★★★☆☆
黒木華さんという女優さんがとても好きなのですが、このところ彼女の出演映画が立て続けに公開されています。さすがに全部観る気はないので主演作である『ビブリア古書堂の事件手帖』だけを観ようと思っていました。
『日日是好日』も黒木さん主演ですが、ちょうど樹木希林さんが亡くなったのと公開時期が近かったこともあり、どちらかというと樹木希林さんの作品という印象だったので観ないつもりでした。それが、最初の公開から少し遅れて近所の映画館で上映し始めたので、やっぱり観に行くことにしました。
結果的には、やはり樹木希林さんの作品だと思いました。本当に自然で、どこまでが演技なのかわからない感じでした。
例えばお茶の生徒の振る舞いを見て「うん、うん」とうなずくような場面で、普通セリフを効かせるのであればそれなりのボリュームではっきりと「うん、うん」と発話するし、黙ってうなずくのであれば声は出さない、という芝居になると思います。
それが、この作品の樹木さんは、明らかに聞かせる演技としては小さい音量で、たまたま口から音が漏れたような「うん、うん」でした。でも実際、人はこういう曖昧なアクションをすることも多いので、樹木さんの芝居はとても自然で、演技っぽくない印象になるのだと思います。
ストーリーは、黒木さん演じる主人公が20歳でお茶を習い始めてからの二十数年間が描かれていますが、特に大きな起承転結はなく、ロードムービー的な展開でした。
それが、理屈で考えず手が勝手に動くまで反復練習するという、茶道の学び方とシンクロしているような気がしました。様々な季節の庭の草木のカットなども、流れ行く月日を感じさせてくれるいい味付けになっていたと思います。
個人的にはロードムービーはあまり好きではありませんが、何となくいい時間を過ごさせてもらえたと思えるような作品でした。
公式サイトは、こちら。
http://www.nichinichimovie.jp
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