります。そもそも宇宙空間だから脱獄して市民生活を脅かす危険性もありません。刑務所を宇宙に持っていくというアイデアは、それなりに理にかなっているように思えます。

やっぱり、イマイチだったのはストーリーかなあ。一見いいアイデアに思える宇宙刑務所で、ちょっとしたことがきっかけで囚人たちの暴動が起きて人質を取られてしまうわけですが、その人質の救出劇に話を絞った方がいいような気がしました。
その人質の中に大統領の娘がいるのですが、救出の対象は彼女一人で他の人質や囚人たちの安否は全然問題としないというのも、あまり現実的ではないように思えました。

宇宙刑務所の囚人たちは暴動を起こすまで眠っていたので、お互いのつながりがなかったはずなのですが、あっさりと一人のボスを中心に組織化されるのも違和感がありました。普通は、脱出ポッドやシャトルなど、数少ない地球への帰還手段をめぐって囚人同士の争奪戦になるんじゃないかなあ。多くの囚人たちは、ボスの指示の下、まるでショッカーの戦闘員のように見回りをしたり侵入者を排除したりしているんだけど、そこまでしてボスに従う必然性を感じませんでした。

主人公のキャラクター設定も、元CIAエージェントで、口が悪くひねくれ者のタフガイという感じでなんだかステレオタイプ。別の作品のあんなキャラやこんなキャラを思い浮かべてしまいました。大統領の娘のじゃじゃ馬ぶりもまた然り。

公式サイトはこちら。
http://lockout.jp

2012年11月20日火曜日

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 』

★★★★☆

エヴァンゲリオンと言えば、最初のTVシリーズでは伏線として散りばめた様々な謎に決着をつけることができずに終わり、あらためて劇場版が作られたという経緯があります。この旧劇場版ですが、結局、私が充分に理解できるほどわかりやすく謎の答えが説明されたものではありませんでした。
たぶんエヴァって、その作品中では謎についての説明が最低限かそれ以下に抑えられているような気がします。また、いわゆるSF的で合理的に説明しやすい部分と、極めてスピリチュアルで、超科学的な説明しかできない要素が混ざっていて、これが私の感覚の中ではなかなか腑に落ちるところまでいかないのだと思います。
それでも、理解できる断片だけでも面白いし、作品世界の雰囲気や作画の綺麗さに見る価値を感じてきました。

さて、今回の『〜新劇場版:Q』ですが、初めて、旧作と重複する要素のない、全く新しいステージだけで構成されています。最初、あまりにも破とつながりがない状況だったので、シンジくんの夢オチかと思ったほど。…ということは、何もかもが謎。ここへ来て謎が増えちゃってます。例によって、作中では最低限以下の説明しかなかったので、次回作で明らかになるのか、結局これ以上の説明はないのか、まったくわかりません。
確か新劇場版を始めるときに、旧作よりもわかりやすくするという庵野さんの言葉があったように記憶しているのですが、私はすでにもう信じていません(^^;)。
そもそも、TVシリーズでちゃんと終着点に辿りつけなかった"前科"を考えると「これって次回作でちゃんと完結するの?」「そもそも次回作って完成するの?」と心配になります。次回作でちゃんと解決する前提での星4つかな。

そういえば、破とQの間にこれだけ隔たりを作っておけば、ガンダムシリーズのように、隙間を埋めるストーリーでまた作品が作れるわけですね。そんな目論見もあるのかなあ。個人的には、ダラダラとシリーズがあとづけ的に拡大していくのは好きではないので、破とQの間にについての疑問も次回作ですっきり解決して欲しいと思います。
そう考えると、ますます次回で決着を見るのか不安。そして、私自身のこの作品全体に対する評価も次回作まで見ないとなんとも言えない、というのが正直なところです。

結局今回も、理解できる断片と雰囲気、作画の綺麗さを楽しんだ感じになりました。

それにしても、平日のレイトショーであれだけ混んでいたのは久しぶり。そもそも、序と破のときは一番近くの映画館ではやっていなかったのに、この盛り上がりは何?

公式サイトはこちら。
http://www.evangelion.co.jp

2012年11月13日火曜日

『最強のふたり』

★★★★☆

前評判通りのいい映画でした。ものすごく笑えるとか、ものすごく泣けるとか、ものすごくドキドキするとか、そういう作品ではありませんが、ほのおかしく、ほの切ない感じですかね。

頚椎損傷で首から下が麻痺しているフィリップと、その介護をすることになったスラム出身の黒人ドリスの名(迷?)コンビぶりが描かれているのですが、私の予想とはちょっと違いました。
私の予想は、最初は全くウマが合わない二人が、いろいろな出来事を経て、最後には最高のコンビになっていくのかと思っていましたが、最初から最後までドリスはマイペースだし、フィリップはそれを楽しんでいる感じでした。
フランス映画なのでこういう演出になったのか、実話に基づいたストーリーなのでこうなったのか、よくわかりませんが、これがもしハリウッドのフィクションだったら、最初と最後の二人の関係にコントラストをつけると思うなあ。

俳優陣は、フランス人ということもあると思いますが、誰一人知っている人はいませんでした。
私が何しろ気に入ったのは、フィリップの笑顔の演技。彼は首から下が麻痺している役なので、顔でしか演技できません。そして金持ちの役なので、基本的な振る舞いがきちんとしていて、絶叫したり泣き叫んだりといった派手な感情表現もしません。
そんな中で、ドリスとのやり取りを心から楽しんでいる、ニヤリ、クスクス、ニッコリと笑う顔が、とても印象的でした。

邦題は『最強のふたり』ですが、原題は『UNTOUCHABLE』(フランス語ではたぶん『INTOUCHABLES』)。私は、個人的には原題とぜんぜん違う邦題は好きじゃないのですが、原題のままだと別の映画を思い浮かべてしまうからなあ。『最強のふたり』は、割といいタイトルだと思いました。

ところでこの作品、RG12指定なのですがなぜだろう?若干ドリスの下ネタがえげつなかったかもしれないけど…?

実は、この作品が日本で公開されたときは、近くの映画館でやっていなかったので諦めていました。今回のように、ちょっと後になって上映するスケジュールがあらかじめわかるとこちらとしては非常に助かるのですが、なんとかならないものでしょうかねえ。

http://saikyo-2.gaga.ne.jp

2012年11月9日金曜日

『のぼうの城』

★★★☆☆

原作は読んでいません。

時代劇アクションものとしては、戦いのシーンや水攻めの迫力があったと思います。

2万の軍勢に取り囲まれた城を500の軍勢で守りぬいたという実話に基づいた話だということを最初から知っていたので、どんなにすごい策が登場するんだろう??という期待がちょっと大きすぎたかもしれません。意外と地味な策であり、偶然うまくいっただけのようにも見え、決して圧倒的勝利ではありませんでした。

確かにのぼうは策士だったのかもしれませんが、でくのぼうのふりをして実はキレ者と感じさせる描写はほとんどありません。城を守りぬくことができた最大の功労者がのぼうだったのかも微妙な気が…。なので、正直、見終わった後のスッキリ感がイマイチだったかも。それが史実だと言われればそれまでですが。

野村萬斎ののぼう様ははまり役だったと思います。
ぐっさんの演技は悪くないと思うのですが、なぜかわざとらしさを感じてしまいました。どうしてもコントを見ているような気がして、いつかギャグを言うんじゃないかと思ってしまいました。
上地雄輔の石田三成は、思ったよりはずっとちゃんとしていたのですが、おバカキャラの印象が強すぎるので、彼が戦国武将を演じていること自体がすでに違和感というか…。
そして、市村正親と鈴木保奈美は、比較的最近の大河ドラマでそれぞれ明智光秀、お市の方を演じていた印象が残っていたため、これも若干の違和感がありました。

http://nobou-movie.jp

2012年11月3日土曜日

『009 RE:CYBORG』

★★★☆☆

サイボーグ009の、オリジナルストーリーによる新作です。

009は、子供のころ、赤いユニフォームの方のTVアニメをやっていたのですが、特に一生懸命見たわけではなく(でも、主題歌がかっこよかったのは覚えています)、原作のマンガもチラッと立ち読みぐらいはしたかもしれませんが読破したことはありません。
世界各地出身の9人がサイボーグ化され、それぞれに異なる特殊能力を得て正義のために戦うこと、そして彼らはサイボーグであるがゆえに普通の人として生きていけないという悲しみを背負っていること、というぐらいの基本設定は理解していました。

今回の作品は、従来のセルアニメっぽい線画ですが、キャラクターも3Dデータを作って動かしているそうで、最新のアニメ技術を堪能できました。009の加速装置の見せ方とかもよかったと思います。

もともと009の世界観やストーリーはハード路線らしいので、こうした映像技術もリアル路線のキャラクターデザインがよく馴染む気がします。オリジナルに愛着のある人は石ノ森章太郎の絵と違いすぎるキャラクターデザインに抵抗があるのかもしれませんが、私は気になりません。
ゼロゼロサイボーグたちが、世界各国の出身者という設定も、いまどきの、世界中を舞台にしたストーリーに馴染むので、素晴らしく先見の明があったことを感じます。これでもし中東地域出身のサイボーグがいたら完璧だったのに。

