2013年9月24日火曜日

『エリジウム』

★★★★☆

『第9地区』の監督作品だということを知って、観ようと思いました。

明るくきらびやかじゃない方の未来を描いたSF作品として、なかなかよかったと思います。

地球側のすさんだ世界の感じとかは『第9地区』と通じるものがあって、確かに同じ監督の作品だと実感できました。まあディテールのアイデアとかは、過去の明るくきらびやかじゃない系SF作品にも似たものがあったりして、大きくそれを越えているという感じではありません。でも、このトーンは結構好き。

たまたま近い時期に観た『スタートレック イントゥ・ダークネス』と対比するとなかなか面白いのですが、一方は正規軍が反乱を抑えこむ表側の物語、もう一方は、抑圧された下々の人間が支配層に反旗を翻す裏側の物語。自分は、意外とどちらも好きらしい。

マット・デイモンやジョディ・フォスターなどの有名な俳優を起用できたのは、『第9地区』での監督の評価が高まったせいもあるのだと思いますが、この作品には、有名俳優はいなくてもよかったかも。名も知らぬ下々の人間をセレブが演じる必要はないように思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.elysium-movie.jp

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』

★★★★☆

前作の印象がよかったので、今回も観るつもりでした。

結論としては、昔ながらの王道SF映画。もちろん、映像表現も進化しており、イマドキの俳優さんを起用しているのでしょうが、(たぶん)わざと奇をてらったことをやろうとはしていないので、安心して観ていられます。

相変わらず、カークとスポックは、考え方の違いから随所でぶつかります。スポックの冷静とカークの情熱は、どちらも極端ですが、作品全体としては、スポックがカークの考え方を受け入れていく傾向が強い気が。個人的にはもうちょっとスポックの冷静さ、論理性の価値も評価してほしいものです。

ジョン・ハリソンは、本当におそろしい敵で、その演技もよかったと思います。あのくらいいかにも悪役というキャラクターを持ってくるのであれば、ストーリーもこの最強最悪の敵にどうやって勝つか?というところにフォーカスしてもよかったかも。

途中、カークがエンタープライズ号のエンジンを直すシーンでは3.11を思い浮かべてしまいました(字幕では「放射線」ならぬ「照射線」となっていましたが…)。そして、敵の宇宙船が地上に落ちてビルをなぎ倒すシーンでは、9.11を思い浮かべました。
まあ私の考えすぎかもしれませんが、結構挑戦的ですね。

そう言えば、『マン・オブ・スティール』『キャプテンハーロック』『スター・トレック イントゥ・ダークネス』と、続けて3D上映がある作品を観たのですが、結局3Dを選んだのは『キャプテンハーロック』のみ。
普段、ほとんどレイトショーしか観ない私にとって、レイトショー割引の効かない3Dは2倍の値段となってしまうので、3本も続けて観るのはさすがに経済的に考えてしまいます。

公式サイトは、こちら。
http://www.startrek-movie.jp/index.php

2013年9月17日火曜日

『キャプテンハーロック』

★★★☆☆

私は、世代的には子供の頃にハーロックに接していておかしくないのですが、『宇宙海賊キャプテンハーロック』は、マンガも読んでないしTVアニメも見ていません。映画『わが青春のアルカディア』は観ているのですが、残念ながら、ほとんど何も覚えていません。割と記憶に残っているのは『銀河鉄道999』の映画に登場するハーロックぐらいなので、イマイチどういう世界観なのか、誰と戦っている海賊なのか、よくわかっていません。でも断片的にビジュアルや声の記憶は残っている状態でした。

今回の映画を見て、少し『わが青春のアルカディア』を思い出したのですが、要するに身勝手で人々を苦しめる支配者に反抗して海賊行為を行うので、犯罪者として追われ、恐れられ、でも憧れられ期待されるというのがハーロックの立場ですね。そういう意味では、まさにハーロックでした。

ただ、やっぱりどうしても気になってしまうのがCGです。つくづく、人間をCGでリアルに表現するのは難しいことなんだと感じました。モーションキャプチャを使ってリアルに動いているとはいってもどこかぎこちなく、表情がついているとはいっても、能面のような印象はぬぐえず、ちょっとハイテクなサンダーバードのような感じ。皮膚や洋服のテクスチャも入ってはいるんですが、やっぱり全体としてプラスティックっぽい質感に感じてしまいました。ハーロックのマントなんて、ビニール製に思えました。
今の技術ではこれが限界なのか、もっとお金をかければさらにリアルにできるのかはよくわかりませんが…。

