2012年12月2日日曜日

『エル・ブリ 世界一予約のとれないレストラン』

★★★☆☆

世界一予約がとれないレストランと言われた、スペインのレストラン「エル・ブリ」の、主にメニュー開発の様子を追ったドキュメンタリー映画です。

映画館で上映していたときから気になっていたのですが観られず、今回iTunes Storeでレンタルしました。

https://itunes.apple.com/jp/movie/eru-burino-mi-mi-shi-jie-yi/id573221178

このレストランは、半年間店を休業して、次の年のメニュー開発にあたるのですが、その様子をカメラが追います。

映画作品としてみた場合、時系列に反って淡々とシェフたちの様子が映されるだけなので、特にストーリー的な起伏はありません。その様子に対して、何か解釈や解説が字幕やナレーションとして付け加えられているわけでもないので、本当にただのぞき見しているような感じです。
それでも、忙しく仕事をこなすシェフたちの足だけを写したりするカットがあったりして、映画っぽさも多少見られます。

新しいメニューが創作される様子はやっぱり面白いですね。それはまさにデザインプロセスそのもので、最初はアイデアの断片を次々と試していき、可能性のあるものをコンセプト化して、より狙いにあったものへと調整していきます。さらにディテールを高めていき、コースとしての構成を考えていきます。その間、写真やメモを適宜残していきます。こういう様子を垣間見るのは、ワクワクします。

この映画を観ると、エル・ブリがいかにオーナーシェフ、フェラン・アドリアのワンマンっぷりがよくわかります。メニュー開発にあたって実際に手を動かすのはシェフのチームで、おそらく相当優秀な人達なんだと思いますが、あらゆる判断、決定はフェランにおうかがいを立てます。そして、フェランの言い出すことが、ものすごく感覚的で思いつきっぽい。フェランはほとんど笑わないし、いつ何を言い出すかわからないので、現場はいつもピリピリしています。
エル・ブリの頭脳でありすべてであるフェランと、その手足として働くシェフたちという組織の実態はよくわかりますし、それでうまくいっているんでしょうが、理想的な組織かどうかは、疑問符がつくような気がします。

公式サイトはこちら。
http://www.elbulli-movie.jp

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