2019年8月12日月曜日

『シークレット・スーパースター』

★★★★☆

本当は歌手になることを夢見ているにも関わらず、厳格な父親にギターや歌を禁じられた少女が覆面シンガーとしてYouTubeに自作の歌を投稿して、それが評判になって…というストーリーのインド映画。このような作品紹介を読んだ時点で、観に行きたいと思っていました。
ちなみに、以前ネットのどこかで、実話を基にしていると書いてあったような気がしていましたが、あらためてネットを見てもそのような情報は見つかりませんでした。

実際に観てみると、ストーリーはとてもシンプルなサクセスストーリーで、笑わせどころ、泣かせどころもうまく出来すぎているあたりがちょっとハリウッド的な気もしました。でも、見事なまでの父親のモラハラっぷりや、覆面シンガーとして演奏するときにイスラム教徒の女性が被るブルカを使うなど、やはりインドならではと感じさせる要素が多々ある映画だと思います。

インドのスーパースター、アーミル・カーンが制作に関わっており、めちゃくちゃチャラい落ち目の音楽プロデューサーとして出演もしています。この演技が、チャラいのに真面目で誠実で、絶妙なバランスの魅力的な人物像を作り上げていました。
ただこの人、とんでもなくマッチョな肉体の持ち主。個人的にはチャラい音楽プロデューサーはもうちょっと不健康そうなイメージなので、そこだけはちょっとギャップを感じました。

主人公のインシアを演じたザイラー・ワシームさんはみずみずしい少女の顔を見せる瞬間もあれば、完全に肝っ玉母ちゃんのように見える瞬間もあり、ちょっと興味深いキャスティングだと思いました。まあ非の打ち所のない美少女よりリアリティがあるような気もします。

こういう作品は、主人公の歌声に説得力がないとガッカリしてしまうものです。そういう意味では、充分素晴らしい歌唱だとは思いましたが、世界中から賞賛されるほどの歌声というにはもうひと頑張りだったかもしれません。
インド映画の場合、登場人物の歌唱シーンでは基本的に本人は歌わず別の歌手の歌声に合わせた口パクだと聞いたことがあります。この作品の場合はどうなのか、気になりました。

そして、インド映画につきもののダンスシーンは、本編ではまったくありません。主人公が歌う歌もバラードなのでダンス向きではありません。最近ではダンスシーンのないインド映画も増えてきたので特に気にしていませんでしたが、最後のエンディングでチャラい音楽プロデューサー、アーミル・カーンが踊りまくっていました。

インド映画は上映館数が少ないので、好きな人が集まってくる傾向にあるのですが、それにしても新宿の映画館は大盛況でした。今年は、夏から秋にかけて面白そうなインド映画が続々公開されるので、毎回こんな感じなのかも。


公式サイトは、こちら。
http://secret-superstar.com

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