キャラクターデザインが、外人っぽいのはしょうがないんでしょうね。ハーロックってドイツ人の血を引いているはずだし。ただ、顔の造形が整っているけど個性がないと思いました。ただし、ヤッタランだけは、太っちょキャラで三枚目のせいか、ちゃんと個性を感じるし、動きや表情も割と自然で受け入れやすく感じました。

アルカディア号は、あの艦首のドクロマークは残っているものの、アニメ版とはかなり異なるデザインで、好みで言えばアニメ版の方が好きですが、今回のアルカディア号も、画面の中ではなんとなく馴染んでいたようにも思います。

そして声。ハーロックというと、どうしてもアニメ版の井上真樹夫さんの声しか思い浮かばないので、小栗旬くんの声がハーロックのキャラと乖離しているように感じてしまいました。後の登場人物はアニメ版のイメージを持っていないせいか、それほど気になりませんでした。

一応星3つにしましたが、限りなく2つに近い3つかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://harlock-movie.com

2013年9月14日土曜日

『マン・オブ・スティール』

★★★☆☆

昔のスーパーマン、私はちゃんと見たことがないのですが、なんとなく明るく楽しいヒーロー物といったイメージを持っていました。そのイメージと比べると、ずいぶんシリアスな作品ですね。

クラーク・ケントは、真の力を見せることに常にためらいと遠慮があって、子供の頃の回想シーンは、ひたすら苦悩と葛藤してます。作品の前半は、クラークの悶々とした心の状態がひたすら描かれます。
後半は、ド派手な戦闘シーンですが、敵と比べてものすごく強いという感じではないので、割と苦戦するし、その戦いによって街がめちゃくちゃに破壊されるので、必ずしも後味がいいとは言えません。

パシフィック・リムでも思ったのですが、ハリウッドは、ヒーローが敵と戦う過程で街を破壊するということに抵抗はないのでしょうか?日本だと、ウルトラマンが怪獣との戦いで街を壊してしまう描写を大人たちが嫌がったために、最近の作品ではそういう演出が少なくなっている印象があります。

バッドマンのダークナイトシリーズを手がけたクリストファー・ノーランが製作を担当しているだけに、作品の重さはダークナイトシリーズと共通するものがあります。
音楽もすごく似ている気がすると思ったら、同じ人が担当していました。さすがにあのジョン・ウイリアムズの曲は使われていないんですね。確かに、今回の作品の世界観にはちょっと合わない感じがします。

スーパーマンのコスチュームも、作品世界の暗さに合わせたのか、かなりトーンを落としたデザインになっていますが、どうしてもあの赤いマントとかが脳天気な印象で、若干浮いていた気がしました。

映像は、本当にスピード感があって、スーパーマンのとんでもないパワーもよく表現されていました。まあ、今の映像技術を持ってすれば、驚くほどではないかもしれませんが。

ところで、スーパーマンの境遇って、ドラゴンボールの孫悟空とよく似てますね。サイヤ人として生まれ、赤ん坊のころに地球に送り込まれ、地球人として成長したころに母星を失った同じサイヤ人が地球にやってきて戦う…。
まあありがちな設定なので、どっちかが真似したというようなものではないでしょうが、戦闘シーンで、ふっとばされた主人公がその勢いで山を破壊してしまう描写とか、そっくりでした。どこかで、仲間を殺された怒りから、スーパークリプトン人になるんじゃないかと思うほど(^^;)。残念ながら、最初から最後までスーパーマンはスーパーマンでした。

続編があるようですが、今回の敵が"実は生きていた"パターンで再登場するのか、新たな敵が登場するのか、気になるところです。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/manofsteel/index.html?home

2013年8月26日月曜日

『宇宙戦艦ヤマト2199 第七章 「そして艦は行く」』

★★★★☆

ちょうどこの時期、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』や『マン・オブ・スティール』など、ハリウッド作品でも、昔から人気のSF作品の最新作が続々と公開されるのですが、結局一番最初にヤマトを観たくなってしまいました。

