2013年7月8日月曜日

『真夏の方程式』

★★★☆☆

ガリレオの映画第2弾。

ガリレオは、テレビ版はエンターテインメント色を強めにして、映画版は人間ドラマの色合いを濃くする方針のようです。映画版がテレビ版と同じような演出で作られていたら、たぶん今回の第2弾は観なかったと思います。

テレビ版は、割とオカルトチックなノリがあって、事件発生に際して大抵超常現象が起こります。これを湯川先生が物理学的に起こりうることだと実証していくのがパターン。
湯川先生は文字通り変人で、現象を物理学的に解き明かすことには興味を示すけど、犯人の動機や事件の裏側にある人間同士の愛憎には全く関心がありません。
そして、事件の謎を解き明かす瞬間、彼はお約束のようにその辺の壁でも地面でも、ところ構わず数式を書きまくるというシーンが登場します。

テレビ版のこういった演出があまり好きではない私としては、映画版がグッと重厚感のあるドラマとして仕上げられていることは大歓迎です。
前作の『容疑者Xの献身』も、オカルトめいた超常現象は登場しないし、物理学者しか知らないような変わった装置も出てきませんし、あの数式を書きまくるシーンもありません。真実を知ってしまったことに苦悩し動揺する湯川先生は、面白おかしいマンガのキャラクターのような変人ではなく、人間性を持ち心の弱さを持った一人の男でした。

同じキャラクター、同じ設定でありながら、これだけトーンを変えた作品作りをするのは大変そう。福山雅治の演技も、ガリレオらしい変人ぶりは最低限残しつつ、人間味を加えるバランスが見事。

今回の『真夏の方程式』も、スタイルとしては『容疑者Xの献身』同様、人間ドラマ型の方で作られています。
最終的にすべての真実が明らかになったとき、謎が解けたというすっきり感とは別に、それぞれの登場人物が抱えているやりきれない事情が切なくなります。謎解きや犯人探しと、人間ドラマのバランスもいい感じです。
ただなあ、自分としては前作の方がさらによかったんだよなあ。

ところで、湯川の環境保護団体への言葉、
「人間は自然に手を加えて利用してきた。その恩恵はあなた方も受けている。あとは選択の問題だ」
すごく湯川らしいセリフですが、エンターテインメント作品らしからぬ重みを感じます。

公式サイトは、こちら。
http://www.galileo-movie.jp/index.html

0 件のコメント:

コメントを投稿