2016年3月30日水曜日

『アーロと少年』

★★★★☆

ネットで調べたところ、日本では吹き替え版しか上映されないとかで、不本意ながら吹き替え版を観てきました。

最近のPIXAR作品の中では、私はかなり好き。
ストーリーはいたってシンプルで、迷子になった臆病な子供が色々な人と出会い助けてもらいながらちょっと成長して家へ帰るというもの。このくらいシンプルな方がいいですね。その代わり、一つ一つのシーンにちょっとした面白さがあったり、絵としての美しさがあったりして、退屈することはありませんでした。

設定は、絶滅せずに高い知性を持った恐竜と、まだ言語も獲得していない人間というヒネリが入れてあるのですが、その必然性があるのかどうかはよくわかりませんでした。

映像的には、水や雲や草木の表現がとてもリアルで、実写なのかCGなのかわからないようなシーンもありました。そうなると逆に、キャラクターだけがマンガチックなのはいいんだろうか?と考えてしまいました。
『ジュラシック・パーク』など実写の恐竜モノでCGがリアルな恐竜を描き出しているとう実績があり、本作でも背景はリアルを追求しているのに、なぜキャラクターだけが…?もちろん本作のキャラクターをリアルに描いても魅力的ではないと思いますが、突然こんなことが気になってしまったのは、キャラクターが恐竜だったからだと思います。

不本意な吹き替え版でしたが、キャラクターの声は特に違和感なく、よかったと思います。最後の歌は、キロロが悪いとは言いませんが、英語版がどんな歌なのかわからないので、なんだかすっきりしない気分です。

同時上映の短編は、インド人の親子が登場し、ヒンドゥー教の習慣などが描かれているので、PIXAR作品としてはかなり異色な印象でした。監督の名前がインドっぽかったので、なんとなく納得。作品としてすごく面白かったかというと微妙ですが、PIXAR作品がこういう風に国際色豊かになっていくのも悪くないと思います。

公式サイトは、こちら。
http://www.disney.co.jp/movie/arlo.html



2016年3月26日土曜日

『エヴェレスト 神々の山嶺』

★★★☆☆

エヴェレストに初登頂したのは誰かという謎を追うようなくだりがありつつ、結局は山にとりつかれた男たちの無謀な挑戦の映画ですね。

そうなると、だいたい遭難という状況が出てきて、仲間を失った過去があって、生還できるのかどうなのかというスリルがあって…というのは山岳映画につきもので、まあこの作品もそんな感じです。

山の映像はとても美しかったと思います。

そしてカトマンズ。さすがに撮影場所がどこかはわかりませんでしたが、私が見てきたカトマンズの雰囲気そのまま。外国人観光客は大抵タメル地区に行くそうですが、その近辺らしき場所も映っていました。
私がネパールを旅行したときは、カトマンズの他にチトワン、ポカラを回りましたが、いずれもカトマンズより西のエリア。一方エヴェレストはカトマンズより東側なので、私はエヴェレストの姿は全く見ていません。映画の中では、当然山でのシーンも多いですし日本でのシーンもあるので、カトマンズのシーンは意外と少なかったです。

この作品を観たかった理由の一つは、自分が行ったネパールの雰囲気を味わうため。その目的は、多少果たせた気がします。

公式サイトは、こちら。
http://everest-movie.jp







2016年2月20日土曜日

『スティーブ・ジョブズ』

★★★★☆

この映画は、アイザックソンの書いたジョブズの伝記が原案ということになっています。あの伝記は、彼の出生から亡くなる間際までをかなり詳細に描いているのですが、そこから映画作品にするときに、全体をまんべんなく描かずに、こういう切り取り方をしたのか、という、そこが一番面白かったと思います。

もう一つのジョブズ映画(邦題は本作と同じ『スティーブ・ジョブズ』ですが原題は『JOBS』)の方も、伝記で描かれている全ての範囲を網羅しているわけではなかったと思います。でも、ウォズと出会ってAppleを作って、追い出されて、また復帰してという、彼のビジネスにおけるキャリアの一番ドラマティックな部分をきちんと抑えてありました。

本作の方は、一応初代Macintosh、NeXTcube、iMacの発表会場が舞台ですが、実際には、その舞台裏で起こっているジョブズのプライベートな人間関係が描かれています。逆に、ビジネス上の功績は、この作品ではほとんどわからないと思います。