ヤマトは無事に地球に帰還しました。

第七章は、23話〜26話の4話分。オリジナルでは23、24話がガミラス本星の戦い、25話がイスカンダル滞在中、26話が帰路という配分でしたが、2199ではガミラス本星の戦いが1話だけになって、帰路に2話使います。

今回も、オリジナルの基本的な流れは残しつつ、かなり大胆にアレンジが加わっています。でも、要所要所にあの名セリフがそのまま残してあったり、オリジナルでは別のところで出てきたセリフやシーンを彷彿とさせる場面があったりで、感慨深いものがありました。

ヤマトが帰路、デスラーに襲撃されるのはオリジナルと同じですが、様々な演出が『さらば〜』っぽかったり、デスラー艦がちょと『〜III』っぽかったり、イスカンダルを飛び立った後のヤマトがちょっと『〜完結編』っぽかったり、シリーズ全体のオマージュ的な部分もあったかな。

前章あたりから、波動エネルギーを武器に転用した波動砲の是非というテーマが出てきました。あれを持ち出した時点で『宇宙戦艦ヤマト2201』とかは無理だと思いますが、その割に次に繋がるようなものがチラホラ。
最近の製作者はズルいから、続編を作ろうと思えば作れるようにしておくんだろうけど。ただ、あそこから次の話を作るとしたら『さらば〜』や『〜2』とはかなり違うものになると思います。意外と『〜新たなる旅立ち』には繋がりやすいかな。

そう言えば、ヤマトが地球に帰還したのは、2199年12月8日だそうです。オリジナルでは、14話で2200年を迎えるのですが、2199の旅は年を越さないんですね。この設定変更には何か意味があるのかな?真珠湾攻撃の日ですが…、単なる偶然?

今回は、制作の遅れから、25話が未完成で短縮した状態での上映だそうですが、一応話の流れとして不自然な感じはなかったし、ものすごく短いわけではありませんでした。

公式サイトは、こちら。
http://yamato2199.net


Blu-ray / DVD

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2013年8月25日日曜日

会社設立登記 その9 資本金の振り込み


定款の認証が終わったら、次に資本金を振り込みます。この順序に特に重要な意味はありませんが、定款も資本金も登記申請をするために必要な準備で、定款の方が手間がかかるので先にやった方がいいという程度のことです。

■資本金額
現在の会社法では、資本金0円でも株式会社が作れます。では実際、いくらにすればいいのか?結論としては、私にもよくわかりません。会社を作ってしばらくした後で、資本金は多すぎたのか、少なかったのか、調度よかったのか判断できると思います。

そうは言っても、判断材料はあります。

資本金は、会社の当面の運用資金になります。会社が黒字になれば資本は増えていきますが、会社設立からそのような状況になるまでには普通タイムラグがあります。それまでは資本金を切り崩して物品を購入し、人件費や光熱費などを支払うことになります。もちろん、銀行などから融資を受けることで、資本金とは別の形で運用資金を得ることはできますが、それはそれで借金なので、返却の義務を負います。
そう考えると、資本金額の目安は、会社が黒字化するまでの運用資金が捻出できる程度の額が必要という判断になります。

私の仕事の場合、本格的な設備を自社で所有しようとするとかなり高額になるのですが、それを都度レンタルなどで済ませることにすれば、後は自宅でパソコンと電話とネットがあればほとんど問題ないはずなので、比較的運用資金は安く済むはずです。

また、あまり資本金額が高いと「あの会社は余裕があるから、うちが仕事を出さなくてもいいだろう」と思われて、仕事をくれないことがある、という話も聞いたことがありますが、実際のところはどうなのでしょう。


■現金以外の資本
現金での出資以外に、モノで出資する、現物出資という方法もあります。例えば、個人で所有しているパソコンや不動産などを会社に出資するということです。

この場合、何を出資するのか、それがいくらの価値に相当するのかというリストを作成して法務局に提出することになります。この評価額の判断は取締役、つまり私の責任となります。現物出資のメリットもあるとは思うのですが、未経験の会社設立という作業の中で"責任"と言われると辛いものがあるので、私の場合は現物出資は行いませんでした。

ちなみに、現物出資を行う場合は、定款にもその旨記載する必要があるので、実際には現物出資をするか否か、定款作成前に決定しておく必要があります。



■資本金用の口座
登記申請の際、資本金についての証明となる資料は、振り込みの記録がある通帳のコピーです。ここが私にとっては納得いかない点なのですが、通帳の残高が資本金額以上あればいいのではなく、必ず振り込みを行ってその記録を示す必要があるそうです。