今作のストーリーも途中までは面白かったのですが「神」の扱いがちょっとなあ。神に超常現象起こさせるのがアリなら、何でもアリになっちゃうので、SF(= Science Fiction)としての面白みがなくなってしまう気がします。
実は、赤ユニフォームのとき、劇場版『サイボーグ009 超銀河伝説』という作品があって、ノベライズを読んだような記憶があるのですが、この作品にもボルテックスという超越的な存在が出てきて超常現象を起こすような部分があって、がっかりしたことを思い出しました。
サイボーグ009という作品では、このスタイルが定番なんでしょうかね。

ということで、最新のアニメ技術が素晴らしい作品です。

http://009.ph9.jp

2012年10月29日月曜日

『アルゴ』

★★★★★

1979年、イランに取り残されたアメリカの外交官6名を、映画のロケハンのふりをして国外に脱出させるという、実際にあったCIAの救出作戦を元にしたストーリー。

上映時間135分のうち、そうですねえ…110分ぐらいは観ているこっちも緊張しっぱなしという感じで、ギリギリの救出作戦を一緒に体験したような気分でした。
実際の出来事を分解していくと、映画のロケハンのふりというのが奇想天外ですが、あとは想像を越えたようなことはほとんどないのですが、その状況の中では、これ以上ないくらいの緊張感を体験できました。

ベン・アフレックはCIAの救出作戦の専門家役ですが、とにかく無表情で笑いません。派手なアクションも何もないのですが、とんでもなく危険な任務を淡々と進めていく姿が、「ヒーロー」というのとは違うのかもしれませんが、男の強さのようなものを感じさせます。

子供のころ、ニュースで「パーレビ国王」だの「ホメイニ師」だの、よく耳にしましたが、自分とは関係のない遠い国のできごとだと思っていた中で実はこういうことが起こっていたということを知って驚きました。そして、アメリカと中東のイザコザが最近に始まったことではないということも、あらためて思い出すことができました。

映画作品としては非常に面白い本作ですが、一つだけ心が痛むのは、アメリカの外交官たちを見つけ出そうとするイランの革命防衛軍が登場人物たちを恐怖に落とし入れる悪役として描かれていること。
アメリカ国民の中東に対する敵対心をあおるプロパガンダとして、意図的にこの時期にこういう映画を作ったのではないかと勘ぐりたくなります。

http://wwws.warnerbros.co.jp/argo/

2012年10月20日土曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 第三章「果てしなき航海」』

★★★★☆

 第1話は観る機会がありましたが、第2話、第二章を観ていません。

 この作品に関しては、子供のころオリジナルにどっぷりはまりこんでいたため、思い入れを除外して評価することはできません。大きな意味では、あのヤマトを再び観ることができる喜びと、かなりちゃんと作られている(オリジナルへの敬意や愛情を感じる)ことで良い評価になったと思います。

 オープニングタイトルのカット割やフォントの選択なども、オリジナルに近いイメージにしようという意図を感じて、ワクワクしました。

 第三章は太陽系を出る辺りからで、オリジナルよりはちょっと早い展開なのと、オリジナルにはないエピソードが入ってきています。第7話はオリジナルの第10話、第8話はオリジナルの第12話とエピソードのリメイク版という感じで、その違いが色々と気になるし面白いです。第9話は捕虜が登場するところはオリジナル第13話に相当するのかもしれないけど新しいエピソードと言っていいでしょう。第10話も、次元断層という意味ではオリジナル第15話を思い浮かべますが、ストーリーは別物です。

 ストーリーや設定は、やはりいまどきのSFものらしくかなり複雑にしてありますね。ヤマト側もガミラス側も決して一枚岩ではなく、それぞれの組織の中に対立があったり秘密があったりしています。今はまだ、その秘密の部分が伏線として小出しにされている状態なので、後半にどのようにつながってくるのか、その結果オリジナルとどのように印象が変わってくるのか、気になるところです。

 キャラクターデザインは、沖田艦長は比較的オリジナルのイメージに近いのですが、後はいかにもいまどきな感じで、個人的にはあまり好みではありません。声優さんは、今をときめく人がたくさんいるのでしょうが、私にはほとんどわからず、それぞれの声に特徴を感じないので、印象が薄いです。昔の声優さんの方が個性的な声だったように感じるのは気のせいでしょうか。

オリジナルのヤマトシリーズでは2作目以降に登場するキャラクターが、2199では最初から出てくるのは、面白いですね。土方司令や山崎、徳川太助あたりはともかく、平田一が出てくるのは笑えました。このキャラクターは『宇宙戦艦ヤマトIII』で、古代進と同期で生活班所属なのですが、確かにイスカンダルへの航海からヤマトに乗り組んでいて然るべきです。
ガミラス側で笑えたのは、デスラーの側近のタランが兄弟として2名出てくること。オリジナルヤマトのシリーズでは、最初細面のキャラクターデザインだったのですが、どこかの作品からはいかつい顔に変更された経緯があります。それが実は兄弟だったという辻褄合わせをやっているわけですね。

オリジナルと比べてどうこうと言い始めるとキリがないですが、とりあえずこのクオリティなら私は納得できます。少なくとも、ここ最近作られたヤマト作品である実写版、復活篇よりはずっといいです。

http://yamato2199.net

2012年10月9日火曜日

『山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』

最近、映画館で上映される映画以外の作品が増えています。演劇、スポーツ、落語、コンサートなどなど。こういった作品を映画館で観るとどのような体験ができるのか、以前から興味がありました。

山下達郎については、ものすごく好きというわけではないし、作品もそれほど知りません。ただ、CD制作にしろライブにしろ強烈なこだわりを持っているプロ中のプロというイメージがあり、しかもテレビには全く出ないので、どんなライブなのか興味がありました。

ライブを映画館で観て聴くというのは、ちょっと不思議な感覚でした。
まず、やっぱり生で観るのとは違うと思いました。本当の臨場感を感じたいなら本当のコンサートに行くべきでしょう。どんなにステージから距離が離れていて観にくくても、音が反響して聴きづらくても、周りのお客さんが騒がしくても、アーティストや他のお客さんと同じ空間にいるという感覚はコンサート会場でしか得られないようです。
シアター・ライブは、所詮代替品です。視点は決められているし、色々な会場でのパフォーマンスがつなぎ合わされているので、連続性が感じられません。人工的に編集されて用意されたものを見ているという感覚は拭えません。

その前提で観ると、生のコンサートではよほどいい席でなければ得られないベストアングルで見られるし、アーティストのアップも多いし、音はちゃんとミキシングされているなど、いい点も多々あります。

DVDやBlu-rayを自宅で観るのと比べると、大きいスクリーンで没入感があるし、音の迫力は圧倒的。わざわざ映画館まで出向くのも特別なイベントという感じがして悪くないと思います。

お客さんは、下手な映画作品より入っていたと思いますが、達郎ファンなのか映画ファンなのか想像もつきません。曲が終わるごとに拍手ぐらいしてもいいような気がしましたが、特にそういうことはありませんでした。もしかしたら、みんな私と同じくどうしていいのかよくわからなかったのかも。

こういう上映が今後増えていくんでしょうね。これまで馴染みがなかった分、どういう態度で鑑賞すればいいのか悩むところもありますが、もっとどんどんやればいいと思います。
そういえば、ワーナー・マイカル・シネマズでは、映画館のレンタルサービスを実施しているようです。このような動きは、従来の映画作品上映だけではやっていけなくなってきたということなのかもしれませんが、私としては映画館がますます楽しくなっているように思えます。

そして山下達郎のライブの印象。予想通り、基本的に演奏と歌唱に集中していて、それ以外の派手な演出は排除したスタイルでした。でもそれは逆に言えば演奏と歌唱だけで見せたいという意志の表れなのでしょう。この感じ、私はけっこう好きです。
ただ、楽曲自体はやっぱり好きなものと苦手なものがありました。
そして、達郎自身については、ラジオなどでの話しぶりを聴いていると、割と世の中を斜めに見ているというか冷静沈着なイメージだったのですが、ライブで歌っている様子を見ると思ったよりも熱い人のような気がしました。

2012年10月8日月曜日

『天地明察』

★★★☆☆

つまらなくはないのですが、ものすごく面白いとも思わなかったので、まさに星3つといったところ。

まず、時間がずいぶん長く感じました。2時間35分。その中には暦の改変以前のエピソードも含まれています。それが無意味とは言わないけど、テレビのCMなどで知っていた日食や月食予測の対決というエピソードがなかなか始まらない印象でした。

あと、この作品は時代劇だけど科学を取り扱った作品なので、もう少し科学的な説明が必要な気がします。これまでの暦のどこが問題で、安井算哲はどうやって暦の精度を上げたのかが映画ではイマイチわかりませんでした。一応地球儀を眺めながら「あ、そ、そうだったのか!」的な芝居はしているんですが、これだけじゃねえ。