私はもともとジョブズに興味を持っていて、Apple復帰以降はリアルタイムでどんな製品を発表してきたか知っていますし、彼にまつわる様々なエピソードもあちこちで見聞きしているので、そのうちのどの部分を映画で描いているのかわかります。
ただ、ジョブズについてあまり知らない人がいきなりこの映画を見た場合、登場人物全員と喧嘩している男にしか見えないでしょう。
ずっと認知拒否してきた娘のリサ、その母親のクリスアンとの関係は比較的わかりやすいのですが、スティブ・ウォズニアック、ジョン・スカリー、アンディ・ハーツフェルドはそれぞれ何をした人で、ジョブズとどういう関係の人物なのか、あの描き方で伝わったのかなあ。
それとも、そんなことが一切わからなくても、充分面白いと感じられる映画に仕上がっているのか。描かれていない部分を補って観ることができてしまう私にはよくわかりません。

割と普通の伝記映画を想像していた私にとってはかなりの変化球でしたが、ジョブズという人物を大胆に切り取って描いた人間ドラマとしては、かなり面白いと感じました。

公式サイトは、こちら。
http://stevejobsmovie.jp







2016年2月13日土曜日

『オデッセイ』

★★★★☆

とてもよかった、というか、好みだったと思います。

トラブルに対して、知恵を使って解決していくタイプの話が自分は好きで、宇宙を舞台にした作品は、こういうタイプの話とマッチしていると思っています。
というのは、私の中で宇宙飛行士は訓練された科学者やエンジニアというイメージがあって、理系的な思考回路の持ち主だと思っているので。
そういう意味では、同じ宇宙を舞台にしたSFでも『スター・ウォーズ』はファンタジーであり、スピリチュアルであって、対極の作品ですね。

『オデッセイ』と同じタイプの作品に『アポロ13』がありますが、こちらは実話に基づいているのでさらに現実的。『オデッセイ』はフィクション版の『アポロ13』といった感じだと思います。
トラブル対策を地球側でシミュレートして検証するような描写は、『アポロ13』と同じです。

細かい演出では、『オデッセイ』は明るくて面白おかしい作風に仕上げてあって、これは『アポロ13』とは少しトーンの違いを感じます。

また、生き残りのために食料となる植物を栽培したり、化学変化で水を生成したりするのが、この手の作品としては新鮮だと思っていて、ずっとこの路線で押していくのかと思いきや、後半の方は割と普通な宇宙トラブルもののような展開になってきて、私としてはちょっと残念でした。

原題は『The Martian』。火星人という意味のようです。原作小説ではこれを『火星の人』と訳したようですが、映画の邦題は『オデッセイ』。なぜ違う言葉に変える必要があるのかなあ。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/odyssey/







2016年1月23日土曜日

『白鯨との闘い』

★★★☆☆

私が好きな『アポロ13』のロン・ハワード監督作品だということと、白鯨ということでちょっと海洋ドキュメンタリーのような映像も見られるのではないかと思って観に行きました。

邦題は『白鯨との闘い』ですが、原題は『In the Heart of the Sea』。
鯨油採取のための捕鯨船員の話であり、実際捕鯨のシーンも、白鯨に攻撃されるシーンもあるのですが、作品全体の印象としては『白鯨との闘い』ではない気がします。
どちらかというと海洋サバイバル。『○○○漂流記』みたいな雰囲気でした。

小説の『白鯨』はもちろん知っていますが、読んだことはないので小説の内容と映画で表現されている内容の差もよくわかりません。

そして、私が『アポロ13』を好きなのは、ロン・ハワードの演出が好きというよりは、結局『アポロ13』のエピソードが好きということらしいことがわかってきました(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://wwws.warnerbros.co.jp/hakugeimovie/







2016年1月13日水曜日

『ブリッジ・オブ・スパイ』

★★★★☆

とてもよかったと思います。

最近、テレビのドキュメンタリーや映画などで「20世紀史」とでもいうような世界情勢に関わる作品を観る機会がなぜか多いのですが、この作品もその流れに乗っているので、自分の中に響くものがありました。

東西冷戦時代、アメリカで活動していたソ連のスパイを弁護した弁護士をトム・ハンクスが演じています。
彼はその後、ソ連に身柄を確保されたアメリカ側の軍人とそのソ連のスパイを交換するための交渉役を引き受けることになります。