この時点で法人名義の口座が作れれば話はシンプルになるなのですが、登記される前に法人口座が作れるはずはないので、個人名義の口座を使うことになります。

口座は既存の口座でも構いませんが、手引書には、資本金入金用に新規口座を作った方がよいと、書かれていました。その理由はおそらく、通帳のコピーを法務局に提出する際、無関係な明細情報を見せなくて済むこと、既存の口座を使うと、会社の資本金をうっかり日常生活用に使ってしまうおそれがあるためではないかと思います。
私の場合、新規口座を作りました。

銀行口座を開設する際、必ず最初にいくらかの額を入金する必要があります。この時、資本金の総額を用意しておき、最初に入金しても良さそうな気はするのですが(多額の現金を持ち歩くのがイヤという話は抜きにして)、私が調べた範囲では必ず"振り込み"と書かれていたので、最初の入金と"振り込み"は別だと判断して、ひとまず口座開設時には1000円だけ入れることにしました。


■資本金の振り込み

そして、資本金額を解説した口座に振り込みます。この時、その振り込みが出資者によって行われたものであることが通帳に記載されないといけません。つまり、振り込み人の名義が出資者の氏名であることが条件となります。
どういう方法で振り込めばこの条件が満たされるのか私にはよくわかりませんが、別の銀行の自分の口座からネットバンキングで資本金用の口座に振り込んだら、条件を満たすことができました。

振り込む時点ですでに口座には1000円入っているので、振り込むのは資本金額-1000円でよさそうな気もするのですが、振り込み金額=資本金額でなければいけないと思い、きっちり資本金額を振り込みました。結果として、資本金用の口座の残高は資本金額+1000円となりました。これについては、いまだに何が正解だったのかわかりません。
この1000円は資本金ではないので、会社の運用資金として使ってしまうとおかしな話になってきます。でも、会社設立のために必要となった費用なので、私個人が立て替えただけで、本来は会社が負担すべき費用だと思えます。
これをどう考えればいいのか、後々かなり混乱することになりました。

資本金の振り込みは、総額を1回で振り込む必要はありません。出資者が複数いる場合は、それぞれの出資額を振り込んで、その合計が資本金額と一致していればいいので、一人の場合でも複数回の振り込みの合計額が合っていればいいそうです。



■払込証明書

法務局には資本金の証明として払込証明書を提出する必要があります。これは、払込証明書というフォーマットに、資本金用口座の通帳のコピーを添付して、決められた形式で綴じたものです。
通帳のコピーは、表紙、表紙を一枚めくったページ(支店名などが書かれたページ)、振り込み記録が書かれたページが必要となります。



2013年8月17日土曜日

『パシフィック・リム』

★★★☆☆

最初に予告編を観たときは「こんな日本の特撮映画のパクリ、絶対観ないだろうな」と思っていたのですが、公開が近づきメディアに取り上げられ始めると、ギレルモ・デル・トロ監督のビックリするほどの日本のアニメ、特撮オタクぶりがわかってきて「日本の特撮のオマージュ、観ておかないといけないかな」と気持ちが変わってきました。

実際に観てみると、不思議な高揚感がありました。
作品世界を構成する様々な設定には、日本のあの作品と似ている、と思わせるところが各所にありますが、同時にいかにもハリウッド的だと思う部分もあり、でも結局、怪獣映画のなんだかワクワクする感覚の遺伝子はそのままで、そのバランスが非常によかったと思います。
これがもし、日本のアニメや特撮のリメイクだったら、色々とイチャモンつけたくなったかもしれませんが、独自のストーリーの中で完全に昇華されていたのもよかったのかも。

巨大怪獣とロボットの戦闘シーンは、日本の作品をはるかに凌ぐ迫力でした。というか、日本だとあんなに町を破壊できないですよね、PTAとかからクレームが来ちゃうから(^^;)。ハリウッドだって表現に規制はあるはずなのに、何でしょうかねえ、この違いは。

