私は、オリジナルの『宇宙戦艦ヤマト』が本当に大好きだったので、特に最初のテレビシリーズから『さらば宇宙戦艦ヤマト -愛の戦士たち-』に関しては、各話のあらすじはもちろん、部分的にはセリフや芝居の間、BGMのタイミングまで覚えていたりします。そういう人間が“実写版”と称する作品を観るとどうなるかというと…、どう評価していいのか全く判断できませんでした。
まず、とにかくオリジナルとの共通点と相違点にたくさん気づいてしまいます。
ヤマトのサイズの設定が違うこと、ヤマトクルーの所属や性別の設定が違うこと、何人かオリジナルの声優さんが登場していること、ガミラスの正体がオリジナルと違うこと、波動砲の発射プロセスがオリジナルとほとんど同じこと、…枚挙にいとまがありません。
作品鑑賞というより間違い探しのようで、だから評価不能なのです。
断片的に、気がついたことをいくつか。
全体として、あまり戦いに明け暮れている感じがしませんでした。たぶん、ガミラスの正体も、地球攻撃の目的も、基地がどこにあるかもわかっていないという設定なので、突然何の前触れもなく敵が現れて、圧倒的な強さで攻撃されて、ヤマト側は結局波動砲で決着をつけるかワープで逃げるしかパターンがなかったからだと思います。まあ、オリジナルのように、何十発くらっても沈まないのもリアリティがないのですが…。
イスカンダルまでの航海が、あまり長く感じませんでした。作品の中では、結局行って帰ってくるまでにどれだけの時間がかかったのか明らかにされませんでしたから、本当に短期間だったと言われればそれまでなのですが。地球出発前と地球近辺に戻ってきてからのエピソードもあるのでやむを得ないとは思うものの、意外とあっさりした旅でした。オリジナルの映画版もこんなもんだったかなあ…?
地球との交信可能距離を越える前に、全乗組員に個人的な通信を許可するエピソードは、私の記憶が合っていれば、オリジナルTV版全26話の中で2話しかない、ガミラスとの接触が全くない回だったはずです(ちなみに、もう1話は、イスカンダル滞在中)。子供のころ、この回もそれなりに面白く見たのですが、戦艦の物語で戦闘の要素がないというのは不思議な感じがしました。今思うと、人間ドラマとして重要な回だったのだと思います。実写版にこのエピソードを盛りこんであるのは「やるじゃん」という感じ。ただ、あそこまでするなら、沖田と古代が地球に別れを告げるシーンもあってよかったかも。
相原役のマイコさんは、意外とよかったですね。オリジナルの相原は通信士で男性。彼が重要な役割をするエピソードがいくつかあるものの、基本的には地味な脇役。実写版で設定を女性に変えても、存在感は地味なままなんだろうと思っていました。実写版の相原は、役割としてはオリジナルの太田と森雪を合わせたような感じ。戦闘が始まるときは、まず最初に彼女が敵を発見するので、ストーリー展開にあまり影響はしないものの、意外とセリフも多いし存在感もありました。
エンドロールを見ていたら「原作 西崎義展」とありました。今回の映画が公開される少し前に西崎氏は亡くなっているのですが、オフィシャルWebサイトでも(テレビで見る限り)舞台挨拶でも、特にこれについてのコメントはないようですね。そして、松本零士氏にいたっては、一文字も見当たりませんでした。やはりヤマトの原作者について触れるのは、タブーということなのでしょうか。
こんにちは。
返信削除>やはりヤマトの原作者について触れるのは、タブーということなのでしょうか。
そんな事はありませんよ。
西崎義展氏は原作だというだけで、製作には関係していませんから、特に前面に出る必要はありません。
というか、当初より「原作西崎義展」の表記はweb上で公開されており、それにふれない・・・という動きはありませんでした。
松本零士に関しては、そもそも著作者ではありませんので問題外です。