この映画は、アイザックソンの書いたジョブズの伝記が原案ということになっています。あの伝記は、彼の出生から亡くなる間際までをかなり詳細に描いているのですが、そこから映画作品にするときに、全体をまんべんなく描かずに、こういう切り取り方をしたのか、という、そこが一番面白かったと思います。
もう一つのジョブズ映画(邦題は本作と同じ『スティーブ・ジョブズ』ですが原題は『JOBS』)の方も、伝記で描かれている全ての範囲を網羅しているわけではなかったと思います。でも、ウォズと出会ってAppleを作って、追い出されて、また復帰してという、彼のビジネスにおけるキャリアの一番ドラマティックな部分をきちんと抑えてありました。
本作の方は、一応初代Macintosh、NeXTcube、iMacの発表会場が舞台ですが、実際には、その舞台裏で起こっているジョブズのプライベートな人間関係が描かれています。逆に、ビジネス上の功績は、この作品ではほとんどわからないと思います。
私はもともとジョブズに興味を持っていて、Apple復帰以降はリアルタイムでどんな製品を発表してきたか知っていますし、彼にまつわる様々なエピソードもあちこちで見聞きしているので、そのうちのどの部分を映画で描いているのかわかります。
ただ、ジョブズについてあまり知らない人がいきなりこの映画を見た場合、登場人物全員と喧嘩している男にしか見えないでしょう。
ずっと認知拒否してきた娘のリサ、その母親のクリスアンとの関係は比較的わかりやすいのですが、スティブ・ウォズニアック、ジョン・スカリー、アンディ・ハーツフェルドはそれぞれ何をした人で、ジョブズとどういう関係の人物なのか、あの描き方で伝わったのかなあ。
それとも、そんなことが一切わからなくても、充分面白いと感じられる映画に仕上がっているのか。描かれていない部分を補って観ることができてしまう私にはよくわかりません。
割と普通の伝記映画を想像していた私にとってはかなりの変化球でしたが、ジョブズという人物を大胆に切り取って描いた人間ドラマとしては、かなり面白いと感じました。
公式サイトは、こちら。
http://stevejobsmovie.jp
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