ただ、怪獣(KAIJU)と巨大ロボット、イェーガーのデザインは、ハリウッドっぽいとは思うのですが、個人的にはもうちょっと日本っぽくしてくれた方が嬉しかったかな。
正直、私の美的感覚から言えば、KAIJUもイェーガーもイマイチかっこいいとは思えませんでした。
また、戦闘シーンは、夜だったり海底だったり、暗いことが多いのですが、複数のイェーガーの区別がつかなくなることもしばしば。KAIJUにも種類の違いがあるのですが、どれも同じように見えて、どれがどれだかわかりませんでした。
日本だとこういう場合、それぞれのKAIJUやイェーガーにシンプルな特徴を与えて、パッと記憶できるよう配慮したり、複数が同じシーンに登場したときに区別しやすいようにそれぞれのベースカラーをはっきりと変えてデザインしたりしますよね(ガンダムは白、ガンキャノンは赤、という具合に)。

ストーリーは完結していますが、評判がよければ続編とかあるんだろうなあ。

公式サイトは、こちら。

2013年8月3日土曜日

『SHORT PEACE』

★★★☆☆

この夏は、ピクサーの『モンスターズ・ユニバーシティ』、スタジオジブリの『風立ちぬ』を観ました。いずれも今のアニメーション作品の最高峰ですが、この『SHORT PEACE』もまた、別の方向性の最高峰です。

4つのオムニバス作品のうち3つまでが時代劇ですが、いずれもおそろしく緻密に描かれています。
まあ個人的な好みで言えば、大友克洋監督の『火要慎』とカトキハジメ監督の『武器よさらば』かなあ。

ただ、全体でも70分足らずなので、それぞれの作品は20分もないせいか、ストーリーとしてはいずれも割とシンプルで「だからどうした」という感じでした。アニメーション技術のデモンストレーションとまでは言いませんが、ドラマとしての感動や面白さという点では、ちょっと弱かったと思います。

あのクオリティで長編を作るのは大変だと思いますが、次は大友克洋監督の長編に期待。

どの作品だったか、あの『アキラ』の芸能山城組を彷彿とさせる音楽が印象的でした。

公式サイトは、こちら。
http://shortpeace-movie.com

『終戦のエンペラー』

★★★☆☆

GHQによる、昭和天皇の戦争責任の有無についての調査をテーマにした作品。プロデューサーは日本人だし日本人俳優もたくさん登場するけど、一応ハリウッド作品ということになるのかな。

この作品は、どうしても今という時代の日米関係、あるいは日中、日韓関係、天皇制などと結びつけて観てしまうわけで、独立したドラマとして捉えることは難しいです。色々と考えさせられる作品。

GHQは連合国軍の組織ですが、世界のリーダー面をして各地の紛争に首を突っ込みたがるアメリカのイメージそのまま。あのころからアメリカって変わってないんですね。もちろん、太平洋戦争の場合アメリカは日本から宣戦布告されて実際に戦争状態だったので、当事者として深く首を突っ込むのは当然ですが。
ただ、戦争に勝利した国の敗戦国に対する態度としてはとても冷静でまっとうだったとは思います。日本を戦争へと導いた原因を探り、証拠となるデータを探し、裁くべきは裁き、制度を改めるべきは改めるということで、とても大人な対応だったという印象です。

作中にあるように、天皇という極めて不思議な存在とそれに対する国民感情も、結局どれだけ理解できたかはわかりませんが、最大限理解しようと努め、結果的にはうまくコントロールしたようです。
不思議なのは、この日本人の機微をうまく扱ったアメリカが今、イスラム社会とはなかなかいい関係を作れないこと。GHQでは、天皇というよくわからないものはよくわからないまま、白黒つけることを諦めるという、アメリカらしくない結論だったわけですが、対イスラムの場合も、そういう態度の方が反感を買わないような気もしてしまいます。

不思議といえば、全面戦争状態から度重なる空襲や原爆投下を経てGHQ統治に至った日本が、その後アメリカと極めて親密な関係となること。これもまた、日本という国の不思議なところ。
そして、アメリカとはあっさり仲良くなれたのに、中国や韓国とは今も微妙な空気が漂っていること。やはり、ずっと隣同士だと、積年の恨みつらみのレベルが違うのかな。