宮崎あおいの時代劇姿を見ると、篤姫に見えてしまいますね。佐藤隆太さんは、申し訳ないけど算術家に見えませんでした。

http://www.tenchi-meisatsu.jp/index.html

『鍵泥棒のメソッド』

★★★★★

いい作品かと問われると、どう答えていいかよくわかりませせんが、よくできた作品であることは間違いないと思います。いろいろな伏線が、後でピタリと辻褄を合わせてくる感じや、後半で明らかになる事実に対する納得感や、ちょっとした笑いなども、本当にうまいと思います。ストーリーに感動したり登場人物に共感することはないので、星の数は正直4.5ぐらいかもしれませんが、ここはひとつ大盤振る舞いということで5つあげてしまいます。

香川照之、堺雅人の演技は、相変わらず素晴らしい。観ていて何の不安もありません。広末涼子は、キャラクター自体がかなりヘンテコな設定で、その言動は不自然なんですが、見ていて「この人はこういう人なんだろう」と思えるということは、うまく演じているということなんでしょう。

エンディングの吉井和哉の歌もなんかカッコよかったです。

http://kagidoro.com

2012年9月10日月曜日

『夢売るふたり』

★★★☆☆

西川美和監督といえば、『ゆれる』『ディア・ドクター』などの監督ですが、私は観たことがありません。でも、どうやら評判がいいようなので、今作を観てみることにしました。

この作品、言ってしまえばバカップルの転落人生。たぶん、この基本的なストーリーの骨子がこの作品の魅力ではないと思います。そこに、都会の風景、街のノイズ、ごく普通の人間の生活、ちょっとしたしぐさ、表情、言葉などを生々しく肉付けしていった結果、完成した作品は、妙に魅力的に仕上がっています。

全体的に「だから何?」的なシーンがつながっていて、本当に表現したいものを行間から読み取らないといけない感じの作品で、何ら救いのない終わり方といい、とても日本的な作品という印象を持ちました。

R15指定なのは、ほんのちょっとそういうシーンがあるからだと思いますが、たぶんそのシーンがなくても作品全体の印象はそれほど変わらない気がします。でも、人間の営みを生々しくリアルに描きたいんだろうな。そのためにはR15でいいと判断したのが監督かどうかわかりませんが、こだわりを感じますね。

なるほど、西川監督というのはこういう作品を作る人なんだと、納得できたし、評判がいいのもよくわかりましたが、最終的にこういう作風が自分の好みかというとそれほどでもないので、星3つにしてみました。

http://yumeuru.asmik-ace.co.jp

2012年9月8日土曜日

『踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望』

★★★★☆

前作3は、個人的にはイマイチだったのと、先日放送されたTHE LAST TVも微妙(踊るの世界観を思い出すのには役立ちましたが)だったので、さすがにパワーが落ちてきたかなあと思いつつ観ました。

結果的には、なかなか良かったと思います。まあ、基本的には過去の作品と同じノリなので、マンネリといえばマンネリ。シリアスなシーンとコミカルなシーンがコロコロと切り替わる感じ。複数の事件が並行して推移しながら、実はつながっているという展開。湾岸署内の、大人数での芝居。絶妙な間でクスリとさせる笑いのセンス。最初のTVシリーズからお馴染みの脇役。では、3と比べて何がよかったのかと問われてもよくわかりませんが、たぶん、ストーリーが好みだったのかなあ。あとは「これで最後」という気持ちで少し点が甘くなったかも(^^;)。

今作ではFINALだけに、青島、室井、すみれが前面に押し出されていて、あとは全部脇役といった印象。3で登場した青島の部下たちは、出演シーンは多いものの、あまり活躍していません。もしかして、彼らに活躍の場を与えるためにTHE LAST TVがあったのか?という気もします。

さて、踊るシリーズは今回で最後ということですが、続けようと思えば続けられる終わり方でした。何年か経ったらもしかして続編が?という気がしないでもない感じです。個人的には、シリーズが続くことへの期待もなくなないのですが、3のときに感じたようにイマイチな作品が増えていくことは望まないので、まあこれで終了ということでいいと思います。

http://www.odoru.com/index.html

『るろうに剣心』

★★★☆☆

監督が大河ドラマ『龍馬伝』と同じで、主要キャストの佐藤健、香川照之、青木崇高、蒼井優は『龍馬伝』にも出ていたので、どうしても『龍馬伝』とダブりますね。特に、佐藤健と香川照之は役柄的にも近いし。

『龍馬伝』が史実にそった歴史モノだったのに対して『るろうに剣心』は、一言で言えばチャンバラアクション映画ですね。とにかくチャンバラシーンが派手。相手を刀で切るというより殴ると言った方がピッタリくる力強さ。スピード。ワイヤーアクション。カメラワークと編集。効果音のボリュームの大きさ。
作品そのものが、チャンバラシーンを見せるためのもののように思えました。

幕末、人斬りとして恐れられた武士が、明治に入って自分の進むべき道を見失い、逆刃刀(峰側に刃がついていて、普通に振っても相手を斬れない)を手に浪人となっているという、その時代ならではの設定はとても魅力的なのですが、この設定を生かした心のドラマとしては描ききれていないような印象を受けました。

確かに逆刃刀なら相手は死なないけど、チャンバラをやるということは結局武力で相手を倒すということで、あそこまで派手にやるなら単にものすごく強い浪人の話でいいように思います。
また、敵役にもそれなりの事情があれば心のドラマとして深みが出ると思うのですが、本当に単なる「悪」なので、こちらとしては「こいつらはやっつけて当然」という気持ちになります。

ということで、ごくごくシンプルな勧善懲悪の構図の中で、目一杯派手でスタイリッシュなチャンバラアクションを楽しむ作品だと思いました。

http://wwws.warnerbros.co.jp/rurouni-kenshin/index.html

2012年9月1日土曜日

『プロメテウス』

★★★☆☆

これぞSF映画という感じで、映像や設定のディテールはよくできていると思いました。

ただ、釈然としない点も少なくありませんでした。

まず、人類の起源を探る目的で惑星探査を行うという話なのですが、その答えが何だったのかよくわかりませんでした。そもそも、なぜその惑星に行けば人類の起源にたどり着くと判断したのか、その根拠も不明。
そして、デヴィッドの、仲間を危機に陥れるような不可解な行動の理由も全然わかりませんでした。

惑星探査チームには科学者も含まれているのに、あまりにも行動が軽率。初めて行く惑星で何があるのかわからないのに、大気組成のデータを見ただけで宇宙服のヘルメットを外しちゃうし、未知の生物に手を伸ばしちゃうし、天候が悪化しても避難よりも遺跡の調査を優先しちゃうし…。
せっかくメカの設定がちゃんとしていても、探査のプロセスがお粗末だと、なんか日本の子供向け特撮ものみたいな印象になってしまいますね。

2012年8月26日日曜日

『アベンジャーズ』

★★★☆☆

当初はそれほど興味がなかったのですが、世界的に大ヒットしているという話を聞いて、観てみることにしました。

結果は、まあ普通。宇宙からの侵略を阻止するという基本的なストーリーはよくあるものだし、SF的設定も特別ユニークということはないし、CGの出来栄えもいまどき驚くようなものではありませんでした。

たぶんこの作品を思い切り楽しむには、登場するそれぞれのヒーローに親しんでいるという下準備が必要なのでしょう。私の場合、とりあえず知っているのはアイアンマン、ハルク、キャプテン・アメリカの3人だけですが、それぞれが主役の作品は一つも観たことがありません。そんな私にとっては「おお、このメンバーが同じ画面に登場してるよ!すげー」といった感慨もないわけです。

最初なかなかヒーロー同士がチームとしてまとまらないという心理的な部分も描かれていて、もしこの作品に深みを与えるとしたら、この部分が唯一のチャンスだと思うのですが、バットマンシリーズの重たい悲壮感などと比べると、ちょっと子供っぽい気がします。

2012年8月18日土曜日

『桐島、部活やめるってよ』

★★★★☆

この作品の存在を初めて知ったのは、映画館でチラシを手に取った時。なんともB級の匂いがプンプンしたのですが、やっぱりこのタイトルは印象に残りました。で、どうも前評判が割といいらしいので、観てみることにしました。

よかったですねえ。言ってしまえば高校生たちの学園モノ。でも恋愛モノとも言えないし、スポーツモノでもないし、熱血教師モノでもなく、いじめや暴力も出てきません。下手をすると、テレビドラマの1話分ほどの事件も起こりません。
ただ単に、桐島くんが部活をやめるという出来事が周りの生徒たちにどんな影響を与えたかを描いただけの作品です。誰が主役ということもないし、明確な結論は出てきません。

でも、それまでの彼らがどんな人物像でどんな人間関係だったか、桐島くんがどんな人で、"桐島事件"が彼らにとってどんな意味があったのか、それをきっかけにそれぞれがどう変わり、人間関係がどう変わったのかが、「そうそう、そういうことってあるよね」という共感とともによく伝わってきます。

手法的には、シーンを時系列とは逆の順序で見せたり、同じシーンを別の観点から何回も見せたりという、私の大好物が使われていています。これによって、「ああ、そういうことだったの!」という納得感も増すし、女子生徒が接する相手によって顔を使い分ける様も表現しています。

群像劇なので登場人物は多く、何となく神木隆之介くん演じる前田が主人公っぽいのですが、最後は何かを決意したっぽい菊池のカットで終わるので、私としては彼の方が物語全体の主軸だったような印象です。

