会社を定年退職した男性が、がんの告知を受けてから亡くなるまでの様子を実の娘が撮影し続けたドキュメンタリー。この男性、自分が死ぬまでの段取りをノートにまとめ、実行していきます。
特に映像も音声もキレイではないし、劇的な出来事があるわけでもなく淡々と話が進んでいくのですが、ホンモノはすごいですね。ツクリモノにはないパワーがあります。
死を真正面からテーマにした作品なので、普通に描くとものすごく湿っぽく陰鬱になってしまいます。でもそこは、男性やその家族の陽気さや、近い将来の死をあっさりと受け入れるポジティブさ、自分の死に対してサラリーマン時代と同様に段取りにこだわる男性のちょっとヘンテコな発想などが、ずいぶん雰囲気を和らげていますし、そういう風に演出されています。
最後は泣けます。でも、生前のシミュレーション通りとはいかなかったかもしれませんが、ある意味とても幸せな死に方ができたのではないでしょうか。
それにしても、自分の父親を撮り続けてこの映画を作ったこの作品の監督さんは、いつから父親の死を題材にしようと思っていたんだろう。
映画の中では、がん告知以前の映像も出てくるので、どうやら彼女は以前から自分の家族の映像を取り続けていたようです。ということは、最初は死をテーマにするつもりではなかったのかも。がん告知があり、死までの段取りを作り始めたあたりで死をテーマにすることを思いついたのかな。でも、思いついても本当に作品にするには勇気がいりそう。ちゃんと作品を完成させ、世に送り出した監督に拍手。
公式サイトは、こちら。
http://www.ending-note.com/
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