2017年3月26日日曜日

『彼らが本気で編むときは、』

★★★★☆

荻上直子監督作品というと『かもめ食堂』と『レンタネコ』を観ています。
割とのほほんとした空気で、登場人物の日常を淡々と描き、特に劇的な事件が起こるわけでもないのですが、なんとなくほっこりする作品を作る監督という印象です。

本作は、生田斗真君演じるトランスジェンダーが登場します。こういう作品は大抵本人が激しく苦悩し、周りを巻き込んで大騒動が起こるか、社会問題的に非常に重く描くというのがよくあるパターン。
荻上監督がいかにトランスジェンダーを淡々と描いているのかが、私の興味でした。

実際に観てみると、荻上作品らしいのほほんとして淡々としてほっこりする感じはあったものの、それなりに事件は起こり、それなりに苦悩する姿が描かれていて、社会的メッセージも感じる作品でした。
ただ、生田君演じるリンコはすでに迷いの時期を超え、自分の生き方を決めており、作品の最初から最後まで一貫してその姿勢は変わりません。
どちらかというと、そのリンコを見て周りの人たちが変化していく様子を描いています。

荻上監督なら、トランスジェンダーを本当に単なる日常の一部のように描くのかと思いましたが、一応まだ(?)トランスジェンダーという存在を問う作りになっていました。

生田斗真君は、とても頑張っていたと思いますが、どうしても男性が無理して女性を演じているような違和感がありました。ただ、体が男で心が女というのはそういうことなのでしょうから、これで違和感を感じるようならお前はまだまだだと試されているのかもしれません。

トモを演じた子役の柿原りんかさんは、とても複雑な感情を見事に演じていて素晴らしかったと思います。


公式サイトは、こちら。
http://kareamu.com

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