キャストは、有名な人から私は全然知らない人まで様々。でもみんないい演技しています。オタクはオタクらしく、熱血スポーツマンは熱血スポーツマンらしく、優等生は優等生らしく、そしてダルダルの無気力系は無気力系らしく…。

自分よりある程度下の世代と話していて「あれ?」と思うことの一つに、知らないクラスメートがいる、ということがあります。
もちろん、全員と同じレベルで仲がいいということはあり得ないとして、一般的なプロフィール、例えば名前とか何部だとか、誰と仲がいいとか成績がいいとか授業でどんな発言をしたとか、そういう情報は同じクラスにいれば嫌でもわかると思います。
私の場合、卒業して何十年も経って、今でも全員のことを覚えているかと言われれば自信がない、というより明らかに忘れていますが、少なくとも在校中、クラスメートに対して「誰、あの人?」という見方をしたことはありません。
この作品も、知らないクラスメートがいることありきで描かれていて、だからこそこういう作品になっているのですが、何かちょっと違和感を覚えなくもありません。

2012年8月11日土曜日

『トータル・リコール』

★★★★☆

一応ストーリーの起承転結もしっかりしているし、アクションもガッツリ見せてくれますが、個人的には作品の世界観を決定づける様々な設定やディテールの描写がかなりツボでした。『ブレードランナー』や『JM』、『攻殻機動隊』などと通じるものがありますね。

地球の裏側まで掘ったトンネル内を移動する交通手段"フォール"が、地球の核を通過する際、重力の方向が反転する描写とか、手のひらの中に埋め込まれた携帯電話とか、記憶を売り買いするビジネスとか、低所得者層の住む街並みのインチキアジアなテイストとか…。

われながら、こういう路線の作品が好きなんだなあと再確認してしまった作品。

『おおかみこどもの雨と雪』

★★★★☆

とてもよかったと思います。
『時をかける少女』『サマーウォーズ』の細田守監督作品ですが、彼はちょっとだけSFちっくな設定を取り入れた日常を描くのが好きなんでしょうかね。この作品は原作の映画化ではなく監督自身のオリジナルのようですが、そういう意味では前2作品と合い通じるものがある気がします。

ストーリーは、おおかみ男との間に二人の子供をもうけた女性の子育て奮闘記という感じです。
子供たちの特異体質(?)を世間にさらすことなく暮らすために無茶をしつつ、でも明るく前向きに生きていく姿はすがすがしいです。そして、全く違う生き方を選んだ二人の子供を、戸惑いながらも両方認めていく姿勢は親として立派。

こういう物語であれば、おおかみ男といった設定を用いなくても充分ありうると思いますが、適度にファンタジックで適度にリアルで、重すぎないけど考えさせられるところもある、絶妙なバランスになっていると感じました。

冒頭のCGで描かれた花が揺れるシーンは、一瞬「実写?」と思うような美しい絵でした。水の描写もCGを使っていたように思います。アニメーション技術的にも、色々とチャレンジしている様子。

声優陣もなかなかよかったと思いますが、宮﨑あおい、大沢たかお、菅原文太あたりは、声を聞いた瞬間本人の顔が思い浮かんでしまいました。

2012年7月29日日曜日

『メリダとおそろしの森』

★★★☆☆

3D字幕版を観ました。

いつものように、ピクサー作品に外れなし!と言いたいところですが、実はこれまで観たピクサー映画の中では、一番響いてこなかったかも。
ストーリー的には、予想外のことがあまりなく、笑いの要素が少なめでした。

物語の世界観は、一部ナウシカとかもののけ姫のようなイメージもあったかな。ピクサーとジブリは交流があるようなので、影響を受けたところもあるのかな。

絵はとてもキレイで、特に自然の風景。特に印象的だったのは川で魚をとるシーン。水の動きは実写かと思うほどでした。

この作品の原題は『BRAVE』。『カールじいさんの空飛ぶ家(原題:Up)』と同様、原題とぜんぜん違う邦題がついています。

同時公開の短編作品『月と少年(原題:La Luna)』も、笑いの要素が特にないファンタジー作品。これはこれまでのピクサーとはちょっと違う印象でしたが、結構良かったと思います。

『ダークナイト・ライジング』

★★★★☆

実は、バットマン・シリーズ、今まで観たことがありません。なので、前作とのつながりの部分は、今作で表現されている範囲でうっすらと想像できる程度。
でも、そんなことは大した問題ではなく、かなりよかったです。

ヒーローが背負っているものの重さが感じられ、ある種の悲壮感が漂っているようでした。こういう部分を描くと、ヒーロー物もぐっと大人のドラマになっていきますね。
全体を通じて、バットマンの姿で戦うシーンがかなり少ない印象ですが、納得できるというか、不満は感じませんでした。

ついこの前、『アメイジング・スパイダーマン』を観たばかりです。あちらは高校生が特殊能力を身につけヒーローとして活躍し始める過程を描いているので、すぐにいい気になるし、意志が揺らぐし、戦士としても隙だらけ。今作のバットマンと比べると、大人と子供ですね。

敵役のベインが絵に描いたようなテロリストで、まったく感情移入できないのですが、もしこれが悪人なりに一理あるような人物像だったら、もっと奥行きが出たのかも、と思わなくもありません。

過去の作品を見てみたくなりました。そして続編は…ある、かな(^^;)?

『ダークナイト・ライジング』といえば、アメリカ、コロラド州での銃乱射事件が起こったばかり。日本の映画館で、模倣犯が現れたりしないだろうなあと、ちょっとだけ周りのお客さんの様子をうかがったりしてしまいましたが、無事何事もなく観終えることができました。

2012年7月15日日曜日

『BRAVE HEARTS 海猿』

★★★★☆

海猿シリーズの制作チームは、この作品をどう作ればいいのか完全にわかっている感じですね。それだけに、ところどころに「この展開は、以前の作品とちょっと似てるなあ」と思うところもありましたが、それでも充分堪能できました。

個人的に一番感動したのは、救出シーンではなくて、トラブルが発生した航空機の会場着水を決定してその準備を進める過程。短時間ながらも対応策が複数検討され、それぞれの可能性とリスクを検討し、結論を導くという"オトナ"なやり方が共感できました。

そういえば、前作は3D版があったのに今回は2Dのみのようですね。こうやって3D映画の流行が去っていくのかな。

『崖っぷちの男』

★★★★☆

星4つはちょっと甘いかな。
でも、男が飛び降り自殺に見せかけて何をやろうとしているのかが徐々に明らかになっていく過程や、それが成功するのかどうかのハラハラドキドキ感など、終始緊張感が持続して楽しめました。

主人公の弟とその彼女がちょっとおちゃらけていて、サスペンスの中にすこし緩い部分があったけど、個人的にはあれすらなくして全編ピリピリしていてもよかった気がします。

主役のサム・ワーシントンは『アバター』の主演ですが、よく覚えていませんでした。『アバター』の場合は、どうしても青いネコ科の宇宙人の方が強烈な印象を残してしまいますね。

タイトル『崖っぷちの男』は、主人公がギリギリのところでの大どんでん返しを狙っているというダブルミーニングになっていますが、原題は『MAN ON A LEDGE』。"ledge"は建物の出っ張りの意味らしいけど、人生の崖っぷちの意味もあるのかなあ?

2012年7月8日日曜日

『アメイジング・スパイダーマン』

★★★☆☆

最初のアメコミが作られた時には、スパイダーマンの特殊能力に理由付けなんて特にないのでしょうが、上手にSF的設定を付加し、冷静に見ればヘンテコな全身タイツをかっこよく見せていると思います。

ただ、やっぱりSFアクションものにラブストーリを絡めるのは難しいですね。オッサンとしては、「そんなところでイチャイチャしてるから、敵に攻撃する猶予を与えて、自分が危険にさらされるんじゃないか」とツッコミたくなります。

でも当然主人公側が負けるはずはないわけで、そうするとストーリー自体がとてもご都合主義っぽいものに見えてしまうのです。

というわけで、まあ細かいことは気にせず楽しみましょう、という作品。

2012年7月1日日曜日

『裏切りのサーカス』

★★★☆☆

ゲイリー・オールドマン主演ということで、何となく気になっていた作品。
私の場合、実は彼の演技はほとんど観たことがなくて、『フィフス・エレメント』の超エキセントリックな役ぐらい。でも、気になる存在でした。

今作でのゲイリー・オールドマンはとにかく渋くて、セリフも少なく、感情も抑え目。抑え過ぎて、それがかえって不気味に感じるぐらいでした。

ストーリーは、スパイもののサスペンスで、要は裏切り者を探す話です。さまざまな情報を集めながら裏切り者に迫っていくのですが、結局なぜその結論にたどり着いたのか、よくリクツが飲み込めませんでした。

映画館側も、この作品が難しい映画だとわかっているらしく、チケットをもぎってもらうときに人物相関図を渡されました。そこには「この作品に限っては、映画を観る前に多少予備知識があった方がいい」という趣旨のことが書かれていました。それに目を通してから映画を観たけど、やっぱりよくわかりませんでした(^^;)。

