★★★☆☆
前作の『Mr. インクレディブル』は、ピクサーの長編アニメの中で初めて人間が主人公の作品でした。
フルCGアニメで人間の顔の造形はおそらくとても難しく作る側もさぞかし苦労していると思いますが、見る側としてはあまり好みではないことが多い印象です。
また、おもちゃが生き生きと動くといったテーマは、まさにCGだからこそできる表現ですが、キャラクターが人間の場合、CGで表現する必然性はそれほどないように思えます。
そんなわけで、当時『Mr. インクレディブル』は私の中ではあまり好きな作品ではありませんでした。
今回『インクレディブル・ファミリー』を観るにあたって、自分の中でその点をどう感じるのかが一つの興味でした。
結論としては、どうでもよくなっていたようです。『Mr. インクレディブル』から『インクレディブル・ファミリー』まで約14年の歳月が流れており、その間CGは当たり前の映像表現となりました。3DCGを従来のアニメっぽく線画に処理したものから、実写と区別がつかないリアルなものまで目にしていると、それはもはや鉛筆で描くかボールペンで描くかぐらいの差に過ぎず、テーマがCG向きかどうかという観点は意味をなさなくなったのだと思います。
ということで、今回は割とストーリー自体を楽しめた気がします。ヒーローとしての活躍という意味では、奥さんのイラスティガール中心に展開していたのはちょっと意外でしたが、まあ普通に面白かったと思います。ただ、バットマンなどのもう少しシリアスなストーリーのヒーローものもいろいろとあるので、それと比べるとかなりライトな印象です。
子供たちが、特殊能力は持っているもののやはりまだ幼いので、しばしば足を引っ張ってしまうところがあります。彼らが人間として、ヒーローとして充分に成長したときの、プロフェッショナルなヒーローチーム、インクレディブル・ファミリーの活躍を見てみたい気がします。…結局私は、シリアスなテイストの方が好みなのでしょうね。
同時上映の短編『bao』もよかったと思います。何作か前の短編はインドを感じさせるものでしたが、今回は中国。ピクサーのスタッフもグローバル化しているでしょうから、これは当然の流れ。ストーリーもキャラクターの造形もどこかアジアを感じました。
こうやって、世界中の様々な感性を取り入れることで、CGによる人間の顔の造形も豊かになりつつある気がします。
公式サイトは、こちら。
https://www.disney.co.jp/movie/incredible-family.html
2018年8月20日月曜日
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