東西冷戦時代というと私にとってはリアルタイムなのですが、国際情勢に関心がある子供でもなかったので、あまりよくわかっていませんでした。
この作品で描かれているのは私が生まれる前ですが、米ソのスパイや軍隊があんなに活発に活動していたとは驚きです。

トム・ハンクス演じる弁護士は、スパイであっても法律に基づいて適切に裁かれるべきと考えるのに対して、アメリカの世論はソ連のスパイなら極刑が当然だと考え、彼を非難します。この「ソ連のスパイなら○○○○」が現在の「イスラム教徒なら○○○○」とどうしても被って捉えたくなります。

公式サイトは、こちら。
http://www.foxmovies-jp.com/bridgeofspy/







2016年1月6日水曜日

『ベテラン』

★★★★☆

久しぶりに観た韓国映画。さすが、クオリティは高いですね。

事前に知っていたのは、韓国ではタブー視される財閥の闇を取り上げていること、『踊る大捜査線』を彷彿とさせるコミカルな要素があることですが、いずれも納得。

ただ、韓国の人から見ると財閥のあり方を批判するメッセージが明らかなのかもしれませんが、日本人の私にとっては、言われないとわからなかったと思います。
日本にも企業のトップやその御曹司が悪役として描かれるドラマは多々あり、それと何が違うんだろう?という印象でした。

『踊る大捜査線』のノリとは、本当によく似ていると思いました。警察署内を登場人物と一緒にハンディカメラが移動しながら長回しで撮るような演出も。もしかしたら、直接影響を受けているのかも、と思うほど。
アクションは『ベテラン』の方が派手で、やや暴力的。そして、主人公がそもそもルールを守る気がない感じは、ややリアリティに欠ける気がしますが、韓国ではそうは感じないのかな。

『ベテラン』というタイトルは、どうもイマイチな気がしました。本編のタイトルロゴにもハングルに添える形で英語で小さく"veteran"と書かれていたと思うので、原題も基本的には同じ言葉だと思います。
日本でベテラン刑事というと、定年間近でくたびれたコートを着ていて、何度も現場を見に行き、聞き込みを繰り返して足で情報を稼ぐ、あるいは取り調べで被疑者を優しく諭して泣き落とすようなタイプをイメージします。
でもこの映画の主人公は、日本の刑事ドラマだと新人刑事のような無鉄砲な行動ばかり。役としての年齢設定はわかりませんが、役者さんの年齢は40代のようです。日本と韓国だと『ベテラン』という言葉で思い浮かべる人物像はちょっと違うのかもしれませんね。

細かい役も含めると登場人物が結構いて、見た目上印象に残るような強いキャラクターの役者さんが少ないので、「あれ、この人は誰だっけ?」と思うことが何度かありました。

公式サイトは、こちら。
http://veteran-movie.jp


さて、昨年2015年に観た映画は45本でした。観たいと思う映画をだいたい観て、たまに観そびれた作品もあり、最初は観るつもりがなかったものを急遽観ることにしてみたり…、などとやっていると、私の場合はほぼこのくらいの本数になるようです。星5つをつけた作品はありませんでしたが、星4つがかなりたくさんありました。





2015年12月26日土曜日

『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』

★★★★☆

シリーズで最初に公開されたエピソード4は、1978年に日本で公開され大ヒットしたのはリアルタイムで知っていますが、当時の私は宇宙戦艦ヤマトに夢中だったので、スター・ウォーズはほぼ眼中にありませんでした。テレビで放送されたときに何となく観たり、のちに作られた特別版は映画館で観ているのですが、エピソード5、6となると、観たのか観てないのかもはっきり覚えていません。エピソード1〜3は一応全て映画館で観ています。
世の中にコアなファンがいるスター・ウォーズですが、私の温度感はその程度です。

そんな私でも、冒頭のテーマ曲を聴くと「あのスター・ウォーズの最新作を今見ているんだ」と、ちょっと感慨深い気持ちになってしまいました。まあ『宇宙戦艦ヤマト2199』を観たときの気持ちがザワザワする感じには及ばないのですが(^^;)。
そして、旧作の登場人物が画面に現れるたびに「おお」と思ってしまいました。

そういった高揚感も含めての星4つです。

もう少し冷静に観てみると、割と簡単に敵の武器の弱点を見抜いたりするあたりがSFとしてはちょっと軽めだと思います。あまり細かいことは気にせず楽しむ娯楽作品ということでしょう。旧作もそういう傾向があった気がするので、コンセプトが貫かれているとも言えます。

