2019年10月5日土曜日

『ジョーカー』

★★★★☆

残念ながら映画館では観ませんでしたが、クリストファー・ノーラン監督のバットマン3部作はネット配信で観て、あの重たい世界観は印象に残りました。その中で、ヒース・レジャー演じるジョーカーはとても不気味でした。
本作はジョーカーが主人公で、しかもバットマンが出てこないということは、全編重苦しく狂気に満ちているということになります。なので、直前まで観るつもりではなかったのですが、あまりにも前評判がいいので、観てみることにしました。

観てみた結果は、ある意味予想どおり、本当に何の救いもない世界でした。ジョーカーだけが、というよりは、ゴッサムシティ全体が陰鬱で市民の不満がくすぶっていて、社会秩序も個人個人のモラルもすでに崩壊しかかっている状態で、ジョーカーは市民の不満爆発の引き金に過ぎないような感じでした。

ホアキン・フェニックスの演技は素晴らしい。というか、彼の演技なくしてはこの作品は成立しないと思います。笑い方や動作がちょっと奇妙で不気味さを秘めているのですが、もはや脚本では表現できない部分であり、彼の演技によって足されたものだと思えるので。

本作は日本ではR15指定で、アメリカでも映画館が子供に見せないように異例の呼びかけをしたと聞きます。決して暴力や犯罪を奨励しているわけではないでしょうが、この状況に陥ったら犯罪に走るのも仕方がない、と思えてしまうような危険性はあると思います。
まだ、あのバットマンのあのジョーカーの話なので、フィクションとして済まされますが、これが普通の犯罪者の話だったらもっとヤバいかも。
とりわけ今の時代、社会がやや不安定なムードを醸し出しているので、作中のゴッサムシティのようなことが、現実にも起こりうるような気がしてしまいます。

この世界観の映画としての完成度は極めて高いと思うのですが、そもそも私はこういった作風があまり得意ではないこと、観ていてシーンの繋がりやストーリーの展開が一部よくわからない部分があったことなどもあって、★4つとしました。

初日とはいえ、レイトショーなのにお客さんがたくさん入っていました。こういうトーンの作品ではかなり珍しいと思います。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/jokermovie/

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