天皇制の不思議さについては、私自身、GHQと同じように訳がわからないと思います。正倉院の宝物が盗難にもあわず残っていることなど、皇室が連綿と続いてきたことの意義は認めるとして、あのような存在が我々の生活に必要なのかなあ。
自分に影響がないなら、あってもなくてもいいんだけど、私が気になるのは彼らの自由のない生き方が忍びないということ。今の日本に「あなた、皇族になりたいですか?」と聞かれて「はい、喜んで」と答える人はどのくらいいるんだろう?少なくとも私はイヤ。あの家族に生まれた人たちは、そのなりたくない存在以外の生き方を選べないって、それを国が制度としているというのが、どうもしっくりこないのです。
世界には、実質「象徴」の王様が他にもいるんでしょうが、その国の国民、そして本人はどんな気持ちなんでしょうか。

さて、昭和天皇が登場する映画といえば『太陽』というロシア映画がありました。イッセー尾形さんが昭和天皇役で、本物そっくりでした。今回は片岡孝太郎さん。登場シーンはちょっとだけでしたが、こちらも雰囲気はよく似ていました。

この作品、ハリウッドが作った終戦時の日本を舞台にした作品として、日本では大規模に上映されていますが、アメリカでは話題になっているのでしょうか?英語のタイトルは『EMPEROR』なので、そのものズバリですが、うーん、多くのアメリカ人は関心持たなそうですね(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.emperor-movie.jp

2013年7月22日月曜日

『風立ちぬ』

★★★☆☆

最近の宮崎駿作品は『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』『崖の上のポニョ』と、現実からかなり離れたところの、合理性を追求しないタイプのファンタジー作品が続きました。この手の作品がいけないということはないし、アニメーションの絵としての面白さをより自由に追求できるという魅力もあるのでしょうが、個人的にはあまり好きではありませんでした。

そういう意味では、『風立ちぬ』は現実世界が描かれている作品で、とても受け入れやすい作品でした。そんな中にも、要所要所で主人公二郎の夢の中のようなシーンがあって、そこだけはちょっとファンタジック。宮崎駿にとって、ああいうシーンは外せないんでしょうね。

ストーリーとしては、主人公二郎の仕事である飛行機開発と、彼のプライベートである病気を患った菜穂子とのラブストーリーが半々といったところですが、全体の印象としてはラブストーリーの比重が大きかったかなあ。
そう感じたのは、飛行機を設計する上での技術的課題やその解決策といった部分にはほとんど踏み込んでいなかったから。それに比べると、二郎と菜穂子の、お互いを思う気持ちからくる言動はかなり細かく描写されていました。

この作品を観る前は、宮崎駿が戦争をどう描いたのか興味がありましたが、この点については肩透かしを食った感じ。ゼロ戦が戦場で活躍するシーンもなければ、名古屋や東京の空襲のシーンもなし。登場人物のセリフとして戦争観や政治信条が語られることもほとんどありませんでした。これもまた、要はラブストーリーだと感じた原因でしょう。

さて、ジブリ作品では毎度気になる声優陣。
主人公二郎を演じる庵野秀明さんですが、演技については、やっぱり不慣れな感じはありつつ、悪くないとは思いました。ただ、あの声を聞くとどうしても庵野さんのビジュアルが浮かんできて、最後まで二郎のルックスと庵野さんの声が私の中で一つになってくれませんでした。
菜穂子役の瀧本美織さんは、とてもよかったと思います。病を抱えてはいるものの基本的には快活で明るく前向きな菜穂子が、この作品全体の印象をさわやかなものにしていると思うのですが、瀧本さんの声も一役買っていると思います。
その他、西村雅彦、竹下景子、國村隼は、声を聞いて誰が演じているかわかりましたが、後のキャラクターは誰の声だか全くわかりませんでした。

そういえば、この作品では飛行機のエンジン音や地震の時の環境音などを人間の声を使って表現しているとか。映画を観ながら「あれ、変な音だなあ」と思い、ネットかどこかで人の声を使うと書いてあったのをうっすら思い出しました。
面白い試みだとは思うのですが、ジブリのようにお金をかけられる現場で、しかもファンタジー路線ではないこの作品で、わざわざ人の声にするほど効果的だったかどうかは微妙な気がします。

荒井由実の『ひこうき雲』は、作品世界にいい感じにはまっていたと思います。映画のタイトルも『ひこうき雲』でよかったんじゃないかと思ってしまいました。

公式サイトは、こちら。
http://kazetachinu.jp