2012年3月25日日曜日

『僕達急行 A列車で行こう』

★★★☆☆

森田芳光監督の遺作。森田監督らしい、ゆる〜い笑いを散りばめた作品。

鉄道オタクの描写は、たぶん相当細かいところまでこだわっているような気がします。"気がします"としか言えないのは、私もよくわからないので。でもたぶん、取り上げている路線や列車、コレクションしているアイテムなどはきっと、本物の鉄ちゃんも喜ぶようなものなのでしょう。1つだけ私でもわかったのは、瑛太演じる小玉くんの携帯の呼び出し音。ニヤリとしてしまいました。

松山ケンイチと瑛太は、ああいうちょっとオタクっぽい役、似合いますね。ちょっと、というかかなり爽やかすぎるけど、二人とも体型の印象がどちらかというの線が細くて、少しナヨッとした雰囲気があるからかな。仕草や声のトーンとかも、かなりそれらしくコントロールしていたと思います。

この作品、登場人物の名前が、小玉、小町、あずさとか、特急列車の名前から取られているのですが、"にちりん"くんという登場人物がいて、いくらなんでも、それは人名としては不自然でしょ!と心の中でツッコミをいれてしまいました。たぶんあれ、わざとツッコミどころを用意したんだろうなあ。

私は、小学生の高学年から映画を見始めましたが、しばらくはアニメばかり、それに時々SFアクションものという感じでした。それが、珍しくロボットも宇宙船も出てこないのに観たいと思ったのが森田監督の『(ハル)』という作品。実は、パソコン通信をテーマにした作品だったから興味が湧いたのですが、たぶんあの辺りから広く映画を観るようになった気がします。
特に森田芳光ファンというわけではありませんが、そんな自分の映画歴を考えると、森田さんが亡くなったのは結構ショックでした。ご冥福をお祈りいたします。

『僕等がいた 前篇』

★★★☆☆

そもそもこの作品をものすごく観たいと思っていたわけではありません。シャーロック・ホームズにしようかどうしようかと思いつつ映画館に行って、チケットカウンターに向かって踏み出した足が左足だったから『僕等がいた』の方にした、というぐらいの気まぐれでした。

超ど真ん中の恋愛映画で、しかも前篇は高校時代なので、もうそろそろアラフォーも卒業というオッサンが観てもやはりギャップは感じるし、そう簡単にはキュンキュンきたりはしませんでした(^^;)。
もちろん、ああいう年代の自分を思い返せば一途に人を好きになる感覚もわかるのですが、どちらかというと「若者よ、今はそう思い込んでいるかもしれないけど、人生そんなに思い通りにはいかないのだよ」と諭したくなる方が強かったかも。

作品の中の登場人物たちは、一生懸命相手のことを考え、自分のことを考え、恋愛に向き合っている姿が誠実で爽やかでした。ただ、デートで波打ち際でキャッキャする描写や、絶妙なタイミングで雪が降り始める演出などは、オッサンとしてはわざとらしすぎて抵抗がありました。

役者陣は、実際にはなかなかありえないようなくさいセリフを、あたかも自然に演じていました。ただ、高校生役にしては実年齢が高い人ばかりで、正直、かなり違和感がありました。後篇は6年後の話らしいので、しっくりくるのでしょう。
ちなみに、竹内役の、高校生にしては明らかに老けている役者さんは誰だろうと思っていたら、エンドロールを見て、あのいろいろな意味で話題となった宮崎あおいの元旦那、高岡蒼佑だと知りました。

前篇を観ちゃったので後篇も観る可能性が高いですが、登場人物の年齢が上がる分、多少は感情移入しやすくなるのでしょうか(^^;)?

2012年3月16日金曜日

『Liar Game -再生-』

★★★☆☆

前作がファイナルステージだったのに、ずいぶんあっさりと続編が出来てしまいました。だまされた気分。ライアーゲームだけに(^^;)。

相変わらずゲームの展開はとても難解。1回映画館で観ただけでは腑に落ちない部分がありました。

松田翔太演じる秋山の憎らしいほどのクールさは相変わらず。同じ時期に、松田翔太が全然違う演技をしている『アフロ田中』が上映されていただけに、キャラの違いが面白いです。

今回のヒロイン役の多部未華子は悪くないと思いましたが、TVシリーズから前作の映画までずっと戸田恵梨香がヒロインを演じてきただけに、どうしても違和感を覚えてしまいました。
極端な話、ライアーゲームという作品は、面白いゲームと秋山がいれば成立するとは思いますが、戸田恵梨香のいないライアーゲームを物足りなく感じたのも 事実です。

『アフロ田中』

★★★☆☆

ひとことで言えば、若い男の子の悩みを面白おかしく描いた映画ですね。共感できる部分もありますが、自分はあそこまでアホじゃない…はず(^^;)。

松田翔太の田中はなかなかいいですね。ちょっと現実離れしたキモいキャラクターですが、演じ切っています。

佐々木希の演技は初めて見ました。勝手にあまり上手じゃなさそうだと想像していましたが、意外とちゃんとしてると思いました。ただ、基本的に男目線の作品なので、彼女は近寄りがたい存在。なので彼女の内面の描写は少なめだとは思います。