物語の始まりを描いた本作ですが、登場人物の相関図が少しずつ見えてきて、"フォースの覚醒"が垣間見えてきて、これからどんな展開を見せるのか楽しみです。

ちなみに、結局3D字幕版を観ました。

公式サイトは、こちら。





2015年12月17日木曜日

『007 スペクター』

★★★★☆

前作『007 スカイフォール』がよかったので、同じレベルを期待して観に行きました。結果は期待通り。
マンネリといえばマンネリですが、ド派手なスパイアクション映画として直球ど真ん中でした。

一部、前作やそれ以前の007シリーズのことがわかっていないと理解できない部分もあるようでしたが(私自身、前作はほとんど覚えておらず、それ以前の作品は見たことがないので理解できませんでした)、まあ細かいことは気にせずに楽しむことができました。

基本的に、ある目的に対して、どこかに行く→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→キーとなる人や場所の手がかりをつかむ→そこへ移動→以下、繰り返し…というストーリー展開なので、実はいくらでも話を長くすることができる作りとなっています。今作も、まあ飽きませんでしたが、これでもかと世界中を駆け回ります。

ある場面、作中では北アフリカの砂漠と表現されていましたが、エンドロールによるとモロッコでロケが行われたようでした。実は夏に観た『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』もモロッコでロケが行われています。
ただでさえ似たようなスパイアクション作品でロケ地までかぶってしまうのはあまりいいことではない気がしますね。それにしても、モロッコはロケ地の誘致を積極的に行っているのかな。

ジェイムズ・ボンドとイーサン・ハントもつい比べてしまいます。スパイとしての技能には大きな差は感じませんが、英国紳士の側面を持っている分だけボンドの方がハードボイルドな印象が強い気がします。本物のスパイには不要な特性かもしれませんが、映画作品のキャラとしてはその方が魅力的かもしれません。そしてダニエル・クレイグがそのキャラにとてもうまくはまっていると思います。
そういえば前作では、ボンドが髭を剃るとき、理髪店のように泡をブラシで顔に塗り、シェービングナイフを使う描写があって、その時代錯誤感も含めてとてもかっこよかったのですが、今作ではそう言ったシーンがなかったなあ。ちょっと残念。

公式サイトは、こちら。
http://www.007.com/spectre/?lang=ja







2015年12月12日土曜日

『杉原千畝』

★★★★☆

なかなか見応えがあったと思います。史実に基づいた作品らしいですが、それだけに作品の面白さは史実に依存することになります。純粋にドラマとして見ると、星3.5と4の間ぐらいかなあ。

ビザというと、私にとっては海外旅行に行くとき必要に迫られて取得するものというぐらいの認識しかなかったので、ビザを発行することで人の命が救えるなどということは考えたこともありませんでした。
杉原千畝のことは全く知りませんでしたが、予告編を見て俄然興味が湧きました。

作品は、ほぼ時系列通りに進んでいくので、第二次大戦時、杉原自身と日本、ヨーロッパでどのようなできごとが起こり、それによって情勢がどのように変化していくのかがわかりやすかったと思います。
杉原の最大の功績(?)は、リトアニアでユダヤ人に出国のためのビザを発行してあげたことですが、このビッグイベントが映画の終盤ではなく中盤で描かれていたのはちょっと意外でした。そのあとのストーリーは、私は退屈することなく観ることができましたが、人によってはダレた印象になるかもしれません。

ロケ地は、実際に杉原は赴任した場所とは違うポーランドで行われたそうです。ポーランドといえばアウシュビッツ収容所のあるところですが、確か主演の唐沢寿明さんはフジテレビのドラマ『白い巨塔』で収容所を訪れていましたね。

イスラエルが親日国なのは、杉原のビザ発行が一因だそうです。『海難1890』ではトルコが親日になった一因のエルトゥールル号の事故が描かれていました。人助けで相手から信用してもらうという外交で国際的に良好な関係を築けるなら、こんなに素晴らしいことなはいと思いつつ、現実にはなかなかそれだけというわけにもいかないのだろうとも思い、いろいろと考えるきっかけになりますね。

それにしても、邦画(監督は外国人)なのに英語のセリフが多い作品でした(^^;)。

公式サイトは、こちら。
http://www.sugihara-chiune.jp