ただ、最初から最後まで一貫してピリピリとした緊張感が続く雰囲気は、とても良かったと思います。

2012年6月27日水曜日

船橋インドカレーコレクション

私の職場の周辺で、ランチが食べられるインドカレーの店は、私の知る限り6店あります。
一応全部写真があるので、まとめてみました。

■ガンディ
一番最初に発見した店で、一番お気に入り。ナンはここのが好き。ランチにはスパイシーなトマトスープがつくのですが、このスープが好き。品数の割に値段が安いのでお得感があります。ただしドリンクはセットに含まれません。

ガンディ 外観

ガンディ メニュー例



■Beans House +cafe
元写真屋さん、今はカフェ。でも、シェフはインド人の本格派。サラダもドリンクもつけなければ、500円でインドカレーが食べられます。インテリアや食器、盛り付けなどは、割とお洒落な見せ方をしています。そして私の職場からとても近くて助かります(^^;)。

Beans House +cafe 外観

Beans House +cafe メニュー例




■サールナート
行列のできる人気店。バタークリームカレーがおいしい。付け合せのサラダや玉ねぎの漬物(アチャールというらしい)もたっぷり。ナンは外側がパリっとしていてちょっと個性的。ただ、昼はランチプレート1050円のみで高め。シェフは日本人でした。

サールナート 外観

サールナート メニュー例



 ■チャド
インドカレーもあるけどタイカレーもあります。5店の中では、ナンが一番細長いかも(^^;)。金額や品数は標準的。ここ、元々はちょっと和風な内装のイタリアンの店だったので、割と不思議な空間かも。

チャド 外観

チャド メニュー例



 ■ラージモニ
ランチメニューは、選べるカレーの数や付け合わせのバリエーションなどで3ランクあり、それぞれの値段は標準的だと思うのですが、同等のランクのものが他店だともう少し安かったりするので、比べちゃうとどうしても不利。味は普通においしいので、もうひと頑張り、何かがあるといいような気がします。

ラージモニ 外観

ラージモニ メニュー例




 ■Curry Club
私の知る中では、唯一バイキング形式のお店。時間制限50分で980円。カレー4種類の他、スープ、サラダ、インド風天ぷら、その他付け合わせがいくつか、ライス、デザートなどが取り放題。この料金の範囲で、ナンは2枚までつきます。これだけ聞くとすごくよさそうですが、カレーはかなり日本人向けになっていて、下手をすると市販のルーに近い味。天ぷらは冷めていて油っぽいなど、イマイチな印象でした。ボリューム追求の方にはいいかも。

Curry Club 外観

Curry Club メニュー例



…しかし、こんなことでブログを1ページ使ってしまうのって、どうなんでしょう??

2012年6月10日日曜日

『外事警察 その男に騙されるな』

★★★★☆

以前NHKでテレビドラマとして放送されていたことすら知らずに、映画を観ました。

面白かったです。最初から最後までピリピリとした緊張感が持続して、見る側も気が抜けない感じでした。

しかし、あのテーマはかなりヤバい気がしますが、あんなのをNHKが制作して大丈夫なんでしょうか。

渡部篤郎の演技、ちょっとコワイ。彼はもともと、普通じゃないキャラを演じるのは得意だと思いますが、今回のキャラも穏やかなんだか切れやすいんだか、クールなんだか熱いんだか、正義なんだか悪なんだか、よくわかりません。それがコワイという印象につながるんだと思いますが、演じきっています。

真木よう子は『SP』の印象が強いので、どちらかというと公安側の人間の方が似合いそうな気がしてしまい、事件に巻き込まれる一般の主婦というのがやや違和感があったかもしれません。
でも、あの複雑な心理の難しい役どころ。さすがです。

2012年6月7日木曜日

『ビジネスマンのための「行動観察」入門』

★★★★☆

最近はやりのマーケティング手法(になるのかな?)、「行動観察」の入門書。
行動観察の意義や効果、やり方の雰囲気はよくわかりました。ただ、この本1冊読んだから自分で同じように行動観察がすぐにできるか?という観点で見ると、まず無理。手法の細かい部分ははしょってあると思います。

この本のように手法を紹介する場合、ただ成功事例を報告されるより、「こんな失敗をした。だから改善のためにこんな工夫をした」という説明の方が理解が進むような気がします。
この本も最初のうちは失敗事例とその反省が書かれていて、ノウハウを積み上げていく様子が何となくわかります。
でも後半は割りとスイスイとうまくいってしまう印象なので、ちょっと共感しづらいような気がしました。観察の部分よりも、原因や対策を考える際の根拠となる心理学的知見の解説が多くなって、「そりゃあ、それだけ心理学の知識がある人が観察すれば、何でもかんでもお見通しでしょ」とツッコみたくなりました(^^;)。

それでも、行動観察の原理原則には触れられたような気がします。


2012年6月3日日曜日

『アトムの足音が聞こえる』

★★★☆☆

大野松雄さんという、鉄腕アトムの足音などを創造したサウンドデザイナーのドキュメンタリーです。
映画館に観に行こうか迷って、結局観に行かなかった作品ですが、iTunes Storeでレンタルしてみました。

http://itunes.apple.com/jp/movie/atomuno-zu-yinga-wenkoeru/id528557780

サウンドデザイナーという仕事を取り上げたドキュメンタリーということで気になっていたのですが、ドキュメンタリーとしてはちょっと混濁としている気がしました。
というのは、最初は「鉄腕アトム」当時の大野さんを知人のインタビューなどが出てくるので、当時のサウンドデザイナーがどんな仕事をしており、その中で大野さんがいかに画期的であるかを丁寧に紹介していくものだとばかり思ったのです。ところがそのうち、大野さんという人は今どこで何をしているんだろう?大野さんを探せ!みたいな話になっていき、そうかと思ったら割とすんなり本人が登場して、現在の活動の様子が出てきたり…。
どこにフォーカスが当たっているのかわかりにくいと思いました。

大野さんとがいかに個性的な職人であるかは何となくわかったので、そういう意味ではこの映画は成功なんだと思いますが、個人的にはサウンドをデザインする過程をもう少し解説的に紹介してもらいたかった気がします。
例えば、後のアニメーション作品への影響や(作中では、「サザエさん」「ドラえもん」「宇宙戦艦ヤマト」「機動戦士ガンダム」の音を作った人たちも大野さんの多大な影響を受けていることがちょっとだけ紹介されていました)、最近のデジタル機器を使ったアプローチと当時の手法の違いなどでしょうか。

iTunes Storeのレンタルでちょうどよかったかな。

2012年5月27日日曜日

『レンタネコ』

★★★☆☆

『かもめ食堂』の荻上直子監督作品です。
予想通り『かもめ食堂』同様、起承転結がはっきりしないけど、なんとなーくほのぼのしてしまう映画でした。

ほの可笑しくてよかったのは、なぜか小林克也が隣のおばさん役をやっていること、ネコを借りるお客さんとの会話が毎回同じところ、ドーナツの穴を食べる方法、…でしょうか。

ネコがたくさん登場しますが、なかなかいいです。ルックスのいいネコばかりではないあたり、作り手の本気のネコ愛を感じます。

主役の市川実日子さんは、個人的にはちょっと苦手かも。なぜだろう?モデル顔過ぎるからかなあ。演技も、どこがとは説明できないけど、何か微妙に違和感あった気が。いや、単純に自分が、キツネ顔よりタヌキ顔が好きというだけのことかもしれません。

『かもめ食堂』の印象がとてもよかったので、それと比べて星3つにしました。冷静に比較したらどっちがいいかわかりませんが。

どうでもいいことですが、荻上監督って千葉大の工学部出身なんですね。画像工学科だそうです。…なんとなく親近感(^^;)。

2012年5月13日日曜日

『ロボット』

★★★★☆

SFアクションもののインド映画。

私が初めてインド映画を観たのは『ムトゥ 踊るマハラジャ』という作品で、調べてみると日本での公開は1998年。それ以前から、タモリがインド映画はすごいすごいと言っていたのは知っていたのですが、本当にすごかった。ぶっ飛びました。
当時のレベルとして、画像は汚いし音も悪いのですが、ストーリーの展開はハチャメチャだし、突然歌って踊りだすし、アクションはド派手だし、音楽もすごいし、とにかく面白いのです。まあ、社会的メッセージとか、人間の深い心理描写とか、そういった高級な芸術っぽさはカケラもなく、悪く言えば薄っぺらで超世俗的エンターテインメントですが、それでも惹きつけられるものがありました。

それ以来、映画館やDVDで数本観たのですが、映画館で上映される作品がなくなり(私がしらなかっただけかもしれませんが…)しばらく縁がなくなっていました。何年か前に『スラムドッグ・ミリオネア』という作品がありましたが、あれはインドを舞台にインド人俳優が出ているだけで、インド映画、いわゆるマサラ・ムービーとは別物だと私は思っています。久しぶりに映画館で上映されるインド映画ということで『ロボット』は非常に楽しみでした。