ところで、あの極端なアフロヘアは、ストーリーの本質とは何の関係もなかったのですね。

2012年3月11日日曜日

『おかえり、はやぶさ』

★★☆☆☆

私が把握している"はやぶさ映画"のラストを飾る作品。

…なのですが、んー、正直、何だかパッとしなかったなあ。
まずは単純に、この手の実話に基づいた作品は、後になればなるほど不利。多くのエピソードは先行した作品でほとんど出尽くしちゃっているので、先が読めてしまいました。

そして、一つ一つのトラブルの深刻さや、それを解決することがいかに難しいかがあまり感じられませんでした。はやぶさプロジェクトを描くとき、そこがしっかり伝わるようにしないと意味がないと思います。

人間ドラマとしては、アメリカで肝臓移植を受ける母親と子供、主人公とその父親との微妙な関係などが展開されるのですが、なーんかはやぶさに無理やりくっつけたエピソードという印象で、個人的にはイマイチ。

前半の方で、理学系と工学系の意識の違いの話が出てきてちょっと面白かったのですが、後半は完全に文学系もしくは体育会系のノリになっちゃってました。藤原竜也は、感情をオーバーに表現するスタイルの役者だと思うので、工学系の人物にはあまりハマっていないように見えました。

この作品、3Dと2Dが作られているようなのですが、私がよく行くいくつかの映画館では、2Dのみの上映か、3Dをやっていてもレイトショーはありませんでした。3D映画は極力3Dで観ることにしているのですが、結局今回は2Dにしました。3D追加料金払わずにすんでよかったかな(^^;)。

2012年3月4日日曜日

自転車標示

西葛西に自転車の車道走行を推進するための標示が設置されたと聞き、実際に見に行ってみました。

マスコミが取材していたのは学校の前っぽかったからここかな。行ってみたのは日曜日の昼間なので、学校の生徒たちはおらず、それほど人通りは多くありませんでした。でも時々車は通ります。ある意味、慣れていない人が車道走行を始めるにはちょうどいい道路かも知れません。今回の標示設置は試験的な意味合いもあるので、車道を走っても危険が少ない場所を選んだということだった思います。


この周辺のいくつかの道路には標示があるようでした。でも例えばこの道の右側、歩道と言っても段差どころかガードレールもありません。律儀に標示が描かれているけど、こういうところは、そもそも歩道だ、車道だとうるさく区別するような場所ではない気がしますが…。

この標示のある道路で自転車に乗っている人を何人か見かけましたが、正直、あまり標示を意識しているふうではありませんでした。警察は、どうやってこの標示の効果を検証するつもりなんだろう??


 ところで、この標示のデザインですが、どこかで見た記憶があると思っていました。葛西の駅前の環七は、歩道上に自転車レーンがあります。そのマークも自転車を正面から見た図案でした。そういえば錦糸町の方でも見た記憶があるので、すでに広く使われているのかも。
ただ、こちらは、路面のプレートと頭上の標識で、路面に直にプリントされているわけではありません。しかも、デザインも微妙に違う気が。うーん、そういうところ、ちゃんとすればいいのになあ。

2012年3月3日土曜日

『TIME/タイム』

★★★★☆

この作品は、かなり前から映画館で予告編が流れていて、そのときから観ようと決めていました。

遺伝子操作によって、25歳で成長(=老化)が止まるようになった人類。その代わり、それ以降生き続けるためには、お金を手に入れるのと同じように、時間(=余命)を手に入れなければならない。時間は通貨と全く同じように流通し、モノを買うときは時間を支払い、仕事をすると時間が手に入り、時間を貸し借りしたり盗んだりできる社会。

この設定だけで観たくなったのですが、やはりこの設定こそが(だけが?)、面白い映画でした。
この映画のストーリーを、「時間が通貨」から「お金が通貨」に戻して考えると、金持ちと貧乏人の格差社会で、一部の人間に富が集中する状況に不満を覚えた貧乏人が、金持ちに反旗を翻すというお話となり、何だかとってもベタな内容となります。

たぶんこの作品で面白かったのは、時間をお金のようにやり取りをする社会の姿をディテールまで描き込んでいるからだと思います。バスの乗り方、給料の支払い、銀行や質屋、時間の貸し借り、ギャンブル、窃盗などなど。

で、この作品はこの世界観にオーソドックスなストーリーを乗せたという印象なのですが、何かもうひとひねりがありそうな気がします。
例えば、ある人の所有する全ての時間を奪うことは即ち命を奪うことなので、窃盗罪=殺人罪という新たな状況が生まれるはずで、ここにフォーカスを当てるとか。突然変異で50歳まで成長する個体が生まれたらどうなるか?とか。25歳未満のふりをすることが盗難防止になるとか…。
こんなふうに考えていくと、実はこの作品は、1つのエピソードで完結してしまう映画作品より、TVシリーズなどで複数のエピソードを描いた方が面白かったのかもしれません。たぶんあの終わり方だと、続編はなさそうだからなあ。