2010年4月12日月曜日

偽原始人

 井上ひさしさんが亡くなりました。

 面白い作品がたくさんあるようですが、私が唯一読んだことがあるのは、「ドン松五郎の生活」でも「吉里吉里人」でもなく「偽原始人」。この作品はたぶん、朝日新聞に連載されていたのではないかと思うのですが、私の母親が面白いと、書籍化されたときに購入しました。後にそれを借りて読んだのです。

 主人公は小学生の男の子。母親がすごい教育ママで、彼を将来東大に入れることを人生の目標にしていて、小学生の今から彼に勉強を強要します。でも彼はそれが嫌で、そこから逃避したり小さな反抗を試みたりします。
 それが、コメディタッチで描かれており、男の子の反抗のあの手この手が楽しい作品です。でも、よく考えてみると、受験教育という今にも通じる社会問題を取り扱っており、男の子の担任の先生が心の病になってしまうなどシリアスなストーリー展開も見られたと記憶しています。

 そのせいか、私が唯一読んだ井上ひさし作品でありながら、非常に気に入っている作品でもあります。その後なぜ他の井上作品を読まなかったのかが不思議なくらいです。「吉里吉里人」は、何度か本屋で手にとった記憶もあるのですが…。

 ご冥福をお祈りいたします。


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