主役は『ムトゥ 踊るマハラジャ』と同じラジニカーント。この人はインドではスーパースターで、彼が出る作品は最初に、映画の配給会社のロゴと同じように「SUPER STAR RAJINI」とというロゴが出ます。『ムトゥ〜』のときはかなりチャチなアニメーションだったのですが、『ロボット』ではCGの立体文字がグルングルン回っていました。すごい進歩!『ムトゥ〜』のときすでにお腹が出始めたおじさんだったので、今やおじいさんといっていい年齢じゃないかと思うのですが、あのころの印象と全然変わりませんでした。お腹の出っ張り具合も同じくらい。なぜこの人がスーパースターなのか理解に苦しむ感じも以前と同じ(^^;)。

ストーリーは、至ってシンプル。これに普通の邦画、あるいはハリウッド的な演出をしても成立しないであろうレベル。ところが、インド映画のぶっ飛び演出の下では筋書きの方が付け足しみたいなものなのです。すごいです。ハチャメチャです。SFX技術はハリウッド製だそうですが「もしかしてこれって実写?」と思わせる気はさらさらないようです。この潔さがマサラ・ムービー。

音楽はA.R.ラフマーンという人で、『ムトゥ〜』、『スラムドッグ〜』と同じ。『ムトゥ〜』では、インドの民族音楽っぽいのにテクノっぽい、不思議な作品が印象的でCDまで買ってしまいました。『ロボット』でも、その延長上の作品であることは感じられましたが、ちょっとインドの郷土色が弱いかなあ。

インド映画といえばダンスシーン。ダンスシーンだけ監督が違うほど、作る側も力を入れているらしいのですが、『ロボット』では少なめ。インド映画も変わってきたのかと思ったら、実は日本上映版は、オリジナルから大幅にカットされているのだそうです。
インド映画は上映時間が長いのが普通で、『ロボット』の場合、オリジナルは177分。ところが日本版は139分だそうです。うーむ、これは許しがたいなあ。オフィシャルサイトでは、オリジナル版を上映したいらしく、賛同者を募っています。

http://robot-movie.com/

インドといえば多言語国家で、インド人同士でも地域が違うと言葉が通じないとか。ラジニカーントはタミル語映画にたくさん出ている人ですが、『ロボット』では、聞いているとセリフにはかなり英語が使われているようです。実際、インド国内でもあんな感じなんでしょうか。

『ムトゥ〜』は、インドの割と田舎を舞台にした作品でした。当時からムンバイなどの都会を舞台にした作品もありましたが、『ロボット』も舞台は都会。登場人物の服装などもほとんど西欧と変わらない雰囲気です。それが今のインドの実態なのでしょうが、もう少し伝統的なインドの風景、インド人の生活を見せて欲しい気もします。



【2012.06.10加筆】
177分の完全版を2週間の期間限定上映ということで、観てきました。短縮版でカットされたシーンがどこか、結構わかりました。砂漠とマチュピチュでのダンスシーンが思い切りカットされていました。

インド映画は、登場人物の感情が高まったところで、それまでのストーリー展開と無関係のダンスシーンが入るのがお約束。そもそもお話の舞台はインドなのに、わざわざダンスシーンのためにマチュピチュまでロケに行くのですから、作る側としてはものすごく気合が入っているのです。

ストーリーと関係ないのでカットしやすいのかもしれませんが、あれではインド映画としては魂を抜かれた感があります。

ああ、完全版が観られて一安心です(^^)。

2012年5月6日日曜日

『宇宙兄弟』

★★★☆☆ 

原作を読んでいないので、どんな作品なのか事前に想像する材料としては予告編しかありません。

 弟が先に宇宙飛行士になっていること、兄が後から宇宙飛行士を目指すこと、弟が月面で消息を絶つこと。これらの情報は予告編で得られます。これと『宇宙兄弟』というタイトルを合わせて考えると、最終的には兄も宇宙に関わる仕事に就くのだろうと想像はしていました。でもそれが、宇宙飛行士なのか地上の管制官なのか、あるいはロケットの設計者なのか?どこへ話を持っていってもそれなりのドラマにはなるだろう、と思っていました。
 さらに、2時間ちょっとの作品としてどこをゴールにするんだろうか?と気になっていました。宇宙飛行士採用試験の結果がわかるまで?それとも兄弟2人そろっての活躍まで描くのか?

 こんなことを映画を観る前に考えていた私にとって、あの終わり方はかなり微妙。あれだったら前編と後編に分けて、それぞれきっちり描き込んでほしいと思ってしまいました。
また、採用試験も月面での事故も若干ディテールに乏しい気がしました。特に月面事故の方は、イメージシーンで何となくごまかされた感じがしてしまいました。
小栗旬や堤真一の演技も、ロケットのデザインや発射シーンもなかなかよかったので、全体的な印象としては悪くないのですが…。

それにしても、昨年からのはやぶさ映画3作品といい今回の『宇宙兄弟』といい、映画界でのJAXAの活躍ぶりは本当にすごいですね。

そして今日2012年5月5日は、通常よりも月が大きく見えるスーパームーンだそうです。天気もよく『宇宙兄弟』のレイトショーを観て自転車で帰る道中、丸い月がくっきりと見えました。なんだかとても感慨深い気持ちになってしまいました。

『アーティスト』

★★★★☆

 アカデミー賞受賞作品のモノクロサイレントムービー。

 感動したとか、ドキドキしたとか、大笑いしたとかではなく、「よくできてるなあ」と感心したというのが、一番ピッタリくる感想かもしれません。

私はサイレントムービーというものを初めて観たのですが、意外だったのは文字で表示するセリフの少なさ。私はてっきり、役者がしゃべる演技をしたら逐一字幕がでるものだとばっかり思っていました。
実際は、明らかに役者が言葉を発している演技をしていても字幕なし。何と言っているのかは、見る側の想像にゆだねられています。どうしても文字で説明せざるを得ないところだけ字幕を出すということのようです。
 逆に言えば、それでも話の流れがわかるようにできています。それが演出上どれだけ難しいことなのかわかりませんが、きっと大変なのでしょう。

サイレントと言っても、2つの意味で厳密に言うと全く音がないわけではありません。
1つは音楽。全編に渡ってBGMがふんだんに入っています。セリフ、物音、環境音などが一切ないので、BGMがないと映画館全体がシーンと静まり返ってしまいます。でも実際は、ほとんど途切れなく音楽が続いているので、それなりににぎやかでした。むしろ音楽がなくなるとハッとするほどの沈黙が生まれて、これが演出上とても効果的だった気がします。
そして、これは言っていいのかわかりませんが、もう1つ。この作品は21世紀の映画なので、もちろんセリフもその他の音も、技術的にはいくらでも入れられるわけです。それをわざと無音にしているのですが、実はちょこっとだけ音が出る場面があります。もちろん意図的な演出として。これが無音のシーンとの対比で非常に印象に残りました。
つまり、音のある状態、音楽だけの状態、完全に無音の状態の3つを自在に使い分けているわけです。これが、私が「よくできている」と感じた理由です。

2012年5月3日木曜日

『テルマエ・ロマエ』

★★★☆☆

古代ローマの浴場設設計士が現代日本にタイムスリップして、日本のお風呂文化に触れアイデアを得ていくというコメディです。もうこの設定だけで面白そうなので、絶対観に行こうと決めていました。
で、観終わった主観的な印象は★3つなのは、期待が大きすぎたのでしょう。

映画を観る前に、原作のマンガは1巻だけ読みました。最初私は、長編のストーリーだと想像していたのですが、実は1話ごとに主人公ルシウスが日本に来て、古代ローマに帰って新しい浴場を設計する、という構成でした。
これを2時間のストーリーにどうやってまとめるんだろうと思いつつ、映画を観ました。

映画の前半は、私が読んだ1巻のエピソードがふんだんに登場し、客席からも笑いが起こっていました。ところが後半になると話が少しシリアスになり、コメディというよりは感動の歴史ドラマというか、タイムパラドクスもののアドベンチャーというか、ちょっと色合い変わった感じがしました。原作の2巻以降はこんな雰囲気なのでしょうか??
個人的には、最後まで古代ローマと現代日本の文化の違いからくる笑いに徹してもらった方が楽しめた気がします。

阿部寛、市村正親、北村一輝、宍戸開の古代ローマ人役は、それだけで笑えます。私は宍戸開さんが一番はまっている気がします。

2012年4月22日日曜日

『僕等がいた 後篇』

★★★☆☆

ついうっかり(^^;)前篇を観てしまったので、後篇も観ました。

前篇は高校生のラブストーリーなので、オジサンから見るとちょっと…な感じでしたが、後篇では登場人物が社会人になって、ずっと共感しやすくなりました。
基本的に真っ直ぐでピュアな気持ちを持っていたとしても、なかなか思い描くとおりにコトは運ばず、自己矛盾を抱え、状況はグダグダになっていくあたりが、なんともオトナじゃないですか。

で、まあラブストーリーなので、結末はハッピーエンドかアンハッピーエンドのどちらかなわけですが、まさか最後でそっちに行くとは思いませんでした。うーむ、やっぱりオジサンの感性とは違ったのですね(^^;)。

