2014年2月26日水曜日

『ラッシュ/プライドと友情』

★★★☆☆

なかなかよかったと思います。

F1ドライバー、ジェームス・ハントとニキ・ラウダの、実話を元にしたストーリー。2人が総合チャンピオンを争った1976年のシーズンを描いています。

私が好きな『アポロ13』のロン・ハワード監督作品だけあって、ドキュメンタリーを見ている感覚になります。
一方で、実話が元になっている限りやむを得ないのですが、ストーリー自体が割とシンプル。もちろん、ニキ・ラウダの事故や短期間でのレース復帰、最終戦までもつれ込んだ優勝争いなどは実話としては充分ドラマティックですが、純粋に映画作品として見ると、少し物足りない気もします。

人物の描写はすごくよかったと思います。チャラい印象のジェームス・ハントと、堅物で融通の効かないニキ・ラウダは、どこまでもウマが合いません。
それならお互いに放っておけばいいのに、自分の考えをストレートに相手にぶつけます。そんな、気になって仕方がないけど大嫌いな二人の関係が絶妙。
ニキの事故後はちょっとだけ距離が縮まりますが、それがまた、ほんのちょっとで、決して大親友になったりはしないところがリアルです。

レースのシーンは、映像、音響とも、とても迫力がありました。たぶんCGも使いつつ絵を作っているのでしょうが、CGだとわからないカットもたくさんあると思います。

ところで、ジェームス・ハントはマクラーレン、ニキ・ラウダはフェラーリ所属なのですが、双方とも赤をベースにちょと白が入った車体。ヘルメットもスーツも似たような色合いで、激しいレースのシーンだと、どっちがどっちか一瞬わからなくなります。これも実話を元にしていることの弊害(?)。もしフィクションだったら、ライバル同士の車は絶対違う色合いにして、画面上ですぐ区別できるようにするでしょうから。

最終戦は日本の富士スピードウェイ。日本人としては、このドラマのクライマックスが日本を舞台にしているというのはちょっと感動。画面の中には、日本人らしき観客、記者、日本語の看板、日本語の実況中継の音声などもちらちらと登場します。

それにしても、1976年にすでに日本でF1が行われていたんですね。
私にとって、F1というと大学時代。周りに好きな人が多く、古舘一郎の派手な実況中継もあって、一番接する機会が多かった時期です。あのころは、アラン・プロストとアイルトン・セナが優勝争いをしている印象でした。
そのセナが事故死したのはよく覚えていたので、最初にこの作品を知った時は、セナの話を映画にしたのかと思いました。

そういえば、2013年末にミハエル・シューマッハがスキーで事故にあったのは偶然ですが、この映画が公開されたら観ようと思っていた自分には、ちょっと因縁めいた感じがしました。

作品のオリジナルタイトルは『RUSH』だけで"プライドと友情"は邦題として追加されたフレーズのようですが、なんかカッコ悪いなあ。
たぶん"RUSH"の中に、カーレースのスピード感、事故の衝撃、二人の感情のぶつかり合いやライバルの存在に突き動かされる気持ちなどが全部込められているんだと思いますが、日本語だと満員電車とかを思い浮かべちゃうからダメなのかな。

公式サイトは、こちら。
http://rush.gaga.ne.jp

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