★★★★☆
2019年 第91回アカデミー賞作品賞受賞作品。
黒人と白人、上流階級と使用人という構図が、『最強のふたり』を彷彿とさせるので、観に行こうかどうしようか考えましたが、まあアカデミー賞も取ったことだし、ということで観に行きました。
ストーリー展開も、大きなところでは『最強のふたり』と似たような感じで、最初はいがみ合っていた二人が徐々に友情を育んでいくというもので、想像どおりでした。
ただ『最強のふたり』は、たまたま白人の富豪と黒人の使用人だっただけで、黒人差別は直接的なテーマではなかったと記憶しています。そして、全体的なトーンとしては明るめ。
対して、『グリーンブック』は黒人差別がモロに作品のテーマなので、いい塩梅に笑いをちりばめてはいるものの、作品全体として暗く重いものを感じました。
アメリカで、いまだにこのような黒人差別を扱った作品が作られ、高い評価を得ているのは、表面的な制度上は差別が撤廃されているものの現実には今も差別意識が根強く残っているということなのでしょう。50〜60年前を舞台にしたこのような作品を観て、実は今を憂いているのだと思います。
日本でも人の心の中の差別的な意識は多々あると思いますが、少なくともアメリカ社会をダイレクトに経験していない私にとっては、黒人差別問題を当事者感覚を持って受け止めることは難しいように思います。
主人公の白人は黒人嫌いですが、自分を運転手として黒人にときには逆らい罵ったりもするのですが、必要以上にキレて暴力を振るったり周りのものを破壊するような行動を取らないのは見ていてホッとしました。
行儀が悪く下品で粗暴なキャラなので、最近の日本の作品であれば簡単にキレて暴れまわる演出となりそうな気がします。私はああいう描写に必ずしもリアリティを感じないし、安易な演出に思えて好みではありません。
公式サイトは、こちら。
https://gaga.ne.jp/greenbook/
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