『バトルシップ』

★★★★☆

『インディペンデンス・デイ』などと通じる、未曾有の危機に特別じゃない人たちが立ち向かう系の、これぞハリウッドなドンパチアクションもの。

このパターンの作品、それなりの数あるので、最初の方でいろいろな立場の登場人物が出てくる辺りで、「ああ、この人はこっちで、あの人はあっちで、それぞれに頑張るんだな」などと見当がついてしまうのですが、そういう細かいツッコミはやめて単純に楽しむ映画ですね。

『インディペンデンス・デイ』は、エイリアン対人類の戦いとはいえ、結局活躍するのはアメリカという感じの映画だったけど、『バトルシップ』は浅野忠信が頑張っていて、日本とアメリカの共同戦線という印象でした。
この違いは、時代の違いなのかもしれませんね。

『劇場版 SPEC 天』

★★★☆☆

んー、テレビシリーズを全く知らない状況でいきなり映画を見ると、とてもクセのある作風にちょっとついていけない感じがしなくもないかな。

極端なキャラクター設定、普通の会話の中にギャグを織り交ぜていくセリフ回し、CGは当たり前、カット割りとか構図とかもたぶんちょっと変わっている…。ある意味、最先端の演出なのかもしれませんが、色々な要素がてんこ盛りで、観ていてちょっと疲れる気がします。

時間を止められる相手をどうやって倒すか、というアイデアはよかったと思います。

2012年4月1日日曜日

『ヒマラヤ 運命の山』

★★★☆☆

評判のよかった作品を低価格で上映していたので観てみました。

ドイツ映画。当たり前だけど、登場人物がみんなドイツ語をしゃべっていて新鮮。

ヒマラヤのナンガ・パルバートという山の登頂を目指した兄弟の登山家の実話に基づく物語で、早い話がそのうち一人しか生還できなかったということです。
ヒマラヤの山々はすごく綺麗で、登山のシーンは本当に迫力があります。ただ、彼らが登山チームでの役割を無視して、充分な装備もないままに山頂を目指し、結果、下山できずに道に迷ってしまうというのは、あまりにも浅はかで自業自得のように思えます。
登るときは、"俺が俺が"だったのが、道に迷って疲れてくると「待ってくれ」「置いていかないでくれ」と言われてもねえ。

美しく険しい自然の映像と、愚かで自分勝手な人間ドラマ。これが、この作品の見どころということになるでしょうか。

ちょうどこの夏のネパール行きを決めたタイミングだったので"ヒマラヤ"というタイトルに引かれたのですが、このときの登山隊はパキスタン経由だったので、ネパールは登場しませんでした(^^;)。

2012年3月25日日曜日

『僕達急行 A列車で行こう』

★★★☆☆

森田芳光監督の遺作。森田監督らしい、ゆる〜い笑いを散りばめた作品。

鉄道オタクの描写は、たぶん相当細かいところまでこだわっているような気がします。"気がします"としか言えないのは、私もよくわからないので。でもたぶん、取り上げている路線や列車、コレクションしているアイテムなどはきっと、本物の鉄ちゃんも喜ぶようなものなのでしょう。1つだけ私でもわかったのは、瑛太演じる小玉くんの携帯の呼び出し音。ニヤリとしてしまいました。

松山ケンイチと瑛太は、ああいうちょっとオタクっぽい役、似合いますね。ちょっと、というかかなり爽やかすぎるけど、二人とも体型の印象がどちらかというの線が細くて、少しナヨッとした雰囲気があるからかな。仕草や声のトーンとかも、かなりそれらしくコントロールしていたと思います。

この作品、登場人物の名前が、小玉、小町、あずさとか、特急列車の名前から取られているのですが、"にちりん"くんという登場人物がいて、いくらなんでも、それは人名としては不自然でしょ!と心の中でツッコミをいれてしまいました。たぶんあれ、わざとツッコミどころを用意したんだろうなあ。

私は、小学生の高学年から映画を見始めましたが、しばらくはアニメばかり、それに時々SFアクションものという感じでした。それが、珍しくロボットも宇宙船も出てこないのに観たいと思ったのが森田監督の『(ハル)』という作品。実は、パソコン通信をテーマにした作品だったから興味が湧いたのですが、たぶんあの辺りから広く映画を観るようになった気がします。
特に森田芳光ファンというわけではありませんが、そんな自分の映画歴を考えると、森田さんが亡くなったのは結構ショックでした。ご冥福をお祈りいたします。

『僕等がいた 前篇』

★★★☆☆

そもそもこの作品をものすごく観たいと思っていたわけではありません。シャーロック・ホームズにしようかどうしようかと思いつつ映画館に行って、チケットカウンターに向かって踏み出した足が左足だったから『僕等がいた』の方にした、というぐらいの気まぐれでした。

超ど真ん中の恋愛映画で、しかも前篇は高校時代なので、もうそろそろアラフォーも卒業というオッサンが観てもやはりギャップは感じるし、そう簡単にはキュンキュンきたりはしませんでした(^^;)。
もちろん、ああいう年代の自分を思い返せば一途に人を好きになる感覚もわかるのですが、どちらかというと「若者よ、今はそう思い込んでいるかもしれないけど、人生そんなに思い通りにはいかないのだよ」と諭したくなる方が強かったかも。

作品の中の登場人物たちは、一生懸命相手のことを考え、自分のことを考え、恋愛に向き合っている姿が誠実で爽やかでした。ただ、デートで波打ち際でキャッキャする描写や、絶妙なタイミングで雪が降り始める演出などは、オッサンとしてはわざとらしすぎて抵抗がありました。

役者陣は、実際にはなかなかありえないようなくさいセリフを、あたかも自然に演じていました。ただ、高校生役にしては実年齢が高い人ばかりで、正直、かなり違和感がありました。後篇は6年後の話らしいので、しっくりくるのでしょう。
ちなみに、竹内役の、高校生にしては明らかに老けている役者さんは誰だろうと思っていたら、エンドロールを見て、あのいろいろな意味で話題となった宮崎あおいの元旦那、高岡蒼佑だと知りました。

前篇を観ちゃったので後篇も観る可能性が高いですが、登場人物の年齢が上がる分、多少は感情移入しやすくなるのでしょうか(^^;)?

2012年3月16日金曜日

『Liar Game -再生-』

★★★☆☆

前作がファイナルステージだったのに、ずいぶんあっさりと続編が出来てしまいました。だまされた気分。ライアーゲームだけに(^^;)。

相変わらずゲームの展開はとても難解。1回映画館で観ただけでは腑に落ちない部分がありました。

松田翔太演じる秋山の憎らしいほどのクールさは相変わらず。同じ時期に、松田翔太が全然違う演技をしている『アフロ田中』が上映されていただけに、キャラの違いが面白いです。

今回のヒロイン役の多部未華子は悪くないと思いましたが、TVシリーズから前作の映画までずっと戸田恵梨香がヒロインを演じてきただけに、どうしても違和感を覚えてしまいました。
極端な話、ライアーゲームという作品は、面白いゲームと秋山がいれば成立するとは思いますが、戸田恵梨香のいないライアーゲームを物足りなく感じたのも 事実です。

『アフロ田中』

★★★☆☆

ひとことで言えば、若い男の子の悩みを面白おかしく描いた映画ですね。共感できる部分もありますが、自分はあそこまでアホじゃない…はず(^^;)。

松田翔太の田中はなかなかいいですね。ちょっと現実離れしたキモいキャラクターですが、演じ切っています。

佐々木希の演技は初めて見ました。勝手にあまり上手じゃなさそうだと想像していましたが、意外とちゃんとしてると思いました。ただ、基本的に男目線の作品なので、彼女は近寄りがたい存在。なので彼女の内面の描写は少なめだとは思います。

ところで、あの極端なアフロヘアは、ストーリーの本質とは何の関係もなかったのですね。

2012年3月11日日曜日

『おかえり、はやぶさ』

★★☆☆☆

私が把握している"はやぶさ映画"のラストを飾る作品。

…なのですが、んー、正直、何だかパッとしなかったなあ。
まずは単純に、この手の実話に基づいた作品は、後になればなるほど不利。多くのエピソードは先行した作品でほとんど出尽くしちゃっているので、先が読めてしまいました。

そして、一つ一つのトラブルの深刻さや、それを解決することがいかに難しいかがあまり感じられませんでした。はやぶさプロジェクトを描くとき、そこがしっかり伝わるようにしないと意味がないと思います。

人間ドラマとしては、アメリカで肝臓移植を受ける母親と子供、主人公とその父親との微妙な関係などが展開されるのですが、なーんかはやぶさに無理やりくっつけたエピソードという印象で、個人的にはイマイチ。

前半の方で、理学系と工学系の意識の違いの話が出てきてちょっと面白かったのですが、後半は完全に文学系もしくは体育会系のノリになっちゃってました。藤原竜也は、感情をオーバーに表現するスタイルの役者だと思うので、工学系の人物にはあまりハマっていないように見えました。

この作品、3Dと2Dが作られているようなのですが、私がよく行くいくつかの映画館では、2Dのみの上映か、3Dをやっていてもレイトショーはありませんでした。3D映画は極力3Dで観ることにしているのですが、結局今回は2Dにしました。3D追加料金払わずにすんでよかったかな(^^;)。

2012年3月4日日曜日

自転車標示

西葛西に自転車の車道走行を推進するための標示が設置されたと聞き、実際に見に行ってみました。

マスコミが取材していたのは学校の前っぽかったからここかな。行ってみたのは日曜日の昼間なので、学校の生徒たちはおらず、それほど人通りは多くありませんでした。でも時々車は通ります。ある意味、慣れていない人が車道走行を始めるにはちょうどいい道路かも知れません。今回の標示設置は試験的な意味合いもあるので、車道を走っても危険が少ない場所を選んだということだった思います。


この周辺のいくつかの道路には標示があるようでした。でも例えばこの道の右側、歩道と言っても段差どころかガードレールもありません。律儀に標示が描かれているけど、こういうところは、そもそも歩道だ、車道だとうるさく区別するような場所ではない気がしますが…。

この標示のある道路で自転車に乗っている人を何人か見かけましたが、正直、あまり標示を意識しているふうではありませんでした。警察は、どうやってこの標示の効果を検証するつもりなんだろう??


