2013年7月1日月曜日

『コン・ティキ』

★★★☆☆

たぶん小学校3年生のときだったと思うのですが、風邪を引いて学校を休んだとき、『片耳の大しか』(椋鳩十著)という本を親が買ってくれました。これが子供向けの偕成社文庫というシリーズで、その後自分のお小遣いで何冊か買いました。椋鳩十や戸川幸夫の動物ものが好きでしたが、一番気に入っていたのは古田足日の『海賊島探検株式会社』。そして『コンチキ号漂流記』もかなりお気に入りで、何度も読み返した記憶があります。"探検"とか"漂流"とか、子供心にワクワクしたんでしょうね。
そんな作品の映画化作品となれば、例えつまらなくても観に行かないわけにはいきません。

そして実は、その本は今も手元にあります。「1976年3月 1刷」ということは、初版ということですよね。

コンチキ号漂流記

コンチキ号漂流記


さて、映画の『コン・ティキ』ですが、実話に基づいている以上、勝手にエピソードを追加するわけにはいかないんでしょうが、正直言って漂流ものとしては想像できる範囲だったかなあ。訪れる危機といえば、嵐とサメと仲間割れ。コン・ティキ号はイカダで、海流に乗って進むだけだから操縦するシーンもほぼなし。比較的最近、やはり漂流ものの『ライフ・オブ・パイ』を見ているのも、ちょっと条件が悪かったかも。

それでも、約35年前に何度も読んだ物語を目の前にビジュアルで見せられると、やっぱりワクワクしますね。
この感覚は『宇宙戦艦ヤマト2199』を見たときと本質的には同じ。子供のころの自分にとって、人類学的検証として行われた史実としてのイカダでの航海も、エンターテインメントの空想物語である宇宙戦艦の航海も、ワクワク感に区別はないんでしょう。

映画の『コン・ティキ』には、本に出てきたエピソードで私が記憶しているものがいくつか出てきませんでした。
そのうちの一つ。バルサの丸太を縄でしばっただけのコン・ティキ号はそのうちバラバラになると思われていたものの、バルサがいい具合に水を吸ってふやけて衝撃を吸収し、縄が緩むことがなかったというもの。映画では、バルサが水を吸っていることを心配する描写や、縄だと持たないかもしれないのでワイヤーで補強しようという案をヘイエルダールが拒否するシーンがありました。
もう一つ。本では、しばしばシイラという魚を釣って食べる場面が登場していた記憶がありますが、映画では航海中の食事に関するシーンはほとんどありませんでした。ただ、イカダの下の海を泳ぐ魚の中にシイラがいたのはわかりました。

公式サイトはこちら。
http://www.kontiki.jp

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