2012年10月9日火曜日

『山下達郎 シアター・ライヴ PERFORMANCE 1984-2012』

最近、映画館で上映される映画以外の作品が増えています。演劇、スポーツ、落語、コンサートなどなど。こういった作品を映画館で観るとどのような体験ができるのか、以前から興味がありました。

山下達郎については、ものすごく好きというわけではないし、作品もそれほど知りません。ただ、CD制作にしろライブにしろ強烈なこだわりを持っているプロ中のプロというイメージがあり、しかもテレビには全く出ないので、どんなライブなのか興味がありました。

ライブを映画館で観て聴くというのは、ちょっと不思議な感覚でした。
まず、やっぱり生で観るのとは違うと思いました。本当の臨場感を感じたいなら本当のコンサートに行くべきでしょう。どんなにステージから距離が離れていて観にくくても、音が反響して聴きづらくても、周りのお客さんが騒がしくても、アーティストや他のお客さんと同じ空間にいるという感覚はコンサート会場でしか得られないようです。
シアター・ライブは、所詮代替品です。視点は決められているし、色々な会場でのパフォーマンスがつなぎ合わされているので、連続性が感じられません。人工的に編集されて用意されたものを見ているという感覚は拭えません。

その前提で観ると、生のコンサートではよほどいい席でなければ得られないベストアングルで見られるし、アーティストのアップも多いし、音はちゃんとミキシングされているなど、いい点も多々あります。

DVDやBlu-rayを自宅で観るのと比べると、大きいスクリーンで没入感があるし、音の迫力は圧倒的。わざわざ映画館まで出向くのも特別なイベントという感じがして悪くないと思います。

お客さんは、下手な映画作品より入っていたと思いますが、達郎ファンなのか映画ファンなのか想像もつきません。曲が終わるごとに拍手ぐらいしてもいいような気がしましたが、特にそういうことはありませんでした。もしかしたら、みんな私と同じくどうしていいのかよくわからなかったのかも。

こういう上映が今後増えていくんでしょうね。これまで馴染みがなかった分、どういう態度で鑑賞すればいいのか悩むところもありますが、もっとどんどんやればいいと思います。
そういえば、ワーナー・マイカル・シネマズでは、映画館のレンタルサービスを実施しているようです。このような動きは、従来の映画作品上映だけではやっていけなくなってきたということなのかもしれませんが、私としては映画館がますます楽しくなっているように思えます。

そして山下達郎のライブの印象。予想通り、基本的に演奏と歌唱に集中していて、それ以外の派手な演出は排除したスタイルでした。でもそれは逆に言えば演奏と歌唱だけで見せたいという意志の表れなのでしょう。この感じ、私はけっこう好きです。
ただ、楽曲自体はやっぱり好きなものと苦手なものがありました。
そして、達郎自身については、ラジオなどでの話しぶりを聴いていると、割と世の中を斜めに見ているというか冷静沈着なイメージだったのですが、ライブで歌っている様子を見ると思ったよりも熱い人のような気がしました。

0 件のコメント:

コメントを投稿