 ところで、この標示のデザインですが、どこかで見た記憶があると思っていました。葛西の駅前の環七は、歩道上に自転車レーンがあります。そのマークも自転車を正面から見た図案でした。そういえば錦糸町の方でも見た記憶があるので、すでに広く使われているのかも。
ただ、こちらは、路面のプレートと頭上の標識で、路面に直にプリントされているわけではありません。しかも、デザインも微妙に違う気が。うーん、そういうところ、ちゃんとすればいいのになあ。

2012年3月3日土曜日

『TIME/タイム』

★★★★☆

この作品は、かなり前から映画館で予告編が流れていて、そのときから観ようと決めていました。

遺伝子操作によって、25歳で成長(=老化)が止まるようになった人類。その代わり、それ以降生き続けるためには、お金を手に入れるのと同じように、時間(=余命)を手に入れなければならない。時間は通貨と全く同じように流通し、モノを買うときは時間を支払い、仕事をすると時間が手に入り、時間を貸し借りしたり盗んだりできる社会。

この設定だけで観たくなったのですが、やはりこの設定こそが(だけが?)、面白い映画でした。
この映画のストーリーを、「時間が通貨」から「お金が通貨」に戻して考えると、金持ちと貧乏人の格差社会で、一部の人間に富が集中する状況に不満を覚えた貧乏人が、金持ちに反旗を翻すというお話となり、何だかとってもベタな内容となります。

たぶんこの作品で面白かったのは、時間をお金のようにやり取りをする社会の姿をディテールまで描き込んでいるからだと思います。バスの乗り方、給料の支払い、銀行や質屋、時間の貸し借り、ギャンブル、窃盗などなど。

で、この作品はこの世界観にオーソドックスなストーリーを乗せたという印象なのですが、何かもうひとひねりがありそうな気がします。
例えば、ある人の所有する全ての時間を奪うことは即ち命を奪うことなので、窃盗罪=殺人罪という新たな状況が生まれるはずで、ここにフォーカスを当てるとか。突然変異で50歳まで成長する個体が生まれたらどうなるか?とか。25歳未満のふりをすることが盗難防止になるとか…。
こんなふうに考えていくと、実はこの作品は、1つのエピソードで完結してしまう映画作品より、TVシリーズなどで複数のエピソードを描いた方が面白かったのかもしれません。たぶんあの終わり方だと、続編はなさそうだからなあ。



2012年2月12日日曜日

『はやぶさ 遥かなる帰還』

★★★★☆

はやぶさ映画に関しては、正直映画作品として感動しているのかどうか自分でもよくわかりませんが、またこんどのも感動してしまいました。

はやぶさのエピソードを映画にする際、はやぶさのたどった軌跡の、明らかな事実についてはどの作品も同じように伝えざるを得ないのですが、人間ドラマの部分をどのように味付けするかが微妙に違って面白いですね。

イオンエンジンの開発者、江口洋介と吉岡秀隆のぶつかり合いなんて、竹内結子主演のはやぶさ映画では全くなかったはず。
町工場のおやじを登場させたのも面白いと思います。

渡辺謙さんは、プロジェクトマネージャー山口(もちろんモデルは川口氏)を演じきっていたと思いますが、作品世界の中でのこの人、沈着冷静な研究者なのか、気合いと根性の情熱家なのか、よくわからないキャラクターです。たぶん両方を併せ持った人物なのでしょうが、若干不思議ちゃん…。渡辺謙が演じるべき人物像とはちょっと違うかも。

この作品のはやぶさプロジェクトチームメンバーの松本夏子役の女優さん、いろいろな作品にちらほら出演していると思いますが中村ゆりさんというらしい。ちょっと地味めの美女。割と好きなタイプ(^^;)。覚えておこう。





『麒麟の翼』

★★★★☆

原作もTVシリーズも見ていません。なので、完全に独立した映画作品として見たつもり。

なかなかよかったと思います。
刑事の捜査が、本当に地味なんだけど、丹念に事実を確認して、それをつなぎ合わせて真実にたどり着くという、基本に忠実な展開。見る側もその展開につき合わされるわけですが、安易に真実にはたどり着けないという大変さと、それでも少しずつ真実に近づいているという実感のバランスがとてもよかったと思います。

誰が犯人か?という謎もあるのですが、事件に関わっている人たちそれぞれの心の真実みたいなところの謎もあって、それが気持ちよく解けてゆきます。
たぶん、わかってしまえば何ということのないことだと思うのですが、最初に見えている部分をごくわずかに抑えて、どのような順序で事件の全貌に到達するか、というストーリーの組み立てがうまいんだろうなあ。





2012年1月22日日曜日

『ALWAYS 三丁目の夕日 '64』

★★★★☆

 一作目の感動はなかなか越えられないですが、二作目よりは満足感が高かったと思います。たぶん、子供たちの巣立ちというテーマが明確だったということもあるのかな。

 私は、このシリーズの一作目で堀北真希という女優さんを初めてちゃんと認識したので、彼女がすっかり奇麗になって、作品の中とはいえお嫁に行くというのは、なかなか感慨深いものがありました。
 子役の男の子たちもすっかり大きくなっていました。二作目のときは、作品の設定上は一作目からそんなに時間が経っていないのに子役が大きくなっていて違和感を覚えましたが、今回は設定上も時間が経っているので、素直に受け入れられました。

 作品の中で茶川先生とヒロミの間に子供ができます。1964年生まれということは今47歳ぐらいか、などと思いながら観ていたのですが、山崎監督、鈴木オートの堤真一、薬師丸ひろ子は1964年生まれだそうです。ちなみに私は1967年生まれ。大人たちに「君らは東京オリンピックを知らないんだね」と、さんざん言われてきました。

 3D版を観ました。正直言って、この作品はストーリー重視だと思うので、3Dであることはあまり重要ではない気がします。が、いくつか3D版を選んでよかったと思うシーンがありました。

 さて、このシリーズにさらなる続編はあるのでしょうか??

2012年1月15日日曜日

『ロボジー』

★★★★☆

コメディですが、大笑いというよりはほの可笑しい、矢口監督らしい作品でした。

この作品のキモは、ロボットの中に人が入って本物のふりをするというアイデアに尽きるでしょうね。その範囲の中で想像を大きく越えるものではなかったと思いますが、逆にもともとのアイデアが面白いので、どう作っても充分面白いと思います。

主役(?)のロボット、ニュー潮風のデザインは、かなり好き。最先端のロボットとしてはダサいんだけど、妙にキュートで絶妙だと思います。そして、構造的に人間が入って動かせるとは思えないのも、ストーリー上うまくできていると思います。ホンダにこのデザインでアシモを作ってほしい。
ニュー潮風のデザインが好みなので、星1/2個おまけ。

役者さんはみんな達者な人たちばかりなので、見ていてなんの違和感もありませんでした。チャンカワイは、もうちょっとおっとりした役柄かと思ったら、よくキレる役でした。
吉高由里子は、本人も相当変わった人らしいですが、ロボットオタクのヘンな女の子役がなかなかよかったと思います。

たまたま比較的近い時期に公開されていたハリウッドのロボット映画『リアル・スティール』と比べると、まるっきり違う作品。映画ってすごいなあ。


2012年1月4日水曜日

『ワイルド7』

★★★☆☆ 

うーん。何かが足りない気がします。

 バイク&ガンアクションがド派手な作品。でも、それだけかなあ。 

元犯罪者が警察の一員として超法規的に事件を処理するという非現実的な設定はいいと思うのですが、それにしたってリアリティを持たせる努力は必要だと思います。この作品は、色々な設定が破綻していると言えばいいのか、要はツッコミどころ満載です。
 ひたすらハード路線でいくのかと思ったら、ロマンスが混ざってくるので、ますますワケがわからない印象になりました。 

ワイルド7のメンバーだけでも7人、その他ストーリー上重要な人物が数名いてそれぞれの個性や過去のいわくがあるのに、2時間のストーリーの中では充分に説明しきれていないかも。だから、なぜこの人はここでこういう言動をするんだろう?という疑問が湧きます。

 瑛太くんはいい役者さんだとは思いますが、正直、ワイルドという感じじゃないかなあ。もっと適したキャストがいると思います。

 まあともかく、細かいことを気にせずにアクションを楽しむならいいのではないでしょうか。